シャドウビルダー

シャドウビルダー

ブラム・ストーカー原作とあるが、読めるの?マイケル・ルーカーが出てるから見たけど、前知識はゼロ。当然なことだけど、暗いシーンが多く、見辛い。何やら儀式をやっていて、リーダーはクィンランという大司教。地獄の復活を企んでいるらしい。そこを急襲したのがヴァシー(ルーカー)という神父。クィンラン達を皆殺しにするが、彼らが何をやってたのかはよくわからない。一緒にいたランバートという男は、ヴァシーが行く前に死んでいて。彼がグランド・リバーへ行くつもりだったのを知り、手がかりがつかめるかもとヴァシーも向かう。町は日食見物の客でにぎわい始めたところ。ジェニーとサムは恋人どうし。ジェニーは獣医で、サムは保安官。朝帰りは秘密にしたいけど、近所の住民が次々にあいさつしてくるのが笑える。みんな顔見知りで詮索好きで、何かを秘密にするのは無理。ジェニーは、亡くなった姉マリーの息子クリスを育てている。12歳の彼は、最近悪夢に悩まされている。ランバートは彼の父親らしい。この二人が出てきて「あれ?」と思う。何だかどこかで見たような・・。ジェニーは「メンタリスト」のクリスティーナ・・レスリー・ホープだ。クリスは・・この時はまだ子供だけど・・ケヴィン・ゼガーズだ。それだけじゃない、浮浪者みたいなコヴィーやってるのは「ファイナル・デスティネーション」などのトニー・トッドだ。みんなしてこんなのに出ていたのねえ。町へやってきたヴァシーは早速クリスを見かけるけど、その時は通り過ぎ、まずは教会へ。フィンラー神父によれば、ランバートは酒飲みのろくでなし。彼の息子が洗礼を受けたと聞くと、何か思い当たったらしく・・でも私は何も思い当たらないけど。後でクリスがその時出血した・・聖痕が現われたことがわかるんだけど、なぜ今そのことをフィンラーに確認しなかったの?マリーの墓が暴かれるとか、パトロールしてた警官イーガーの不審死、彼を解剖しようとした医師が襲われるなど、次々に事件が起きるけど、見せ方がたどたどしいと言うか。クィンラン達が儀式で呼び出したのはシャドウビルダー。黒い影が動き回るわけだが、何がどうなってるのかよくわからん。暗い部分・・下水道とかを伝って移動するのだが、赤っぽくて胃カメラの映像にしか見えん。そのうち住民達に異変が起きるけど、ちゃんと描くには金も時間も脚本の練りも足りなかったようで。他の町へ応援頼むとかそういうの全くなし。ひたすらしょぼく、はっきりせず、もたつく。見てるのも大変。

シャドウビルダー2

シャドウビルダーというのは、「影の使者」という意味らしい。光と共に生まれたのが影で、今こそこの世を影の世界へ・・とか何とか。カギとなるのが日食とクリス。ピュアな魂の持ち主・・聖痕はいずれ彼が預言者か聖人になる証し。キリスト教世界も大変で、きれいごとばっかりじゃすまない。誰かがやらなくちゃならない汚い仕事をやってるのがヴァシー。要するに人殺しやってるわけだから、その苦悩ははかり知れない。表情には疲れや虚無感がにじみ出ている。たぶん彼は死ぬことによって、やっと安息を得るのだろう。今から死ぬって見え見えで。彼にとってクリスは鏡のような存在。今までやってきたこと・・殺人・・が、鮮やかに蘇る。純粋な魂の前では、何も隠すことはできないのだ。このシーンはよかったと思う。彼は思い余ってクリスを殺そうとしたりする。クリスが死ねばシャドウビルダーは使命を果たせず、世界は救われる。使命とはたぶんクリスと合体することだろう。彼の純粋さは人間の本性を引き出すのだそうで、たぶん悪い本性の方がいっぱい出て・・。この映画で一番印象的なのはヴァシーの苦悩。作り手はたぶんそれ以外のことも見せたい。シャドウビルダーの造形はどう?よくできてるでしょ?・・とか。次に印象的なのはコヴィー。住民はどんどんおかしくなって、火をつけたり、ストリップしたり、殺し合ったりするけど、彼は・・普段からちょっとおかしいから今更変になりようがない。そこらじゅうから電灯を盗み、集めまくる。何やら予感がしたのか。ヴァシーとは正反対の・・気楽で縛られてなくて、頭がおかしいように見えて、普通の人よりよっぽどまともで。残念だったのは彼らに比べ、ジェニーやサムのキャラに魅力がないこと。それとヴァシーの思い出話。この世界に入ったきっかけ・・みたいな。でもこんなのいらない。教会の持つ矛盾・・汚い部分を一身に引き受けて、苦悩して苦悩して、最後命投げ出してそれでやっと安らぐ・・それでいいじゃんよ。彼の死を一番悼むのはクリス。たぶんクリスによってヴァシーの魂は清められ・・地獄ではなく天国へ行ったはず。てなわけで一回見て感じたのはこんなとこでしょうか。キリスト教のことはよくわからないけど、ルーカーの熱演のおかげで、何とか最後まで見ることができた。