スペースハザード

スペースハザード

「ターミネーターズ」鑑賞記念(?)としてもう一本同じような映画を・・。まあこういうゴミは無数に作られていて、ありがたいことに見る機会はほとんどない。でもそれでも時にはね・・。ジェレミー・ロンドンが出ているからとか、今回のようにスティーヴ・レイルズバックが出ているからとか。彼の新作なんてそうめったにお目にかかれないから。DVD発売即ゲット。内容はともかくゲット。一回見てその後ほったらかし、今回二度目。「スペース」・・宇宙、「ハザード」・・危険・・わかりやすい題名。原題は・・「伝染病にかかった者」とでも訳すのか。宇宙で見つけた得体の知れない物体。強力なパワー、金になりそう。逆に言うと人類の手にあまるもの、持っていてはいけないもの、災いの元。捨てろと言われたのに捨てない者、指示だけしてその後フォローしない上役・・規律がゆるんだ宇宙船。艦長ポールは事故死。今は婚約者ホロウェイが艦長だ。悲しみにくれているぶん目が行き届かないところも。全体的には「スーパーノヴァ」、それに「バイオハザード」などのゾンビ風味をプラス。通気口、合成人間など「エイリアン」風味も。要するに寄せ集め。新味は艦長がうら若い女性で、海賊も女ってことか。まあそうでもしないと誰がこんなのレンタルする?レイルズバック目当てで新品購入なんて私だけでしょう!「ターミネーターズ」の直後ということもあって、いろいろ比較しながら見るわけだが、同じゴミでも数段マシに思える。全編宇宙船の中なので(いちおう)SFムードにひたれる。冒頭ゾンビに襲われる若い女性うつし、すぐ8時間前に飛ぶ。やる気のない「ターミネーターズ」の出だしにくらべれば工夫が感じられる。8時間前にはまだ異変もかすかで・・電圧が少し異常なくらいで、船内は静かだった。ホロウェイはポールの棺に寄り添う。宇宙へ放出しなければいけないのだろうが、まだふんぎりがつかないのか。船のことはよくわからない。輸送船か。まあとにかく明日には地球へ着くというのでクルーの気もゆるみがちだ。その時救難信号をキャッチ。救助に向かうとろくなことにならないというのがこの手の映画のお約束。救助に向かった後行方不明になった船も・・というセリフも出てくる。でも無視したのでは映画にならないので行く。無人と思われた船に潜んでいたのはミニスカートにブーツのピチピチギャル四人。

スペースハザード2

メイソンやライリーには夢のような光景。何しろこっちの船ではポールとホロウェイがカップル。操縦士ブリッグスは医療担当のランドンといちゃつく仲。あぶれた二人はいつもつるんでよからぬことを企む。物体を地球へ持ち込んで高く売ること、そして今はどのコにする?ってな具合。さて、リーダー格カイラの話によると、海賊に襲われ、隠れていたとのこと。しおらしくふるまう四人だが、そのうち本性をあらわす。彼女達こそが海賊だったのだ!でもこの船に移る時何も(武器以外は)持っていなかったようで。それと向こうのクルーはどこに?襲ったものの金目のものがなかったので腹いせに宇宙へおっぽり出したとか?四人はそれぞれ男どもを誘惑するが、ターヴァー(レイルズバック)を誘惑しようとしたカイラだけは失敗する。後でわかるが彼は合成人間で、お色気には反応しないのだ。乗っ取りのゴタゴタで、ノーラが物体に触れ、ゾンビ状態に。この後は船内でのゾンビとの戦いになる。困ったことにゾンビはなかなか死なない。ターヴァーが首をちょん切るが、たぶんこれが唯一の退治方法なのだろう。でもその後も相変わらず銃を撃ち、弾を無駄にしているので見ていてもおもしろくない。飛行機同様宇宙船内でも退屈しのぎに映画見るはずで。その中にはゾンビ映画もあるはずで。なのに何で・・。この後は人間は減り、ゾンビは増える。地球まであと一日というところまで来ていながら何の交信も、救助の要請もしていない。カイラ達が邪魔するとかそんなシーン入れてもよかった。ゾンビは物体からパワーもらってるので、物体を捨てようということになる。それより首をちょん切る工夫をしろッ!ともかくターヴァーが通気口を通って物体を置いてある倉庫まで行くことに。彼には物体の影響は及ぶまい。ということでここでのレイルズバックはモロ「エイリアン2」のランス・ヘンリクセンである。そう言えばヘアスタイルも似ている・・か?人間ではない彼は、この状況を何とかしてくれそうな希望の星だ。でも作り手はどうしてもゾンビ部分をたっぷり見せたい。そうそう簡単に事態を好転させてたまるか。ゾンビを大量に出してくるわけにはいかないので、なかなか死なないようにし、普通に死んだ(←?)ポールやブリッグスまで甦らせる。ウ~ム宇宙ではおちおち死んでもいられないのか・・アッ、これ宣伝コピーにどう?

スペースハザード3

みんな同じでは芸がないとでも思ったのか、ライリーの時には腹わたシーンまでサービス。そうか、そうよね、ゾンビにだって食べ物は必要よね・・と納得していたらライリーもゾンビに。何だ食料いらないんだ・・物体のパワーで間に合うんだ。いつでもどこでもあなたのおそばに・・コンビニならぬゾンビニ。何となく感想書いていても思考がそれてしまうのは、ゾンビメイクも腹わたシーンももういいかげん見るのはうんざりだからだ。その点「ターミネーターズ」は変なメイクに頼らずTRも生身の俳優でそれらしくやって・・偉いなあ・・って単なる予算不足か。こちらの出演者もあまり仕事のなさそうな連中だ。でもなかなかがんばってはいる。中でもホロウェイ役アレックシ・ジボリスはブロンドで細身で楚々とした感じ。グウィネス・パルトロウ、ケイト・ブランシェット、ヘレン・ハントなどに似ている。ホロウェイはいいかげんな男どもにくらべれば冷静。婚約者を失ったという悲しみがなければ、てきぱき指示し、メイソンやライリーの尻をたたいてでも物体を捨てさせただろう。弱々しく消極的に見えるが、いざとなればカイラと互角に戦う気の強い一面も。ただ・・相手の腰に抱きつくなど攻撃が単調なのは惜しい。あれじゃ相手に上から後頭部殴ってくださいと言ってるようなもの。カイラは大柄でいかつい感じ。「アタック・ナンバーハーフ」にでも出てきそうなタイプ。敵対していたグループが、共通の敵を前にして一時的に手を結ぶというのはよくある。最後裏切るのもお約束。脱出直前、カイラはホロウェイをナイフで刺す。ポッドは一人用だからというのがその理由だが、ここで一部の人は「スーパーノヴァ」をまたまた思い出すだろう。どうしてSF映画での脱出用ポッドやらカプセルやらは人数分用意されていないのだろう!どうして「一つしかない」「一人しか乗れない」なのだろう!ラスト・・ポッドの中で危機に陥るホロウェイ。何か「エイリアン」ラスト近くのリプリーのピンチ連想させられる。ここでも作り手は余計なことをせずにはいられない。そう簡単にハッピーエンドにしてたまるか、見る人いや~な気分にさせずに終わってたまるかという感じ。ポッドがくるくる回転しているのもなあ・・あれじゃ進路が狂って地球にたどり着けないと思うが。でも物体がちゃんと誘導してくれるのだろう!

スペースハザード4

最初物体は生物兵器の類に思える。まあ兵器でなく医療ゴミかもしれないが。その一方でエネルギーのかたまりでもある。いつの間にかポッドに入り込んでいたから足もあるのか?甦ったポールが入れた?発見されたいきさつも律儀に語られる。おーおー何でも不明不明の「ターミネーターズ」とはえらい違いだぜ!物体は発見された時木箱に入っており・・えッ!木箱?手紙がついており・・えッ!手紙?宇宙で何で”木”箱なんだ?何で手”紙”なんだ?ポールは木箱の下敷きになって死んだらしい。それほど大きな木箱?遺体はどこもつぶれていなかったけど・・どこをつぶされたの?ポール。彼もこれが金になると思っていたようで・・じゃああんまり大した男じゃなかったってことね。それにしても・・くっつけない方がよかったなこんな変ないきさつ。海賊の中ではアリダが目立つ。刹那主義と言うか先のことは考えないタイプ。ナイフで切り裂くのが好きでブリッグスを殺す。ゾンビ騒ぎが始まるとあんたらのせいで・・と文句を言うが、この船に押しかけてきたのはてめーらだろーが・・と見てる人全員思ったはず。ちょっとやって成果がないとすぐあきらめ、どうせ死ぬなら・・とライリーに言い寄ったりする。さてレイルズバックだが、こういう若い俳優達を束ねるには彼のようなベテランが必要だと思う。低予算アホ映画でも、彼が出ているだけで映画の質、格はちょっぴり上がるのだ。彼がふと見せる表情・・その深い陰影をカメラはちゃんとうつし出す。そんなのなくてもストーリーは進むし、気がつかない人もいるだろうけど。彼は小柄でもう60過ぎてる。非力に見えるがなかなかどうしてアクションは若い者にも負けない。合成人間という設定もおもしろい。アンドロイドと言われ、シンセロイドと訂正するが、その違いは不明。物体のせいで一時的におかしくなるのは「ターミネーターズ」の保安官と同じだ。それにしてもゾンビとは言え人間を殺すのに何の抵抗もないのかな。再プログラムしなくていいのか。ロボット三原則は・・などといろいろ考えが飛ぶ。それもこれもゾンビシーンがちっともおもしろくないからだが。まあ彼の存在(色気、金銭欲とは無縁)と、清楚な美女ホロウェイのおかげでこの映画は何とか最後まで見ていられますよ。こうやって見ると「スーパーノヴァ」ってお金をかけて実力のある俳優揃えて作ってあったんだなあ・・と今更ながら思いますな。