シャーロック・ホームズの冒険(1970)

シャーロック・ホームズの冒険(1970)

これは見るのは初めて。本来はもっと長く、かなり短くしたとのことだが、それでも2時間5分ある。切ったため繋ぎ目が不自然ということもなく、普通に見ていた。ホームズ役ロバート・スティーブンスは知らない人。白塗りと言うか、やや不自然な感じ。顔のアップもなく、老けて見えるが、この頃はまだ39歳くらいらしい。フランク・ランジェラに似ているかな。ワトソン役はコリン・ブレイクリー。元気いっぱいで女好き、すぐ頭に血が上る。太っているので、踊りまくるシーンは血管切れるんじゃないかと見ていて心配になった。彼は「オリエント急行殺人事件」に出ていたらしい。このワトソンが自分の死後50年間封印していた事件という設定。ロシアのプリマドンナにホームズが子種の提供を頼まれる前半部分は、「エレメンタリー」でのアガサの申し出と同じだ。こちらのホームズはワトソンとの関係をほのめかして断る。もちろんそれを知ったワトソンは烈火のごとく怒る。この件は何ということもなく終わるので、別になくたっていっこうにかまわない。ここでロシア人ロゴージンやってたのがクライヴ・レヴィル。「世界殺人公社」もそうだが、見ている時は全然気づかない。エンドクレジットを見て、あら?と思う。「ヘルハウス」の印象が強いせいで、ヒゲを生やし、外国人の役やってると全然わからない。次にテムズ川に落とされ、一時的に記憶喪失になった女性が出てきて、やっと本題に入る。彼女ガブリエルは行方不明になった夫を捜している。ガブリエル役ジュヌヴィエーヴ・パージュは「昼顔」に出ていた人だ。他にマイクロフト役でクリストファー・リー。他のホームズ物と違い、こちらのホームズはさほど頭の回転はよくない。カナリアが出てくれば、我々はガス探知のためだと思う。ネッシーが出てくれば、ガブリエルの夫の発明した新型のエアポンプが使われているのだと思う。ガブリエルがパラソルをバサバサやってれば、誰かに合図してるんだとわかる。でもホームズはマイクロフトに言われるまで、ガブリエルの正体には気づいていなかったようで。と言って失望するわけじゃない。ホームズはあの通りなのだと思う。読者を喜ばせるため、ワトソンがホームズを実際以上に超人に見せたのだ。したがって、目くるめくような推理も、強烈な個性の流露もなし。平凡で地味だけど、だからこそ心には残った。