セイブ・ザ・ワールド

セイブ・ザ・ワールド

公開終了間際に行ったので、お客は二回とも35人くらいかな。かかっている館が少ないのは、マイケル・ダグラスとニモパパじゃお客を呼べないとでも?まあいいや。私のお目当てはアルバート・ブルックス。ブレンダンのファンとしては「スカウト」のアルが出ているんだから、こりゃあもう行くしかないでしょ。「ニモ」は見てないけどさ。彼にしろダグラスにしろ、若くはないから確かにオヤジコンビ。ダグラスの方が年上だけど若々しくて動きもスムーズ。ブルックスの方が老けて見える。性格も仕事も対照的な二人だから、いろいろもめて笑わせるという図式。神経質で堅物のジェリー(ブルックス)にはどこか抜けていて楽天的な妻キャサリンがいて、仲良くやっている。スティーブ(ダグラス)の妻ジュディは支配欲が強く、我が道を突っ走るタイプのスティーブとは当然のことながらうまくいかない。プレスシートには前妻と書いてあるから、二人はすでに離婚していることになる。映画を見た限りでは別居中という感じだが。ジュディを演じるのはキャンディス・バーゲン。この作品とか「デンジャラス・ビューティー」を見ると、あの知的でクールな美女がこんなカリカリ・パサパサのオバさんになっちゃって・・と思ってしまうが、なかなかよかったヨ。感情は激しいんだけど、でもできるだけコントロールしようと努力はしているのだ。息子の結婚式にラビ(女性のラビもいるんですな)とお坊さんを呼ぶなど何かごっちゃにしている感じもするが・・。ヨガとか瞑想とかいろいろやっていそうだし。スティーブが接触する密輸業者のジャンピエールも、自分の性格を直そうと何やら努力をしているようだ。ジェリーは自分では何も直す必要を感じていない。飛行機が嫌いとか高いところは苦手とかで自分の家にいるのが好きなタイプ。それがスティーブにいやおうなしに引っ張り回されているうちに、いつの間にか自分の弱点を克服してしまう。この映画で一番感じたのは人間の物悲しさ。自分を変えようとあがいている者がいる。その一方で変わる気もないのにムリに変えさせられちゃった者がいる。まあ望ましい方向に変わったのだから結果的にはよかったのだが。そしてキャサリンみたいに全然変わらない者もいて。こういう人が一番幸せなんだろうけど。そういう中年のあがきと言うか、あがくことさえ忘れているどうしようもない平凡さとか、そういったものに心が引かれた。

セイブ・ザ・ワールド2

スティーブの息子マイクとジェリーの娘メリッサは、結婚式を控えて幸せいっぱいのはずだが、ここへ来て何やら雲行きが怪しくなる。マイクはかなりよくできた青年だが、それでもホンネを言えば弁護士にはなりたくないと思っている。おそらく彼はスティーブのような活動的な仕事をしたいのだ。メリッサは結婚するならお互い秘密はなしにしてよ・・というタイプ。マイクとつき合う前に誰と寝たかなんていうことまで言うタイプ。こっちが正直に言ったんだからアンタも正直に言うべきなのに、何で○○と寝たこと黙ってたのよ・・と怒る。でもつき合う前のことほじくり返したって仕方ないってわかっているから、「アンタのパパいったいどういう人なのよ」と矛先を変える。マイクの一番イタイところを突くわけ。でもマイクは父親がCIAの秘密捜査官だってことは、例えメリッサであっても言うわけにはいかないの。男と男の約束なのよ。母親のジュディだって知らないことなんだから。パーティでマイクの友人達はスティーブに無遠慮にこう言う。「死んだか囚人だろうって思ってた」・・姿を見せない父親のことでマイクがどんな思いをしていたか・・。またジェリーに意見されたことでスティーブもやっと目が覚める。描写はされないけど、友達に何言われてもぐれもせずちゃんと育ったマイケルに私はじーんとしてしまったな。他にスティーブのアシスタントのアンジェラ役でロビン・タニー。いつまでも脇役はイヤ・・とスティーブを裏切り、ジャンピエールに寝返る。ジャンピエールは寛大になろうと努力している最中だが、女性は例外らしく哀れアンジェラは・・。ゲイじゃないと言いつつも、ジェリーにフラフラッとなっているところとか、歩く時になぜか小指を立てるとか、このジャンピエールがおかしくて・・。演じているデヴィッド・スーシェがすっごく上手で・・。この映画アメリカなら大爆笑の連続なんだろうけど、日本だとどうもね・・。バーブラ・ストライサンドから借りたという飛行機の、化粧品ぎっしりの引き出しのエピソードとか笑いのツボなんだろうけど、誰も笑わない。私も一回目に見た時にはぴんとこなかったし。でもまあそれなりに楽しい作品ではあったと思う。オヤジ二人だからキレが悪い(オシッコじゃないよ、ギャグね)けど、私くらいの年代にはちょうどいいかな・・と。あんまりめまぐるしいのもね。