シー・トレマーズ

シー・トレマーズ

驚いたことに劇場でも公開されたようだ。マイケル・パレも50を過ぎ、オッサンになってB級どころかC級D級のクズ映画に。でも、いいじゃありませんか。俳優は映画に出てなんぼ。何でもいいから切れ目なく出て世間に忘れられないようにしなくちゃ。それに熱烈なパレファンは顔を見られるだけでうれしいはず。オープニングクレジットは、音楽も含め悪くない。目の鋭い少年も、ハリウッド映画に出てくる子役とは一味違い、期待させる。でも、冒頭のバカップルの間延びしたシーンから、早くも雲行きは怪しくなるけど。海洋生物学者スカイラー(ジャナ・ファサート)は船を雇って何やら調査。ここはインドネシアらしい。船長ジャックがパレで、本人も船同様くたびれている。タバコの密売人らしく、ジャマールとかいう漁場・・密漁用に海上に建てられた建物・・へ寄る。ここでは少年達が強制的に働かされている。目の鋭い少年タマール(モニカ・サヤンバティ)は実は女の子で、兄のアリスと共に売られてきたらしい。ここでは暴力が日常化しているので、危機感を抱いたアリスは妹を連れて逃げようとするが、ジミーに殴られ、ろくな手当てもされず死んでしまう。彼がとても気の毒で、怪物よりも心に残る。ジミーを始め大人どもは皆ろくでなし。少年達もこういう環境のせいでずるがしこくなっている。次々に怪物の餌食になるが、かわいそうとも思えない。怪物は巨大な海サソリ。CGばればれで、人物や背景との合成もしっくりいっていない。スカイラーは以前娘をなくし、そのせいでタマールを助け出したいと思っている。タマールの方は何を考えているのかよくわからない。叔父が呪術師で、手ほどきを受けているのか。ラスト生き残ったのはタマールとスカイラーだけ。当然スカイラーはタマールを引き取って育てようと訪ねてくるが・・。このラストは意外。途中でなぜかタマールが自分で腹を傷つけていたが、その理由がわかる。スカイラーの気持ちの全く通じない異常な世界。後味は悪いが、そういう他を拒絶する世界もあるよなあ。パレはほとんど活躍せず、おまけに致命傷にも見えない傷であっさり死んじゃったのが残念。