ザ・インタープリター

ザ・インタープリター

ニコール・キッドマンとショーン・ペンという二大スターの共演というのが売りだけど、キッドマンに比重かかっていて、それ以外は付け足し扱い。作る方はどうやったら彼女の美しさを引き出せるかそればっか。見てる方も何でこんなにきれいなんだ・・と思うのはそればっか。ものすごい美人でスタイルがよくて音楽の才能があって、数か国語を操る才媛。映画でははっきりしないが、ノベライズによれば彼女のアパートは目の玉が飛び出るほど家賃が高い高級な区域にある。それが払えるってことは彼女は大金持ちで。こうなるといくら彼女が不幸な過去を持っていると強調しても誰も同情しない。国連で通訳の仕事しているシルビア(キッドマン)。ある日偶然耳にした会話は、彼女の故郷南アのマトボ地域で話されるクー語だった。その時は意味がわからなかったが、数日後マトボの大統領ズワーニがアメリカを訪れ、国連で演説すると知り、会話が彼の暗殺計画だったと気づく。シークレット・サービスのケラー(ペン)やウッズ(キャサリン・キーナー)が警備のため配置されるが、シルビアがウソをついているのでは、妄想なのではと考えている者も。ケラーも、彼女が何か隠しているような気がする。調べてみると彼女は両親と妹を地雷で失っており、独裁者で大量虐殺の疑いもあるズワーニに復讐しようとしているようにも思えた。そう、彼女はウソをつく。でもそれなりの理由があるので、責めることはできない。何度も勝手な行動を取り、ケラー達をあわてさせるが、彼女は悪くない。バスが爆破され、ケラーは仲間を失うが、それだって彼女の勝手な行動のせいでは決してない。・・何かもう見ていて腹が立つのだ。何をしようが許される、正しい。何がどうなっても彼女は美しく清らか。まあ確かにキッドマンの場合、美しさが時として邪魔になる。共感してもらえない、反発される。こういう映画にしては珍しく、シルビアとケラーは結ばれることもなく終わる。ラスト、彼女は南アに送還される。どうかケラー君、あとを追うなんて軽率な行動は取らぬようお願いします。途中で先頃亡くなった妻の話をするけど、いかにも唐突。普通そんなこと話さないでしょ。とは言え、いつもとは違うペンの演技を見られたのはよかった。哀愁が漂っていて、しかも渋い。