人生がときめく片づけの魔法(2013)
収納、片づけ、掃除、捨てる・・テレビやら雑誌やらで盛んにやってる。それだけみんなたくさんのものを持っていて、でも時間も気力もなくて・・ってことなんだろう。健康食品の通販の電話オペレーターをやってる薫もその一人。意中の男性小田と飲みに行って、自分のマンションまで送ってもらい、いいムードになりそうという時に、ハッと我に返る。中はいわゆる汚部屋で、彼に見られたら・・。今まで何度失敗したことか。何とか言い訳して次回・・ということにするが、自分では片づけられない。ふと見つけたのが片づけ社のチラシ。やってきたのは乗田磨輝子・・通称のりまきさん。当然彼女が何もかもやってくれるのだと思ったら・・彼女はやり方を教えるだけ。動くのは自分。それっておかしくないか?しかも祭りだのときめきだのわけわからないこと聞かされ・・。一度は追い返したものの・・。こうやって文章に綴る時間が惜しく思えるほど、予定調和のストーリー。私自身は2時間ドラマはほとんど見ない。昔やった(のに見ていない)金田一耕助物が放映されたら見るくらい(感想書くためにね)。今回珍しく見る気になったのは、やはり私も人並みに片づけには興味があるからだ。のりまきならぬ、こんまりさんもテレビで何度か。もちろん現実の近藤さんそのままだと思うほど無知ではない。虚構の中で彼女の精神を表現できれば・・。薫の汚部屋、晴江のゴミ屋敷、何の躾もされずほうっておかれる幼い兄妹。前の二つは、片づけ業者がよく手がけるケースだろう。さて、今はテレビを見ながらネットに投稿するようで。読んでみると、みんな意外と健全で。例えば薫の部屋。若い女性が住むにはりっぱすぎる。私もそう思う。いわゆるワンルームというやつだが、リビングも寝室もゆったり広々。大きなクローゼット。窓からは明るい光が差し込む。あの若さなら給料安いはず。何でこんなすばらしい部屋に住めるのかいな。住めたとして、給料の半分以上は部屋代のはず。中はもので埋め尽くされ、足の踏み場もない。しまうのが面倒で出しっぱなし。捜しものが見つからないから、また買いに走るという悪循環。食事はたぶん外食やコンビニ持ち帰り。家ではお湯をわかすくらいだから、食べガラやレジ袋が散乱していたとしても、流しが食器であふれていたとしても、油汚れ等はないだろう・・って何を考察してる。
人生がときめく片づけの魔法2
とにかくあれを買ってこれを買っての結果があの部屋なわけで、何でそんなに金があるのか。あったとして毎月使い果たしているはずで、その状態で、何で金を払って他人に片づけを・・となるのか。家計を把握していないからこそ、ああいうのに飛びつくのか。お金に関しては、このドラマはかなりおかしい。のりまきさんのぴかぴかの事務所は開店休業状態。あれで店賃払えるのかという、疑問の声ももっともだ。キッチンでは努ことつっくんが、おいしそうなケーキを焼く。ヒマさえあれば・・と言うか、ずっとヒマ・・ティーブレイク。片づけ社でなく、おいしいケーキと紅茶の店の方がよっぽどはやりそう。いちおうつっくんも片づけのエキスパートで、主にオフィスへ出向く。あるいは講座を開く。イケメン目当ての若い女性が押しかける。そっちの収入で(店賃は)何とかなっているのか。とは言え、片づけ指南を謳って配るチラシには、1時間いくらと料金が明示されているはずだ。最初にきちんとしておかないとトラブルの元。来てもらったものの、白い服に長い髪はどう見たって臨戦態勢じゃない。こっちが片づけるなんておかしくない?思ってたのと違う、もうやめる・・では、この話はなかったことで・・って普通はそのまま終わらない。かかった時間分の料金は請求するはずで。で、こういうのってけっこう高いのだ。晴江は、なくしたブローチを捜して欲しいと言ってくるが、一日かかって捜したとしていくらになる?しかも三人も来ている。息子がくれた大切なブローチには違いないけど、頭の中で計算して、これだけ払うならやっぱり自分で捜そうとなるのでは?そういうお金のことをはっきりさせるなんて卑しいことだとでも言うのか、変に避けて通ってる。さて、自分の部屋をきれいにした薫は、生まれ変わる。今までは何事も中途半端。言い訳ばっかり、自分の言いたいことも言えず、うじうじ。でも思いきってチーフに本音ぶつけて・・あっさりクビに。でも、のりまきさんの弟子になるからいいんだも~ん。・・何とお手軽な流れ。でももちろんつっくんがやさしくとりなしてくれて。彼にくっついて講座を聞く。おいおい、他の人は皆受講料を払って聞きにきている。彼女はタダで講座を聞き、片づけについていってちょこちょこっと手伝い、最後にはお給料ももらうのだ。見ている人達は思う・・晴江はブローチ一つ見つけてもらうのにいったいいくら払ったんだろう・・って。
人生がときめく片づけの魔法3
何てこの世は甘いのだろう。自分の部屋片づけただけでもう一人前のつもり。上司にタンカ切ってクビになっても次がある。やりがいのある仕事が!オペレーターの仕事心を込めてやろうとは思わないのか。失恋も後を引かない。ぐでんぐでんに酔っ払って、廊下にへたり込んでいる女性を見たら・・酔うとこうなっちゃうのか・・と普通は興ざめするはずだが、ならない。もう一歩先に進んじゃおうかな~となる。だったら汚部屋なんか気にならないのでは?片づけの最中に運悪く彼が訪ねてきて、後で弁解に行くんだけど、そういう性分は絶対に治らないと断言されちゃう。デートの時、グラスの底をハンカチで拭くシーンがあって、小田がきれい好きなのが暗示される。あの汚部屋を見て薫に興味なくすのもわかる。でも・・へべれけの薫に興味持つのはどうしても解せない。きれいになった部屋を見せて、私だって変われるのよ・・と言ってやるのかと思ったら・・小田はその後出て来ない。新しい自分ついでに、新しい恋人出現かと思えばそれもなし。生きがいを見つけたから、もう男なんていらないとでも?宗教くささを指摘する声も多い。まあ確かにものへの執着とか、やるべきことを先延ばしにし、自分を律しないで甘やかすのは戒められそう。のりまきさんがくり返し強調するのが、「片づけるということは、片をつけるということ」。覚悟を迫られているようで、そこが宗教くさいとも言える。さて、これを見ている人の多くは、片づけのテクニックも教えてもらえるんだろうなあと期待している。最初は衣類。床が見えないのはたいてい衣類が散乱しているせい。持っている服を全部ひとまとめに集め、残すか捨てるかを選択する。その基準が、ときめくか何も感じないか。部屋ごとに片づけるのではなく、ものごとにする。次に畳み方、縦置き、グラデーション。服の次は本。やはりすべて集め、選択する。その際、中を見てはいけない。書類は原則的に全捨て。まあこのあたりになると、すっ飛ばしている感じ。キッチン関係は素通りするが、今回はこれくらいにしておいて、次回ということだろう。メインの三人残しておいて、続編いくらでも作れそうという声も。のりまきさんに妙な過去くっつけ、何かありそうににおわせるのは、続編への目配せとしか思えない!
人生がときめく片づけの魔法4
それはともかく、衣類・本・書類まで来れば、流れがつかめ、一人でもできるようになる。食器・小物・思い出の品。ダンボールは引越しや輸送に使うもの。ものをしまい込むのに使ってはいけない。掃除と片づけは違う。アンシア・ターナーの本でも、まず片づけて、それから掃除になっていたな。散らかったままだと掃除はできない。でも・・何もかも作りつけになっていることが多い外国とは違い、日本だとタンスとか本棚とかボックス家具とか。私いつも思うんだけど、一番大変なのって家具を動かすこと。たいていの片づけ番組では引き出しの中とかきれいにするだけ。おいおいそのタンスの、本棚の、食器棚の後ろはどうなってる、ホコリもカビもないのかよ・・っていつも突っ込み入れたくなる。話を戻して・・続編が作られたら・・見ますよモチ。早くしないと次のカリスマ現われるよ。のりまきさん役は仲間由紀恵さん。垂らした髪や白い服はこんまりさんと共通だが、いつも日傘をさしているのはメリー・ポピンズを意識しているのか。目の演技が強調され、暗い過去もにおわされるが、余計なことだと思う。非常に現実的な精神の持ち主でありながら、見かけは浮世離れした魔法使いさん・・それでいいじゃん。薫役夏菜嬢は知らない人。朝ドラに出ていたらしい。足が長く、胸もあって、私なんかから見ると同じ人種かと思えるくらいスタイルがいい。途中、つっくんののりまきさんへの想いを白状させるシーンがあるが、目つきなど微妙で、なかなかうまいと思う。つっくん役速水もこみち君は、絵に描いたような草食系。背が高く、ハンサムで、大人しいけどしっかりしていて、仕事だけでなく家事も得意。同じ部屋にいても絶対に襲ってこない人畜無害人間(彼が襲われる心配はある?)。小田役福士誠治氏も知らない人。私とにかく邦画もドラマも見ないから。晴江役は倍賞美津子さん。私最初はあの兄妹のおばあちゃんかと思ってたけど、違った。息子の結婚が気に入らず、縁を切ったものの、さびしくてたまらない。片づけを機に、意地を張るのをやめ、おそるおそる息子を訪ねる。あのブローチは、さざんかの形をしていて、今彼の婿入り先の和菓子屋でも、さざんかの形をしたお菓子を作っている。はい、皆さん、ここでハンカチのご用意を。ええ、私ももちろんウルウル程度はしましたよ。それらを伝える晴江の手紙がうつるが、文字が美しいのがよかった。