ザ・マークスマン

ザ・マークスマン

「スナイプスの大運動会」ってことで、ウェズリー・スナイプスの新作アクション三連発。こんなことやってくれるのシネパトスくらいなものでしょう!去年も似たようなことやってて、スナイプス、セガール、ヴァン・ダム三連発。スナイプスはその時の「アウト・オブ・タイム」以来。よくある戦争アクションで、どうせすぐDVD化されるに決まってる。急いで見る必要なんか全然ないの。でもいちおうね、見とこうかな・・そんな感じ。お客は一回目は15人くらい、二回目は20人くらい。女性は私を含め二、三人てとこ。きっとスナイプスのファンだろう。私は別に大ファンてほどじゃない。わりと好き・・程度。出演者は彼以外は知らない人ばかり。出だしは何だかまのびした感じで、ありゃーこのまま行くのかな・・ってちょっと心配した。オープニングクレジットの部分が長すぎる。レーダーみたいなのがうつるのはいいとして、球体みたいなのもうつり、惑星に見える。まるでSF映画だ。それが延々と続く。いつになったら本編始まるのかな・・と、ここで早くもはずれムード。ついでにエンドクレジットの時も出演者一人一人紹介してくれる。それで顔と名前が一致して、何しろパンフレット売ってないので資料になるものがなく、その点はありがたかったのだが、これも長すぎ。どうでもいいような出演者までいちいち紹介していた。さてストーリーだが、どうってことない。特殊部隊・潜入・罠・裏切り・孤立・間一髪・ハッピーエンド。ところどころカットしてもいいような余計なシーンがある。いちおうスナイプス扮する主人公ペインターには過去くっつける。作戦ミスで民間人を多数死なせてしまった。彼自身の責任ではないのだが心に傷を負っている。審問を受けるが、担当のアマンダとワケありの関係になってしまったらしい。同情が愛情に・・ってことですかい?チームメンバーが最初一匹狼風ペインターを敬遠するのも、後で態度改めて協力するのもお約束の展開。目新しいものがなく、アメリカとロシアの駆け引きもつまらない。冒頭何やら作戦の真っ最中で騒いでいるけど、ウソっぽくてすぐ模擬訓練だとわかる。音楽はやたらうるさく、ストーリー理解の邪魔になる。気が散って仕方がない。とにかく序盤ははずれムードなのよ。ところが・・部隊がパラシュート降下してからはだんだんおもしろくなってくる。

ザ・マークスマン2

地べたで何やらやってる(戦車で壁壊すとか)だけじゃ地味で単調になるから、空母うつしたり戦闘機の発艦や着艦見せてサービスしてくれる。ロシアのミグ機との空中戦まであって、どことなく「ステルス」風味。あっちのスマートさ、スケールの大きさ、ダイナミックさはない。ただしCG感もない。つまりこっちのは、どんくさいけど本物っぽく見える。景色とか入って、おおちゃんと飛んでるぞ・・って。それはいいんだけど爆発するところは場面のつなぎ方が悪くて何が爆発したのかわかんない。ただボッカーン。その爆発にしてもしょぼいの。作り物バレバレだから映画が一気に安っぽく見えてしまう。せっかく本物の飛行機飛ばしているのに。一回目見てる時は、なぜロシア機が突然現われるのか不思議だった。二回目見ていて理由わかったけど。ペインター達の任務は、休止中の原子炉にターゲットを設置すること。設置すると味方機が飛び立ち、ターゲットをピンポイント爆撃するわけ。ところが原子炉の情報はニセモノで、実際は稼動しているから、爆撃すると放射能汚染が起きてしまう。すでにアメリカ機は飛び立っている。アメリカもロシアも上の連中はこの作戦が罠だって知らないか、あるいは信じようとしない。だから中間レベルでやりくりするわけ。つまりアメリカ機を止めるためにロシア機を出撃させる。でもロシア機はなぜアメリカ機を阻止しなければならないのか本当の理由は知らないし、アメリカ機も作戦を中止するはずがない。・・で、空中戦になってロシア機は撃墜されるのよ、ムダ死にもいいとこ。彼らにしろペインター達にしろ犠牲になるのはいつも先端で働いている連中なのだ。さて本来なら再び作戦ミスによる惨劇が起きるのか・・と、ペインターが苦悩するところだが、映画はすでにアクションモード全開なのでほったらかし。これじゃ何のために彼に過去・トラウマくっつけたのかわからん。ところでアメリカ機は地中海にいる空母からチェチェンに向けて飛び立つんだけど、最初は空母の艦長がごねるの。自分の部下が爆撃に行けばすむことだ・・とか言って。やってきたパイロットは陸軍で、自分は海軍。今回の作戦は陸軍の担当で、秘密作戦だからと詳しいこと教えてくれない。自分が除け者にされているのがおもしろくないわけ。で、一回目は現われたパイロット達がどうもうさんくさく見えるのよ。

ザ・マークスマン3

罠だの裏切りだのと盛んにやってるから、もしかしてこいつらもニセモノなのでは?・・ってね。でも・・二回目見てたら・・冒頭の模擬訓練でこの二人ちゃんと出ているじゃん!疑う必要ゼロなのよ。でもヘルメットや酸素マスクのせいで、冒頭のパイロットと空母に現われたパイロット同一人物だとわからなかったのよー。まあそれはいいとして艦長役の人、エンドクレジットでアンドリュー・スティーヴンスと出たからびっくりしたのよ。しかもこの映画の製作も彼。まああんまり知っている人いないと思うけど、テレビ版「チャーリーズ・エンジェル」のケイト・ジャクソンの年下の夫として一時ニュースになったのよ。もちろんすぐ離婚したけどね。それと彼の母親は「ポセイドン・アドべンチャー」などに出ているステラ・スティーヴンスなのよ。彼は俳優より製作・製作総指揮として活躍しているようだけど、手がけた作品がものすごいの。「バトルフィールド・アース」「スコーピオン」「バリスティック」「ドリヴン」「サウンド・オブ・サンダー」・・もう超ワケアリ(大コケとも言う)作品ばっか。艦長がごねるとこなんかなくてもいいシーンで、立場利用して自分の見せ場入れちゃいましたムード。悪役ザイザンのダン・バダルーは何となくマーロン・ブランドに似ている。腹心フリントフ役のサージ・ソリックがまた顔つきと言いキャラと言い魅力的で・・。この二人はあれこれやるわけでもないし、最後はかなりオバカなんだけど、いろいろ出てくる軍や政府の高官達(特にロシアのイワノフなんて最悪。ぶすっとしてるだけで何にもしない)よりよっぽどマシでした。アマンダ役エマ・サムズは、ぱっとしない顔立ちで年もくってる。でもていねいにお化粧してそこそこきれいに見せている。声もソフトで感じがいい。最初はペインター、何でこんなオバハンと?・・なんて思ったけど、罠にかかってピンチの時、ただ一人信頼できるのが彼女なのよ。気まずい別れ方したけど、いざとなると頼れるのはアマンダなの。他の者信用できなくても彼女だけは別。何しろペインターの心の傷理解してるの彼女だけなんだもん。アマンダもペインター信じる。そこがよかった。最後はハッピーエンド。どんな出来でも最後までつき合うよ・・と、お情けムードで見ていたけど、途中からはハラハラドキドキのアクション映画になって、まあ楽しめましたよ。スナイプスはよく動いていたし。