シャーロック・ホームズVSモンスター

シャーロック・ホームズVSモンスター

「午後のロードショー」でやったのを今頃になって見た。この番組を見られなくなったのは残念だが、録画してそのままというのもまだたくさんあるので、もうしばらくは楽しめそう。2010年製作ということは、テレビの「シャーロック」の前だ。ロバート・ダウニー・ジュニアのホームズ版人気にあやかったのか。1940年のロンドンでは、ドイツ軍の空襲が始まっている。夜・・帰ろうとした若い女性(助手?付き添い?)に、老人が記録を頼む。長い話に決まってるから嫌がりそうなものだが、彼女は快く引き受ける。この老人はワトソンで、ホームズはすでに亡くなっているようだ。今まで公にしなかったエピソード。発端は1882年、イギリス海峡で起こったコロネット号の遭難。たった一人の生存者は怪物が襲ったと主張。この船はジャマイカあたりの税金を積んでいたらしい。怪物はタコのような感じ。次にロンドンの場末・・娼婦街で一人の若者が犠牲になる。こちらはモロ恐竜。ホームズはワトソンを連れて、レストラード警部と共に船が流れ着いた場所へ。ワトソンが切り立った絶壁を細いロープを頼りに降りるのだが、一時停止にしてよく見ても船がどこにあるのかわからない。次の森の中で恐竜に出くわすシーンもそうだが、見せ方がへたである。崖にしろ森にしろ長すぎる。どうでもいいことを引っ張る。怪物に襲われる船での騒ぎは、船が揺れているのではなく、カメラを揺らしているのがばればれ。いやもちろんこういうシーンではセットを動かすよりカメラ揺らした方が楽なのはわかるけど・・あまりはっきりわかるのもねえ。娼婦街の件にしても、若者の描写は変。女を初めて買いに来たという設定らしいが、そういうふうには見えない。何か別の特別な用事があって・・例えば人捜しとか・・来たのに、女を買いに来たと勘違いされてるように見える。こんな意味ありげな描写する必要ないのに。音楽は全体的にうるさい。効果的と言うよりはうるさい。メロディーそのものは悪くないが、それにしたってうるさい。邪魔なのである。一番まずいのは、ホームズに魅力がないこと。致命的。でももしかしたら主人公はワトソン?ワトソン役はギャレス・デヴィッド=ロイド。年老いたワトソンは別の人がやってるようだ。

シャーロック・ホームズVSモンスター2

ロイドは知らない人だが、「秘密情報部 トーチウッド」とかいうテレビシリーズに出ていたらしい。1981年生まれだとするとこの映画では20代後半。ややぽっちゃりしたピーター・サースガードと言ったところ。美形とまではいかないが、なかなか好感の持てる顔立ち。健康的でゆったりした雰囲気。ホームズ役はベン・サンダー。知らない人・・と言うか、この映画知ってる人は一人もなし。小柄でシワがあり、貧相。ゲジゲジ眉が気になる。某サイトには32歳とあるから、この作品の時はロイドと同じく20代後半のはず。でもとてもそうは見えない。老けてる。オッサン。長めの髪を後ろへなでつけているが、てっぺんあたりは薄くなっていそう。背が高く、頑丈そうというのがホームズのイメージなのに。着ているものにしても、いつも上着の前が開いていて、白いシャツが見える。こういうくだけた感じは、室内ならともかく、外を歩く時にはねえ。ホームズはもっと颯爽としているはずだが。仕事中のワトソンを呼び出して崖のところで危ない目に会わせるが、収穫なしとなるとさっさとロンドンへ戻る。人にばかりやらせて自分では何もしないし、調べ方が浅すぎる。ベイカー街での住居にはハドソン夫人がいて、朝食のシーンもある。ジェレミー・ブレット版で、クロスのかかった四角いテーブル、りっぱな食器を見慣れているせいか、こちらのは何ともせせこましい。小さな丸いテーブル、クロスはかかっていない。向き合って座るとホームズとワトソンの膝がくっつきそう。部屋が狭いわけでもないのに・・。でもこういうところが他のホームズ物とは違っていて、よかったりする。でも・・やっぱりホームズ役にはもっと美形で、背の高い、颯爽とした人を出してきて欲しかった。こういうキワモノ的映画なら、そういうことでもない限り見る人の興味引かないでしょ。さて、ワトソンのところへ薬を求めてソープという男と、その姪だというアイボリーが来る。女性に弱いワトソンは早速アイボリーに声をかけるが、ホームズからの呼び出しでおじゃんに。でもこのアイボリー・・後で正体がわかるけど、食事とかするの?ソープは後でホームズの兄だとわかるけど、マイクロフトだと思っているとアレレとなる。

シャーロック・ホームズVSモンスター3

ホームズとレストラードの会話で、負傷し、疎遠になってるとか言ってるけど、その時は何のことやらわからない。ホームズは生まれ故郷だというヘルズマウスへ。そこの城へ忍び込み、ガスを送り込まれるが逃げ、恐竜やタコを見、兄に会い。ソープはワトソンのところへ来た時とはうってかわって・・全身マヒのはずが超人に。ここらへん何の科学的説明も根拠もなしに話が進むので、何が何やらわからない。と言うか、見ている方もどうでもいいと思ってる。場違いなホームズが出てきた時点で、期待も何もなくなってる。誤解のないよう言っとくけど、演技がへたということではない。まあちゃんとやってる。でも・・ちょこまかしていてロベルト・ベニーニとか・・見た目はあんな感じで。で、何が何して何とやら・・すべては復讐のためでしたと。コロネット号を襲ったのは金目当てだけど。ソープも警官だったけど、ある現場で撃たれて全身マヒに。で、それを相棒のレストラードの仕業と思い込む。背後から撃ちやがってあの野郎許せん。動けなくなった自分にまわりは冷たい。あんなに尽くしたのに。事件を解決するのはホームズなのに、レストラードはその手柄を自分のものにして出世していきよる、許せん!全身マヒが治ったことや、恐竜やらドラゴンやら気球ヘリなどを作り出す驚異的な科学力がありながら、頭の中はレストラードや世間への恨みだけ。う~んそれにしても大量のゴムと、公園の噴水用ポンプで、あんなもの作れちゃうんでしょうか?永遠の(解かなくてもいい)謎です。ソープはアイボリーに爆弾を付け、バッキンガム宮殿へと送り出す。自分はドラゴンに乗って空からロンドンを襲う。でもここで思いませんでした?皆さん。ドラゴンから直接爆弾落とす方がよっぽど簡単で確実じゃん!てね。アイボリーは汽車に乗ってロンドンへ。ワトソンは馬で追いかける。ソープは空をひとっ飛び。ここらへんは距離関係がさっぱりわかりません。衛兵は相手が女性とあって、なかなか手が出せない。で、みんなやられちゃうのは後味が悪い。ここでも見せ方がへた。宮殿の門に近づくアイボリーと、空での攻防が交互に描かれるが、アイボリーはいつまでたっても門に近づかない。いったい何百メートル先から警告してるんだ?って感じ。

シャーロック・ホームズVSモンスター4

追いついたワトソンは、アイボリーを撃つが、反対にやられてしまう。何で「その女は爆弾を持っている!止めろ!殺せ!」とか叫ばないのかね。だから衛兵達がやられちゃうんじゃん。ここでよかったのは、爆発の直前にワトソンがアイボリーの首のあたりを刺して動きを止めること。目が赤く光って止まるんだけど、実を言うと私はこの時まで彼女がロボット(?)だとは知らなくて。妙なところはあるけど、人間だと思っていて。だってソープと彼女は愛し合っているみたいな感じだったし。ソープのためなら人間爆弾になるのもいとわないって感じで。だから目が赤くなったときにはびっくりした。まあよく見れば爆弾をセットするシーンでわかるのかも。ところで、あのまま爆破に成功しても壊れるのは門だけで、宮殿は何ともないのでは?気球ヘリのしょぼさはすごい。もう笑っちゃうしかない。妙なのが気球の上とカゴの下で回っていて、どう見たって”イカの一夜干し”。よく賽の神で子供が笹竹に吊るしたイカをあぶるけど、そんな感じ。ドラゴンは火を吐いてるし、いい匂いがしてきそう・・あはは。ところでホームズは何で気球ヘリの操縦ができたのかな?ワトソンを救うために兄を撃ち殺したホームズ。彼が人を殺したのは後にも先にもこの時だけ。その後ソープを撃ったのはレストラードではなかったことがわかる。ソープの体から摘出された弾は、レストラードが使っていた銃のものではなかった。ソープさんよ、人を恨む前によく調べろよッ!あんたそれでも優秀な警部かよッ!・・すべてを話し終えたワトソンは、眠るように死んでいて。後日、彼の墓参りに来た女性(いい人だ)。ふと見ると、近くの墓の前に妙な女性が。それはアイボリー・・墓はT・ホームズ・・つまりソープのもの。アイボリーを修理したのは誰?と言うか、ワトソンの横かソープの横にはホームズの墓があるはずだが、何で出てこない?アイボリーの再登場は不気味でよかったけど、気になるのはこっちの方。あッそうか、ワトソンとホームズは同じ墓の中に・・って、そんなわけないだろッ!