将軍の娘 エリザべス・キャンベル

将軍の娘 エリザベス・キャンベル

ここは小さいけどわりと見やすい。特に一番後ろの席は最高。あと音が非常によい。お客は20~30人くらいか。内容は恋人どうしで行くと後悔すること請合いだ。特に男性は居心地が悪い。「シックス・センス」にしときゃよかったな・・なんて。私の目当てはジョン・トラボルタ。彼は今や油が乗り切っている。この場合演技と体の両方に。もう怖いものなしでぐんぐん突き進む仕事の鬼。それでいてちゃめっけがあって、味方も多いが敵も多いというタイプ。こういうのやらせたらもうピカイチ。体の方は大丈夫なの?と言いたくなるくらい、ふくれ上がっている。エリザベスに車を直してもらった御礼に・・とプレゼントを持って歩いてくるシーンでは、服がはち切れそう。肉が詰まっているという感じなのだ。ちょっと心配になった。ファウラー大佐はクラレンス・ウィリアムズ3世だ。見たことはないがテレビの「モッズ特捜隊」に出ていた人。名前が変わっているから、すぐあの人だとわかる。「海の上のピアニスト」にも出ている。この人を見るとサイモン・オークランドをなぜか思い出してしまう。さて推理物にしては犯人はすぐに見当がついてしまう。エリザベスの家を捜索中ポールが襲われるのだが、サラとポールがここにいるのを知っているのはケント大佐だけだからだ。ポールがそれに全く気づかないのはおかしいが、ケントはMPだからまさか犯人とは思いつかないとは言える。今神奈川県警の不祥事が世間を騒がせている。ちょうど同じような内容の映画だ。犯人かと思われたムーアを演じるジェームズ・ウッズは、声と言うかしゃべり方が甘ったるくてしたたるようなので、気持ちが悪い。きりっとしたところがなく、ポールが家に行くとムーアは忙しく食事を作っているところ。妙に手のこんだ食事を作っていて何かちぐはぐなものを感じさせるが、その理由は後ではっきりする。ポールには全く理解できない部分なので、かえって真相が見えてくるというのがおもしろい。最初の方では別の事件を手がけている。家を出る時に、留守中に誰か来たらわかるように入口に仕かけをしたり、侵入者があるとわかるように鳴子(スプーンやフォークを吊り下げて作ったもの)があったり。ボートに寝泊まりしているのだが、海の中に銃が隠してあったりと、”命知らず”のカゲにはこんな用意周到ぶりもあるのだとわかって、見ていて楽しい。

将軍の娘 エリザベス・キャンベル2

寝ている時にじっとりと汗をかいているのもいい。仕事で、ある人物になりすましているから、クーラーもない暑苦しいボートで暮らしているわけだ。さて事件が起こって、ポールはサラと組むことになる。昔は恋人どうしだったというのはよくあるパターンで、再会すると決まって男の方が昔のように・・と迫り、女がはねつける。「アパッチ」もそうだった。今回もそうだが、トラボルタは本当にうまくて憎めない。サラの方も(映画では決まってそうだが)、心のどこかではまだポールが好きなので、口では何だかんだ言いながらも、だんだんポールに引かれていく。この映画は、ロマンスの再燃なんていうのは描かず、二人が協力して事件を解決していくという方法を取ったのがよかった。仕事をしながら、その仕事っぷりを見て相手を見直していくというところが気に入った。エリザベス役の人もよかった。最後に子供の頃からの写真が出るが、溌剌として一点のくもりもない希望に満ちた顔。赤ん坊の頃のみっともない顔・・それが成長して知性と健康に光り輝く今の顔となる。しかしその顔の裏には悲劇的な過去と、癒されることのない苦悩が渦を巻いているのだ。しかも父親であるキャンベル将軍には、全く理解がされない。ポールは、尊敬していた将軍の本当の姿を知り、彼に痛烈な批判を浴びせる。副大統領選に出る気だった将軍は、ポールが事実を報告したため裁判にかけられ有罪となる。まあここらへんはなくてもよかったのに・・とは思う。余計な付け足しという感じ。・・これを書いたのは1999年の11月。その頃のチネチッタは今とは別の建物で、入れ替え制でもなかったから、二回見ることができた。読み返すと神奈川県警のことって何だ?・・となる。覚えてない。原作はすぐ買って読んだ。ポールの一人称で書かれ、何度か読み返したほどおもしろい。この頃はウッズのことはよく知らず、ティム・ロスとよく混同していた。注目するようになったのは、この後しばらくたってWOWOWで「ヴァンパイア/最期の聖戦」を見てからである。あっちも1999年で、さすがはウッズ、全く別のキャラを演じ分けている。こちらのムーアは、上にも書いたように何となく気持ちの悪いキャラ。

将軍の娘 エリザベス・キャンベル3

でも自宅でいそいそ料理していて、無断で入ってきたポールを見てびっくりするところとか、逮捕された後、鉄格子を手でたらーっとなでるところとか、うまいんだよな。原作のムーアは、ポールから見ると虫が好かないタイプ。でも私から見ると、ちょっと変わり者で、まわりから浮いてるけど、腹黒いわけでもない。ポールにいじめられるのは(←?)気の毒ですらある。原作より映画の方が「よく」描かれている。彼がゲイだとか、自殺に見せかけて殺されるとかいうのは映画だけで、原作にはなし。恋人(?)の弁護士(彼のために料理していたのだ、いじらしい)役の人は、「フライトプラン」でヒロインの夫をやっていた。原作にはないと言えば、ポールとエリザベスが出会うシーンもそう。実際はポールは生きている彼女には会っていないのだ。でもそれだと印象が薄くなってしまうから、あえて出会いのシーンを作ったのだろう。さて映画の評価はあまりよくない。それなりの出演者揃えてるわりにはキャラが薄っぺらだし、内容に盛り上がりがない。エリザベスの不幸な境遇が描き切れていない。演じているレスリー・ステファンソンは適役だし、奮闘している。何のためにいるのかわからないサラ(マデリーン・ストウ)よりはずっと心に残る。それでも何か物足りない。まあ題材が題材だけに、あまり正面から正視できないってのもあるけど。ステファンソンは「アンブレイカブル」「ハンテッド」「アライバル ファイナル・コンタクト」などに出ていて、将来有望という感じだったけど、もう女優業はやめたのかな。もし専業主婦ならどうかジェームズ・スペイダーやせさせて、昔のような体形に戻してください!あなたならできる!今からあれじゃあスペイダーの未来はぁ~!体形と言えばトラボルタもなあ。ハラデルタ、タベスギタ、クイスギタだもんなあ。でもいつ見てもかわいいな。「団塊ボーイズ」のDVDの特典で、寝るシーンでホントに寝ちゃっていて。その寝顔がッ!かっわゆい~ん!「将軍の娘」のDVDの監督コメンタリーによれば、ジョン・フランケンハイマーがちょこっと出てるそうで・・わかりました?他にケント役がティモシー・ハットン、将軍がジェームズ・クロムウェル。あとこの映画で使われてる何となく風変わりな曲は、30年代40年代の古いレコードらしい。こういうの聞くとヴードゥー教をテーマにしたホラー映画見てるような気がする。