ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム
ヴァン・ダムの映画を見るのはずいぶん久しぶりだ。放映されても録画してそのまんま。セガールのもそうだけど。膨張しまくっているセガールに比べ、ヴァン・ダムは体形を維持している。偉いな。顔の方はギスギスした感じになっていて、今回のキャラにはそれが合ってる。冒頭、ルーマニアのブカレストで結婚式が挙げられている。途中でウエイターに扮した殺し屋が、花嫁の父を鮮やかな手口で殺す。この殺し屋がヴァン・ダム扮するブラジル。この後舞台はブカレストのままなのかしら。よくわからん。インターポールの連中が三人出てくるが、一人は事務総長。犯罪者を消すのに殺し屋を使ったのがばれたとか何とか。その殺し屋の一人がフリントか?彼は押収した武器を売って、そのまま姿を消したらしい。その金は裏金らしいから、三人はポッポに入れるつもりだったのか。彼らがあせっているのは調査が入りそうだからか。フリントがいるのはウクライナのカルパチア山脈(のどこか)。昏睡状態の妻アンナと二人、隠れ住んでいる。アンナをこんな目にあわせたのがポロ。フリントの目の前でレイプし、さんざん殴打。そのわりにはアンナには傷がないけど。インターポールの連中は、ポロを釈放すれば、フリントが嗅ぎつけて姿を現わすにちがいないと。フリントに話持ってきたのが友人のカリー。このカリーの仕事は仲介屋か何か?明らかに罠だからフリントは断るが、思い直して連絡を取ると、もう他へ流れたと。つまりブラジルの方に。ブラジルがいつも使っている仲介屋はナルバンディアン。そのナルバンディアンにはインターポールのシェルから情報が入ってくる。ん~てことはフリントが受けようが受けまいがポロの暗殺にはインターポールから報酬が支払われると?そのお金どこから出すのかな。どうもつじつまが合ってないような気もするけど、そんなこと考えちゃいけないんだろうな。フリントとブラジルがこうして出会うことになったのであるぞよとワクワクしながら見てなきゃいけないんだろう。フリントは報酬なんかどうでもいい。アンナの仇を討つことができるなら。一方ブラジルはフリントのことは知らない。
ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム2
フリント役はスコット・アドキンス。「ガンズ・アンド・ストレンジャー」に出ていたアンチャンか。ヴァン・ダムに比べれば若いから、体もよく動く。でもねえ・・サムシングがないんですわ。キャラに厚みがない。そりゃ若い頃のヴァン・ダムにもなかったけど。年齢を重ねると、失うものもあるけど、得るものもあるのだ。この映画の批評読むと、ヴァン・ダムは加藤茶にしか見えないとか、アホにしか見えないとか書いてる人がいる。私とはだいぶ感じ方が違うのだなあ・・と思う。一仕事終えたブラジルがアパートへ帰ってくる。外観は薄汚れていて、中はひと昔前の病院みたいな感じ。部屋の中は簡素で、あまりモノがない。でも洗面所から秘密のドアを通って行くと、そこには広々としたモダンで清潔な空間が・・。見ている人は何じゃこりゃ・・と驚く。外観からワンフロアの広さはわかっている。だからどんなに隠したって通常の部屋以外の部分があるのはわかる。それに隠し部屋と言っても窓はあるし。別にこんなスペース見せる必要ないと思うんだけど。ピアノがあって、ヴァイオリンもいくつか並んでいる。殺し屋だけど高尚な趣味?きゃは~ッ、ヴァン・ダムには合わないってば!しかも・・ヴァイオリンの練習し始めた~やめてくれ~似合わん!何もかも古ぼけているけど清潔できちんとした部屋・・それでいいじゃないか!ところでブラジルは亀を飼っている。でもさわると頭を引っ込めちゃう。ブラジルは亀と仲良くしたいのに。どうしたら慣れてくれるのか。腕を組んでため息をつく。こういう何気ないシーンがいい。この映画でのヴァン・ダムは何気ないシーンがいいのだ。見る方はどうしても華麗なアクション期待するから、何気ないだろうが何気あるだろうが、そんなのどうだっていい。だからアクションの少なさに失望する。でも私は・・そりゃ彼のアクション見たいけど・・それでも別の面に目が行ってしまう。ギスギスしてとげとげしくなった、深いシワの刻まれたヴァン・ダムの顔。寡黙で孤独をまとった姿・・。まるで「サムライ」のアラン・ドロンのようではないか。いや、ブッヒャーとか噴き出さないでくださいな。こちとら真面目に、正直に感じたことを書いているんですから。短く短く切った髪、ヒゲはなし。余計なものは何もなし。
ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム3
彼の過去は不明。人との触れ合いはなし。報酬はいつもダイヤで、彼はそれを金庫に入れている。もう十分たまったはずだ。でも引退は考えていない。今のままがいい。その彼の人生に踏み込んできた一人がフリント。結局ポロ暗殺は失敗。死んだのはポロの弟。インターポールも、せっかく現われたフリントを取り逃がす。この後はあれこれと複雑になる。ブラジルはフリントと組むはめになる。気に食わないけど仕方がない。ブラジルは、弟の仇・・と、ポロに狙われるはめになる。防犯カメラの映像が、ブラジルの姿をばっちりとらえていた。・・と言うか、こんなドンピシャな写真とれるわけないと思うが・・まあいいか。インターポールはポロと組むことにする。目的のためなら手段を選ばない。何しろ事務総長はいざとなったらゴッドフリーとシェルに罪を着せ、刑務所に送り込むつもりだ。そうなるくらいだったら二人して事務総長の悪事暴けばいいのにねえ。さて今度はフリントを罠にかけるため、ブラジルは利用される。ああなってこうなって・・忙しいこっちゃ。もう一人ブラジルの人生に踏み込んできたのが娼婦のオクトーバー。アパートの隣りに引越してきたテリーは、売春組織のボスらしい。フロア全部を手に入れたいらしいが、ブラジルは断る。で、このテリーは粗暴なやつで、オクトーバーに暴力をふるう。悲鳴のせいで、おちおちヴァイオリンの練習もしていられない。ブラジルは関わり合いたくないけど、部屋を閉め出されたオクトーバーは行き場所がない。で、しぶしぶ自分の部屋に。で、こういう女は何もさわるなと言われたってウロウロするに決まってる。やすやすと隠し部屋見つけてベッドで寝込んじゃう。ブラジルは早く追い出したいけどなかなかそうもいかない。亀の扱い方教えてもらったりして、ひとときの和やかシーン。こういう女性はぬれ落ち葉のように、男にべったりと張りつく。それ以外に生きるすべを知らないからだが、そうやってぐずぐずしていたせいで・・。たいていの映画なら、彼女が窮地に陥れば主人公は助けに行く。たとえそれが自分にピンチを招くとしてもだ。しかしブラジルは無視する。もちろん心の中では動揺しているが、それでもだ。
ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム4
彼がアパートへ帰ると、中はメチャクチャに荒らされ、オクトーバーは惨殺されている。でも・・冷たいようだが半分は彼女が招いた運命だ。さっさとテリーの元へ戻っていれば、暴力は受けるとしても惨殺されることはなかった。居心地がいいせいで、ついつい居ついちゃった。ブラジルなら今の境遇から自分を救い出してくれると思った。その気持ちはわかるけどね。テリーの残忍な性格は一番よく知っているはず。厳重に鍵をかけ、天井裏に隠れてるとか、少しは用心しなきゃだめじゃん!ヒロインだけでなく他にも次々死人が出る。たいていの映画ならゴッドフリーはともかく、若いシェルの方は・・。汚い仕事に嫌気がさして、途中で味方になるとかしてもいいと思うんだけど。それにシェル役はクリストファー・ヴァン・ヴァレンバーグ。つまりヴァン・ダムの息子だ。「ディレイルド 暴走超特急」のかわいい少年がまあ大きくなって・・悪に染まって・・って違うがな!まあとにかくみんなあっさり死んじゃう。さっぱりしたものだ。それにしても何でポロはアパートで待ち伏せしてないのかな。必ず帰ってくるってわかってるのに。さて、舞台はカルパチア山脈の方に移る。アンナに魔の手が迫る。それにしてもアンナはまばたきしないけど、目が乾くんじゃないの?ここで活躍するのが自動で動く銃。「ジャッカル」に出てきた銃みたいで迫力あったな。でもどう見てもアンナに当たりそうで危険すぎるけど。それが終わるとまた戻って事務総長とテリーの始末。ラスト・・本格的なアンナの治療に乗り出したフリント。でも・・無理だと思うけどなあ。ブラジルの方は教会へ。死んだらローソクをともして欲しいというオクトーバーのささやかな願いをかなえる。フリントとは違い、彼はこれからも仕事を続けていくのだろう。彼が死んだ時、ローソクをともして偲んでくれる人はいるのか・・。てなわけでよかったですよこの映画。ヴァン・ダムの演技力に感心する日が来るなんて予想していなかったけど、とにかくいいんですよ。フリントの方が劇的な背景くっつけられているけど、心に響くのはブラジルの方。アクション映画としてはやや物足りないけど、それを補ってあまりあるものをヴァン・ダムは見せてくれた。全体的に色調は茶色っぽい。「沈黙の激突」みたいな感じ。ルーマニアが舞台だと決まってこういう色調になるな。