新・悪魔の棲む家
今回はアンシア・ターナーの「パーフェクトな妻たち」風に行ってみたいと思います。イギリスのサリー州に住む完璧な主婦アンシア。DVDは外に出しっぱなしにしておくものではないのよ、しまいましょう。あら、このDVD・・字幕がついてないわ。音声は英語か日本語・・字幕なしって・・その上吹き替えよく聞こえないわ、だめじゃないのこれじゃあ~。それでいて値段は高いのよ。日本では未公開で、本来の「悪魔の棲む家」シリーズとは無関係よ。製作もこっちの方が先。まぎらわしいわね。でも出してくれてありがとうだわよ。テレビではやってくれそうにないし、ビデオも出てないみたいなんだもの。あ、見終わったらちゃんと棚に戻してね。出しっぱなしはだめ。ベッドのまわりに積み上げておくのもだめよ。夜になって気分が盛り上がった時パートナーにこう言って誘うわけ?二人で一緒にビデオ見ないかい?って。私の家の地下にはビデオルームがあって、ダメ主婦、ダメ主夫達に大画面で自分の家の実態見せるのよ。彼らはたいてい打ちのめされるわ。他人の目で見ると違うのよ。で、視線をちょっと動かすと、棚にきちんとパーフェクトに収納されたDVDが見えるわよ。寝室は明日への活力を養う大事な場所、家の中でパートナーと二人きりになれる憩いの場所でもあるわ。そこに衣類やビデオが散らかっててごらんなさい、くつろげるわけないわ。さて冒頭・・一人の男性・・きっと管理人ね。大きな屋敷でなかなかステキじゃないの。作りは古いけどしっかりしてるわ。あらッ、何この人お酒飲んでるわ。昼間だし仕事中よ。服装もだらしないわ。こういう人は即刻クビね!中は・・何これ~信じられない~クモの巣だらけじゃないの。私クモの巣って大っ嫌い、がまんできないわ、すぐにでも取りかかりなさいッ!それなのにこの管理人たら、ぶつぶつ文句言うばかりでちっとも手が動いていないわ。ここの管理任されてもう何年もたつんでしょ?裏には管理人用の住居まであるっていうじゃないの。それなのに館の中はクモの巣だらけで、掃除した形跡なし。私の見るところ、ざっと見回って、入口だけちょこちょこっとやって、残りの時間は酒ビン抱えてどこかで昼寝して。暗くなるといかにも一日中仕事してましたってふう装って帰るんだわ。
新・悪魔の棲む家2
あの手つき見てよ、掃除にも何にもなってないじゃないの。床に紙がいっぱい落ちているのに拾いもせずにいるわ。家事は会社経営と同じ。システムが大事なの。持ってる道具見ただけで、段取りも何も考えていないことがわかる。紙を掃き集めようっていうの?ゴミ袋すら用意してないわ、前からここに落ちてるってわかってるのに。昼寝することとお酒飲むことと夜テレビを見ることしか考えてないから、掃除もうわのそら。変な音が聞こえてくるとすぐそっちの方へ行っちゃう。掃除の前には換気でしょ。まず窓を開ける。一度に全部やろうとしないで、一日に一部屋ずつやればいいのよ。ただし台所とトイレは毎日!トイレはまずまわりをやって、それから便器の順よ。ペーパーはちゃんと折りたたんでね!それと洗面台を拭く雑巾とは必ず別にすること!色違いにすれば間違わないわ。さて、管理人は音のする方へ・・地下室へ・・そこでなぜか丸焼けになって出番終了。バーベキューをする時は最初から焼いちゃだめ。こげちゃうでしょ。炎が消えてから・・炭になってから焼き始めるのよ。魚はラヴェンダー、肉はローズマリーを加えるといい香りになるわ。この場合は・・管理人の場合は肉だからローズマリーね!場面は変わって、不動産屋に連れられ、この館の見学に来る夫婦。夫アーノルド(リチャード・クレンナ)は、ここを麻薬リハビリセンターにしようと考えてる。妻キャロライン(ジョアンナ・ぺティット)も医師。不動産屋デッカー役ミルトン・セルツァーはどこかで見た顔。クレンナは「ランボー」シリーズ、ぺティットは「将軍たちの夜」に出ていたわね。けっこうちゃんとしたキャストじゃない。デッカーはうまいことばっか言ってて、でもアーノルドはそういうの関係なしにここが気に入って、すっかりその気。おもやだけで200室もあるから、病室にちょうどいい。屋上からはすばらしい眺め・・経過が良好な患者のためのいい休憩所になるわ。館のまわりは広々としているし、町から離れているから静か。館正面には妙な彫像があって、中にも同じようなのが。着いた早々キャロラインは彫像が動いてこっち見たのでびっくり。他に白いユーレイみたいなのもいるわ。後でわかるけど、ユーレイはキャロラインにしか見えない。それと言うのも彼女は神を信じているから。首から十字架下げてるし。それに対しアーノルドの方は無神論者。
新・悪魔の棲む家3
話を少し戻して、デッカーは管理人がいないのをいぶかるけど、あんまり気にしてない。ここが療養所になったらクビにしてもらっていっこうにかまわない。館が建てられたのは南北戦争の頃。バーガスという人で、30歳ほどで亡くなったとか。その後女性用の音楽学校に。大広間もあって、ここも何かに使えそう。音楽学校の後は長らく空き家。あちこち・・電気とか直さなければならないけど、とにかくアーノルドは気に入って。空き家期間が長いことについてはとかく悪いうわさがあって・・。たぶんうわさの大部分は管理人がまき散らしたに違いないわ。お酒の補給に町へ降りるでしょ、そのついでにあることないことべらべらしゃべるのよ。不動産屋は商売第一だから何でもないとしきりに言うけど、私に言わせればうわさとか評判というのは、あなどれないものなのよ。大部分は管理人のホラでしょうけど、中には真実もまじってる。きちんと情報仕入れてチェックしないとね。キャロラインはあんまり乗り気じゃないんだけど、すっかりその気の夫見てるとむげに反対もできない。ユーレイとか彫像がこっち見たなんてのは自分の気のせいかも・・。今ならネットでいくらでも検索できるけど当時は無理ね。ところでキャロラインのファッション・・パンタロンにかかとの高い靴よ、時代を感じるわねえ。でもまさか今現在パンタロンなんか持ってる人いないでしょうね。一年着なかったものは即処分。リサイクルかチャリティショップ行きよ。ゴミ袋を二つ用意して分けるの。あ、それからクローゼットの整理には必ず木のハンガーを使うこと。針金やプラスチックは論外よ。タオルのたたみ方は折り目が外に出ないように・・持ってみて、これなら形が崩れないでしょ?Tシャツのたたみ方はこうつまんで・・日本で習ったのよ、風の術!場面は変わって大学での授業。物理学の教授レイモンド(アンドリュー・プライン)は、アーノルドの手伝いをするつもり。夏休みに入るし、教え子のローリーと一緒に過ごせる。あらまあ・・学生と仲良くねえ・・いかにもプラインらしい役どころ!館の掃除や改装にはかなり手間取りそうだけど、幸い学生ボランティアはいっぱいいるわ、単位目当てのがね。
新・悪魔の棲む家4
集まったのは他にピート、フェリシア、マリー、それと配線等をするドワイト。一人は専門家がいなくちゃね。アーノルドとキャロラインを加えて全部で八人。あとマリーの愛犬タイガー。こういうののお約束として一人一人死んでいって、最後助かるのは二人か三人てとこね。今回は二人。みんなが到着して、さあこれから仕事となるわけだけど、ここでもみんな真剣味が足りないわね。掃除をしようってのにそれらしき道具持ってないし、エプロンも手袋もマスクも・・何もないわ。いくら映画でも手抜きもいいとこよ。電気が十分じゃないのがとっても残念。だって私の大好きな掃除機が使えないんだもの。水はどうなってるの?トイレの点検もしてないわ。宝塚の男役や「パタリロ」のバンコランならトイレには行かないけど、一般人は行くはずでしょ?みんな何となく動き回ってるだけ。どうせ恐怖演技して、死ぬだけだからここをきれいにしたって仕方ないって思ってるんでしょう。でも!大間違いよ!「新・悪魔の棲む家」・・家・・ハウスと来れば火事!・・じゃない、家事!中でもお掃除よ!原題は「ジ・エヴィル」・・悪魔ってことね。でも私に言わせれば落ちているゴミ、窓の曇りや汚れ、雑草、クモの巣、ほこり、それらこそが悪魔よ!こんなのため込んでるから悪魔が悪さするのよ。ピカピカに磨かれ、整理整頓された、現在使っているものだけしかない家には、悪魔が隠れる場所なんてないの!まず用意するのははたきとほうき。ここみたいにほこりだらけの場所をやる場合はマスクが必要だけど、ない場合はパンティを使ってね。頭からかぶるのよ。もちろん洗ってあるものよ!それからバケツに水を汲んで、その中にお酢を適量加える。合成洗剤はなるべく使わないでね。お酢をそのまま使うのもだめよ。木が変色しちゃうわ。窓を開けて換気、はたき、ほうき、軽く湿らせた雑巾・・この順番よ。乾いた雑巾はほこりを移動させるだけだからだめよ。いつもならゴミ用コンテナ用意してがらくたを放り込むとこだけど、ここは幸い家具はほとんどないし、コンテナの必要はなしね。ああ!コンテナって大好き!いっぱいになってるのを見ることほど楽しいものはないわ!だって考えてもみてよ。今あるもののうちで四分の一は使ってない、これからも使う当てのないがらくたのはずよ。迷ってないで捨てちゃいなさいッ!
新・悪魔の棲む家5
キャロラインはウロウロしているうちに(本当は先頭に立って掃除しなきゃならないのに!)、日記のようなものを見つける。ほとんど白紙で、たまにわけのわからないこと書いてある。バーガスって変な人ね。普通こういうのって1ページ目から順に書いていくはずでしょ。サイズも大きすぎるし、第一何で出しっぱなしになってるの?ああもうみんな・・仕事やってるんだかいないんだか。中ではドワイトさんはマシな方ね。彼だけはちゃんと仕事しそう。やること心得てる。こういう人は泊まったりせず、日が暮れたら自宅へ戻ると思うけど。戻れば死ななくてすんだのに。さて、そうこうするうちに犬の様子がおかしくなって。窓やドアがみんな閉まって、外へ出られなくなっちゃって。閉じ込められちゃって。嵐が近づき、雨が降り、雷が鳴る。こういう時は一つの場所に固まって静かにしていた方がいいのよ。夜は何をやってもろくな結果にはならない。家事だって午前中・・少なくとも午後1時までには終わらせておくべきね。でも彼らはあれこれやるし、一ヶ所にいないでバラバラになる。で、やられちゃう。本格的に被害が出始めるのは、アーノルドが地下で床に扉があるのを見つけ、開けちゃうせい。要するに封印が解かれてしまうわけ。余計なことするわねえ。前バーガスが霊力のある十字架利用して、厳重に閉じ込めておいた悪魔。スキあらば外に出ようと狙ってる。管理人が焼き殺されるのは、悪魔の仕業って見てる人全員思ってるけど、実は違うの。バーガスが殺したのよ。そうやって死体見せれば、アーノルドだってこの館買うの思いとどまるだろうって。そりゃあの管理人は飲んだくれの怠け者だけど、それにしたってバーガスはずいぶん荒っぽいことするじゃない。悪魔とさして変わらない。それにそんなことできるのならアーノルドが扉開けるの阻止するはずで。死体をあんな台所用リフトの中に隠しておくのもおかしいわ。死体はどうやって運んだの?乗り移ったの?どうせなら玄関に置いとくべきだったわね。そうすりゃ警察が来てここを封鎖し、アーノルド達は追い出されたはず。誰も死ななくてすんだはず。悪魔も悪魔で、何無駄なことやってるのかしら。
新・悪魔の棲む家6
彼としてはここに早く療養所ができるよう助力すべきなのよ。いっぱい麻薬患者が集まれば、自分の力ふるえるじゃない。どうしてピートとかマリー達殺すのかしら。ピートは首吊りの真似をして、フェリシアやローリーを死ぬほど驚かせる。こういうろくないたずらしかしないおバカさんは最後も悲惨よ。でもよく見ると美形だし、根はいい子なんだってわかる。わかったところで死ぬってのもお約束ね。フェリシア役の人は一人芝居は大変だったと思う。あのシーンを怖がれるかどうかは人にもよるけど。だって笑っちゃう人もいるんじゃない?次々に犠牲者が出るけど、アーノルドはなかなか現実を認めようとしない。こういう人は私のビデオルームで大画面で見るといいんだわ。彼は神も悪魔も信じない。雷のせいとか、合理的な説明がつくと思ってる。最悪なのは自分のせいで何人も死んだことに気づいてないこと。こういうタイプって「ヘルハウス」の主人公もそうだったわね。こういう人の奥さんって大変。同情しちゃう。さて、レイモンドだけど、アーノルドと言い合う場面があって。キャロラインだと言いたいことがあっても、幻覚とか気のせいかも・・って思っちゃう。最後まで主張できないところがあるけど、レイモンドはちゃんと言うの。偉いわ!さすがプライン、見せ場がちゃんとあるわ。とにかくキャロラインはレイモンドを見習いなさいッ!肩を落とし、視線を下にやってるようじゃだめ。人に聞かれたら胸を張って「私見たんです!」って。「他の人には見えないものを見るのが得意なんです!」ってね。この映画の評価は、まあそれなりにって感じかしら。怖がらせようという努力はしていると言うか。血も出るし。お定まりの大きな音とか、そういうのの他に、レイモンドが電気ノコギリで自分の手を切るところもあるわ。その前の、そんな道具使ってる時点でもうやめとけって思うけど。だってこれで何かやらかす・・痛いこと・・に決まってる。で、思った通り。ふうッ、いくら作り物ってわかってても嫌なシーンよね、おお嫌だ!もう一つ印象的なシーンがあって、キャロラインだけが操られていなくて、他の人はみんな操られていて、マリーの死体のそばに集まって何かしてるとこ。ここもけっこう怖いわ。
新・悪魔の棲む家7
何をしてるのかよくわからないのがいっそう気味悪い。アーノルドの顔が変なふうになってて、狼男に変身するのかと思ったわ。今回のクレンナはもみあげとかヒゲが目立つけど、このシーンのためかしら。後で出てくる悪魔もヒゲモジャよ。それにしてもみんな軽率ねえ。怪奇現象が起こってるのに電気ノコギリみたいな危ないもの使うし、屋上からコード伝って下りようとするし。その次は雷利用して鉄格子に電流を流し、格子を曲げる?・・なぜそういう危ないこと次から次へと考えつくのかしら。雨・・雷・・避雷針・・電流・・鉄・・こう来れば格子が曲がるじゃなくて感電死でしょ!死体をやたらそこらへんに転がしておくのも考え物だわね。だってけつまずくに決まってるじゃない。ほら、フェリシアがマリーの死体起き上ったのにびっくりして格子に触れ、ビリビリ・・。絵に描いたような筋書き!レイモンドはガラスを破って外に出て、助かった!と狂喜するけど、庭が底なし沼みたいになっててズボズボ埋まっちゃう。ちょっと~芝生がぼうぼうよ、雑草も生えてる~。叫んでも誰も助けに来ない。たぶんアーノルドには聞こえてると思うけど、さっき意見されたのが気に食わなくて聞こえないふりしてるのよ。それはともかくこれでわかったでしょ、みんなで固まってるべきだったのよ。やることがないなんてそんなことないわ。お酢と重曹と、あとは力仕事!腕まくりして一心不乱にやれば悪魔のささやきなんか聞こえないわ。家中ピカピカになったらワインを開けてごほうびよ。パーティを開くの。紙皿や紙コップは問題外よ。ちゃんと陶器を使うこと。ナプキンも布製でね。環境を考えればそっちの方がいいのよ。料理の盛り付けはシンプルが一番。ごてごてしないよう、でもきれいにね。女王陛下をお招きするつもりでパーフェクトに!それとどんなことがあっても洗い物はその日のうちにね。洗う順番はグラス、カトラリー、マグ、プレート、へヴィーな鍋類の順よ。そうやって自分のやるべきことをやれば、ぐったり疲れて夢も見ずぐっすり眠れること請け合いよ。ウロウロ動き回ってるから結局みんなやられちゃうのよ!アーノルドとキャロラインだけが残るけど、他の人全員やられたってことにはまだ気づいてない。心配もしなけりゃ居どころ確かめもしない。この二人医者のくせにチェックという言葉知らないのかしら。
新・悪魔の棲む家8
二人は地下の例の場所へ行く。そこはなぜか暴風が吹き、ふたを閉めるどころか穴に落ちてしまう。中は無風で、モヤがかかり、意外と広い。あら、いい収納スペースだこと!ここがいちおうクライマックスで、悪魔(ヴィクター・ブオノ)が登場。多くの人はここでがっかりするみたいよ。太ってて毛むくじゃらでやたら笑ってる下卑た感じのオッサン。椅子に座ってるだけだし。服装が白一色なのは「コンスタンティン」の悪魔思い出すわね。さすがのアーノルドも悪魔の存在認めるけど、その直前までごにょごにょ言っていて、キャロラインがヒス起こしたり。こんなに頭が堅い人見たことないわ。で、彼はみんなの死は悪魔のせいだって思ってるけど、悪魔はお前のせいだって言うの。確かにここまで来ちゃったのは彼のせい。見学に来た時、今日ここへ着いて、まだ出入りができた時、キャロラインが止めた時、チャンスはいくらでもあったのよ。でも自分の考えを押し通した。知らないとは言え封印も解いてしまった。バーガスもキャロラインではなくアーノルドに取り憑けばよかったのに。ああやって自然発火という芸当ができるのなら、アーノルドのヒゲでももみあげでも燃やしてここから追い出せるでしょ。それか、もっと思い切った手段・・ここを燃やし尽くすとか。で、ここで悪魔とアーノルドの対決となるわけだけど、見ている方は、今この間にも、キャロラインが例の十字架捜してるってわかってる。まわりがモヤモヤしてるのは、いずれこの中から十字架構えたキャロラインが飛び出してくるってことで。で、その通りになる。出てきて数分で悪魔の出番終わり。全然怖くないよ~という失望の評価になっちゃうのも無理ないわ。ただ私はこの悪魔、間抜けだけど悪くないと思ってる。太って愛想がいいけど、機嫌よく笑ってるけど、そのうち顔が変なふうになってくる。今だったらCGで処理してぐにゃんと変形するとこだけど、そういうのはなし。ますます下卑て汚らしくなるだけ。でもそこがいいの。こういう人まわりにもいそうなんだもの。ある瞬間さっと人格が変わる・・ああ怖い!悪魔をやっつけた二人は外へ出ることができる。もちろん朝になっていて、嵐はやんでいる。
新・悪魔の棲む家9
二人は・・他の人のことは全く気にせず・・二人だけで車で走り去る・・終わり。脱出してどうするのかしら。たいていの映画ならここで館は炎上するけど、何ともならない。次の買い手を待ってる。ここで流れる音楽は聞いたことがあるわ。しょぼいホラーには似合わない、美しく壮麗な曲。中盤でもアレンジされた「愛のテーマ」風なのがかかってたから、元々はこの映画の曲なのかしら。私の考えるラストシーンは、こういう朝日に輝く館の全貌・・じゃなくて。最初は館をうつすけど、だんだん地面に近寄っていくの。芝生の中から手が一本突き出ていて・・もちろんレイモンドの手よ。そしてまだぴくぴく動いているの。こういうラストにすれば一流のホラー映画として、人々の記憶に刻まれたと思うわ。あわてふためいて車で脱出じゃあ何て冷たいんだ・・って反感買うと思うし、朝日に輝いてじゃすがすがしすぎるわね。それにしてもバーガス、今回のおもてなしは手抜きもいいとこね。いつどんな訪問客があってもいいよう完璧に準備しておくべきだったわ。ただし今回の準備とは中に入れないようにするってことだけど。カギを差し込めないようカギ穴を潰すとか、入口をツタで覆い隠すとか。一時的に悪臭を発生させるとか、館全体を傾けるとか。不動産屋がここはもうだめだ、壊して更地にしよう、ゴルフ場にしようとか、そんなふうにすべきだったのよ。え?自分はもう死んでいる、ムチャ言わないでくれですって?だめよ、言い訳は許さないわ。今回の事件のせいで、またいちだんと悪いうわさが立つだろうけど、それでも格安物件として残すんでしょうねえ。どうして不動産屋が何も変な目に会わずにすんでいるのか不思議でしょうがないわ。とは言え、私も実は気に入っているの。外見と言い、中の広さと言い、「パーフェクトハウスワイフの栄冠は・・」ってやるのにぴったりの屋敷なんだもの。私はもちろん悪魔なんて気にしないわよ。恐れられているという点では私も負けていないもの。お掃除教の教祖様アンシア・ターナーにかなう者は誰もいないわ!例え悪魔だって椅子に座り込んで怠けているなんて許さない。死んだふりしたってだめ。私にはちゃんとわかっているの。十字架は抜けたし、生きてるんでしょ、さあ起きて!
新・悪魔の棲む家10
この地下がいつできたのかは知らないけど、まだ一度も掃除していないんでしょ?それにこのモヤモヤは何?窓は、換気扇はどこ?さあ始めて・・動くことはいいエクササイズになるわ。スマートになれるし、お金もかからない。何もしないでいるからそんなに太っちゃうのよ。演じているブオノさんは、この数年後43歳の若さで心臓マヒか何かで亡くなったらしいわ。早めにダイエットしていたら今でも生きていられたでしょうに。あなた同じ目に会いたくないでしょ。ヒゲは剃って、髪もきれいにね。あ、タバコもだめよ。あの若い人達いつもタバコを手に挟んでいたわね。ファッションのつもりでしょうけど健康・美容には最悪!空気は汚すし、お金の無駄、いいことなんか一つもない、きっぱりやめることね。いつもなら二日間の集中レッスンの後それぞれの自宅に戻っておかたづけ。二日目くらいに私が経過を見に行って、一週間後に最終審査。白手袋チェックとなるんだけど、でも今回のこの館はだめね。途中で放り出されたまま。あの二人の家もたぶんぐっちゃぐちゃね。ああやって衝突ばかりしてるのはそのせいよ。家の乱れが夫婦の関係にも影響してるの。私の見るところ、問題はアーノルドの方ね。キャロラインが専業主婦なら言い訳はできない、彼女が全部やるべきだけど、彼女も働いているんでしょ。だったらアーノルドも家事を分担すべきよ。キャロラインも全部一人でやろうなんて思っちゃだめ。人に任せることを覚えなきゃ。うまく頼むの。いったん任せたら口を出しちゃだめ。気に入らなくても放っておくの。療養所の話は立ち消えになると思うけど、くよくよしないで今は自分達の家をパーフェクトに整えることだけ考えてね。整理にはカゴを使うといいわよ。私カゴって大好きなの!戸棚の中には小さなカゴ、洗濯物の仕分けには大きなカゴ、あの棚の上をかたづけたら中くらいのカゴを置く。ほら、どう?いい眺めじゃない。家庭はオアシスなのよ。それを忘れないで。今回の出来事は不幸だったけど、家をきれいにして気分も新たに再出発よ!あ、ところで大勢の死の言い訳考えてあるの?寝る前にリストアップしておくようにね!