新米刑事モース~オックスフォード事件簿 シーズン2

6 消えた手帳(失われた光)

待ちに待った「モース」の新作。いや~すごい情報量。よく「シャーロック」が内容ぎっしりとかハンパない情報量とか言われているけど、あたしゃ「モース」も負けていないと思います。脚本の人、よくこれだけ詰め込みましたな。一回目は途中から何が何だかわからなくなります。話の流れはうっすらわかるんだけど、誰が誰なのか。たくさん出てくるので、名前が出ても誰のことなのかわからない。しかも名前で言ったり名字で言ったりするので、ますます混乱。あと、出てくる人の顔が似ている。トッドとバッテンの区別がつかない。同じ年代、同じ太り具合、同じような顔立ち。あと、行方不明になるフリーダがミス・イギリスのダイアナなのだと私はずーっと思ってた。髪の色は違うけど、顔立ちそっくりじゃん。フリーダは途中まで写真でしか出てこないけど、モースはなぜ二人がそっくりなのに気づかないんだろう・・と、不思議だった。わざと似ている写真出してきて、見ている者を混乱させようと?話を整理すると、まずダイアナというのがいて、ミス・イギリスなのでいろんなイベントで忙しい。マネージャーがトッドで、その妻がミュリエル。ダイアナはトッドの助手トニーといい仲で、彼はこの仕事につく前は害虫駆除業者だった。何とか記念のパレードの最中、ダイアナに赤ペンキを浴びせかけたのがキティ。よくある親の心子知らずタイプ。頭がよくて生活に困ってないから、次に考えるのは女性の権利とか世の中を変えるには行動を起こすしかないとか・・要するに頭でっかち。彼女の父親がバッテンで、母親バーバラは選挙に立候補している。大事な時なのにトラブル起こす困った娘。パレードの最中、男が転落死。自殺かと思われたが、モースが不審に思ったのは、死体のそばにあった手帳がいつの間にか消えていたこと。ところでモースは、前の事件の後、治療を受けるためもあるが、四ヶ月間別の署にやられていたらしい。別に左遷とかではなく、予算の関係らしい。戻ってきた彼に対する警視正やジェイクスの態度は温かいわけではないが、冷たくもない。そこらへんは見ていてホッとした。

消えた手帳2

もっとも、モースは体の傷は癒えても心の傷は治っていないようで。二回目に見てたら警視正に能なしと言われただの、向こう(ウイットニー署)ではあざけりと屈辱の日々だっただのと言っていて、かなり傷ついているようで。サーズデイの心遣いも心配も彼には届いていない感じ。話を戻して、復帰早々事件が続けて起こるので、サーズデイはことあるごとに休めと言うけれど、モースは聞かない。ちょっとしたことが気になるし、事件が続くとそれらが関係しているように思えて、共通点を捜してしまう。転落死したのは歯科医のミーカーと思われたが、調べてみると本人はすでに死亡。そのうち車が見つかり、ペティファーという探偵であることがわかる。彼の探偵事務所を訪ねたモースは、何者かに殴られ昏倒。気がつくと今度は二人組の男に痛めつけられる。この二人は彼をペティファーだと思っているらしい。しかもこの二人警部補か何からしい。まあとにかく詰め込んであって、中にはメインの事件とは関係ないものもある。一回目見ている時はわからないから、みんな同等に見ているが、二回目にはこれは気にかけなくていいな・・とやり過ごせる。このモースの災難もそうだし、パレードでキティが起こした騒ぎもそう。キティはピストルを隠し持ち、ダイアナに近づき、ためらいもせずに撃つから、こりゃ大変な事態・・と思う。でもなかみは赤ペンキ。二人組もただのゴロツキ。ペティファーは離婚専門・・つまり浮気調査が多い。金庫から出てきた書類にはミュリエルの依頼も。何しろトッドは仕事柄始終美女に囲まれている。ふと疑いが起こることも。二人組のうちマルローの場合も、彼の妻が調査を依頼。結果はクロなのだが、妻にはシロと報告しておき、マルローをゆする。それで恐喝になんか応じるものかと相棒と共に殴り込みに来たのだ。このやり方でペティファーは他の人もゆすっていただろう。他に大学で宝物が盗まれるという事件も起きている。これもペティファーやフリーダの事件とはあまり関係ないが、モースは学長バーンズを疑って暴走する。

消えた手帳3

さてモースはペティファーの帽子に隠してあった質札に気づく。請出してみると・・何だか「ダ・ヴィンチ・コード」に出てきたクリプテックスみたいだが、中には写真のネガが。現像してみると、大学の地下を通っている川への入口がうつっていて。その地下トンネルをサーズデイと二人で探索していると・・二人して長靴をはいているのが笑える・・見つけたのはフリーダの死体。このフリーダだが、父親が失踪届を出しに来ても、若い娘だ男と逃げたのさ・・とジェイクスは頭から決めてかかってる。モースが父親ヤランドに声をかけたのは、彼がウイットニー署にも来ていたからだ。あちこちの警察に頼んで回っても、親身になって捜してくれているようには見えない。普通だったら腹を立てるところだが、そういうこともなく、ただ心配しているのが気の毒で。後でわかるが、フリーダは彼の実子ではなく、亡くなった妻の連れ子。でも本当の娘のように思って育ててきた。地下トンネルからは、後で宝物の一部も見つかる。犯人はサーズデイの調べでわかってつかまえるが、モースは前にも書いたが盗みも殺しもバーンズの仕業と思い込んで犯人呼ばわり。自分のミスを認めようとせず、警視正やサーズデイに食ってかかる始末。こりゃまずいわな。冒頭、部屋にいるモースと、モーテルにいるペティファーを交互にうつし、モースの行動のように見せるなどまぎらわしいうつし方をする。ダイアナとフリーダが似ているように思わせる。学部長バーンズや研究員スペイトも裏がありそうに見せる。マロリー達が何か後ろ暗いことやってるように見せる。そう言えばサーズデイはこの二人を叩きのめしたようだ。年は取ってるし、太ってるし、動きは鈍いし、相手二人だし、絶対やられるはずだが・・モースのためなら鬼にもなれるってか?まあこれだけのことが目くらましなわけ。話を戻して(こればっか)、モースは自分の推理が全くの勘違いだったことがわかり、意気消沈。でも新しい手がかり見つけるとまたすぐ突っ走り始める。ガソリンスタンド兼モーテル経営者のフィッシャーには前にも一度話を聞きに行った。

消えた手帳4

ペティファーがミーカーと名乗って何度か泊まったりガソリンを入れたり。そのわりにはフィッシャーに死体の顔の確認頼んでいなかったな。その時目にした絵葉書の図柄をモースは思い出したのだ。絵葉書の写真と、ペティファーのうつした建物が同じ。この時のモース・・フィッシャーが留守だからってガラス割って絵葉書を取る。これじゃ泥棒だ、後でちゃんと謝罪して弁償した?警視正やサーズデイに失礼な態度取ったことはあやまってたけど、バーンズにもちゃんとあやまった?サーズデイを行かせて自分は行ってないし、彼にはあやまる必要なんかない・・みたいな偉そうな態度だし、謙虚さが足りないぞ。またまた話を戻して、モースは重大な発見をする。モーテルの・・ペティファーが撮影した部屋が、フリーダ殺しの現場だった!ん?部屋を借りる時、バッテンやトッドはフィッシャーに顔は見られなかったのかな?フリーダの死体を包んでいたのは、モーテル備え付けのカーテン。ん?フィッシャーはカーテンがなくなってることに気づかなかった?モースはじゅうたんの下に血だまりがあるのを発見。ん?フィッシャーは部屋の掃除はしてないの?トッドはタバコの吸いさしも血の中に捨てていて・・絶対自分達が犯人だなんてわかりっこないと思ってるのか?大した自信だ。もう一つの発見は、すぐ近くの川岸に小さなトランクが引っかかっているのを見つけたこと。フリーダの持ち物だ。この時のモース・・怪しいやつだとフィッシャーに銃で撃たれて・・当たりはしなかったけど、例の事件のショックが蘇る。他にも車の音とか、とにかく突然大きな音がすると精神的にこたえるようで。このフィッシャーもヤランドと似ているんだよな。モーテルのたたずまいは「サイコ」に似ていて・・。近くにリゾート施設ができたので、それを当て込んで土地を買ったものの・・。施設は潰れ、ろくに客もなくすっかりさびれ、わびしいムードが漂う。トランクのなかみは化粧品などありきたりのものの他に写真の束。一方ヤランドを訪ね、フリーダの自室で見つけたものは、父親・・実父スパーリングの戦死を伝える電報と、母親宛ての上官からのお悔やみ。

消えた手帳5

サインを見るとバッテンになっていて。モースの推理はようやく一つにまとまる。フリーダは美人コンテストに出場した時、審査員か何かで出ていたバッテンが、母に手紙をくれた人と同一人物だと気づく。彼女はバッテンに近づき、いつの間にかベッドイン。実の父のことが知りたくて・・というのが理由だが、バッテン、さらにはトッドに近づき、有名モデルになるチャンスだ・・と思ったに違いない。ところがこのバッテン、実はニセモノで。なぜか妻と別れたいと思っていて、上官のバッテンが戦死したのを利用して、自分がなりすます。スパーリングは死んだことにして、自分の妻にお悔やみの手紙を出す。こんな余計なことをするから、めぐりめぐってややこしいことに。つまり彼は知らぬこととは言いながら(フリーダはヤランド姓を名乗っていたから)自分の娘と関係してしまったわけ。これがばれたら大変だ。バーバラとの結婚は重婚ということになる。それでなくても彼女は今選挙運動中。困った彼はトッドに相談。トッドはトニーと共にフリーダを始末。それを見ていたのがトッドの浮気調査中のペティファー。その後はゆすり。万一の時の保険に、写真を質に入れていたが、それを利用するヒマもなく殺された・・と。実際に二人に手を下したのはトニー。彼は以前害虫駆除をしていたから地下トンネルのことも知っていて。本当はフリーダは川に沈めるつもりだったけど、フィッシャーに見つかってしまった。まあバッテンはいくら何でも自分の娘を殺すつもりはなかっただろうけど、トッドやトニーはそんなのおかまいなし。まあフリーダは黙って他に行ってくれと頼んでも承知しなかったと思う。したたかと言うか、かなり野心家みたいだし。あの時モースを殴って昏倒させたのはバッテンか。これがトニーだったらモースもあの世行きだったはずで。とにかくバッテン、トッド、トニーの三人は逮捕される。せっかく当選を果たしたのに、夫の秘密に呆然とするバーバラ。でもキティがそばにいて力になってくれる。ミュリエルも大ショックだ。自分がペティファーに依頼なんかするからこんなことに・・。まあ依頼しなくても騒ぎは起きただろうけど。

消えた手帳6

彼女の力になってくれるのはダイアナだろうか。彼女だってトニーの犯行にはショック受けたはずだが。でもこういう時、笑って受け流すよう教えてくれたのはミュリエルではなかったか。それとも彼女はミュリエルを捨ててさらに上を目指すのか。往生際の悪いトッドはモースに脅しをかける。彼もバッテンも秘密結社の会員で、結束は固い。メンバーには有力者もいる。モースはこのままではすまない。最初からモース本人を狙ったりしない。友人とかまわりの者からじわじわ狙われていくのだ。ちなみにストレンジも勧誘受けていて、モースに相談したりする。彼は昇進試験をたった3点足りなかったせいで落ち、それでもうあきらめたらしい。そういう心がぐらついている時に誘いの手が伸びるのか。ラストシーンは手帳を渡す手と受け取る手。渡す側は手袋をし、受け取る側の小指には指輪。どちらも男性だ。モースが転落現場に駆けつけた時には手帳はあった。でも署内で遺留品を見た時にはもうなくなっていた。ジェイクスは「それで全部だ」と言い、デブリンも知らないようで。ストレンジは現場にいたし、結社の件もあって怪しく見えるが、たぶん見ている者を惑わせようという魂胆。私が二回目に見ていて怪しいなと思ったのはジェイクス。最初にモースが指摘した時の顔つき、モース、サーズデイ、ジェイクスの三人でビールを飲んでいる時にモースが手帳紛失を持ち出すと「同じの?」・・とか言っておかわりをもらいに席をはずすし・・どうも怪しい。まあそのうちわかるだろうからこれ以上の妄想はやめておく。今回思ったのは、どんな事件なんだろうと思って見始めるけど、いつの間にかモースはどうなるんだろう・・ってそっちの方に興味が移っていること。サーズデイは彼から「光が消えた」ことを心配しているようで。最初登場した時からさして光っていたとも思えんが、それでも覇気のようなものはあった。でも撃たれたり父親が死んだり(サーズデイは知らないけど)失恋したり。彼の中で何かが壊れ始めているのだ。サーズデイが何とかしたいと思っても、モースにその気がないのではどうにもならない。モースの部屋でクズかごが酒の空きびんでいっぱいなのを見るサーズデイの表情。向かいの部屋のモニカに金を渡し、名刺を渡し、気に止めてくれるよう頼む親心。少しは気づこうねモース君。

7 亡霊の夜想曲(鏡の国の少女)

冒頭・・オルゴール・・ショパンの「ノクターン」が流れる中、死体が次々うつし出される。ホラー映画のような出だし。100年後・・前回のキティのセリフで、今が1966年だとわかっている・・閉館間際の博物館で、バイスという老人が殺される。姪の話によると、彼は紋章官で、引退してからは個人の依頼で紋章のデザインをするなどしていたらしい。ちょうど今はサッカーのワールドカップの最中、みんな試合に夢中で入館者は少ない。中にスリープ村の女学校からの一団が見学に来ていた。普段は400人もいるが、夏休みの今は残っているのは8人だけ。この年頃の少女達は見かけは花のように純真。すんなりした手足、白いソックス、サラサラの髪。でもタバコは吸うし、クラブに出入りしてるのもいるし、陰湿ないじめも。中には頭がよく、真面目なのもいるが。いつものことだが、顔が似ていて誰がどの子やら。この学校には何やらいわくがあるらしい。聴取がすんで帰ろうという時、ヴィクトリア朝風の衣装の少女を見たモースはびっくり。幽霊か幻影か。そう言えばモースは以前昔の恋人の幻影見てなかったっけ?幻影見るのは得意?いやもちろん今回は幽霊の方だろう。あまりにも簡単に出てくれるので、かえってウソっぽい。本物の幽霊はこんなに気軽には出てこない。この学校は以前ブレイズ=ハミルトンという紅茶で財を成した男の屋敷だった。100年前、彼の子供三人と、子守女、家庭教師全部で五人が殺された。長女のシャーロットだけはなぜか殺されずにすんだが、その後血筋は絶えてしまった。犯人の方は、容疑者はいたもののはっきりせず、結局は未解決のまま。この事件のせいで幽霊のうわさが立つ。血まみれシャーロットとか。現に教師のダンビィや生徒のバンディ(名前が似ていてややこしい)も幽霊を目撃している。それにモースも・・。建物の上部には使われていない部分があって、モースが調べて回るところはゾクゾクする。こういう幽霊屋敷っぽい描写は私好み。下の階は日常的に使っていて、手入れもされきれいでカゲの部分などない。でも上の階は掃除もされずほったらかし。ホコリだらけで、たぶん床も腐ってる。生徒の中には隠れてタバコを吸うためここに来ている者もいるかも。

亡霊の夜想曲2

たくさんの絵・・中にはブレイズ=ハミルトンの肖像画も。幽霊と同じ格好の少女の絵もあるが、どれも顔の部分は空白だ。「ザ・サイト」とか、「インフェルノ」とか向こうの屋敷には謎の空間がある。妄想の余地がある。隠し部屋、開かずの間、裏階段・・うひょひょ。途中でモースは床を踏み抜いて落下。モース君傷だらけです。州警察のチャーチってのが出てくるけど、モースが四ヶ月いたウイットニー署の同僚だかボスだからしい。町にはダイアナがモデルを務める広告もあるし、前回との繋がりも忘れていません。チャーチ達が来たのはバンディが失踪したため。最初は縄張り争い状態だが、そのうち合同捜査ということに。バイス殺しは進展せず、モースは途中でチャーチまで疑う始末。バンディの次はエドウィナがいなくなる。そして少女が階段から突き落とされる。落とされる前にバイスと同じ手口で殺されている。しかも・・被害者はここにはいないはずのモードだった。結局事件をややこしくしていたのは少女達・・バンディ、エドウィナ、モードの三人による幽霊ごっこ。いじめっ子を怖がらせてやれ・・と計画。モードは、親には学校に残っていると思わせ、学校にはギリシャにいる両親の元へ旅立ったと思わせ、上の階に潜んでいたのだ。そりゃ上には隠れ場所はいっぱいあるけど、食べ物とかトイレとかどうしていたのかという疑問も。それにホコリだらけなのだから歩き回れば跡が残るはずだが。モードの死は少女達、学校長、教師のみならず警察関係者にも衝撃を与える。ちょうど100年前の事件を本にしたフィットゾウエンも現場にいて、彼がとった写真にはモードを投げ落とそうとする犯人の姿もうつっていた。顔は見えないが、男である。で、警視正やデブリンは、いつもよりずっと犠牲者の死を悼むのである。ここはちょっと妙な気がした。赤ん坊ならわかるけど、少女だろうが老人だろうが死には変わりないと思うが。やはり少女だとまだ穢れを知らない・・純真無垢・・許せない・・となるのかな、おセンチだな。バンディ達がいたずらを計画したのは前にも書いたようにいじめっ子対策だが、他にも理由があった。学校のまわりを妙な男がうろついていて、そいつを怖がらせるという目的もあった。

亡霊の夜想曲3

これはダンビィと密会していたブラックのことだろうが、この年頃の少女達がダンビィとブラックの関係を知らないでいたとは思えないのだが。絶対嗅ぎつけると思うが・・。とにかくバンディとエドウィナの失踪は狂言だし、幽霊騒ぎはバイス殺しとは無関係。管理人の息子ビリーも少女達とは無関係。まあ女の園のそばに若くてたくましい青年が暮らしていれば、何もなくても何かありそうに見え、あらぬ疑いをかけられるはめに。他に博物館に来ていたアメリカ人の老夫婦ガーディナーの件もある。彼らがイギリスへ来たのは、亡くなった息子の忘れ形見を捜すため。息子には恋人がいて、しかも妊娠していたらしい。でも詳しいことがわかる前に死んでしまった。恋人の名前はキャロラインとしかわからない。名字がわからないので調べようがない。自分達も年を取った。動けなくなる前に何とか・・。二人はバイスに相談したが彼は殺されてしまった。もう望みはないのか。いやいや、バイスは突き止めていた。老夫婦は美しい孫娘と対面することができた。・・このエピソードは感動的だった。紋章をデザインしたり、家系を調べたりしている中で、こういう人助けもできる。だからバイスは生きがい、やりがいを感じていたことだろう。もっとも、彼が殺されたのもこういう依頼で調べているうちにあることを発見したからなのだが。誰かがいるというバンディの知らせで学校へ急行するモース。途中車の中でサーズデイに謎解きをするけど、聞いていてもさっぱりわからない。こんなふうに早口でべらべらまくしたてなくても・・事件が一段落ついて、落ち着いてからでいいのに。えーとつまりブレイズ=ハミルトンはインドにいる時、現地の女性との間に男の子をもうけたと。で、イギリスに連れ帰るけど、妻には友人の遺児だとウソをつく。管理人ピックストック夫婦の養子として育てさせるが、もちろん妻にはバレバレ。その子ロバートは成長し、出生の秘密を知ると、同じ子供でありながらこっちは使用人、向こうは豊かな暮らし・・と不満をつのらせ、ある日とうとう爆発。ただ、ロバートがつかまると動機は何だということになって、婚外子だというのがばれてしまう。密猟者のオコーネルを容疑者に仕立てようとするが、オコーネルは死に、事件はうやむやに。

亡霊の夜想曲4

シャーロットが生き残ったせいで、フィットゾウエンは彼女が犯人だと思っているが実際は違うのだ。子供達を殺し、その罪を逃れたとは言え、婚外子であるロバートには相続権はない。シャーロットの死後は血筋も絶えたと思われている。ところが100年後の今になって、法改正の動きが出てきている。ロバートの子孫であるブラックにもチャンスはめぐってきそうだ。で、このブラック・・大学院生で博物館でアルバイトをしている。女ばかりの職場で男と知り合うチャンスもなく、婚期を逃すのではとあせっているダンビィに近づき、恋仲に。もちろん学校に自由に出入りできるよう鍵を手に入れるためだ。彼は法改正に備え、家系図や紋章のデザインをバイスに依頼。ところがバイスは家系を調べているうちに、相続人がもう一人いることに気づく。それが学長のサイムズ。彼女は自分がブレイズ=ハミルトンの遠い親戚だとは知らないようで。ここの学長になったのは偶然か。彼女は少し前交通事故に会ってケガをした。でもそれがブラックの仕業だなんて・・命が狙われているなんて夢にも思わない。ブラックは莫大な財産・・シャーロットの死後それがどうなっているのかは不明。誰かが管理しているのか・・をサイムズと分け合うつもりはない。全部自分のものだ。バイスは新聞で事故を知ると、心配になってサイムズに連絡を取り、会おうとする。しかし会う前に殺されてしまう。サイムズの方もどうせ事故のことを聞きたいマスコミ関係者だろうと気に止めていない。とにかくバイスの死で自分とサイムズとの繋がりを知っている者はなくなった。あとはサイムズを始末するだけだ。少しくらい疑われたって動機が見つからないのでは警察も手は出せない。まあこのブラック・・サイムズを始末するチャンスなんて今までいくらでもあったろうに何をモタモタしているのか。今回だって学校は町の中心部からずっと離れている。モースが謎解きしてサーズデイが納得するくらい時間があったのに・・学校に忍び込んでからサイムズの部屋に行くまでにどんだけ時間がかかってるんだ?もちろん最後は上の階へ逃げ、モースが以前踏み抜いた床から落ちて死ぬ。モースは打ち身ですんだのに・・。持っていたカミソリのせいかな。彼はバイスもこれで喉をざっくり切り裂いたのだ。でもそれだと返り血浴びるはずだが・・。

亡霊の夜想曲5

さてこれでやっと事件も解決だ。ラストに行く前に・・前回モースと心が通いそうだったモニカだが、その交流ははかなく消える。ストレンジが女のコとダブルデートするので協力してくれと頼まれる。秘密結社の方はやめたのか。ダブルデートって何のことだか知らんが、一対一じゃ気まずいからお互い友人を連れて・・ってことなのか。しかもストレンジはそのコに初めて会うようだし。その前にモースはモニカの親切にお礼したくて食事に誘っている。だからこのデートには彼女を連れて行けばいいのにと思ったが、仕事を理由に断っちゃった。何でウソをつくのかな、正直に言えばいいのに。案の定ストレンジ達と一緒のところへ、モニカも友人と来て・・。そりゃあ狭い町だし若い者が行く手頃な店なんてだいたい決まってる。顔を合わせることくらい予想つくだろうに。相手のコが連れてきたのは何とジョアンで、モースもストレンジもびっくりする。ジョアンはたぶんモースに好意持ち始めている。でも彼にはその気はなさそう。モニカの方も見つかってまずかったかな・・とは思うけど、誤解を解く努力をする気もなさそう。たぶん誘ったのも何となくなんだろう。モニカの方はすごくうれしくて期待しただろうに・・失望と幻滅・・気の毒に。ラストも、少しは家庭の温もりを・・とサーズデイが家に招くけど、モースは断る。何とまあ・・植物性”淡泊”質なモース君。サーズデイが置いていったブラックの資料にあった写真。今までどの写真でもシャーロットの顔の部分は消されていたが、この写真は違った。なぜシャーロットがロバートに殺されずにすんだのか、なぜ事件の後警察は彼女から何の情報も得ることができなかったのか、なぜ事件後サナトリウムに入れられ、そこで一生を終えたのか・・それらがわかる。うまいやり方だ。さて第8話の放映も決まったらしいので楽しみだ。いくつか不満はあるものの、どの回も練られた内容なのには感心する。出来にばらつきが感じられる「シャーロック」よりいいのでは?まああっちは主人公キャラが強烈だからね、その点ではモースはかなわない。でもこういう正統派ムードは私好み(あっちは異端派ムードか?)。音楽とか文章の引用とか豊かさが感じられる。頭の中に知識が蓄えられている。今は・・知識が詰まってるのは頭じゃなくて手に持ってるスマホやタブレットだからねえ・・趣きがない。

8 黒の絞殺魔(情事の代償)

待ちに待った(いつもそうだが)モースの新作。2話続けて見たが、いや~疲れマヒナスターズ。脚本家の頭の中どうなってるんだ?よくもまあこんな複雑な筋、考えつきますなあ。それでも8話目はまだいい。デパートの中、従業員中心だから。これが9話目みたいに外に広がっちゃうと、もうお手あげ。この8話目はちょっと作りが「殺しのフーガ」に似ている。次々に殺され、怪しいのもいっぱいいるけど、関係ないもの全部取っ払うと、底にあるものは意外とシンプルで。違う点は犯人が最後近くまでわからないこと。「フーガ」みたいに、出てきたとたんこいつ・・とはならない。少なくとも私はそうでした。皆さんは犯人すぐわかりました?って誰に聞いてる。既婚の女性が次々に殺される。イゾベル、アン、そしてヴィヴィアン。イゾベルの時は夫が逮捕されたが保釈中。モースの見たところ事件にはいくつか共通点がある。イゾベル担当のチャード警部補はいい顔しない。夫を誤認逮捕したことになってしまうからだ。三人とも情事の・・それも合意の・・痕跡があり、指輪がなくなっている。ヴィヴィアンの絞殺に使われたストッキングは、バリッジズというデパートで売っているもの。そのうちジャネットという女性も殺される。事件とは無関係だが、サーズデイの過去の一部も明らかになる。ウィンと結婚して25年ということで、お祝いのパーティが開かれたりするが、戦時中イタリアでルイザという女性と一時恋仲だったようで。地元民の彼女は、連合軍との連絡係をやっていて。それがばれてファシスト達に処刑されたのだとサーズデイは思い込んでいて。バリッジズで店員やってるルイザと、捜査でやってきたサーズデイが思いがけず再会。ショックで彼女は気絶。彼女は死の手前まで行ったが、救出された。その時の将校アームストロングと結婚したが死別し、今は未亡人。二人の心は揺れ動くが、今更過去には戻れない。特にサーズデイは。ん~だから彼には複雑な過去なんてくっつけなくていいんだってば。ひからびた奥さん大事にしている太ったオッサンでいいじゃんよ。一方モースは誤解も解け、いつの間にやらモニカと深い仲に。

黒の絞殺魔2

そりゃモニカはいいコだけど・・やっぱり深い仲になれば相手独占したくなるだろうし。いつも自分のこと見ていて欲しいのに、事件に気を取られていたりしたら・・いい気はしないだろうな。今はモースが好きで何でもがまんできるけど、そのうち・・。さて既婚の女性ばかり狙われるというので、ウィンの身にも何か起きるのではと思ったりしたけど、その心配はなさそうだ。ヴィヴィアンの秘密の日記が見つかったりして、夫への不満から他の男によろめいたのだとわかった。ウィンは欲求不満てわけでもないし、浮気なんてとんでもない。と言うか、あんなにひからびてしなびていたんじゃ女たらしの目にも絞殺魔の目にも止まりませんてば。その代わりバリッジズで万引きの疑いかけられる。警備員のジェリコがつかまえたのだが、実は彼は品物をわざと客のバッグとかへ入れ、見逃して欲しけりゃ金を出せと脅していたのだった。自分は元警官と自信たっぷりだが、現役警部補の奥さんつかまえたのが運の尽き。でもウィンはサーズデイには黙っていてくれとモースに頼む。一方サーズデイは、張り込みだの何だのとウソをついてルイザと会ってる。モースは話が食い違っていることに気がついても、ウィンに話を合わせる。サーズデイとルイザの間に何があったのか気になる。バリッジズではしばらく前から売上金が合わないというのがあって。オーナーのアランなどは、モースが来たのはその件でと勘違いしたりして。結局ジェリコはクビになったらしい。盗んだのが誰か突き止めるため、売上金には印がつけてあって、それがジェリコのロッカーから見つかったということは、彼がくすねていたのだろう。マネージャーのクィンバリーは戦時中パイロットだったらしい。イングランドのために戦ったというプライドが心の支えだが、負傷して義足である。戦争を引きずっているのは、サーズデイやルイザだけではないのだ。クィンバリーは途中で売り物のストッキングを持っていくなど怪しいが、義足のためらしい。こすれて痛いのが、シルクのストッキングかぶせることで和らぐのか。別に盗んだわけではなく、後でお金入れておこうとして忘れてしまったと。

黒の絞殺魔3

クィンバリー役の人は「エレメンタリー」シーズン2の1話目に出ていたな。オーナーのアランは若くて独身で顔立ちもやさしげ。物腰も穏やかで育ちがよさそう。いかにも既婚女性に気に入られそうなタイプ。いい人なので、彼が犯人だったらどうしようと心配しながら見ていた。やさしい笑顔が一転残忍に・・ってよくあるじゃん。でも彼は従業員の幸せが一番・・という考えの持ち主。亡くなった父親の代わりにここへ来てまだ三ヶ月で経験は浅いけど、しっかりした信念があるようだ。20年も勤めているクィンバリーを立てつつ、自分の意見ははっきり言う。よくわからないのが若い店員グロリア。まだ新婚なのに夫は服役中らしい。そのせいでとかく男の目を引く。途中で女たらしのリスクに引っかかりそうになったり、朝出勤して来ないなど、てっきり事件に巻き込まれたのだと思っていたら、何事もなく出てくる。男の車に乗るシーンがあるが、あれは犯人ではなくアランだったのか。夜道は危ないからと彼女を車で家まで送ったのか。とは言え彼女の危なっかしい行動は、犯人の目も引きつけることとなる。ウインドー飾りつけ担当のチャーリーも怪しく見える。彼はゲイなので、男からバカにされることもしばしば。怒りをじっとこらえることも。心の奥底にたまった怒りが噴出し、女性を殺すことに向けられるのか。いやいや、やっぱり彼は違う。彼は自分が差別される側だからこそ、女性達にはやさしい。グロリアをかばい、ルイザの話し相手になる。ルイザもリスクに引っかかって関係持った?在庫係のノーマンはどもりで、人付き合いが苦手。密かにグロリアを思っているらしいが、気づいてもらえない。いつも一人だし、まわりにはマネキン。変質者であってもおかしくないが、既婚女性が次々によろめくというタイプではない。しかも彼は途中で殺されてしまう。ところで彼の名前・・ノーマン・パーキスって・・意味深を気取るならパーキンスにしろッ!被害者宅を共通して訪問していたのが、盲目のピアノ調律師ピュー。「ブラインドマン その調律はナンパの調べ」・・などと頭をかすめたのは確か。あちこちの家に出入りできるし、盲人ということでまわりは親切にしてくれるし、誰も疑う者はいない。

黒の絞殺魔4

本当に盲目かわからないし、もしかしたら見えるのかも。黒メガネやヒゲで変装しているのかも。女たらしのリスクが化けてるのかも。でも違いましたな。彼もスルー。スルーと言えばいつもバリッジズの入口で絵を描いてるオッサンに、モースが何か聞くかと思ったけど、それもなしでしたな。それともそのシーン、カットされた?リスクは問屋で、バリッジズにストッキングを卸している。被害者の女性達と関係を持っていたのは彼。イゾベルの死体発見現場でモースが見つけた(と言うことはチャード達は見逃したということだが、置かれたのはもっと後かも)カフリンクも、彼のものだった。彼が犯人に違いない。でも彼は情交は認めたものの、殺害は否定。まあ確かに怪しく見えるけど、こういうのは概して腰抜けで、女をだますしか能がない。女を口説いて夢中にさせる。そのうち女達は罪悪感におそわれ、別れを切り出す。そこを思いとどまらせるのがまたテクニックの見せどころ。ゲーム感覚で楽しむ。ホントただのにやけた嫌味な男なんだよな、何でこんなのに引っかかるのかいな。彼を犯人に仕立て上げようという犯人の目論見は、もうちょっとで成功するところだった。モースが壁や衣服に付いたチョークのあとに気づくまでは。と言うか、せっかくリスクがつかまったのに、犯人はなぜグロリアを殺そうとするのだ?罪を着せようといろいろ細工した意味ないじゃん。というわけで犯人は配送担当のハギンズだった。どっちかと言うと若い相棒ドブスの方が怪しく見えるよう描写していたけど。このオチはびっくりしたけど、その後はちょっと弱い。元々は自分の妻フローがリスクによろめいたと知って、手を上げたのが始まり。その気もなかったのに、はずみで死なせてしまった。死体は風呂場の壁の中に・・。リスクを見張っていれば、よろめいている人妻が誰なのかわかる。フローと同じことをしている・・許せん・・と殺害。こういう男の常で、肝腎のリスクには手を出さない。生かしといて苦しめてやれというわけだが、こういう女たらしは悩んだり苦しんだりしない。悪いのは妻を欲求不満にさせとく夫どもであって、自分じゃない・・とうそぶく。

黒の絞殺魔5

ハギンズにだってわかってる。リスクに手を出さないのは、返り討ちにあうのが怖いからだ。だから自分より弱い女性を殺す。自分が悪いんじゃない、まわりが悪いのだと言い訳ばかり。そのうち殺人が癖になって、快感になって。回数が増えるにつれ、行動が雑になって。ストッキングを盗もうとしてノーマンに見つかり、殺すはめに。リスクが警察にいてアリバイ完璧なのに、グロリア殺そうとするなど混乱気味。しかもグロリアが結局はリスクをふっていたことも知らず・・。で、こっちの方は解決したけど、ルイザの方はガス自殺。サーズデイ夫妻の結婚記念パーティの真っ最中に。モースはてっきりサーズデイと一緒になれないのを悲観して・・と思い込むが、実際は違うようだ。戦時中の苦しい思い出。生き長らえるためには、日々の経過の中に封じ込めるしかない。忘れようと努力し、忘れたはずだった。ところがある日突然の再会。そのとたんすべてが蘇ってしまう。危険の中で燃え上がった甘い恋の思い出なんていうことより、もっと深い苦悩があった。あの時裏切ったのは他でもない自分だった。それはどうしようもないことだったとは言え、連合軍を裏切ったことには変わりはない。同志は皆死んだのに、自分はどういうわけか生き残ってしまった。自分はあの時死ぬべきだったのだ。地獄のような日々の記憶がある日突然蘇るというのは、9話目もそうだな。今回はこれがテーマなんだろうか。ルイザの悲劇的な死と、それに続く哀愁漂うメインテーマ・・いいですなあ。これこそ「モース」です。「シャーロック」のようなハデさはないけど、心にしみ入るってのがこのシリーズの特徴。日本でももっと人気が出てもいいんじゃないかしら・・と、モース応援団の私は強く思います!それにしても沈痛な面持ちで葬式に出ている夫を、ウィンはどう思ったのかしら。いちおうルイザの自殺の原因は夫の死に絶望して・・ってことにされたけど。アラン役の人はジョー・バニスターとかいうらしい。これほどやわらかい感じの人も珍しいな。バリッジズは、配送係が連続殺人犯、在庫係が殺され、店員が自殺、警備担当が恐喝の常習・・とさんざんだが、従業員思いのアランのためなら・・と、みんながんばるだろう。

9 腐った林檎(ネバーランド)

見るのは久しぶりだ。前回見た後途中まで感想書いたけど、力尽きてそのままほったらかし。今回一から書き直す。あまりにも複雑で、どれが本筋なのか前回はわからなかったけれど、今回は登場人物の多さに閉口した。まだ出てくるのかよ~って感じ?題名は「腐った林檎」だけど、私のオツムも腐りかけなもんで・・。あと、名前の長さにも困った。メモを取るのが追いつかん!ウィンターグリーンにスタンディッシュにフェアブリッジ。それでも今回はNHKBSで、字幕がついてるからまだマシ。WOWOWで見た時は、地名や人名聞き取るのが大変で。ところでNHKBSでは違う題名つけてる。何で変えるのかいな。最初はびっくりしたのよ。こんなエピソードあったっけ?って。あと私は早くDVD発売されないかしらと定期的にチェックしてるんだけど、レンタル用は出ているらしいんだな。それがまた違う題名つけていて、何でそんなことしてややこしくするんだ?例によって冒頭ズラズラッと流れる。コリン・デクスターがちょこっとうつる。私は出たがりおじさんと勝手に命名しているけど、この頃はまだ生きていたんだよな。で、ズラズラの中には講義中のヘンリーとか、ジョージに声をかけるパーカーとかニコラスとかみんな出ていて。感想をより正確なものにするため、三回目も見たんだけど、回数を重ねると、実にうまく積み重ねて作ってあるのがわかるわけ。どこかの行き当たりばったりな映画やテレビ番組と違って、二回目三回目にも発見があって、一回見て終わりじゃない内容の濃さ。ただ、二回三回と見なきゃすべてがわからないというのもアレなんだけど。世の中みんながヒマ人とは限らないから。まず、事件が二つ起きる。トミーという少年が家出をする。父親のデイブに殴られたからだ。ファーンレー刑務所からジョージが脱走する。もう少しで出られるのになぜ今?モースはトミーを見つけるけど、近くにはジョージが隠れていて。トミーが家出したのは犬達のせいだが、あれはどうなったのだろう。今回はフォローされないことがいっぱいあるが、犬は手始め。それともフォローされたけどカットされているのか。線路脇でパターソンというジャーナリストの死体が見つかる。酒臭いから一見事故に見えるけど、殺人なのは明らか。

腐った林檎2

ドロシアの話では彼は”寡婦と孤児の集い”に出ていたとか。それにはウィンターグリーン参事やスタンディッシュ警察本部長、建設会社のランデスマンといった有力者達が出ていた。もちろんブライト警視正も。この頃の警視正はキャラが変化する前のやなおじさん。体面ばっか気にしてるし、モースのことも買ってない。ブレナム・ベイルというところに新警察を建設する予定だが、統合が進めば当然人員削減となる。この機会にサーズデイを教育係に回し、現場でなきゃ生きがいを感じない彼を退職に追い込もうという意図が見え見えのやなおじさん。元々はこういうキャラだったんだよな。どこでギアチェンジ・・じゃない、キャラチェンジしたんだろう。ただ、やなおじさんなのは確かだけど、腐敗不正とは無縁なんだよな。裏の顔を持つほど器用じゃない。話を戻してモースはウィンターグリーンやランデスマンに話を聞きに行くけど、パターソンのことは知らないと言われてしまう。トミーがまた家出したので、モースが前回見つけたあたりを捜していると、ジョージの死体が!刑務所へ行って調べようとしたら、モースの前に警官が来て私物を持って行ったと看守ワインライトに言われる。同房のパーカーに話を聞こうとすると邪魔するし、このワインライトの態度はおかしい。ジョージの過去を知ってる連中が彼に見張らせていたのか。と言うか、脱走してすぐ話を聞きに行かなかったのはなぜ?私物はなくなっていて、しかもどこの警官が持って行ったのか不明だけど、壁に貼ってある切り抜きは見落としたらしい。モースやサーズデイの心配はトミーのこと。もしかしたら彼はジョージが殺されるところを目撃したかも。早く保護しないと。一方州警察のディアー警察次長がモース達に接近してくるが、どうもうさんくさい感じだ。ディアーを見たジェイクスは様子がおかしくなる。ディアーは彼の名がピーターだって知ってたし怪しいぞ。それでいてジェイクスはサーズデイが嫌っているチャード警部補とは親しくしていて。ディアーはうさんくささいっぱいのハリソン・フォードって感じ。演じているのはジェームズ・ウィルビー。妙なことにパターソンもハリソン・フォードに似ているのだ。二日酔いでくたびれて調子悪そうなハリソン・フォード。

腐った林檎3

話を戻してジョージは昔少年矯正施設にいたらしい。その施設はすでに閉鎖されたが、建物は今でも残っている。しかも場所はブレナム・ベイルだ。モースが調べに行くと、懲罰記録などが残されていて。何で処分しなかったのかいな。そこで出会ったのがヒラリーという女性。ドロシアの話では閉鎖の二年ほど後で首吊り自殺があったそうで。ヒラリーは木の根元に花束を置いていたから、その木で首を吊ったのだろう。このあたりから施設の少年達がおぞましい虐待を受けていたことがわかり始める。新警察建設に絡む不正がメインかなと思って見ていると、あれれ?となる。その昔少年達を虐待していた連中が、今では有力者になってる。パターソンが過去を掘り返そうと嗅ぎ回り始めたのに危機感を抱き、殺してしまう。それだけならまだよかったけど(←?)、パターソンの訪問を受けたニコラスがその後警察からも接触され、昔の仲間に新聞広告を使って招集をかけたと。そんな余計なことするからジョージは脱走し、命を落とすことに。つまり今回のメインは、腐敗した大人達のせいで人生を狂わされた少年達の悲劇だと・・そういうことですな。ニコラスやヘンリーの話からだんだん過去が明らかになっていく。ある時新しい所長が来たが、それがウィンターグリーン。虐待された六人の少年が復讐しようと彼の車に放火。その後ビッグピートがいなくなる。彼らに殺されたに違いない。でも警察に訴えても相手にされない。もう一人のリトルピートがジェイクス。彼は放火の仲間の名前をしゃべってしまう。その後ずっと彼は仲間を裏切ったという後悔にさいなまれながら生きている。記憶を封印しようとする。彼がワルを気取ったり、チャードと親しくするのは一種の自己防衛だろう。強い方についていれば安心という・・。今ではニコラスは事務員、ヘンリーはカレッジの講師、ベニーは腹話術師だ。ヘンリーはヒラリーと結婚していて、首を吊ったのはヒラリーの兄だか弟。そのエドを好きだったのが施設の医師フェアブリッジの娘で、今はウィンターグリーンの秘書をしているアンジェラ。はい、もうここらへんになると何が何やらですな。書いてる私からして目を回しております。途中でモースがゴルフをしているウィンターグリーン達に話を聞くシーンがある。

腐った林檎4

他のメンバーはチャードにスタンディッシュ、ランデスマン。プレーの邪魔をしたモースに、ウィンターグリーンが「罰を与えなきゃ」とか言うけど、これが!昔の悪行をほのめかしているんですよ。ベニーが使っている腹話術用の人形が不気味でいい。ベニーとヘンリーとニコラスが集まるんだけど、翌日ウィンターグリーンが殺されているのが見つかる。いかにもこの三人が殺した・・って感じでここらへんもうまい。でも後で違うってわかるんだけど、だとすると何のために集まったの?ビッグピートの死体捜しの打ち合わせ?そう、ヘンリーは六週間も考古学の調査という名目でそこらを掘り返している。大事な仲間のためだもんね。ラストで四人集まってたけど、ヘンリー、ヒラリー、ニコラス、ベニー。ジェイクスはいない。たぶん彼は過去から逃げ続け、これからもそうする。次のシーズンで警察やめてアメリカへ行くけど、それだって逃亡の続きと言えなくもない。まあ彼は六人の中では一番小さかったから無理もないんだけど、サーズデイ応援のため、モースが加勢頼んでも動かなかったし、たぶんモースが無実の罪で逮捕されても何もしなかったんじゃないかな。さてと・・いくら書いても終わらないぞ、困ったな。いちおうそろそろ大詰めなんだけど。腐敗や闇の勢力を根こそぎぶっつぶすぞと言ってることは頼もしいけど、いかにも怪しいディアー。モースはエドの首吊りを捜査したのが彼とチャードだと新聞記事で知って、とうとう真相に行き着く。虐待に関与していたのはウィンターグリーン、ランデスマン、フェアブリッジ、ディアー。スタンディッシュは無関係だった。パターソンやジョージ殺しはわかるけど、ウィンターグリーンを殺したのはなぜかと不思議がるサーズデイに、モースはこれだけは別人の犯行と断言。何とアンジェラの犯行だと。この時点では根拠が弱すぎるけど、今回は彼の推理が当たっていたようで。彼女はジョージ殺しの新聞記事を見て、封印されていた記憶が蘇ったのだ。その前にモースは車の中にいてチャードに狙撃されるけど、ここらへんは何がどうなっているのかよくわからん。チャードはあの後どうなったのだろう。ケガはしたかもしれないが、生きてるはずだ。また、モースを撃つ警官が一瞬うつるけど、あれは誰?チャードの部下で、刑務所に行ったのはあいつかな・・なんて思ってみたり。

腐った林檎5

とにかくこういうパパッ、チャチャッといううつし方は困るのよ。ちゃんと見えるようにうつしてよ。さてストレンジもジェイクスも協力してくれず、二人でディアーと対決することになって、さあ・・となるけど、何もしないうちにサーズデイは撃たれて昏倒。撃ったのはディアーで、本性あらわす。モース大ピンチだが、ディアーはアンジェラに撃ち殺される。ってことはあの車の音はアンジェラの?彼女は父を殺し、ディアーを撃つと、自分を撃って自殺。警視正が駆けつけ、サーズデイは救急車に、そこまではよかったけど、モースはスタンディッシュ殺しの犯人としてキドリントン警察に逮捕されてしまう。ディアーはモースのマフラーでスタンディッシュを絞殺。たぶんこの罪でモースを撃ち殺し、サーズデイともども葬り去ろうとしていたのだろう。悪いやっちゃ。いちおうトミーも見つかる。結局彼は何にも覚えていないらしい。このまま家に帰されても父親の暴力は続くわけで、何の解決にもなっていない。ビッグピートの死体が見つかったかどうかも不明。でも・・見ている人はきゃーモースどうなるのッ!!ってそっちの方が気になると思う。急いでNHKBSのHP見て、第10話放映予定はないかと捜したはず。でも何にも載ってなくて、また「シャーロック」やりますよ~って、ちッ、そんなのどうでもいいんだってば。あたいの知りたいのはモースの運命なんだってば!と思ったはず。ラストの、監獄での放心したようなモースの姿を見て、今すぐにでもトンネル掘って助けに行きたいと思ったのはあなただけではありません!まあ10話をすでに見ている者から言わせてもらうと、心配も楽しい(←?)妄想もするだけ無駄です。10話のところでも書いたけどほとんどすべてスルーされますから。そこがもったいないと私は思うんですけどね。無実の罪で投獄され、誰も助けてくれなくて絶望しているモースなんて・・こんなおいしい境遇めったにありませんぜ。ここぞとばかりに描写するのが普通なんじゃないの?ウィンターグリーンの妻ヘイゼル役サラ・ウッドワードは「雲をつかむ死」に出ていたな。ジョージ役の人はちょっとベネディクト・カンバーバッチに似ていて気になるが、IMDb見ても名前載ってない。どして?