新米刑事モース~オックスフォード事件簿 シーズン1

1 華麗なる賭け(ある晴れた日に)

WOWOWでやったのを録画。今月末からまた続きをやってくれるらしい。モース警部物は読んだことも見たこともなし。今は続編より前日譚やることが多い。「ホームズ」とか「スタートレック」とか。何となくネタ切れという気も。モース物をよく知ってる人は、見ていていろいろ思い当たるんだろうけど、私はな~んもわかんなくて、ただ見てるだけ。WOWOWでもいろんなテレビシリーズやるけど、英国製とあるとちょっと期待してしまう。「ポアロ」や新しい方の「ミス・マープル」は、原作からかけ離れたトンデモ作品に成り下がっているけど、これはどうかな?1965年のイギリス・・雨の中を走る車。運転手が見かけたずぶぬれの若い女性。どこかのお屋敷でゲームか何かをする男性。後ろで何やらうごめいているのは・・若い女性達?カーシャル・ニュータウン警察の刑事巡査モースは退職願をタイプしている。メリーという少女が失踪、モースも捜索のためオックスフォードへ。彼は一時オックスフォード大学にいたらしい。大学に残り、今では教えているアレックスと再会したりする。彼は出世・・学長の座を目指している。大学を途中でやめ、軍に入り、今では警官・・しかもそれもやめることを考えているモースとは大違いだ。モースは時々ぼんやりし、幻を見る。死体を正視できず、解剖ではぶっ倒れる。オックスフォードの学生マイルズが死体で見つかる。一見したところ自殺に見える。このところ様子もおかしかったと言うし。次にメリーも死体で見つかる。彼女はマイルズの他に自動車整備工のジョニー、教授のストロミングともうわさがあった。まだ15歳なのに中絶の経験もあるらしい。ストロミングの妻ロザリンドは元オペラ歌手。モースは彼女の大ファンなので、会えて大感激だが、調べていくうちにストロミングの容疑が濃くなってくるのは気が重い。ストロミングとメリーは、新聞に載せたクロスワードパズルを利用して密会していた。彼は無実を主張するが・・。そのうち冒頭の運転手が出頭し、メリーらしき女性を見たと証言。当初推定された死亡時刻よりずっと後までメリーは生きていたことになり、ストロミングの容疑は晴れる。モースは面目丸つぶれ。名乗り出た男性は獣医。冒頭、袖口についた血を洗う、「インソムニア」みたいなシーンがある。

華麗なる賭け2

それで、てっきり・・と思うが、引っくり返る。・・と言うか、冒頭のシーンなんかもう忘れている。二回目見てああそうか・・となる。この作品は冒頭で何の繋がりもない出来事を次々に見せるのが特徴。だから二回目見る時も(意味がわかって)楽しめる。メリーの事件とは別に、この町に巣食う邪悪な雰囲気も描かれる。二つは本来関係ないのだが、見ている者を混乱させてやれとばかりに、交互に描かれる。おかげで私は最後まで犯人がわからず・・作り手の意図にまんまとはまりましたとさ。一見複雑そうに見えても、無関係なものを取り除いていくと、残ったものは意外と単純なものだが、この事件もそう。元々はストロミングとアレックスのつまらない賭けがきっかけ。無教養な少女を教育し、オックスフォードの学生として通用するかどうか。階級意識丸出しの高慢ちきなやつらの考えそうなゲーム。そのうちストロミングはメリーと関係を持ってしまう。マイルズからそれを聞かされたロザリンドは大ショック。輝かしいキャリアを捨ててまで築き上げた家庭を壊してなるものか・・と、メリーを殺害。マイルズを誘惑し、利用し、自殺に見せかけて殺し、罪を転嫁。夫のアリバイを作るため、メリーの死亡時刻を偽装。獣医が見たのは、メリーに化けたロザリンド。印象に残るよう目立つ服を着る。二着買って一つは自分が着、その後処分。もう一着はメリー用。彼女のミスは、同じサイズのものを買ってしまったこと。自分にはぴったりでも、太り気味のメリーにはきつい。それに・・同じのを二着というのは、店員の印象に残るに決まってるじゃん!それと彼女は服を買うのに変装さえしていない!彼女が犯人と知ったモースは大ショック。崇拝し、今では恋している。凝りすぎの描写のせいで何が何だかわからないが、彼女は勾留された後自殺したようだ。普通に見せろ!この事件とは別にカーディーラー、サミュエルズの件がある。彼はある人物の屋敷でパーティを主催する。好奇心に駆られた愚かな少女達が集まる。クスリを盛られて知らないうちに恥ずかしい写真とられる。冒頭後ろでうごめいていたのは彼女達か。少女の一人は警視正の娘だし、ゲームやってた男性・・屋敷の持ち主・・は何とか大臣だ。市警のロットは、サミュエルズの犯罪見逃す代わりに賄賂受け取っている。

華麗なる賭け3

町全体がサミュエルズに支配されているのだ。ただ、彼がそんな凄腕のワルには全然見えないのが難点。ただのケチな小悪党。そのうち彼はメリーの姉シャロンにボコボコにされてしまう。命は取り留めたものの再起不能(たぶん)。どうやらメリーを妊娠させたのは彼らしい。セリフがあいまいではっきりしないが、メリーはシャロンとサミュエルズの間にできた子供らしい。つまりサミュエルズは自分の娘と関係したわけで、シャロンが怒り狂うのも無理はない。まあとにかく入り組んでいて、わかりにくくしてある。おまけに出てくる人が・・顔が似ていて区別がつかん。ただ、1話も2話もイケメンがぞろぞろ出てくるのでそこはよろしい。1話では目ぢからランランのジョニーが特によろしい。マイルズの死体を発見する青年もたぶん美形。モース役ショーン・エヴァンスは「BOY A」に出ていたらしい。ひょろっとしていて頼りなさげで、母性本能くすぐるタイプ。マルコム・マクダウェルをあく抜きして、悪ガキでないユアン・マクレガーをミックスするとエヴァンスになる。サーズデイ警部補役ロジャー・アラムは知らない人だが、重厚。ストロミング役の人は「ポアロ」に二回ほど出ているようだ。ロザリンド役フローラ・モンゴメリーも「ポアロ」の「アクロイド殺し」に出ていたらしい。どいつもこいつも記憶にございませ~ん。あと、「モース警部」シリーズの原作者コリン・デクスターが、パブのシーンでちょこっと。この作品でよく知ってる人と言えば、ロット役ダニー・ウェッブくらいか。彼、ちょっと老けたかな。サミュエルズ役の人は、調べてみたら「ミス・マープル」の「パディントン発4時50分」のハロルドだった。あっちも(原作にはないけど)兄嫁をレイプする卑怯な役だったな。さて、昔のモース警部シリーズで主演していたのは、ジョン・ソウ。車のバックミラーに、将来のモースとしてちらりとうつるが、ソウ自身は2002年に60歳で病死。早すぎるね。娘のアビゲイル・ソウが新聞社のシーンで出てくる。彼女はこの後も何度か出演するようで。てなわけで、期待の1話目。見終わって満足したかと言うと、そこまではいかないんだけど、何となく心引かれるものはあって。アメリカ製とは明らかに違う湿り気が、風景にも人間にも感じられる。音楽も心にしみ入る。合格よ!

2 毒薬と令嬢(泥棒かささぎ)

医者のフランクは、妻ヘレンの妹パメラと不倫している。パメラは夫のジェラルドを事故でなくした未亡人。息子のボビーはヘレンが育てている。それと言うのもパメラには病気があり、時々発作を起こすからだ。フランクは医者として義妹を監視していたが、そのうち恋愛関係に発展。実はボビーの父親はフランクだった。彼はパメラに生活費として為替を送金。パメラはそれを換金。そのうち郵便局(と言っても雑貨店兼用)のデレクは、二人の関係に気づく。金になりそうだ・・と、だめもとでフランクを脅してみると、見事引っかかってきたので、薬・・アンフェタミンを病院から横流しさせる。秘書の学校に通うマーガレットは、オックスフォードの学生デニスと付き合っているが、本命はデレクのようで。彼女の死がそもそもの始まり。心臓に持病があり、医師プレンティスの指示で薬を飲んでいた。ちゃんと飲んでいれば発作は起きないはず・・とプレンティスは不思議がる。後でマーガレットの死因はアンフェタミンのせいとわかる。次にフランクが殺される。住まいから離れた公衆トイレという、妙な場所で発見された。もちろん彼はここをデレクとの薬の受け渡し場所にしていたのだ。トイレ横には自転車が置いてあり、後で牧師のモンクフォードのものだとわかる。彼は盗まれたのだと言い、モースが軍の通信兵・・暗号を扱っていたことを知ると、興味を示す。何かを知っているらしい牧師も殺されてしまう。ヘレンやパメラの父親エドマンドは、オックスフォードで物理を教えている。脅迫の手紙を何通も受け取っているが、それはデニスの仕業だった。エドマンドはアメリカのスタンフォード大学から招かれている。数十万人を殺す核爆弾の開発に関わるとは何事だとデニスは怒る。子供ができず、フランクともうまくいってなかったヘレンは、ボビーに執着。エドマンドも、パメラに育児は無理と主張する。しかしモースはパメラの味方だ。時々発作を起こし、精神的に不安定な彼女だが、だからと言って子供を取り上げていいことにはならない。さて、殺人事件以外にも世間を騒がせていることがあって、ガス料金の集金詐欺と、郵便局強盗。デレクとその父クラークがやっている局も襲われ、二人とも負傷する。しかしモースはこれが狂言だと見抜く。きっかけは集金詐欺の男がつかまったこと。所持していたお金の中にコインがあった。野宿していた若者を泊めてやったのにコインを盗まれた・・牧師のところの家政婦がそう話していた。ガス料金をコインで支払った若者は美容師。

毒薬と令嬢2

どうやら牧師は同性愛者で、この若者にカモにされたらしい。コインを盗んだって訴えられる心配はなし。牧師という立場が危うくなるようなことはすまい。牧師が公衆トイレへ行ったのは男あさりのためらしいが、偶然フランク殺しの現場に行き合わせてしまった。犯人は顔見知りだから、自分も狙われるだろうが、誰に殺されたかわからないままになってしまうのでは無念だ。そこでモースにヒントを残しておく。う~む、自分の命が危ないとなったら事情を話して犯人逮捕してもらうはずだが。殺されるより自分が変態だとばれる方がマシだと思うが・・。話を戻して、牧師も戦時中暗号に関わっていた。で、モースは見事解読。犯人はクラークだった!いろんな出来事を整理するとこういう流れになる。もちろん描写はこんなふうにきちんとはしていない。ごちゃごちゃしていて、何が何だかわからない。事件の関係者だけでなく、警察側もいっぱい出てくるので、ますますわからなくなる。モースとサーズデイ警部補、警察医デブリン、モースを手伝ってくれる気のいいストレンジ・・これくらいならすっきりしてていいのだが。事件の他にモースの引き起こすごたごたも描かれる。若くて経験不足ということで、ブライト警視正は彼に冷たく当たる。ブライトは新任。前の警視正はどうなった?・・それでなくてもモースは思い込みで正規の集金人を逮捕するなど失策をやらかすので、サーズデイもかばうのが大変。そのうちパメラはフランク殺しの容疑で逮捕されるし、モースは捜査をはずされ、事務へ追いやられる。うまくいかないことばかりだが、彼は勝手に捜査を続ける。で、見事解決する。解決したとは言え、クラークの動機はちと弱い。妻をなくし、男手一つで苦労して育てたものの、デレクは素直に育ってくれない。フランクを脅し、薬を手に入れ、そのせいでマーガレットは死亡。デレクを守るためフランクを殺したが、牧師に見られてしまった。次から次へと罪を重ねることになってしまった。疑いをそらすため強盗被害を偽装するが、牧師が残した手がかりのせいで、みんなばれてしまった。本物の強盗に見せかけるため、手口をまねて指を切断。そんな痛い思いをしたのに、苦労はすべて水の泡。ホントバカだよねえ。一見普通そうに見える家、幸せそうに思える家族・・でも裏では不仲、不倫、病気、子供の反抗・不始末、同性愛、脅迫、ゆすり・・ありとあらゆるものが潜んでいる・・そういうことを描きたいのかな。ちょっと盛りだくさんすぎる気もするけど。

毒薬と令嬢3

今回もモースのキャラはいい。特異な才能はあるけれど、失敗もする。クロスワードパズルが好きで、オペラも聞く。1話のロザリンドのレコードが出てくる。いまだに面影を引きずっているらしい。おセンチなやつだ。パメラの激情に恐れをなすが、臆病なので何もせず、本を朗読して寝かしつける。何となく「ヒア アフター」風味。こういう・・大人しくてやさしくてひっそり生きているタイプは私好み。今の完全な草食系が、年齢と共に変化するのか。後年のモースには今の面影なしだもの。こういうのを見ると、いつもなら早速原作捜しとなる私だが、今回はならない。酒好き、女好きの肥満中年男じゃなあ・・。ラスト、息子を取り戻したパメラはどこか遠くへ行くとバスに乗る。父と姉は渡米するから、生活費とかどうするのだろう。財産分けてもらえたのかな。エドマンドはパメラの言動が気に入らなくても、孫のボビーのためにはちゃんと手配したはずだ。パメラは縁を切るつもりらしいが、子供を抱えて生きていくには先立つものが必要。とにかくモースは見送るしかない。渡米と言えばヘレンの方はどうなったのだろう。夫をなくしてもちゃんと次のがいる。プレンティスだ。元々知り合ったのは彼の方が先だったのに、フランクに求婚されてつい受けてしまった。今になって思えば私はプレンティスが好きだったのだ。フランクよりも!で、結婚するんですか?プレンティスも渡米するんですか?何だかはっきりしないうちに終わっちゃったぞ。見ている者ってこういうちょっとしたことの方が気になるものだ。謎の数字・・ジャーン!元素番号・・ジャーン!元素記号が実は人の名前・・犯人の名前を指し示しているのだ、ジャーン!そういうのもいいけどさ、二人はくっついたの?離れたの?エドマンド役ジョナサン・ハイドには見覚えがある。「アナコンダ」に出ていた人だ。ヘレン役オリヴィア・ブラントは「ポアロ」の「複数の時計」に出ていたらしい。パメラ役の人は「ザ・ダーク」のサラ。プレンティス役の人は「沈黙のステルス」に出ているらしいが、まだ見てない。録画したままはや数年・・。それにしても・・1話目で出てきた時のモースは退職を考えていたのにそれもなくなって。それもこれもサーズデイに出会ったからだろう。才能があっても人間的にはまだ未熟。まわりとうまくいかないこともしばしば。でもサーズデイは彼の才能を伸ばし、やりすぎにはストップをかけてくれる。「新米刑事モース」は、単なる事件解決物ではない。最良の理解者に出会えて人生が変わった、若者の成長物語だ。

3 殺しのフーガ

待ちに待ったモースの新作。3話続けて放映なんて・・そんな大安売りみたいなことしないでよ。もったいないから1話ずつ見るわ。感想を書いたらその後もう一度見て、確認して、それから清書するの。で、パソコンに打ち込んで印刷して間違いがないか確認して・・だから時間かかるのよ。いつも入り組んでいるけど、今回はものすごく複雑・・ってほどではなかったな。犯人は予測つくし、描きたいことは別にあるような気も・・。最初の被害者は、若くて美人の人妻エヴリン。浴室をピンクに改装してもらった時、業者のロイと親しくなって、不倫が始まった。気の弱い亭主は口に出せず、悶々。ある晩エヴリンは絞殺され、ロイが疑われる。よくある痴情のもつれか。ロイ役は何とお久しぶりのレックス・シャープネルだ。「サンダーバード」の頃とあんまり変わっていない。エドワード・ビショップにますます似てきた。何ということもない役だけど、顔を見られただけでうれしい。・・と言うか、この「モース」・・ノーカットではなく、少し削られているらしいんだよな。民放ならそれもありだけど、WOWOWでそれをやるってどうよ。シャープネルの出番も絶対カットされてるに違いないわ!話を戻して、次にグレースという女性が殺される。エヴリン殺しと関係があるなんて誰も思わないが、モースはオペラという共通点があるのに気づく。彼は前回の続きで、事務方に追いやられたまま。サーズデイの助手ジェイクスは、モースに嫉妬してか、冷たく当たる。ジェイクス役の人はジャスティン・チャットウィンとロバート・パティンソンをミックスしたような感じ。なかなかの二枚目だが、眉間にピピッと電気が走っているような険しさがある。いつもタバコを吸っていて、犯罪現場・・エヴリンの死体のすぐそばでも吸っているのにはびっくりだ。途中で、今ではすっかりモースと仲良しのストレンジが、ジェイクスのことを、あんなに金回りがいいのは情報を新聞社に流しているからだ・・って言うんだけど、そのうち彼まずいことになるのかしら。彼の意地悪にモースが眉をひそめたり、首を小さく振ったりするのがかわいい。殺人が続けて起きたので人手が足りず、モースはグレースの事件を調べることに。

殺しのフーガ2

彼女の死因はチョウセンアサガオによる毒殺。彼女にはフィリップという甥と、フェイという姪がいる。フィリップは精神が不安定。エヴリンの亭主とか、このフィリップ出してきて、犯人かも・・と思わせたいのか。グレースの財産は甥姪に行くので、これが動機かも・・と思ったのは確か。いらついてるフィリップではなく、冷静なフェイの犯行かも。動機を隠すため、他の人も殺したとか。グレースと面会の約束をしていたニモという人物を捜すモース。その頃、精神科医で、犯罪心理に詳しいというクローニンが助言に現われる。唐突だし、言ってることはあんまり実がないので、こいつが犯人だな・・とわかる。犯人はすごく頭がいいと、さんざんほめる。誰もほめてくれないから、自分で自分をほめる。犯人はつかまらない・・現に目の前にいるのに、誰も気がつかない。犯人には心がない、他のと違い特別だと強調する。他のやつらと一緒にされてたまるか。壁に貼られた資料や写真を見て、自分の腕前に興奮している。そのうちニモという男の死体が見つかる。犯人は彼の名前を使ってグレースと会ったのだ。殺害現場にはモースのうつった新聞の切り抜きもあり、彼はショックを受ける。外側から推理・捜査しているぶんにはいいけど、当事者になるのってすご~く嫌な気分。彼には無言電話もかかってくる。音楽・・オペラに詳しく、クロスワードなどパズルも得意・・そんなことから目を付けられたのだ。どちらが頭がいいか・・もちろんこっちに決まってる。ニモの死体発見現場に現われたクローニンは、昔会ったキースという少年の話をする。殺人を犯し、病院へ入れられ、完治したとして釈放。音楽の才能があり、オックスフォードの出身。ここへ戻ってきて、自分の作った殺人リストの通りに殺して回っているのか。後でクローニンは殺されるけど、顔が焼けて判別できないので、見てる人誰も本人だと思わない。・・と言うか、殺されたのが本当のクローニンで、モース達の前に現われたのがキースなのだ。デビーという少女が誘拐され、危ういところで救出されるが、これはただの余興。本命はクローニン。とにかくキースは殺人をゲームとして扱い、警察を翻弄して喜んでいる。

殺しのフーガ3

クローニンの死体について、警察医のデブリンが、不潔だと首をひねるシーンがある。腕には注射のあとがいっぱいあり、モルヒネ中毒だったようだ。中毒患者はえてして不潔・・と、その時はそれで通り過ぎるが、後で犯人によって故意に薬漬けにされていたことがわかる。あまり早く殺すと死体が古くなってつじつまが合わなくなるから、キースが彼に化けて動き回っている間、監禁しておく。ベッドで寝たきり・・お風呂にも入れず・・それで不潔だったのだろう。さて、モースは図書館でキースらしき男にナイフで切られるが、幸い軽傷ですむ。新聞社のドロシアの協力で、クローニン(のニセモノ)の言ってた事件の内容が判明。1943年に起きたその事件の犯人は(キースではなく)、ガルという名前。クローニンと名乗っていたのはガル本人。当時自分を裁いた判事とか、死体の発見者とか、そういった関係者に復讐しているのだ。本人がすでに亡くなっている場合は、娘(エヴリンがそう)とか妻(グレースがそう)を代わりに殺す。エヴリンが不倫していたことや、フィリップがいらついているのは、事件そのものとは全く関係がない。たまたまそういう状態だったと言うだけ。だからロイは疑いが晴れて釈放される。フィリップがいらついていたのは、ピアノの独演会が迫っていたからだ。モースが(刺されたのではなく)切られたのは、ガルの仕事ぶりを伝える役目があるから。多くの犯罪者同様ガルもうぬぼれや。自分の手柄を吹聴したくてたまらない。昔自分をつかまえたやつらに復讐してやるという動機は、特別でも何でもなくありきたりだが、ガル自身はそう思っていない。今回はそういうわけで、あまり新鮮味はない。犯人はすぐわかるし・・そう思いながら見ていたら・・ガルの最後の標的・・Fがつく名前だとわかっていて、だからみんなはフェイが危ない・・と思い込むのだが・・フレッド・サーズデイのFだったとは!ここはびっくりしましたな。モース以上に当事者じゃん!彼も当時捜査を担当した警部の身代わりなんだけど、ガルにとってはそんなの関係なくて。屋上から突き落とされるのか、ナイフで刺されるのか・・大ピンチなのにサーズデイは悠然としている。だいたいいきなり後ろから襲いかかって突き落とすとか刺すとかすれば問題なかったのに、それをしなかった。声をかけ、いろいろしゃべった。

殺しのフーガ4

観客が集まって見てくれているのでなければ・・一部始終を記録し、後世に伝えてくれるモースが来てからでなければというこだわり。そんなことやってるからスキが出て取り押さえられる。すぐ行動しなかった時点で、もう失敗してたのよ。つかまってもガルは復活を宣言する。たぶん今回も精神異常ということで病院へ送られるだけなのでは?今回は思いがけなくサーズデイの家庭も描かれる。いつものように「今日のサンドイッチは何かな」というセリフもあって、こっちもついにっこり。奥さんは意外としなびていたな。もっと若い人出してくるかと。娘のジョアンは美人だが気が強そう。何のかのとまわりに突っかかるタイプ。弟のサムはなかなかのハンサムで、大人しそう。二人とももう社会人だから、奥さんがしなびてひからびて(おいおい)いるのも当然か。私はサーズデイには柄にもなく若い奥さんがいて、子供もまだ小さいとか。子供は一人か二人で、両方女の子で。そのせいで男の子も欲しいなあ・・と思っていて、モースがちょうどその代理で。そんなふうに妄想していたんだけど。モースが未来の婿・・ジョアンの伴侶にどうかな・・って思って、それで目をかけているのかしら。大人しいけど意地っ張りだから、案外ジョアンにも対抗できるとか。出勤するサーズデイに、奥さんは「無事戻ってよ」と不安げ。銃をバンバンぶっぱなすアメリカとは違うとは言え、やっぱり今回のような危ない目に会うこともあるわけだし、警官の奥さんは大変だな。サーズデイは家には仕事を持ち込まないというルールを自分に課している。異常な事件や犯人を相手にしても、正気を保つにはどうすればいいのか。モースがぶち当たったのがその悩み。多くの犯罪者は自分は特別・・と言う反面、君も私と同じだと言ったりする。ガルに言われたモースは動揺。ガルを狂気に駆り立てる高度な知性・・それを自分も持っている。ガルのようにならずにすむにはどうしたらいい?サーズデイの場合は当然家族が最後の砦だ。モースの場合は?音楽しかない。恋人でも家族でもなく、音楽というのがいかにも彼らしい。あたしゃてっきり・・サーズデイ警部補、あなたが私を心の闇から救ってくれるただ一人の人・・最後の頼みのツナ缶ですと言うかと・・。いずれにしても、今回描きたかったのは、この部分じゃないかと・・。ガル役の人はクリストファー・ランバートにちょい似。

4 犯罪相関図(ファミリービジネス)

今回もまたごちゃごちゃと・・。誰が誰やら、何が何やら。だから二回見る。ブリティッシュという会社がある。昔から兵器を作っている。今度は新型ミサイルをアラブのハシミテ王国へ売ることになっている。巨額の金が動くから、一つの企業の話ではなく、イギリスにとっても重大事。お披露目にはマーガレット王女も来るし、ハシミテの皇太子も。モースのような事務方まで警備に駆り出される。あら?前回の手柄で事務方ではなくなったのでは?セレモニーがすんで、みんなやれやれという時、マレソンという組立工の死体が見つかる。セレモニーとは無関係だろうが、警視正は警備のミスということで、クビが危うくなるのでは・・とイライラ。会長のブルームは、妻のノーラとうまくいっていない。後継者として期待されていた長男ハリーは病死。次男のリチャードは何かというと兄と比べられるせいか、昼間から酒を飲む。三男のジョニーもさして取り柄はない。娘のエステラは乗馬が趣味。家族の心はバラバラで、ブルームはフランスの企業と合併したいが、ノーラは反対。工場では事故が起き、そのせいで皇太子もミサイルの購入を思案中。開発には大金を注ぎ込んでおり、このままだと会社は一年も持たない。そこへきてこの殺人事件だ。厄介だの迷惑だのと言う一家に、モースはかちんとくる。誰もマレソンの死を悼まない。マレソンは企業側のスパイだと思われ、従業員達は彼を敬遠していた。事故のせいで停職中のフロストは、マレソンを恨んでいる。しかもセレモニーの当日、停職中なのに工場へ来ており、怪しい。どうも彼は皇太子に雇われ、スパイのようなことをして、金を稼いでいたらしい。彼には家族がいて、仕事がないのは困る。そのくせ金をもらうとすぐ使ってしまうのがいかにもその日暮らしの労働者という感じ。そのうち彼も死ぬ。工場の窓から忍び込み、極秘書類を持ち出そうとして感電死。その少し前にはやはり落下事故があり、従業員が負傷。職場代表トレースパーセルは怒ってストライキ宣言。フロストの件も事故・・経営側が安全管理を怠ったせいということに。でも、落下事故は殺人を事故に見せかけるためのお膳立てというのはすぐわかるし、トレースパーセルの態度もわざとらしいので、彼が怪しく思える。

犯罪相関図2

一方モースの調べで、マレソンは12年前のオリーヴという女性の失踪事件の容疑者ケンドリックだったことがわかる。二人は恋人だったが、オリーヴにはすでに別の・・年上で嫉妬深い恋人がいたらしい。つかまるのを恐れ、ケンドリックは国外へ。最近になって戻り、マレソンと名乗って入社。オリーヴの失踪にはブルーム一家の誰かが絡んでいると思い込み、調べていたらしい。そのうち恋人はハリーだったことがわかる。リチャードはオリーヴの死体を見つけ、てっきり兄の仕業と思い込み、埋めてしまう。もしケンドリックが無実の罪で危なくなりそうなら何とかしようと思っていたが、彼は行方をくらましたし、ハリーも病死したしで、今まで黙っていた。彼が酒を飲むのは、心に抱え込んだ秘密のせいか。みんながハリーの優秀さを言う度に、自分が尻ぬぐいしてやったのだ・・と思ったことだろう。リチャードの告白に皆驚く。オリーヴの件では皆何かしら隠していたり疑っていたり。ブルームはリチャードがオリーヴ殺したと思っていたようだし。とにかく今回のことで膿が出たと言うか。ノーラはブルームの引退と引き換えに、合併を承諾。後継者は彼女の提案でエステラに決まる。名前を言う前にリチャードが「賛成」と言うのが・・。何だか彼が気の毒で・・。決して能なしではないと思うのだが。エステラは馬にしか興味ないように見えて、意外と有能。密かに皇太子を訪れるシーンが挿入されるが、色じかけで商談成立させようと?その後のことは何も描写されないが、カットされたのか。と言うか、このシーンがあること自体おかしいのだが。トラブル続きで購入をためらっているとモース達に話すのは、エステラ訪問の後だし。いずれにせよ今回の事件は上からの命令で表沙汰にはならない。ミサイルを売るのに支障が出てはいけない。マレソン殺しはフロスト、フロストの死は事故、オリーヴは死体が見つかっただけでもよしとしなければ。モースは歯がゆがり、サーズデイに怒りをぶつける。今回モースは、大学の頃知り合ったアリスと偶然再会。あの頃モースにはスーザンがいたから、アリスのことはよく覚えていない。

犯罪相関図3

彼女は1話目に出てきたアレックスと付き合ってたようだが、実際はモースに興味あって。今はブルームの個人秘書で、なかなか有能なようだ。とは言え、ノーラに夫との関係を疑われ、嫌な思いをすることもしばしば。マレソンの死体を発見したのもアリス。彼女はモースに積極的にアプローチ。とうとう一夜を共にするが、翌日には別れを切り出す(早!)。自分から近づいておいて何だよこの女!もちろんモースは呆然。その次に見た時には、アリスはジョニーと親しげに・・。彼はアリスに気があるんだと思う。車で家まで送るなど親切にしてやってる。アリスも彼のこと嫌いじゃない。でも、心のどこかではずっと・・振り向いてもらえなかったモースのことが引っかかっていたはず。あれを清算しない限り・・。偶然再会した時にはチャンス!と思ったはず。今度こそ自分に目を向けさせることができるはず。スーザンはいないし、彼は孤独そうだし。で、首尾よくモースをものにしてしまうと、もう心残りはなくなって、将来への計算が働き始める。ジョニーは大企業のボンボン。ブルーム引退となれば、個人秘書の仕事はなくなるかも。だったら永久就職!安月給の刑事巡査なんか比べものにならない。それにモースは変人で難しい性格。出世するタイプではない。スーザンに似せて髪をアップにし、彼女の身代わりでもいいから・・なんて思ったけど、それじゃあやっぱり嫌。一夜を共にして離れがたくなるかと思ったらそうでもない。案外さらりと別れられそう。となったら話は早い方がいい。向こうがすっかりその気になって、ごねられたらまずい。ジョニーに気づかれてもまずい。・・などと妄想全開になってるが、ホント彼女一度味を見たからもういいわ、青春の思い出はこれで卒業って感じで憎たらしい。アリスに振られても何も言えないモース。サーズデイには怒りぶつけたのにねえ。二人で見に行こうと映画の切符を二枚買っていたのに、一人で行くはめに。切符があるならストレンジ誘えばいいのに。彼はいつも本当に親切で、モースのこと心配してくれている。そのわりにモースの方は・・温度差があると言うか・・ちゃんとお返ししていないって感じで。

犯罪相関図4

映画の前にはニュース映画が流れる。ミサイルお披露目のセレモニーだ。それを見ていたモースは、あることに気づく。リチャードの供述通りオリーヴの死体は見つかった。そばには何かのかけらもあったけど、12年もたっているから、遺留品なのかゴミなのかもわからない。冒頭電柱がうつる。うつし方が念入りなので、何かあるなと思う。かけらは汚れているので、すぐには何なのかわからないが、きれいにすると、電柱に取りつけられた絶縁体なのだとわかる。トレースパーセルは以前電柱に上って仕事していたのではなかったか。ケンドリックはブルーム一家を調べ始めたものの、何も見つからない。で、誰かに事情を打ち明け、協力してもらおうと思ったが、相談相手が当のオリーヴ殺しの犯人だったわけだ。ニュース映画にうつったトレースパーセルは、最初は上着を着ていたのに、セレモニーの時には着ていなかった。犯行現場の近くにはペンキ塗り立てのところがあって、モースも袖を汚してしまった。トレースパーセルもケンドリックを殺す時上着にペンキをつけてしまったに違いない。・・てなわけで事件は解決。犯人が見つかった以上、全面的にもみ潰すわけにはいかなくなったが、これで警視正の首も繋がった。サーズデイはモースの手柄だと注意を促すが、警視正はうわのそら。きっと全部自分の手柄にするのだろう!関係ないけど、ブルーム邸がうつった時、何だか見覚えがあるような気がした。「名探偵ポアロ」の「クラブのキング」でうつった家と似ているような・・。もう一つ・・関係ないけどアリスを見ていて「サンダーバード」のミンミンを連想した。あまり裕福な生まれではなく、庶民的な感じだが、黒髪で男性に好かれ、抜け目のないところなんかそのまんま。一方エステラの方はペネロープタイプ。大金持ちのお嬢様。乗馬やら接待やらビジネスやらを難なくこなし、度胸もある。金髪で色が白く、ほくろが色っぽい美女。まさか参考にしたわけでもないだろうけど。エステラ役の人は「ミス・マープル」の新作に出ているようだ。邦題がどうなるかは不明だが、原題は「エンドレスナイト」・・これにはマープルは出てないんだけどね。

5 家族の肖像(家族の絆)

今のところモースはこの5話までで、あとはしばらく見られないようだ。今回もぎっしり詰め込んでいる。特徴として、だいぶ後になるまで犯人の目星がつかないと言うか。もちろん途中でこいつが怪しい・・となるけど、なったとしても動機が・・。何しろ他にも動機があるのがうじゃうじゃいるから。今回だって夫始末して若いのと一緒になりたいのかも・・と思っても、まさかそんな単純な動機で?いくら何でももうちょっとひねってあるよね・・でも結局それだったな、あれま。中年女のあがき、勘違い。今回はそれにモースとサーズデイの家庭と過去まで絡む。盛りだくさんすぎて皿からはみ出てる。カレッジの敷地を売って新興住宅を建設しようという計画がある。それに反対していた教授のノリスが殺される。一見交通事故・・ひき逃げに見えるが、傷が頭部だけというのはおかしい。彼の妻ミリーによると、問題の土地は元々はノリスのものだったらしい。今は大学のものだが、住民を追い立ててまで建設しようとするのは許せない。例によって冒頭いろいろうつし出される。一回見ただけじゃわからない。例えばノリスの行動がうつされたとしても、途中が抜けている。Aという行動の次にBという行動をしているように見えても、その間にCという行動をしている。描写されないのは、ラストの謎解きに関係してくるから。ある男が袋叩きに会っている。次のシーンで死体が発見されるので、繋がっているのかと思うと、死体は別のもの。ノリスが持っていたカバンの件もややこしい。彼は会合へ出る途中殺されたのだが、その会合は土地売却に関するもので、彼はそれに反対するはずだったんでしょ?でもその時持っていたカバンのなかみはレポートとかそういうもので。彼は賄賂の授受とか調べて、それも別のカバンに入れていて。会合に出るならそっちのカバン持っていくはずだが、彼はそれをロンドンの駅に預けていて。何でそんなことを?会合では、こういう証拠があるぞよと警告するだけにしておくつもりだった?タバコを積んだトラックが盗まれるのも何だったのかな。クラブ、ムーンライトのオーナー、ヴィンスの資金稼ぎ?クラブの裏で殴られていた男は誰?理由は?すぐそばでクラブでタバコ売りやってるジョージーナがそれを見ていたけど、無関心。後で彼女は殺されるけど、目撃したせいかと思えて実際は無関係。

家族の肖像2

学寮長の車のフロントガラスが割られていて、修理に出すんだけど、これがノリスのひき逃げ事件に引っかかってくる。学寮長は建設推進派だから、ノリスとは対立している。彼がノリスを殺したと見せかけるため、犯人が窓を割ったのか。でもこれも無関係。たぶん追い立てを食らった住民の仕返しか。こういう、メインの事件とは無関係な出来事がいろいろまぜられているので、見ていて混乱する。しかも今回は冷静沈着なはずのサーズデイが思い込み、勘違いの連発、大暴走。ますます混沌としてくる。彼はヴィンスの父ヴィックを目の仇にしている。数年前ロンドンにいた頃、部下のカーターを死なせたことで自分を責めている。犯人に間違いないのにつかまえることができなかったヴィック達を憎んでいる。家族のことで脅迫され、ロンドンからオックスフォードへ移らざるをえなかった自分のふがいなさを悔やんでいる。だから今度こそは・・と。ところがヴィックにしてみれば、サーズデイが何をいきり立っているのか見当がつかない。仕事を息子に継がせ、若く美しい愛人シンシアを手に入れ、気楽に暮らそうと思っているのに、あいつは何をわけのわからんこと言ってくるんだ?まあ彼は引退したのならシンシアと二人でさっさと別のところへ行けばよかったのだ。なまじ息子の近くにいるから口を出すこともあるし、ヴィンスはおもしろくない。それに彼はシンシアに気があるのだ。彼女はムーンライトのホステスで、なかなかのしっかり者。ヴィンスを寄せつけないだけの分別もある。ヴィンスは父親を追い越したいと思っているのだろうが、とかく余計なことをする。サーズデイの家に何か・・花でできた十字架?・・送り付けたり、ジョアンを脅したり(逆に言い返されてやんの)。新聞社襲ってドロシアも脅すが、彼女には逆効果。糾弾記事を書いている彼女は、かえってふるい立つ。さて、ジョアンはジェイクスに興味持ち、父には内緒でムーンライトでデート。彼はちょっといい男だし、ワルのムードもあるから女が寄ってくる。彼女には父への反抗心もちょっぴりあるのだと思う。誰かと付き合っても反対ばかりされるのがおもしろくない。だから隠れて付き合う。しかも父の部下・・刺激的だ。でもジェイクスのやつ、調子に乗ってお尻さわり始めた。だから怒ってやった。あたしはそんな安っぽい女じゃないッ!

家族の肖像3

まずいことにそこへパパが乗り込んできて、ヴィックに言いがかりつけ、険悪ムード。しかもそこにはちょうどモースも居合わせて・・。ジェイクスはどさくさにまぎれて逃げてしまった。モースがいたのはジョージーナの件。ジョアン達を見かけてびっくりし、ジェイクスのけしからぬふるまいになおびっくり。その上サーズデイまで。モースはジョージーナのルームメイト、ジュディに話を聞くんだけど、ここらへんから話はわかりにくくなってくる。別に文章にせず、すっ飛ばせばいいのだが、乗りかかった船だ(←?)。学寮長は(既婚の)教授達に女を斡旋していたらしい。そうやって弱味を握っておけば、土地売却に反対されずにすむ。で、ムーンライトから派遣されていたのがジョージーナ。もちろん政府側の公務員カーライルも絡んでいる。売春に使われたのが、ノリス夫妻がロンドンで借りているアパート。これは、夫妻が娘オードリーを見舞いに行く時のためのものだが、学寮長は前に用事で泊まらせてもらった時、密かに合鍵を作り、よからぬ目的に使っていたようで。三回目くらいにやっと気づいたのだが、どうやらジョージーナとジュディは恋人どうしらしい。ジュディは、ジョージーナの仕事先(←?)へくっついて行った時、そこがノリスのアパートだと気づき、不審に思う。それでノリスにこのことを話したのが、彼が殺された当日。ジョージーナがなぜ殺されるのか、なぜ犯人が彼女の住所を知っているのかは、後の方のモースの説明聞いていてもよくわからない。推理は飛躍しすぎだし、説明は不十分。その時はなるほどと思っても、後であれ?・・となる。ネタバレだが、犯人はミリーである。彼女は会合へ急ぐ夫を車で拾い、途中で殺すのだが、車の中でノリスが話したのか(そんなヒマないような気もするが)。・・今日ジュディという学生が現われ、我々のロンドンのアパートがこれこれこういう目的で使われていると話してくれた、これが事実なら土地売却の話はおじゃんだ、学寮長もただではすまんぞ・・とか。犯人の標的はだから本当はジュディだった。ジョージーナは過去男にだまされたとかで前歴(売春のだろう)がある。そのせいで本名を名乗らず、いろんな名を名乗っていた。ムーンライトで働く時も、ジュディと名乗っていた。

家族の肖像4

どうやって住所を突き止めたのかは不明だが、たぶんミリーは外出するジョージーナのあとをつけ、ひとけのないところでジュデイと呼びかけたのだ。当然ジョージーナは返事をする。で、殺されるはめに。あ、ここらへんはみんな私の想像ですよ。とにかく見ていても何が何やらなので、自分で補って繋げるしかない。それにしてもジュディは恋人が売春するのをどう思っていたのかな。例によって警視正は、議会とカレッジのことに口を挟むなとうるさいが、それでいて決死の覚悟でクラブに乗り込んだサーズデイの前に現われ、ヴィンス達を逮捕。おいしいところをさらっていく。ヴィンスは父親に内緒で土地売却、住宅建設に関与し、大金を稼ごうと企んでいたようだ。シンシアも一枚噛んでいることになっているが、こちらは彼女の知らないうちにヴィンスが勝手に・・ということらしい。彼女はわりとまともなタイプなので、罪に問われたんじゃ気の毒だ。それにしてもサーズデイの悲劇の主人公ぶりは、痛ましいどころか滑稽。彼にはこういう設定はつけないで欲しい。妻には心配するなと言いつつ、死ぬ覚悟。ジョアンとモースはクラブでデートする仲だと勘違い。ジョージーナの件で聞き込みに来てたなんてのはどこかへ吹っ飛んでる。ヴィンスに要求されたノリスの資料を、故郷へ戻るモースの荷物に忍ばせ、あとのことは(ジョアンのことも含め)頼むぞよということなのか。ジェイクスのジの字も思い浮かばんところをみると、ジョアンの婿はモースで決まりってか?ヴィンスの他にカーライル、それにたぶん学寮長も逮捕されるだろう。で、そっちの方は解決したものの、ノリス殺しもジョージーナ殺しも未解決。でももちろんモースはもう真相に気づいてる。ノリス夫妻の娘オードリーは落馬事故のせいで体が不自由。事故以来ノリスは自分を責め、何事にも興味を失ってしまった(とミリーは言ったけど、賄賂の調査には意欲的だったようで)。もちろんミリーのこともずっとほったらかし。欲求不満の彼女は慈善活動をしたりして気をまぎらすが、今はもっぱらノリスの友人で同僚の若くてハンサムなイアンの世話を焼く。彼にはありがた迷惑だが、友人の奥さんなので邪険にもできず、そのせいでますますミリーは・・。

家族の肖像5

冷静に考えれば美人でもなく、寝たきりの娘抱えた中年女など、イアンが夢中になるわけがない。でも・・目がくらんじゃってる。夫殺してイアンと一緒になること考え始める。今のままだと土地が売却されてもイアンにはお金は入ってこない。でもノリスが死に、あいたポストにイアンがつけば・・大金が入ってくる!だから計画をとん挫させかねないジュディも消しておかなくてはならないのだ。人違いで殺されたジョージーナも気の毒だけど、イアンはもっと気の毒。ミリーのお節介が嫌なら、でっち上げでもいいから恋人いることにしとけばよかったのに・・。で、モースがミリーを犯人と見破ったのはいいんだけど、このクソ女、すでにイアンを殺していて。あんなに尽くしたのに・・と、イアンのせいにしてるぞ。しかもスキを見てモースを撃ち殺そうと・・。あたしゃ銃が出てきた時には自殺するのかなと思ったけど、そんなかわいいことしません、まだ犠牲者増やす気でいる。サーズデイが間一髪撃ち殺すけど、モースもどこやら撃たれ・・。両親が死んじゃってオードリーはどうなるのかなと思うけど、誰もそんなこと考えない。見ていてもモースが正確にはどこを撃たれたのかはっきりしない。たぶん足だろうけど、足ったっていろいろあらーな。その少し前、父親の容体がよくないという知らせが妹のジョイスから入る。彼はストレンジに代理を頼んで帰郷。いつでもどこでも快く力になってくれるストレンジ!!サーズデイの抱えるごちゃごちゃだけでなく、モースの方までごちゃごちゃする。事件のごちゃごちゃだけでは足りないと?両人ともごちゃごちゃなしで捜査に専念してくれるのが一番いいが、どっちか一方だけでもくっつけたいと言うのなら、モースの方だけにしてください。もちろんモースが捜査からはずれてしまうのはまずいが、今回のようなサーズデイ見せられるよりマシ。さてモース・・故郷がどこなのか知らんが、いちおう着く。出迎えたのは父親の後妻か。あんまりあいそよくない。出番が少なすぎる感じだが、カットされたのか。ジョイスはモースと同じく大人しそうなタイプ。彼女のこともはっきりしない。モースファンには周知のことなので、わざわざ説明はされないのか。父と後妻の間にできた異母妹か・・とも思ったが、モースが墓参りするシーンで、母親コンスタンスの墓石には1921-1950とある。

家族の肖像6

この作品は1965年という設定だから、ジョイスは(15歳以下には見えないから)実の妹か。それとも後妻の連れ子?それだとモースとは血の繋がりはないことになる。実の兄妹にしては、二人の間には距離が・・遠慮のようなものが感じられる。また、ジョイスはどことなくモースに、兄に対するのとは違う感情・・思慕のようなものを抱いているふうに見える。せっかく対面しても、父親の態度はよそよそしく、打ち解けない。やっぱりボクのこと嫌ってるんだ・・とモースはへこむが、ジョイスがなぐさめる。彼が母親そっくりなのが理由らしい。たぶん若くして死なせてしまった妻に対する後悔の念があって、モースを見ると面影がちらつき、辛い・・そういうことなのかな。一度オックスフォードへ戻るが、すぐ危篤の知らせが来る。で、列車に乗ったものの、サーズデイが忍ばせた資料を見つけて引き返すはめに。で、ムーンライトの一幕があって、それが片づいて今度はミリーの件。それもやっと片づき、ケガの治療もそこそこに駆けつけると・・父親はすでに昏睡状態。一夜明けると亡くなっていて。結局別れの言葉も和解の言葉もなしのまま旅立ってしまった。で、長男だから葬式の手配とかしなくちゃならない。で、間の悪いことに巡査部長昇進試験も受けられず・・ダブルパンチ・・いや、ケガもあるからトリプルパンチ。何でもっと早く来なかったんです?傷は治るけど、この先疲れがたまった時などうずきますぞよ・・と医者に言われる。だって医者に行こうにも行けなかったんだも~ん。試験受けられなかったせいでまた一年事務やらされる。せっかく試験勉強したのに・・ストレンジの方が先に昇進しちゃうのかしら。それはそれでめでたいが。だって、試験受けようにも受けられなかったんだも~ん。でもって父親の死・・あの時引き返さずまっすぐ駆けつけていればあるいは・・。でも、駆けつけられない理由があったんだも~ん。サーズデイの身に何かあったかもしれないし、彼だっていちおう自分にとってはオヤジみたいなもんだしぃ。そんなこんなで事件が解決してもちっともうれしくないモース。痛む足を引きずり、疲れ切って下宿へたどり着く。誰もいない、冷え切った部屋。酒を飲むしかない。彼は凄まじい孤独と苦悩の中にいる。これじゃあかわいそうすぎる。あんまり彼をいじめないでください脚本担当の人。