サイコ2001

サイコ2001

中古ビデオを買って見た。DVDも出ているが高い!いかにも血まみれサイコサスペンスという感じだが、私がこれに興味持ったのはジョニー・リー・ミラー主演だから。「マインドハンター」を見て以来彼のことは気になってる。ビデオカバーは白っぽいところへ、血の赤でショッキングに・・という感じ。美女(たぶん)が浴槽に仰向けに横たわっている。お湯(水かも知れんが)は真っ赤で、どこの温泉の素を使ったのだろう・・って違うがな!いかにも惨殺されましたって感じ。でも・・これから見る人はこの図柄にだまされないように。(だまされて)見た人はもうわかってると思うけど、こういうシーンは映画には出てきません。オフロで一人殺されるけど若い女性じゃありません。年取った女性ですらありません(しつこい)。ヒゲのおっさんです。両腕切られてたような(ミロのヴィーナスかよ)。それにしてもいいんですか?外装となかみが違っていて、こういうの詐欺と言うんじゃありません?まあこの作品に限ったことじゃないけど。それと私はミラー君目当てだからいいんですけど。「サイコ」とも無関係だし「2001」も意味なし。製作は1999年で、ビデオ化されたのが2001年という、ただそれだけのことらしい。原作があるけど古本屋で気長に捜すしかないだろう。都会と違い、田舎では多くを望んでもムダだ。ミラーはまだ30代なかばだが、最近ではちょっとふっくらしてきたようだ。髪もちょいうすくなってる。でもこの頃はまだ・・20代なかばか、ういういしい。コリー(ミラー)は新聞記者だが記事を書いても内容が過激すぎる・・と、ボツになることが多い。社会の悪が許せない。近頃彼のところへアーチャーと名乗る人物から電話がかかってくる。彼の情報源だが、アーチャーの正体は(男か女かすら)不明。なぜ彼に電話をかけてくるのか。名前を告げられ、その人物を調べてみるとみんな死んでいる。武器の輸出とかそういうことと関係あるのか。彼の勤めている新聞社の社長も殺されたが、犯人はつかまっていない。連続殺人なのか。最初は見ていても何が何だかさっぱりわからない。誰が誰だかわからないし、殺しの手口も見せ方がへた。現在のコリーの境遇の他に、もっと若い頃の回想、さらには子供時代の回想まで入る。連続殺人そのものにも興味わかない。普通なぜ殺されたのかとか、犯人の狙いは・・とか興味持つものだが全然。

サイコ2001 2

それよりもまだういういしさの残るコリーとか、彼をいじめる女編集者とか(過去コリーと関係を持ったことがあるらしい)、結婚していながらコリーと浮気するイヴォンヌ(この女優さんは脱ぎっぷりがいい。見てる人全員彼女が浴槽の惨殺美女だと思ったはず。そのシーンが出てくるの待ったはず。そして当てがはずれる)とか、登場人物の方に興味が行く。私が特に注目したのはニールという男性。彼は情報部員らしい(キャ!)。コリーの話を真に受けず、アーチャーに遊ばれているのだと一蹴する。本当にそう思っているのか、コリーに手を引かせようとしてそう言ってるのか不明。演じているのはサミュエル・ウェスト。この人美しいわぁ・・。いかにも英国風の端正で気品のある顔立ち。古典が多いようだけど(「待ち焦がれて」とか・・これってジェイン・オースティンの「説得」のことですか?「イルマーレ」では小道具として使われていた)、それもうなずける。「キャリントン」にも出ているんですか?あれはルーファス目当てで中古ビデオ買って見た。もしかしてサミュエルはヒゲ生やしてました?ビデオカバーですっぽんぽんになってるの彼かな。・・まあニールは髪も服装もきちんとしてるし、仕事も私生活もきちんとしてるに違いないわ。出番ほんの少しでニールのこと詳しくわからないのは残念。でもそのぶんいろいろ想像しちゃうわ~。何でこんなこと書くかというと、コリーとかクレア見てるとどうもねえ・・。きちんとしてないのよ彼ら。ほんの子供の頃からカッコつけるためにタバコ吸う。少したつと酒、クスリ(コカイン)。何で?何でもっと自分の体大切にしないの?コリーとイヴォンヌは幼なじみ。アンディとクレアは兄妹。スコットランドの田舎・・四人して子供の頃から仲良くしてた。とっても幸せだった。しかしある日突然クレアは死んでしまった。アンディはヤブ医者のせいだと恨んでいるけど、彼女は自分で自分の命を縮めたのだ。心臓が悪いことに気づいていたかどうかは不明だが、例え気づいていたとしても気にしなかっただろう。あらゆるクスリをやった・・とうそぶくくらいだから。どうせ長生きできなかっただろうし、長生きするつもりもなかったろう。私は彼女をかわいそうだとは思わない。さて、コリーはそのうち連続殺人の犯人だとみなされ、逮捕されてしまう。

サイコ2001 3

アーチャーは事件の手がかりを示してくれたのではなく、コリーを陥れたのだ。それにしてもコリーはうかつすぎる。アーチャーの電話を録音すらしていない。刑事の一人はブライアン・コックス。犯人の目星は途中でつく。あまりにも簡単なので、これでいいの?・・と思ってしまうほど。普通もっとひねりをきかせると思うが。つじつまが合ってるかどうかは別として(犯人に犯行が行なえる時間的余裕があったのかどうかあいまい)、興味深いのは、過激な考えを持っていたコリーが、自分より過激な犯人と対峙すると、穏健派に回ってしまうこと。武器の不法輸出のようなことをやってる連中は殺してしまうのが正義だと主張する犯人に対して、何も殺すまでいかなくても・・となだめる方へ回ってしまう。つまりコリーにはまだブレーキがきくし、分別も残っているということ。一方犯人は歯止めがきかず、突っ走ってしまう。しかもその芽生えは少年の頃のある出来事のせいだった。記憶の彼方に埋もれていたもう一つの殺人事件が唐突に浮かび上がってくる。意外ななりゆきには違いないが、メインの連続殺人が隅に追いやられてしまう。それでなくても描き方がへたで印象がうすいのに、ますます焦点がぼけてしまう。クライマックス(コリーと犯人との対決)も盛り上がりに欠け、ふにゃっとしたまま終わってしまう。もっときちんとアクション対決とかした方がよかった。どうもぴりっとしたところがなく、サイコサスペンスとしての怖さも今いち。どこで怖がったらいいのか・・。青春映画風な面の方が多い。何もかもういういしくてあぶなっかしくて、溌剌としていて希望があってロマンチックで、それでいて不安でなげやりで閉塞感がある・・みたいな。子供時代に受けた体と心の傷・・贖罪・・友情。あれこれ盛り込みすぎている。肝腎の犯人にしても言葉(セリフ)を費やしているわりには何も共感できない。警察の取り調べも本当にコリーを疑っているのかな?という感じ。逆に本当にコリーを疑っているのなら、無能にもほどがある!そんなこんなで物足りない映画であるのは確か。ぞくぞくするようなサスペンス、血まみれスプラッターを味わいたい人にはおススメしません。私自身は、こんなものかな・・と。別に失望はしませんでした。中古ビデオにしては映像がきれいだし、ミラー君やウェスト君のういういしさ、美しさも楽しめたしウヒ・・満足。