心霊ドクターと消された記憶

心霊ドクターと消された記憶

WOWOWでやったので見た。ピーター(エイドリアン・ブロディ)は精神分析医だが、自分自身問題を抱えている。題名から、霊能力のある分析医が事件を解決する話かと思っていたら・・自分もダンカン(サム・ニール)に見てもらっている?ニールは「イベント・ホライゾン」みたいな、このまま行きそうにはない感じがプンプン。ピーターは患者の言うこと聞きながら、他のこと考えている。どことなく「ソラリス」風味。彼は娘イヴィーを交通事故でなくした。妻のキャロルはショックで寝てばかり。自分さえ目を離さなければ・・。ダンカンに「何に気を取られていたのか」と聞かれても、ピーターは思い出せない。じゃあ失意の底にあるピーターとその妻が立ち直ろうとするストーリーなのか。でもエリザベスという少女が現われたり消えたりする。この世の者とは思えず、じゃあオカルト物なのか。エリザベスがメモに残した数字は、そのうち日付だとわかる。ピーターは実家へ帰る。母親はすでに亡くなり、元警察官の父親ウィリアムが一人で住んでいる。ピーターは子供時代のガラクタの中から、新聞の切り抜きを取り出す。娘の死という悲劇がメインかと思っていると、それ以外の悲劇もあったのだとわかる。それにしても1987年というのは昔すぎないか?この映画は2015年の作品らしいが、28年も前?でも映画の中では20年前と言っている。では今は2007年なのか。別に事故があったのは1995年でもいいじゃん。エリザベスは人形を持っているので、せいぜい12歳くらいかなと思っていると、後で高校生だとわかる。最初の方に出てくる患者のフェリックスは、今が1987年だと思っている。ピーターは話を聞きながら症状に合う病名をつける。しかしフェリックスは病気ではないのだ。1987年に死んだから、そこで止まっているのだ。他の患者もエリザベスもすでに死んでいる。なぜ死んだのか、ピーターは知ってるはずなのだ。イヴィーから目を離したことと関係があるのだ。暗い中で暗い話が続いていく。明るくても雨が降っていたりする。何が何だかよくわからないし、話がどこへ行くのか見えない。ただ、少しずつほどけてくるような感じはあり、見続けようという気にさせられる。ピーターはバリーという男性と会う。昔の友達らしい。昔何か起きたけど、ピーターはよく覚えていない。自分達のせいで大勢死んだと思う。でもバリーはほじくり返して欲しくない。

心霊ドクターと消された記憶2

その後ピーターはだんだん記憶を取り戻し始める。夜・・バリーに誘われてカップルを覗きに行った。線路のそばに自転車を置いてきた。列車の接近に気づき、急いで戻ったけど、二人の目の前で列車は転覆。47人の死者が出る。エリザベス達はその時の犠牲者で、自分に取りついているのだ。迷った末彼は警察に出頭するが、バリーのことは黙ってる。担当のへニング巡査長は何と犠牲者の一人エリカの娘だったが、ピーターは未成年だったし、罪には問われないだろうと言い、彼を安堵させる。それじゃあ霊達が現われるのは事実を明らかにし、成仏したいからか。これでもう一件落着なのか。でも自転車は線路の上に置いたわけではないぞ。そのうちバリーがポイント小屋で首を吊って自殺する。見つけたのはピーターで、あの時バリーも一緒だったことをへニングに話さないわけにはいかなくなる。ピーターが余計なこと言わなければ・・。バリーが事故のことをどの程度覚えていたのかは不明。ただ、酒びたりだったのでは・・という気はする。そのうち事故の原因は他にあるのではと思えてくる。となれば怪しいのはウィリアムで。結局どんでん返しがあるわけだが、いろんなことが未整理のままで、集中して見ていても私にはわからないことだらけで。ピーターは、見ていた患者・・フェリックスやエリカが霊だとは気づいていなかったんでしょ?後で調べてみんな同じ日に死んでるとわかるまでは。そうすると診察料とかどうなっていたわけ?ダンカンが回してきた患者を無料で見ていた?そのダンカンも幽霊だが、列車事故とは関係ないようで。ピーターの恩師で、彼を助けるため出現した?事故の後ピーター達が疑われずにすんだのは、ウィリアムが手を回したからか。現場には自転車が二台あったはずで。ピーターは自分が目撃した二つのショッキングなこと・・列車事故と父のエリザベス殺し・・のせいで記憶を失うけど、それにはウィリアムのやった後始末も関係してるのでは。自分達は本当に事故現場にいたのかな・・なんて。自分に都合のいいように記憶が書き換えられてしまったとか。ピーターはエリザベスは車から出て走っていたとか言っていたけど、どういうことかな。彼女が殺されたのはポイント小屋の中で。走っていたのはポイント小屋の前の、ウィリアムから逃げようとしているエリザベスなのかな。

心霊ドクターと消された記憶3

列車事故の犠牲者のうち、エリザベスだけは死因が特定できなかったとされているけど、検視の時絞殺されてるってわかったはずで。それと、ポイントを切り替えてしまったのは彼女のようだ。もちろんはずみでだけど。ウィリアムは不審を感じ始めたへニングを殴り、車のトランクへ。それに気づいたピーターも殺そうとする。ピーターに何人殺したと言われたけど答えなかったな。ここらへんちょっと物足りない。ウィリアムは二人を殺してまで罪を逃れるつもりだったのか。そう簡単に自分の息子を殺す気になるか?もし彼が殺人鬼ならわかるが。87年と言えば妻もまだ生きてる。それなのに少女を誘拐し、レイプして殺す。列車事故を自分の殺人の証拠隠滅に利用するくらいだから、罪悪感もなく、同じことをくり返していたに違いない。感づかれたのでかあさんも殺したとか、バリーもうすうす真実に気づき、口を割りそうになったので始末したとか、ガレージは死体の解体場所だったとか、どうせならそこらへんまで行って欲しかったが。ピーターの苦悩をていねいに描き、事件が解決して妻と二人やっと次の一歩を踏み出すという・・すがすがしいシーンで終わらせたいのはわかるが、あまりお上品ぶられてもなあ・・。娘の死で霊が見えるようになったというのも・・途中までは霊だと気づいてないじゃん。事故の犠牲者以外の他の霊は見えてないし。第一霊もおかしいよな、何でウィリアムの前に現われないの?現われているけど酒を飲んでごまかしていたとか?結局あの車の中にいたのはカップルではなく、ウィリアムとエリザベスか。覗き見と線路目指して走るところとポイント小屋での出来事と列車の転覆・・これらの時間的関係、位置関係が私には今一つ腑に落ちない。バリーの存在も抜け落ちているし。もう一つ不満だったのは、霊の顔が突然変わるところ。「ブギーマン」とか「サイレントノイズ」とかいろんな映画でさんざん見せられているから、「ああ、また」と思う。せっかくブロディやニール出してきて格調高くやってるのに、とたんにそこらのホラーと同じレベルに。まあ「フッテージ」みたいな救いようのない、後味の悪い終わり方ではないので、そこはよかったけど。ヘニング役ロビン・マクリーヴィーは「リンカーン/秘密の書」に出ていたらしい。