サベイランス ー監視ー

サベイランス -監視-

最初に見たのはWOWOW。もうだいぶ前のことだ。その後中古ビデオを買った。久しぶりに見たが、やっぱりおもしろい。でも、ここはもうちょっと何かあったのではないかと思うところがいくつかあった。何だかあっさり通り過ぎていて、カットされたんじゃないかと思うくらい。マイロ(ライアン・フィリップス)はテディ、ブライアン、ラリー達と会社を立ち上げようと思っている。でもマイロとテディにナーヴ社のCEOゲイリー(ティム・ロビンス)から声がかかる。ナーヴ社はコンピューター業界のトップで、新システム”シナプス”の完成を目指している。ゲイリーはソースを非公開にし、独占するつもりでいるので、そういうやり方に批判的なテディは、行く気はない。ゲイリーの屋敷に招かれたマイロは、話を聞くうちに心が動く。彼は態度がオープンで、押しつけがましいところがない。悪い評判も承知している。それにマイロが自分の若い頃に似ているとまで言うし。心苦しいがテディと別れ、ナーヴ社へ。新車は用意してくれるし、恋人のアリス(クレア・フォラーニ)と住む家まで。職場は若くて才能のある若者ばかり。三ヶ月後の完成目指してみんなでがんばるのだ。ここへ来る直前、司法省のバートン(リチャード・ラウンドツリー)が訪ねてきた。司法省で働いて欲しいと言われたが断った。司法省はゲイリーが不正を働いていると思っているようだ。テディはラリーと組んで仕事を始め、ブライアンは小さなテレビ局へ。ところでこのラリーとブライアンがよく似ていて、区別がつきにくい。そのうちマイロは同僚のリサ(レイチェル・リー・クック)と親しくなる。マイロには何の下心もないのだが、アリスが嫉妬したりする。と言うか、アリスはマイロにベタベタしすぎだ。時々仕事の邪魔をしているようにも見える。そのうちテディが殺され、マイロはショックを受ける。しかも悔やみを言いにきたゲイリーの言葉から、彼がこの件に関係しているらしいとわかり、二重にショック。メチャクチャに壊されたテディの仕事場から、光ファイバーを見つけたマイロは監視を疑う。ナーヴ社の21号ビルが怪しい。あそこにはパラボラアンテナがある。アリスは止めるが、忍び込んで調べる決心は固い。今までわりとおっとりしていたマイロだが、この頃から行動的になる。

サベイランス -監視-2

親友を殺されたのだから感情的になってもおかしくないが、その前にやることあるのでは?まず家に盗聴器や隠しカメラがないか調べるのでは?車に何かついていないか調べるのでは?それとこの後いろいろ嗅ぎ回るけどマイロは全然指紋に気を配っていなかったな。時代の最先端を行くマイロ達に対し、警備のシュロットは元警官で、アナログ男と呼ばれ、まわりからバカにされている。マイロは手作り爆弾で警備の目をそらすが、シュロットは一度持ち場を離れたものの気になって引き返したりする。ここがいい。”気になる”というのは人間らしいことだと思う。”1かゼロ、生か死しかない”というセリフが何度か出てくるが、それとは対照的。シュロットのいない間にIDカードを偽造したり、監視カメラの映像に細工したり大車輪のマイロ。短時間の間にパソコンを使って多くの仕事・・ダウンロードとか・・というのは映画でよくあるけど、見ていてうらやましいね。うちのパソコンなんか電源入れて使えるようになるまで死ぬほど時間かかる。さて、21号ビルに忍び込んだものの何もなく、当てがはずれたマイロ。でもネズミの顔をしたポールが立っているのを見て調べたら、裏がアンテナっぽい。で、今度は保育所に侵入。そこにも幼児が遊べるようにパソコンがいくつもある。で、カチャカチャやってうつし出されたのは、パソコンに向かっている人達を上からうつした映像。テディのようなエキスパートはパソコンには厳重なセキュリティ対策をしていて、ハッキングできない。だから別の方法取る。監視映像を見てアイデアを盗んでいたのだ。テディの大発見も同様。完成を見計らって襲い、データを盗み、殺す。殺されたプログラマーはテディの他にもいる。交通事故とか、テディのように人種差別主義者によって殺されたように見せかける。テディが殺される映像も復元できた。それだけでもショックなのに・・。リサには継父から虐待を受けたという過去があった。アリスには・・本名はレベッカで前科があり、マイロ達に近づいたのには目的があった。つまりゲイリー側のスパイ、回し者。また自分には強度のごまアレルギーがあることもデータに入っていた。つまり自分が殺される時にはこれが利用されるってことだ。リサの場合は継父の仕業にされるんだろう。

サベイランス -監視-3

後でアリスがごまを隠しているのを見つける。その彼女が手料理を作ったと言ってくる。殺されるのでは・・とあせるマイロ。スキを見て料理を調べ、腕にこすりつけてアレルギー症状が出ないか試す。ここらへんはハラハラさせる。アリスも信用できないとわかったマイロは司法省へ。ところがバートンも敵だった!もう誰も信用できない。いや、ラリーとブライアン、リサは別だ。さて、マイロはいつの間にかシナプスを完成させていた。すでにゲイリーのIPアドレスを入手し、シナプスのファイルのコピーも作った。期限まであと二日あるが、すぐ実行にかかる。ブライアンのいるテレビ局へ行き、妨害するゲイリー側と競争で通信衛星にコンタクトを取ろうとする。ところが・・リサが裏切っていた。たぶん映画を見ていた人達はびっくりしたことだろう。レイチェル・リー・クックなら味方キャラに違いないと思ってるから。クールで孤独で暗い過去の持ち主なんだから信用できて、ラストではアリスの代わりに彼女がマイロと仲良くなるのだ・・って。シナプスがゲイリーの手に入り、マイロはピンチに。でも、彼は密かに手を打っていた。放送局での行動はいわば陽動作戦。ラリーとシュロットが密かに21号ビルに侵入。シナプスのコピーを使って通信衛星を操作。ゲイリー達の悪事を暴き、続いてシナプスのソースを無料で公開し始める。FBIが動き始める。ゲイリーはもう終わりだ。アリスは自分のしたことを償う気でいる。彼女はマイロを本気で愛し始めていたのだ。マイロも「待っている」くらい言えばいいのに。ところでこの映画で一番印象に残るのは、私の場合シュロット。仕事に忠実で、マイロが怪しいと報告してもなぜか無視されるので頭にきている。だからマイロが二度目に保育所に侵入した時には報告せずほうっておく。マイロの前に現われ、彼の言い分を聞く。その後の彼が協力してるってことは、彼自身ゲイリー達の行動に不審なものを前々から感じていたのだろう。さてこの映画が作られてから20年近くたつわけだが、見ていても全然古さを感じない。ゲイリーは悪事を働く一方慈善にも熱心だし、シナプスの無料公開は有益である半面悪用されるおそれもある。ゲイリーを失脚させて、正義は勝った、これで万事オーケーとならないのが難しいところだ。