幸せになるための27のドレス

幸せになるための27のドレス

うう、こういう題名って好きじゃないです。あと「あなたになら言える秘密のこと」とかね。平日午前、お客は五人。普通に見てパンフも買わずさっさと帰るつもりだった。でも・・すっごくおもしろかった。パンフも買ってしまった。パンフに載っている写真よりスクリーンでのキャサリン・ハイグルの方がずっとずっときれいです。この映画の最大の魅力は彼女。「プラダ」の脚本家の新作・・なんて、威光借りるような宣伝してるけど(パンフの表紙まで!)、彼女のこともっと宣伝してください。何とまあ堂々としていて美しく、健康的で知的で、気さくでありながら品もあり、庶民的でありながらお嬢様のようでもある。いろんな魅力のある人だ。内容は「ウェディング・プランナー」に似ている。内容と言うよりヒロインが・・かな。あっちでジェニファー・ロペスが演じたヒロインも魅力的だった。てきぱきしていてよく気がつき、誠実で努力家。私生活もきちんとしている。結婚にあこがれているが、まわりの人を幸せにするばかりで自分はなかなかそのチャンスがない。二人ともあまりにも美人でスタイルがよく、魅力にあふれているので、その設定はうそっぽいがまあ映画だからね。さてジェーン(ハイグル)は上司のジョージにずっと片思い。まわりの人は全員知ってるけどなぜかジョージだけは気づいていない(これまたありえない設定だが映画ですから)。ある日ジェーンの妹テスがふらりとやってくるが、パーティでジョージと会ったとたん互いに一目ぼれ。ジェーンのショック、あせり、嫉妬、悲しみをよそに急接近。何でこうなるの?頼まれるとノーと言えないジェーンは、感情を隠し、婚約や結婚式の段取りに奔走する。・・実は私、ジェーンの職業が今いちわからなかった。最初はてっきりウェディング・プランナーだと。そしたら違うのね。ジョージの会社(内容よくわからん)で、彼の秘書やってる。生来の面倒見のよさからブライズ・メイド(花嫁つき添い人)を引き受け、何と27回も結婚式に出ている。一緒にブライズ・メイドを勤めたケイシーが彼女の妹だと思っていたらこれも違っていて、会社の同僚。ケイシーは人の面倒ばかり見ているジェーンをさめた目で見ている。ジェーンと違ってきちんとした性格でもなく、同じく恋人にめぐまれず、ややなげやりな生活ぶり。それでいて意外に物事を見る目は鋭く、現実から目をそらしているとジェーンに指摘する。

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演じているのはジュディ・グリアで、彼女はいつもこういう役(ヒロインの親友)ばっかりなのだが、また?という感じはしない。安心して見ていられるタイプ。前半は軽快な感じですいすいと話が進む。げらげら笑うようなシーンはないが、ずーっとニコニコしながら見てた。うんうんそうなんだよな~とか、わかるわかる~とか、うなずきっぱなし。二組の結婚式がかち合ってしまい、タクシーの中で着替えをしながらの移動がおかしい。この時の運転手さんはラストの方でも出てくる。こういう映画に出てくる人はみんないい人・・ってのもいい。ジェーンがトイレの中にまで花嫁につき添っているのは、始めは意味がわからない。でもそのうちわかった。ウェディングドレスのようなスソの長い、あるいは広がったドレスはトイレに腰掛けるのも一苦労。誰かに持っていてもらわないと。それとオシッコをがまんしていたからたくさん出る・・と、そういうことなのね。結婚式などで女性が一番心配なのがトイレ。特に花嫁はドレスにしろ着物にしろ大変。途中でトイレに行きたくなったらどうしよう・・ってそればっか考えてる(はず)。特に着物はいろんなものぐるぐる巻きつけられるし、厚ぼったくて布団着てるようなものだし。だからこのトイレのシーンもわかるわかる・・って。さて、式も無事終わり、家に帰ったジェーンが、胸をわくわくさせながら読むのが結婚式の紹介記事。アメリカではそういう新聞記事あるんですか、へぇ~。どう見たって30近いジェーンだけど、心は少女のまま。いつか私も(ジョージと)こんなステキな式を挙げられる日が来るに違いないわ・・と、純情度100パーセント。うーん、その気持ちわかる・・と、ますますヒロインに好意持つ。さて、その日の結婚式に出ていたケヴィンという男。なぜかジェーンに興味を示す。実は彼、新聞に結婚式の記事書いてる記者。ジェーンがいつも読んで大事に切り抜いているのが彼の記事。でもケヴィン自身はそんな仕事にはあきあきしている。もっと本格的なルポを書きたい。そこで目をつけたのがブライズ・メイドばっかりやってるジェーン。彼女を取材すればいい記事が書けそうだ。ジェーンはジョージに夢中だし、今またテスという強力なライバルが現われたので、ケヴィンのことは眼中にない。記事はペンネームで書いているのでジェーンは彼の正体をよく知らないまま。

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後で正体がばれると、ケヴィンが結婚に対してシニカルな考えを持っているのにがっかりする。あんなにステキな記事を書いているのに(もっとも結婚に関してはケヴィンには辛い過去があることが後でわかる)。ケヴィン役はジェームズ・マーズデン。どこかで見た顔だ・・ああ「魔法にかけられて」のノーテンキ王子。彼、意外と年くってるのね。「X-MEN」シリーズに出て、けっこう知られているらしい。ハイグルの方は「暴走特急」に出てるらしいから、今度見てみよう。で、マーズデンだけど、いちおうハンサムで気さくな感じなのはいいんだけど、私にとっては今いち。大きな欠点はないけど、ちょっと背が低いとか、ちょっと顔が圧縮されてるみたい(鼻が短いんだろう)とか、ちょっと濃いとか・・。ジョージ役はエドワード・バーンズで、ハイグルと釣り合いが取れるのはどう見たって彼の方。逆に言うとジョージとテスのカップルは見かけからして全く釣り合いが取れず、うまくいきっこないというのがありあり。ジョージのキャラは難しいと思う。ジェーンが熱を上げるのももっともだ・・と、見る人に思わせなきゃならない。真面目でハンサムでスマートでスポーツマンで大金持ち、ボランティア活動にも熱心。それでいて女性(ジェーン)の気持ちにうとく、ヤボ。めんどくさいことはみんな女性(ジェーン)におまかせという・・。テスに夢中になるが、ジェーンがテスの素顔をあばくと婚約を解消する。一歩間違えるといやな男・・となる。私もいつ彼のこと嫌いになるかと思いながら見ていた。でも結局最後まで嫌いにはならなかったな。彼がテスを捨ててもひどいやつだ・・とはならず、よかったねと祝福してた。彼の間違いはテスのことよく知らないまま結婚しようとしたこと。表面は満点に見えるけど実はなかみゼロといううすっぺらな人間はよく出てくる。でもジョージは、欠点もあるけどなかみもまあまあ。だから最後まで好感持って見ていられる。そしてそんな好感持たせ続ける演技のできるバーンズはうまい・・と、結局はそう言いたかったのよ。彼がケヴィンの役やっていたら、またステキな映画になっていただろうなあ・・。さて、前半はいい感じだったが、後半になるとちょっと趣きが変わってくる。ジェーンとケヴィンが結ばれるくだりがよくない。酒場で酔ってはめをはずし、酒の勢いで・・となるのだが、騒ぐシーンがとってつけたような感じ。

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私はこのシーンを見ながら「恋は嵐のように」を思い出していた。あの映画ではベン・アフレックがストリップをしてサンドラ・ブロックが介添え(?)をしていたんだっけ。どうせはめをはずすならこの映画もそれくらいはじけて欲しかった。結ばれた翌朝、ケヴィンの書いた自分に関する記事が一面に載っているのを知り、ジェーンは大ショック。テスは激怒。しかしこの頃からジェーンも変わってくる。亡き母の思い出のウェディングドレスを切り刻んで仕立て直してしまったテス。姉の心まで切り刻んでしまったことに全く気づかない。頭の中は自分のことだけ。婚約パーティの日、ジェーンは妹の素顔をあばく。お客はぽかんとし、ジョージは婚約解消を決意する。仕返しができてジェーンはすっきりできただろうか。いやいや深い深い自己嫌悪。・・感じよく始まったラブコメディーが、最後までさわやか路線通しきるのは難しい。必ず途中で下品になったりお涙ちょうだいになったり必要以上にどたばたしたり。ハッピーエンドってわかっていても、その手前のクライマックスが難しい。いったん離れた二人の心をどうやって再びくっつけるのか。好感度がうすれたヒロインを再びお客に好きになってもらうにはどうすればいいのか。この映画では、船上での結婚式にジェーンをまぎれ込ませ、マイクを通じてケヴィンへの愛を告白させ、めでたく・・。ウーム、陳腐。いやな妹だと思ったら実はとてもいい子で、悪気なんかこれっぽちもなかったのだとわかり、姉妹はたちまち仲直り・・ケッ!ばかばかしい、誰が信じるかってのよ。それまでのテスにいい子であるという気配はちょっとでも見えていた?いいえ全然!(断言)最後はみんなしてハッピーハッピー。ジェーンとケヴィンはめでたく結婚、今まで世話した花嫁達も全員出席ファッションショー、お祭り騒ぎ。ジョージはテスと一年ぶりに再会。なになに?サイフはからっぽで一日にハンバーガー一個しか食べてないって?いかにも私かわいそうでしょ、けなげでしょ路線。こらジョージこんな見えすいた計略に引っかかっちゃだめ・・ああ、引っかかっちゃった。てなわけで最後は今いちでしたな。母親のウェデイングドレスのこと、見てる人みんな気になったと思う。自分のドレスに使ったのかどうかはっきりさせた方がよかったと思う。とにかくキャサリン・ハイグルはとてもよかったので、これからも注目していきたい。