ラスベガスをぶっつぶせ

ラスベガスをぶっつぶせ

別にものすごく見たいとかいうのではなかった。何となく見に行った。パンフ買う気もなし。でも始まってすぐ一人のイケメンに目が行った。美しい金髪と白い肌に暖かそうなセーターがよく似合う。スウェーデンとかそっち系に見える。最初は女性かと思った。キャッ!この人誰?・・で、パンフで確認(いつものパターン)。ジェイコブ・ピッツ。おバカコメディーみたいなの(「ユーロトリップ」)に出ているらしい。でももったいない。ビョルン・アンドレセンとまではいかないけど、そっち路線十分いけますぜ!てなわけでのっけからイケメンアンテナ受信しまくり。正常なアンテナならジム・スタージェスの方受信するんだろうけどね。そのジム扮する主人公ベンは何ともさえないイモ兄ちゃん。原題は「21」で、これはブラックジャックの目のことか。ベンの年齢もそれくらい?「21」という題名の映画は他にもあったな。「21/Twenty-One」とかいうのルーファス目当てで見たことがある。21はパッツィ・ケンジット扮するヒロインの年齢。さて、ベンは優秀だが貧乏な学生。マサチューセッツ工科大学を卒業後ハーバード大学医学部へ進み、医者になるのが希望だが、頼みの綱の奨学金は望み薄。そんなある日、彼の数学の才能に目をつけたローザ教授(ケヴィン・スペイシー)は、カード・カウンティング研究チームに誘う。これをやればラスベガスで大儲けでき、進学に必要な30万ドルもすぐ稼げる。最初は断っていたベンだが、チームには前からあこがれている美女ジル(ケイト・ボスワース)もいる。金儲けが目的じゃない、学費ぶんがたまったらすぐやめる・・と自分に言い訳してチームに加わる。たちまち上達し、大金を稼ぎ始める。ローザの言うことを聞かなかったり、フィッシャー(ジェイコブ君)がベンに嫉妬したり、学業との二重生活に混乱したり、ジルとうまくいったり。その一方で親友と疎遠になったり。そのうちベンはだんだん思い上がってくる。何でもできる・・とうぬぼれ始める。一方でカジノ側も彼らに目をつけ始める。実話を元にしたらしいが、まあ何と言うか天国と地獄、ジェットコースターですな。最初のイモ兄ちゃんベンは好もしい。大人しくて真面目。父親はいないが母親思いのいい子だ。貧乏だからスーツ店でアルバイトしている。ただ、彼を見ていて本当に医者になりたいのかな・・という気もする。

ラスベガスをぶっつぶせ2

自分がなりたいと言うより、母親の夢をかなえたいと思っているような・・。ベンのモデルになったマーという人(この映画にも出ている)は、結局医者にはならなかったようだし。スタージェスはトビー・マグワイアとかジェイク・ギレンホールとかユアンとか、そっち系の顔立ち。いやみのないかわいい、逆に言うと強烈な個性もない。大作の主役にしては頼りなげだが、ちゃんと勤め上げているのはさすがである。どこかの国の学芸会俳優とは違う。イモ兄ちゃんベンはまだ花開いていない。数学でやっていくのか、ロボット工学に進むのか、それとも医者か。計算機いらずの有能なスーツ店店員になるのか。彼はチームに誘われても尻込みする。そうそう、そんな一攫千金話になんか飛びついちゃだめ。奨学金がだめでも他の道があるかもしれない。地道に働いてお金をため・・。でもやっぱり若い男の子。ジルに誘われると心が動く。自分に言い訳して未知の世界に飛び込む。最終的には彼はほんの短期間で、思ってもみなかったような体験をする。大金を手にする、スリルを味わう、自分の才能が花開くのを感じる、チームの一員だということ、ローザに信頼されていること。自分に自信がつき、とうとうジルとも結ばれる。でもそんなベンには私は引かれない。思い上がって暴走するベンは見苦しい。上昇の後は転落しかない。大学を卒業するための単位、ロボット研究を一緒にやってきた親友、稼いだお金・・すべてを失う。彼はこれにこりて地道に暮らすべきだ。しかしまたラスベガスに乗り込む。まだこりないのか、一度味わうと抜けられないのか。しかしこの行動には実は裏があった。・・と言うわけで最後の方でどんでん返しがある。まあわりとおもしろかったと思う。ただ私自身とは全くかけ離れた世界での話なので、感動とかはゼロ。あんなふうに数学ができるなんて、あんなふうにいろんなことができるなんて、あんなふうに大金稼いで有頂天になって我を忘れるなんて・・。ああやってたやすく儲けたお金はあぶく銭である。気前よくチップをはずみ、高級ホテルに泊まり、浮かれ騒ぐ。一流店で買い物をする。そんなことをしていれば自分の中の何かが狂ってしまう。学費ぶんたまっても足を洗えなくなる。お金を天井裏に無造作に隠す。ウーム、信じられん子供じゃあるまいし警戒心なさすぎ(もちろん後で盗まれる)。

ラスベガスをぶっつぶせ3

こういう映画はモラルとか考えず、ただ見て楽しめばいいのかもしれない。そういう切り替えのできない私は見ない方がいいのかも。ピッツ君も途中から出てこなくなっちゃうしチェッ、つまんねーの!それにしてもケイト・ボスワースは妙な人だと思う。本来どういう顔をしているのかよくわからん。私が最初に彼女を見たのは「綴り字のシーズン」なので、あの時のイメージがあるものだから、この映画が始まっても、いつになったら出てくるのかな彼女・・なんて思ってた。そしたらジルが彼女のようだ。ヘアスタイルや化粧のせいで別人に見える。カジノではさらにいろいろに変身する。アンジェリーナ・ジョリー風とかね。いずれにしても大学一の美女というのは・・ムリがありますな。チョイ役アーロン・ヨーは「ディスタービア」に出ていた。ベンの親友マイルス役はジョシュ・ガッド。太っていて暑苦しくてジャック・ブラックそっくり。いかにもという感じで出てくるので、最初は見ていていやだった。マネしているみたいなんだもん。でもベンと絶交し、最後の方で仲直りするあたりはなかなかよかった。よかったのだが、その後がいけない。実はマイルスもキャメロン(やはりベンの親友でロボット研究の仲間)もカード・カウンティングの才能があり、ラスベガスで一緒に稼ぎました・・となるのだ。いい気なもんだ、いいかげんにしろ・・と思ったのは私だけ?他にローレンス・フィッシュバーン。ところでカード・カウンティングだけど、見ている人わかったかな?私はわかったようなわからないような。と言うか、この映画ではカードのシーン見ていてもスリルも何もありませんでしたな。ルールがわからなけりゃお客はドキドキのしようがない。いや、わからなくたって「ギャンブル・プレイ」みたいに目くるめくような思いさせられることはありますけどさ。この映画はそこまで行ってない。彼らはいつも目立つ。カジノ側に目をつけられるのは、いつも同じところで勝負しているからではないのか。なぜ日によって場所を変えないのか・・見ていて首を傾げたのは私だけじゃないでしょう。最後に・・このパンフレットはどうなってるんだぁ~。ページの大きさは違うし(並べたカードのつもりなのか)、なかみはたてだったり横だったり、見づらいじゃないかぁ~。余計なことするなぁ~。あ、お客は12人くらいでした。