レッド・ハンター

レッド・ハンター

21世紀の中頃、天変地異のせいで世界の多くが水没。高台に避難した人達だけが生き残った。それから50年・・環境汚染のせいで、今では水を浄化する錠剤と、エアフィルターに使う銀粉が通貨の代わりだ。無法者が横行し、賞金稼ぎが彼らを追う。もちろん賞金も錠剤と銀粉だ。今日も巡礼者達を襲うチャボとその一味。その前に現われたのは賞金稼ぎゲイジ(ジーナ・カラーノ)。チャボが死んだので賞金は半分になってしまったが、それでもニューモンタナの保安官のところまで届ける。巡礼が何を意味するのかは不明。空気が汚れているのでマスクは欠かせず、屋外でマスクなしでいるとたちまち塵肺になってしまう。屋内では普通に暮らしている。今から百数十年後の設定だが、今から百数十年前に戻ったような感じ。車はあるが、化石燃料の使用は重罪。馬にはマスクをつける。たぶん平均寿命も短く、子供や老人の数は少ないんだろう。どういう社会構造になっているのかはよくわからない。パソコンもケータイもテレビも出てこない。馬に酒に銃で、モロ西部劇。ただ、主人公は女性なので、不精ヒゲも生やさず、タバコをくわえてもいない。口数が少なく、ポーカーフェイス。相棒にはもちろん医学の心得のあるドクター(ジョン・ハナ)。西部劇に出てくるドクターあるいは相棒はたいていアル中だが、こちらのドクターは違う。以前はゲイジと組んで賞金稼ぎをやっていたが、足のケガで引退し、町医者に。ゲイジには何やらつらい過去があって、時々悪夢にうなされる。はっきりしないが妹が関係しているらしい。彼女が無法者を追っているのも、いつの日かある人物・・仇を捜し出すためだろう。それにしても西部劇も変わったものだ。以前はむさくるしいヤローどもが酒場で殴り合ったりインディアンと戦ったりしていた。女性は添え物で、酒場で歌うとか三角関係の原因とか。でもこの映画では違うのだ。チャボは一味のリーダーだし、ゲイジはそのチャボを殺し、チャボのフリをしてジャクソンに近づく。ジャクソンはお尋ね者だが、一つの町をディファイアンス(反逆)という無法者の避難所にした。砦みたいになっているのかと思ったら、自由に出入りできる。ただし賞金稼ぎだとわかると町の入口に吊るされる。

レッド・ハンター2

ドクターは止めるが、ゲイジは自信持ってる。チャボの一味は死んだし、自分はいつもマスクしてるところしか見られてないし。チャボのトレードマークは帽子で、それを見ただけでみんなチャボだと思い込む。だから町へもすんなり入れた。ジャクソンはともかく、腹心のリアは疑り深い性格だが。一方このままじゃいずれニューモンタナもジャクソン達の手に落ちると危惧する保安官は、有志をつのってディファイアンス襲撃を企てる。ちょうどゲイジはチャボを知ってるジーという男に絡まれ、正体がばれそうになって殺したところ。いち早く襲撃に気づき、保安官を撃ち殺したため、ジャクソンに一目置かれるようになる。さて、ジャクソンの話では近くに放置された銀鉱山があると。銀を掘り出すにも人手が足りないので、巡礼団を襲って連れてくる計画。彼は自分には将来を見すえる能力があると自負している。そのジャクソンには腕に傷がある。あれこそ自分の妹が噛みついてつけた傷のあとだ!!彼こそ仇に違いない。ただ、前に書いたようにどういういきさつなのか不明なので、見ているこっちはぴんとこない。ジャクソンの女で、酒場で歌っているメレーナが妹に似ていると心にかけるが、その妹はどうなったのだろう。死んだのかな?巡礼団は、襲われるとわかっているので用心している。車の天井に砲塔をつけているのが珍しい。この砲塔のせいでジャクソン達も苦戦するが、ゲイジが回り込んで破壊。リアもやっと疑るのをやめるが・・。巡礼団の中には、チャボの手から救い出してやった少女もまじってた。正体ばれるかと思ったけど、うまく合図してことなきを得た。それにしても・・こういう混戦の時がジャクソンを倒すチャンスなのに・・と不思議でしょうがない。保安官や巡礼団の護衛をさっさと殺してしまうゲイジ。正義の味方とはほど遠い。まあこの世界では正義の味方なんて生き残れないんだけどさ。ここまでは順調だったゲイジだが、ウォーマックのせいでピンチに陥る。以前チャボの居どころを聞き出すため、棺に入れて引きずり回してやった。聞き出した後はマスクを破壊し、荒野に置き去りにした。その彼は塵肺になりながらもディファイアンスにたどり着き、ジャクソンに正体をばらす。

レッド・ハンター3

恨みに燃える彼は、自分と同じ目にあわせてやるとゲイジを棺に入れ、釘を打ち、車に引かせる。車がエンコすると、棺を崖から落とすことを思いつく。で、棺は崖からまっさかさまに・・これじゃあ絶対助からないけど、そこは映画だからね。重傷を負いながらもドクターの家にたどり着いたゲイジ。何とも都合のいい展開だが、ニューモンタナとディファイアンスは日暮れまでに着ける距離。ウォーマックの車が運よくニューモンタナ方面に走っていたのだとすれば・・ドクターの家がディファイアンスに近い町はずれにあったのだとしたら・・何とかたどり着けるかも。とにかく全力をあげてゲイジの治療をするドクター。おかげで彼女は命を取りとめる。それまでは分厚いコートで動き回っていたゲイジだが、ここで丈の短いネグリジェ姿に。太い脚が目立つ。体つきも横幅が広く、お尻が大きい。セクシーさとはほど遠い体形。そう言えば顔も横に広い。これがカラーノの特徴。カラーノの映画の特徴。女性ではあるけれども、それが売り物にはなっていない。ぶっきらぼうで不愛想で頑丈。傷が癒えたゲイジ。早いにもほどがあるが、細かいことは言いっこなし。今度こそあそこへ戻って仇を討つのだ。ドクターも協力する。せっせと準備をする。一方銀鉱山の方は採掘が軌道に乗り、ジャクソンは着々と銀を蓄える。この後は、まず鉱山を襲って見張りを倒し、巡礼団を逃す。ディファイアンスに行ってジャクソン一味と対決する。大方は倒すが、ジャクソンは逃げてしまう。で、彼を追ったゲイジは鉱山で対決。お約束の順番だ。死んだと思ったリアが生きていて、ドクターを撃つので、このまま死んじゃうのかと心配するが、何とか生き延びる。彼が死んでしまったのでは後味が悪いからホッ。てなわけで悪党一味は倒したし、巡礼団はニューモンタナの町に住みつくのだろう。でもゲイジはまた無法者を追って町を離れるのだろう。彼女は一つの場所にずっといるタイプじゃない。まあ目新しいものはないし、しょぼい映画なのだが、それなりに楽しめたかな。こういう映画にはあまり多くを期待しちゃいけない。カラーノも演技がうまいってわけじゃない。女スネーク・プリスキンみたいなキャラを楽しめばいい。脇ではジョン・ハナがいい味出してる。「ハムナプトラ」と違い、抑え気味の演技が渋い。エンドクレジットでのジョン・カーペンター風音楽も気に入った。