ルート9
ルート9沿いにある小さな町。大した事件が起きるわけでもなく、今日も保安官助手のブース(カイル・マクラクラン)とアール(ウェイド・アンドリュー・ウィリアムス)のコンビは、犬を捜すなんていうしけた仕事をしている。ところが町から離れた牧場で数人の遺体を発見。どうやら撃ち合いの末全滅したらしい。車のトランクには150万ドルもの大金、後で大量のコカインも見つかる。冒頭取引が決裂して撃ち合いになるところが描かれるが、片方は金、片方はブツをちゃんと用意してきているのだから、何でちゃんと取引しないのかね。まあ映画だから仕方ないけど。金にだらしがなく、いつも借金ばかりしているアールは、金を見ると即いただこう・・となる。渋るブースを大丈夫だ、運命だと説得し、言いくるめてしまう。もちろんここが運命の分かれ道。二人は地獄へまっしぐら。「シンプル・プラン」などでおなじみのパターンで、新味はない。いったいに金を首尾よく横取りできても、その後寝かしておく(←?)ってのが難しい。特にアールのようなタイプは何のかんのと理由をくっつけて金を使いたがる。こんなにあるのだから少しくらいいいじゃないか。あるいは気が大きくなってまわりにおごったりする。最初のピンチは生存者がいたこと。てっきり全員死んでいると思ったのに。話を聞かれた、生かしといちゃまずい、殺せとなる。後でこの生存者デニングが、麻薬取締局の潜入捜査官だったことがわかる。しかも取引を録音していたらしい。テープを聞かれたらおしまいだ!二人の会話が録音されているはずだから。しかし・・テープは無音。やれやれと思ったら、検視官ジェス(ミゲル・サンドヴァル)がテープはすり替えて自分が持ってる、金の三分の一をよこせと言ってくる。こいつも、ちょっと金が入るとカジノですってしまうアホ。ブースは保安官ドウェイン(ピーター・コヨーテ)の若い妻サリー(エイミー・ロケイン)と恋仲で、下着をプレゼント。この時使った金にはデニングによって印がつけられていて。ドウェインは今回の犯罪とは無関係だが、気に入らないことがあるとサリーを殴るDV夫。ブースは金さえあればサリーとこの町を出られるのに・・と思っている。つまり何だかんだ言ってもみんなしてチョコチョコ金を引き出していたわけ。
ルート9 2
事件捜査のため町へ来た取締官のエレン(ロマ・マフィア)は、金の行方が腑に落ちない。少なくとも100万ドルはあったはずだ。車の燃え方が変だし、テープの件も変だ。アールは母親にテレビをプレゼント。急に金回りがよくなったようなのが怪しい。そのうちジェスは分け前を半分よこせと要求。アールに殺されてしまう。こうやってどんどん深みにはまっていくのだ。見ていて何てバカなんだ・・と思う。楽しくない。こういうのではハッピーエンドはありえなくて、次から次へと人が死ぬ。それはまあ予想通りだが、ラストでは埋めてあった金までどこかへ行ってしまう。これにはびっくりだ。エレンも途方にくれることだろう。マクラクランは40くらいだから、もっとステキなはずだが、どうも魅力が生かされていない。白髪まじりの髪のせいで、老けて見える。何で真っ黒にしないのか。優柔不断なブースより、アールの方がキャラが強烈だから印象に残るが、金を見つけていただこうとなる時の彼は能弁すぎる感じ。前から用意していたみたいで不自然。サリー役ロケインは「青春の輝き」や「ハードロック・ハイジャック」でブレンダン・ブレイザーと共演していた人。エレン役マフィアは「ミディアム」などでよく見かけた人。この頃はまだ細い。同じく取締官のウォレスやってるリチャード・リールもよく見かける人。ウォレスはアールのせいで車ごと谷底へ落とされてしまう。引っくり返った車の中で動けずにいるところを、アールのトラックが何度もぶつかってきて、谷の方へ押しやる。ここらへんちゃんとうつしていて、細かいカットなどでごまかしていない。ちゃんと逆さになって、ちゃんとぶつかられているのだから、さぞ撮影は大変だったろう。DVDには解説がついているが、マクラクランのことばかりで、ウィリアムスには一言も触れていない。いくらマクラクランの方が知名度があるからって、ずいぶん偏った書き方じゃないかと首を傾げた。で、そのウィリアムスだが、「エレメンタリー」の「かごの鳥」で見たばかりだ。ジェス役サンドヴァルは「ミディアム」のデヴァロス検事役でおなじみ。