ライディング・ザ・ブレット

ライディング・ザ・ブレット

この題名では何も伝わってこないね。ブレットというのは遊園地の絶叫マシンのことらしい。主人公アラン(ジョナサン・ジャクソン)は子供の頃これに乗ろうと母ジーン(バーバラ・ハーシー)と列に並んでいたが、直前になって急に怖くなってしまう。ジーンは怒り、アランをたたく。この出来事は彼の心に苦い記憶として残る。成長したアランは大学で絵を学んでいる。死に取りつかれ、自殺を考えてみたりするが、本気というわけでもない。恋人ジェシカ(エリカ・クリステンセン)がいるが、人の愛を素直に信じられないせいでしっくりいっていない。ある日母親が脳卒中で入院したという知らせが来る。普通ならバスとか汽車、あるいは自分で運転して帰るところだが、彼はヒッチハイクをする。ここらへん日本と違うな・・と思う。季節はハロウィンの頃らしいが、夜・・凍てつく寒さ、小雨も降ってる。撮影は大変だったろう。驚いたことにこれって日本では劇場公開されたらしい。あのスティーヴン・キングの!って宣伝したのかな。でもヒットしそうにない内容、題名、出演者。原作は古本屋に行くとたいてい100円で売ってる。いつもなら買って読む私だが、単行本だから買わない。パラパラめくると、うすい文庫本くらいの内容量しかない。文庫本なら買うんだけどな。100円なのに何迷ってるんだと言われるかもしれないが、本の重みで床が傾いている気がするんだよな、この貸家。いつ床が抜けるかなんてこっちの方がよっぽどホラーだ。なるたけ文庫本以外は買わないようにしているつもりだけどそれがまたそうもいかなくてねえ。それにしてもこの映画つかみ方がうまい。冒頭いきなりザ・ゾンビーズの「ふたりのシーズン」。私がゾンビという言葉を知ったのはこのグループ名から。映画の「ゾンビ」からじゃないよ。この曲少し前CMに使われていて・・テレビから流れてきた時にはびっくらこいた。他に「好きさ好きさ好きさ」も彼らの曲。日本ではザ・カーナビーツが歌ってた。欲を言えば「ふたりのシーズン」・・歌詞を字幕で出して欲しかったぞ。さてこの映画ジャクソン君の美しさを堪能できるという一点を除くと、あとはどうってことない。前にレンタルして見た時はこんなのわざわざ一本の映画にするような内容か?・・と。

ライディング・ザ・ブレット2

ほとんどアランの妄想の世界。彼が悪魔に取りつかれ、いろいろ恐怖の体験をしているように見えるけど、実際は頭の中での出来事。現実のもあるけどそれだってほとんどは彼が余計なことするから。あれこれ気を取られるから。最初のうちは彼のこと心配しながら見てるけど、だんだんどうでもよくなる。彼の妄想にお義理でつき合う。一番怖いのはジョージ(デヴィッド・アークエット)の部分だろう。生きてるのか死んでるのか。でもあれだって豆腐・・じゃない、墓石の角に頭ぶつけて気絶したアランが見た夢なんでしょ?脳みそむき出しというのも「リーサルドーズ」の方がよっぽどインパクトあった。とにかくアランはこの一晩である程度成長し、妄想グセから抜け出したらしい。病院に着いてもまだ妄想してるけど、ジーンはちゃんと生きていたし回復の見込みもある。あの遊園地での出来事をジーンがずっと後悔していたこともわかる。お互い和解し合って長年のモヤモヤが晴れる。死に取りつかれ、それを楽しんでいたきらいのあるアラン。でも今度の体験でわかった・・死は楽しむようなものじゃないのだ。たいていの映画ならここで終わるがこの映画はその後もうつす。母との楽しい日々、母の死、恋人ジェシカとの再会、結婚、離婚。画家としての成功もなし。今でも趣味で描いてるけど。あの晩(1969年)はジョン・レノンとオノ・ヨーコのコンサートに出かけるはずだった。月日は流れ今では中年男になってる。たまに妄想の世界が開きそうになるけど今はもう入り込まない。ひとりぼっちのアランをうつして映画は終わる。・・だからどうした!これを見た人は自分の青春時代を思い出して胸がキューンとなるんですかね。まあ胸キュンの材料は人によって違うだろうけど。私は「ふたりのシーズン」に胸キュン。恋とは無縁の青春時代・・いや、恋はしてましたスコット・ウォーカー、ジョン・ウォーカー、アパッチとイタチとギャリソン(←アホ)。今回再びDVDをレンタルし、見直してわかったけど寮から病院までは190キロ。出発が午後4時頃で着いたのが10時。6時間くらいの間の出来事なのね。車が通らなくてずーっと待っていたり気絶したり時間くってるはずなのにおかしいな。他にクリフ・ロバートソンが出ていた。ろくに何もできないうちに中年になってしまったというのはわびしすぎて身につまされるけど、それ以外は別に・・。