レプリカズ
この映画えらく評判悪いみたいなんだな。でもキアヌ出てるし。WOWOWでやったので、ちょっとおそるおそるという感じで見始めた。プエルトリコのアレシボというところにバイオナイン産業の研究所がある。神経科学者のウィリアム(キアヌ)はそこである研究をしている。今日も心停止のドナーが運び込まれ、実験が始まる。神経情報を合成脳にインプリントするとか何とか。死んだ人の脳の情報をロボットの人工脳に移し替えるってことらしいが、なぜか失敗続き。情報の移送はできるんだけど、目覚めたロボットは混乱して暴れ出してしまう。上司のジョーンズは結果を出せとせっつく。厖大な資金をつぎ込んでいるのだから無理もない。ウィリアムには医師の妻モナ(アリス・イヴ)と長女ソフィ、長男マット、次女ゾーイの三人の子供がいる。モナはウィリアムの考え方に疑問を持っている。とは言え彼女だって患者を救うためにはどんな方法も取るが。週末、一家は車で出かける。同僚のエドの船を借りて釣りをするのだ。夜、雨が降っていて見通しが悪い。あっという間に事故を起こし、妻と三人の子供は死んでしまった。ウィリアムはエドを呼び出し、彼らのクローンを作ろうとする。研究所から装置を持ち出すのだが、ポッドは三つしかない。四人は無理だ。思い悩んだ末、ゾーイをあきらめる。残りの三人から神経情報を取り出すが、ゾーイに関する記憶は削除しておく。四人の遺体の始末をしてくれとエドに言うウィリアム。次に四人の中から一人選ぶよう言うウィリアム。さすがに後者はエドは断った。当然だ。悲しみのどん底にいるとは言え、ウィリアムはあまりにも自分勝手だ。人間のクローンを作り出すことは禁じられているから、もしばれたら刑務所行きだ。また、装置を持ち出していることがわかったら会社はクビだ。クローン人間を作り出しても、どんな形になるかわからない。形が正常でもその後どうなるかわからない。三人は赤ん坊の状態ではなく、それぞれの年齢の状態で生まれてくる。もしかしたら老化が止まらないかも。そう言えば「エンブリヨ」では細胞の老化現象を食い止めるため、ヒロインが暴走していたっけ。
レプリカズ2
他にもいろいろ心配事はある。装置に気を取られるあまり、四人が姿を消して数日たつのに、何もフォローしていなかった。エドに言われるまで学校にもモナの職場にも連絡してなかった。みんなのケータイにはメールがどっさりたまっていた。もっともらしい返信をせっせと打つウィリアム。ここらへんは今風。ところで事故を起こした車はどうしたのかな。川か何かに落ちたままなのかな。後で普通に車使っていたけど、ウィリアム用とモナ用の二台あるだろうからな。あ、でもモナが変に思わなかったのかな。マットを心配して学校の先生が訪ねてくるが、この先生やってるのは「D-TOX」などのアンジェラ・アルバラードだな。さて、とうとう彼らをポッドから出す日が来た。外見は完璧だ。あれこれあるが、モナも子供二人も何ともないように見える。研究所にはまたドナーが運び込まれてきた。たぶん最後のチャンスだ。しかし・・ウィリアムは実験を中止する。実はここらへんから見ていてもよくわからなくなる。ロボットの脳に人間の脳の情報を移す・・死んだ人間がロボットとして生き返ることと、クローンに脳の情報を移す・・死んだ人をクローンとして生き返らせることの二つが描かれるので、どっちがメインなの?・・と見ていて混乱する。実験を中止したウィリアムはトイレにこもり・・何でトイレなの?キアヌはトイレなんて行きませんッ!!いやそうじゃなくて・・自分の脳の情報を輪っかのようなものに移す。そのためには目に針を刺すのだが、こういうシーンは苦手だな。それなのにその後目が何ともなさそうなのはなぜなんだ?彼はロボット・・345号に自分が入るつもりだ。自分の脳情報が入るのなら、ロボットは(自分がロボットだというのを認識しているから)パニクって暴れることもない。一方モナ達は、違和感を感じ始めているようだ。ソフィには事故が起きた時の記憶があっておびえる。その記憶を削除しているところを、モナに見つかってしまった。ウィリアムはわりと簡単に真相を話す。モナはショックを受けるが、これがもし自分だったら・・。子供や夫を取り戻すためにウィリアムと同じことはしないと言いきれるか?
レプリカズ3
ある晩ジョーンズが訪ねてくる。彼はウィリアムがやったことを全部知っている。てことはエドが裏切ったのか。このままじゃ自分もウィリアムもクビだし、そればかりではなく刑務所行きだ。裏切ったとしても無理はない。とは言えこの展開は唐突すぎる。映画はクライマックスに向かって加速・・と言うより、迷走、暴走気味になってくる。ウィリアムは345号を使っての実験には自信がある。しかしジョーンズの・・会社の目的は医療・・人命を救うことにはなかった。軍事目的だった。だからアルゴリズムを手に入れたい。モナ達は始末する。どうせクローンだし。見ている私は話についていけなくなって、「はあ?」「ええ?」状態。で、お約束の追いかけっこが始まる。モナ達の体には追跡装置が埋め込まれているので、どこへ逃げてもわかってしまう。そのためモナは病院へ行くよう言う。心臓に電気ショックを与え、装置をだめにするのだ。ここで見ている人は、それをやることによってモナは命を落とす・・と確信する。彼女は目覚めた翌朝、習慣であるランニングをした。その時心臓に違和感を覚えた。エドが心配したように、外見は何ともなくても内部で何か不具合が起こっているのかもしれない。食事の時マットはパンケーキが泳ぐほど蜂蜜か何かをかけていたが、あれもそうなのでは?でもこれらはスルーされる。映画が終わるまで彼らには何の不具合も起きない。だったらモナのあのシーンを何で入れたんだろう。心臓に違和感ではなく、何か・・ゾーイのこととか・・頭をよぎったとか?記憶が一部欠落しているのに気づいたとか?マットのあれはただの砂糖中毒?それにしても追跡装置があることをウィリアムが承知していたってのは・・おかしくないか?家でクローンを作っている間中、その信号が発せられていたわけで。とにかく追っ手をまいて港へたどり着き、エドの船で逃げようとするが、みんなつかまってしまう。あの時エドは遺体を始末するよう言われたけど、そんなこと簡単にできるわけがない。迷っているところをジョーンズに見つかってしまったのだ。じゃあほぼ最初からジョーンズはクローンのこと知っていたの?
レプリカズ4
それで話のつじつま合います?気の毒にエドは撃ち殺されてしまう。この後は「アイ,ロボット」。いやホント見ていてぽか~んとしてしまう。生身のウィリアムと、起動した345号は全く同じ考え方をする。違うのは345号は拳銃で撃たれても死なない・・壊れないということ。それと力が強い。彼・・345号はジョーンズを殺すけど、そのジョーンズをクローン技術で生き返らせることはできる。ラスト・・ウィリアム達はビーチにいる。彼はゾーイの手を引いている。ゾーイの脳情報は保存してあったから、ゾーイのクローンを作って移したのだろう。345号とジョーンズ(のクローン)はドバイで、あるビジネスを始めた。金持ち相手に、第二の人生を提供するのだ。この場合クローンは現在の形・・年取った、あるいは病気の・・ではなく、もっと若く健康な状態で作り出されるのだろう。もちろん違法なビジネスだから極秘にやってるんだろうけど。それにしてもこんな異常なハッピーエンドも珍しい。見てる人誰もよかったねと思わない。いいのか、これで?と首を傾げる。あるいは嫌悪感を抱く。普通の映画ならウィリアムは命を落とす。彼はやってはいけないことをやったのだから、その罪を償わなくてはならない。モナ達は生き残ってかまわない。彼らには何の罪もないのだから。残された彼らを守るのは345号の仕事だ。ジョーンズが嗅ぎつけていたのだから、会社もウィリアムの技術のこと知っており、手を伸ばしてくるはずだ。345号は金儲けなんかしている場合ではないのだ。第一345号の頭のなかみはウィリアム。ウィリアムがそんなことするか?映画を見ている人は、心のどこかでバランスを求めている。悪いやつは報いを受け、善人はどこかで報われるべきだ。だからこういう終わり方を見せられると、割りきれないものを感じる。キアヌはくたびれた感じ。アリス・イヴとは18歳くらい違うので、余計そう感じる。まあ生き返ったモナと早速イチャイチャなんていうのはなかったので、そこはよかったけど。エド役はトーマス・ミドルディッチ。ウィリアムに振り回される彼が気の毒で。しかも彼は生き返らせてもらえない!脳を損傷したからだめなのか。ジョーンズ役はジョン・オーティス。どこかで見たような人だが、「エイリアンズVS.プレデター」に出ていたようだ。