レネゲイズ

レネゲイズ

引越し完了!また書くぞ~!これはいまだにDVDが出ていないようだ。DVDにする時には監督のコメンタリーをぜひつけて欲しい。中古ビデオを買ったのは数年前。おそらくはキーファー・サザーランド目当て。「霊視」でノックアウトされて・・とか。そこらへん忘れるほど時間たってるってこと。もちろん買ってすぐ見て、ある程度は気に入って、感想も書き始めたけど、どうも内容が落ち着かない。書き直したけどやっぱり途中までで、最後まで行き着かない。今回は思い直した。あれこれ細かく書こうとするから行き詰まるのだ。新しい気持ちで映画を見直し、シンプルに行こう・・ってね。それで書いて(三回目)、清書して(四回目)、それでやっと・・。私も効率悪いな。・・一番最初に見た時は、これがあの「ヒドゥン」のジャック・ショルダーの監督作品だなんて知らなくて。また、最近まで敵役マリノをやってるのが若き日のロバート・ネッパーだなんて知らなくて。この二つには本当にびっくりしたな。最初見た時はやっぱりキーファーのかわいらしさに目が行った。1989年頃だとまだ23かそこらで、とにかく若くてかわいらしい。いちおうヒゲをつけているが、そうでもしないとウヒヒ。と言うかヒゲをつけてもかわいらしさは隠しきれん!冒頭ラコタ・インディアンに伝わる宝物の槍が紹介される。都会(フィラデルフィアらしい)で展示することになり、ハンク(ルー・ダイアモンド・フィリップス)は父や兄と一緒に居留地を出発する。一方刑事バスター(キーファー)は表向きは休暇中だが、自主捜査をやっている。どうも署内に悪徳警官がいて、マリノという悪党に情報を流しているようなのだ。亡くなった彼の父は汚職警官だったが、仲間の罪までひっかぶったらしい。バスターの行動にはたぶん父親のカゲが・・。自分は父とは違う・・と、証明したいのか。あるいは父が口をつぐんだおかげで助かった仲間を見つけたいのか。まあとにかく父の過ちが彼にカゲを落としているのは確かだろう。ただしあまり深刻には描かれない。バスターの上司フィンチ警部は父の親友で、何くれとなく面倒を見てくれるが、ちょっと勘を働かせれば、問題の仲間は彼だとわかりそうなものだ。もっともキーファーの持つ育ちのいいお坊ちゃま風のムードのおかげで、バスターは頭が悪いと言うより純粋でお人好しで人の善意を信じてる・・って思えるけどね。

レネゲイズ2

どうやってマリノに近づいたのかは省略されているが、バスターは200万ドル相当のダイヤの強奪計画を持ちかけ、乗せることに成功する。金庫の番号をもらすのが警察の内通者という設定にはやや無理があるが、結局マリノはバスターの意図した通りには動いてくれず、内通者を見つけるどころか死傷者が出てしまう。また多くの屋台や店を破壊しまくる。もちろん彼自身犯人の一味と思われてしまう。この映画で一番力が入っているのは、ダイヤを盗んだ後パトカーから逃れるカーチェイスのシーンである。ビデオカバーには「フレンチ・コネクション」以来最高・・なんて書いてある。まあ私は「フレンチ」は見てないので比較はできないが、力が入ってるのはわかる。いろんなDVDでメイキングとか見せられるせいで、この映画を見ていても裏の部分・・スタントの打ち合わせ、タイミングの計算・・みたいなものを思い浮かべてしまう。車をよけようと走ったり飛んだりする人々がスタントマンに見えてしまう。いや、実際スタントマンなのだが(ビデオカバーには60人とある)、本当は通行人に見えなくちゃいけないんでしょ?マリノは逃走の途中たまたま目にした展示中の槍に心を奪われる。槍を奪うのを止めようとしたハンクの兄は殺されてしまう。ハンクは後で父親も殺されてしまう。この映画ちょっと人が死にすぎ。マリノはバスターが警官だとは気づいていないが、始末する気になったらしく、撃つ。ただ、車の座席越しという中途はんぱな撃ち方なので、死には至らず・・。マリノのことだから死ぬ前に苦しい思いをさせてやれということなのか。キーファーが死んだら映画続かないけどね。バスターの前に現われたのは追ってきたハンク。槍を捜す手がかりは彼しかいないので、病院にも警察にも行かず、安モーテルへ連れ込む(←?)。このモーテルのシーンがおかしい。エレベーターが故障しているという設定がうまく使われている。エレベーターが使えないので、負傷したバスターをかついで階段を上がるハンクに、フロントが「ハネムーンらしいぜ」。かと思えば、故障しているとは知らない殺し屋二人が(箱が降りてくるのを)ボーッと待ってる間に、ハンクとバスターが逃げるとか。ここらへんクスリと笑えていい感じ。見ていて題材とか出演者とかわりといい感じで、ビデオ買っておいてよかった・・と思うけど、その一方で残念に思うこともいっぱいある。

レネゲイズ3

全体的に盛り上がりに欠けるのだ。ハデなアクションもちゃんとあるのに大人しい感じで、すべてのものがキレが悪い。そのせいでどぎつさとかあざとさもないのだが・・。「ヒドゥン」のショルダー監督と知ってからは、どうしても比較してしまう。作り手にも同じ路線で・・という気持ち、あったんだろうけど。体格や性格、生まれや現在の境遇が全然似てない二人の青年。バスターがベックで、ハンクがギャラガーに当たるのだと思う。片方は刑事で、片方は家族の仇を追う。SFなら相棒、あるいは敵はエイリアンだが、「レネゲイズ」はSFじゃない。都会的じゃない、現代的じゃない、科学的じゃない・・となれば、アメリカならインディアンでも出してくるしかない。手のひらにおさまる光線銃の代わりは”薬の石”だ。撃たれて重傷のはずのバスターはろくな手当てもされないが、すぐ元通りになる。ハンクの父(部族の医者)の祈祷のおかげか。いやいやもしかしたら近代的な大病院に運び込まれて受けるいろんな手当ては、もしかしたらその多くは余計なことなのかも。ほうっておいた方が(静かに寝ていた方が)速やかに治るのかも。さて、ハンクには兄の仇を討ちたいという気持ちがあるし、宝物である槍は何としてでも取り戻したい。一方バスターは、マリノがハンクに殺されるのは困るのだ。ちゃんと逮捕して、彼と通じている内通者をあぶり出したい。いつ誰の耳に入るかもしれないので、フィンチにさえ何の自主捜査してるのか秘密にしている。一人でがんばるけなげなバスター!もちろん演技のうまいキーファーのことだから、普通にやること以上の細かい演技をそこここに散りばめる。一瞬の目線とかヒゲをひくつかせるとか。う~んやっぱりヒゲがある方が演技の幅は広まるのかしら。私はない方が好きだけど。・・と言うか、ブタ箱で一晩過ごして不精ヒゲなし、ほっぺつるつるというのも。最初のうちバスターとハンクはうまくいかない。ハンクにはバスターが警官だなんてすぐには信じられないし、バスターはバスターで捜査は一人でやりたい。二人でやるにしてもリーダーシップを取りたい。機会があればハンクを出し抜きたい。置いてけぼりにしたい。そういう小賢しい心理や細工は、ハンクにはすべてお見通しだ。

レネゲイズ4

ハンクはギャラガー同様神秘的な部分がなければならない。彼は余計なことはしない。しゃべらない。セリフらしいセリフを言うのは、映画が始まって30分もたってからだ。いろいろ・・コネタを振ってくる柔軟で身軽いキーファーに対し、ルーは硬くてこわばっている。もっと肩の力抜いて自然体の方がいいのに。ま、「狼の烙印」もそうだったけど、ルーってたいていいつもこんな感じ。とは言えそうやっていつもこわばっているから、映画が始まって1時間くらいたって初めてやわらかい笑みを見せ、バスターと打ち解け始めるのが新鮮で印象的なんだけどね。私が感心したのはアクションシーン。ルー自身がやってるスタントがあり、それがけっこう危険で・・。地下鉄のシーンとか。あるいはファイトシーン。細切れにせず、ちゃんと自分でやってみせている。もちろんキーファーもがんばってるけど、彼の場合何度も言うようだがかわいらしさの方が印象強烈で・・。ハンクが父親としみじみ語り合っている場に、毛布体に巻きつけてのこのこ現われ、「腹が減った」なんて・・KYもいいとこ!でも何てかわいいの!かわいいから許す!今は郷里にいるハンクだが、一時都会へ出ていたらしい。都会で何をし、何を感じ、なぜ戻る気になったのかは説明されない。この映画けっこう説明不足。ハンクがバスター達追うために赤いハデな車盗むが、警察の手がのびることはない。目立つし盗難届出ているはずだが、道路に置きっぱなしにしても何もなし。ダイヤも・・どうなったのだろう。ま、いちいち気にしていたら切りないけど。ちなみに後になってフィンチが怪しいと気づいたバスターは、ダイヤは実際は600万ドル分ある・・とゆさぶりをかける。もし彼がマリノと通じているなら、だまされたのでは・・と不安になり、マリノのところへ出かけるだろう。それにしてもバスターは、マリノの隠れ家(牧場)がどこにあるか知らないようで。自主捜査の段階で普通わかるでしょ?・・と言うか、そもそも彼がマリノに目をつけたのはなぜ?マリノの恋人バーバラ役は「ツイスター」に出ていたジェイミー・ガーツ。この頃はまだ若く、ジェニファー・コネリーに似ている。「ツイスター」ではガマ口みたいな大きな口が目立ったが、この頃はそうでもない。

レネゲイズ5

この映画は登場人物の区別がつきにくい。最初の方でコーヒーを飲んでいるバスターのそばに商売女が来る。最初見た時はバーバラかと思った。顔がよく似ている。フィンチともう一人の刑事、それと最初の方でバスターを殴った刑事・・三人ともよく似ている。役名はわからないが、どこかで見たような・・という人が何人か出ている。特に銃の売人役の人はいろいろ出ている。「ナイトウォッチ」とか「アウト・フォー・ジャスティス」とか。もうそろそろ名前を覚えてあげなきゃねえ。ハンクとバスターを見逃す新米警官役のジャスティン・ルイス(ルイス・フェレイラ)も見た顔だ。ロバート・パトリックに似ている。JJ役・・と言ってもどれがJJなのかわからないのだが・・クラーク・ジョンソンは「S.W.A.T.」や「ザ・センチネル 陰謀の星条旗」の監督だ。さて・・いよいよマリノ役ロバート・ネッパーである。この頃はロブ・ネッパーになっている。最初見た時はジョニー・デップに似ているなあ・・と。「プリズン・ブレイク」や「ホステージ」のことも知らず・・あるいは気づかず・・。デップの他にスチュアート・タウンゼントにも似ている。わりと最近ホントに偶然「吐きだめのヒーロー」という中古ビデオ見つけて。この頃のネッパーは、ヘアスタイルのせいもあるがタウンゼントそっくり!でも若い頃こういうありあまるような髪の毛をしている人ってすぐ・・。ネッパーも「レネゲイズ」の頃はちょっとヘアスタイルおかしい。日記に何度も書いていることだが、私は悪役の存在って大事だと思っている。悪役が強力であればあるほど主役の輝きが増す。この映画はキーファーとルーという魅力的なコンビを登場させておきながら、十分成功しているとは言いがたい。キーファーの魅力もルーの魅力も両方ほどよく引き出され、どちらのファンも満足できる仕上がりとなっている。でも満足するのと映画の出来とは必ずしも一致しない。他の人はネッパーのマリノを見てどう思うのかしら。悪役にしては若いし細いし重みがない。第一何を考えているのかさっぱりわからない・・となるのかしら。確かに私も最初見た時はそう思った。何をしたいのか、何が欲しいのか、なぜ槍を盗んだのか。でも・・ほら・・くり返すけど「ヒドゥン」の監督だと知って。あそこでの悪玉エイリアンは理由なんかなかったじゃない。欲しいから、食べたいから、乗りたいから。

レネゲイズ6

自分が中心だから怖いものなし。マリノもそうなのよ。フィンチは汚職警官だけど罪をかぶってくれたバスターの父親には恩義を感じている。だからバスターのことを心配している。仕事机には家族らしい写真・・きっと家庭ではよき夫、よき父親なのだ。情にもろいところがあって、チンピラのマリノを見逃すなどしていたのだろう。その一方で金が欲しいという欲望が常にある。バスターの父親だってもっとうまく立ち回れたはずだ。一方マリノは、フィンチが手心加えたせいでかえって増長。ここらへんは私のかってな想像だが、彼は金さえあれば警察も簡単にあやつれると踏んだのではないか。誰も信用していないから、フィンチ以外の内通者も作っとく。人に指図されるのはがまんできないから、気にくわない者、邪魔者は即始末。バーバラのことだって心から愛してるわけじゃない。彼女も簡単に殺されてしまう。もっとも彼女はつんけんしていて殺されても別にかわいそうでも・・(おいおい)。普通なら彼女はもっとやさしいキャラで、バスターかハンクと仲良くなるのが常道だが、この映画ロマンスめいたものはなし。そのせいでバスターとハンクのロマンスが腐女子ファンの想像をかき立てるわけで。で、槍だけど、目にしたとたんマリノは「欲しい」と思ったのだ。だから取った。邪魔するなんて許せないから殺す。槍は自分と同じで特別なもの、二つとないもの、自分が持っているべきものに思えたんだわ。ただ、その後槍はクライマックスまでほとんど出てこない。もう少し槍への執着描写してもよかったのでは?この映画あっさり味。でも最初見た時感じた「なぜ槍を?」という疑問は、今は感じない。マリノには「なぜ?」なんて必要ないし、その点では悪玉エイリアンと同じ。そう、マリノはエイリアンなのよ。で、悪役が太ってあぶらぎった中年おやじじゃなくて、すっきり涼しい細面の好男子だからいいのよ。これ若き日のデップです・・って言っても通るな。結局マリノのことはよくわからないんだけどまあいいわ。ネッパーでなかったらマリノのキャラはこの映画の欠点になってるわ!ラスト、居留地に戻ったハンクの元へバスターがはるばる訪ねてくる。今度こそ本当の休暇だ。彼の純白のウェデイングドレス・・じゃない、ワイシャツが目にまぶしい。モーテルに泊まってるから会いにきてくれだとさ。きゃ!ハネムーンの続き?(←アホ)