レギオン

レギオン

WOWOWの「ハリウッド・エクスプレス」で見て、見たいなあ・・と思って。その後日本でも公開されたが、こっちではやってくれなくて。でも早々とWOWOWでやってくれたので見ることができた、うれしい。ポール・ベタニーが天使ミカエル!しかも銃をバンバンぶっぱなす戦う天使!これだけでもうワックワクのドーキドキ。でもこういうの日本ではヒットしそうにないな。ベタニーのファンはかけつけるだろうけど、数は多くないだろうし。映画の評判はあんまりいいとは言えない。冒頭何やら起こるけど、暗くてよくわからん。暗闇でドッキリ?いやいや、全編とても真面目に作ってある。驚くほど真面目。役者の演技も真剣。神が人間に愛想つかして滅ぼすことに決めた。天使軍団が来るらしい。ガブリエルは神の命令に従うけど、ミカエルは人間見捨てる気にはなれない。神はその昔人間を愛せと言われた。彼の見るところ人類は救いようがなく、滅ぼされても仕方ないが、それでも彼は・・。で、彼は人間界に下りてくる・・と言うか、落っこちてくる。背中には傷があって、鏡見ながら自分で縫う。こんなとこわざわざ・・。見せたいのならもっと明るくはっきり見せろ。暗くてモゾモゾしていて、パッパパッと切り替わって・・ああ!見づらい。いつの間にかコート着て、両手には重そうなバッグ。どうもなかみは武器のようで。後でいっぱい出てくるから。でもどうやって手に入れたんだろう。画面にはうつったけど私が見逃したのかな。こういう作り方って腹立ちません?ちゃんと撮影したけどそのままストレートに見せてなんかあげないよ~うんと見づらくしてやるよ~って意地悪されてるみたい。ある日・・クリスマスに近い頃・・天使が空から落ちてきました。背中の傷は翼のあとでしょう。ドラッグストアへそっと忍び込み、傷の手当てをします。次に銃砲店に忍び込み・・いや、マシンガンみたいなやつだから普通のお店には置いてないかな(銃のことはよくわからん)。じゃ、マフィアの根城とか?ああいうコート着そうだし。そうやって(どうやって?)支度整え、表に出るとパトカーが・・って、こういうふうにシンプルにわかりやすく描写したってよかったのに。君達凝りすぎ。ところでここの炎の中から現われるシーンで「ザ・クロウ」思い出したのは私だけでしょうか(私だけでしょう)。そこで舞台は変わって・・アッ今まではLAですよ、天使ならお約束。

レギオン2

砂漠にポツンと立つガソリンスタンド兼食堂。ここに集まった数人の男女。・・設定から言うと「コンスタンティン」とか「ゴッド・アーミー」風なんだけど、砂漠・ポツン・しょぼくれた男女・得体の知れない敵・一人また一人・・ということで、「ザ・フィースト」風味も。でもあっちほど下品でも汚らしくもない。くり返すけどとっても真面目。主人ボブ(デニス・クエイド)は妻に去られたダメ男。息子ジープ(ルーカス・ブラック)はなぜかしきりに悪夢を見る。何か起きそうな気がする。彼はウエートレスのチャーリーを愛している。彼女は妊娠8ヶ月だが、子供なんか欲しくない。生まれたら養子に出すつもり。ジープは自分の子供でもないのに赤ん坊ごとチャーリーの面倒見るつもりでいるが、チャーリーはジープのことは何とも思っちゃいない。ダイナーにはコックのパーシー(チャールズ・S・ダットン)の他、車が故障し修理を待っているハワードとその妻サンドラ(ケイト・ウォルシュ)、娘でちょっと不良がかっているオードリー。電話を借りに寄ったカイル(タイリース・ギブソン)も何やらトラブルかかえてる。ジープはハワードの車修理しなくちゃいけないのに、こんなの見つけた・・とか。それって赤ん坊用ベッド?ちゃんと仕事しろよ。客を2時間も待たせて。ボブの説教が始まり・・だからぁ、そんなヒマあったら。向こうの人はよくしゃべる。そのうちテレビ、ラジオ、電話がだめになる。孤立状態、異変の始まり。砂漠にポツンだから情報入らない。消える前テレビでやってた白黒映画は・・ジェームズ・スチュワートが出ていたみたいだけど・・セリフで羽がないとか天使とか言ってた?・・「素晴らしき哉、人生!」かな?見たことないけど。車が来て降り立ったのは足の不自由な老婆。まあこの映画で一番インパクトあるのはこの老婆だろう。このシーンはよくできてる。次に謎の男。私の興味はモチこの男ミカエルね(マイケルって発音してるけどそれだとジョン・トラボルタになっちゃうからミカエルでいい!)。彼が事情説明したって普通は誰も信じない。それでも悪魔が人類滅ぼそうと行動起こし、天使が神の命令でそれを阻止するべくつかわされた・・っていうのならまだわかるが、この場合悪魔関係なし。何で天使が人類滅ぼすわけ?神様もかってだなあ。でもほら・・砂漠にポツンだから他と比較できないわけ。

レギオン3

他の場所で何が起こっているのか(いないのか)、どっちが優勢なのか(劣勢なのか)全くわからない。判断材料は人間とは思われない異様な老婆とハエの大群だけ。でもこのミカエルの言うことは本当なのだろう・・と、みんなは話を受け入れる方向へ(いつまでも疑ってちゃ話が進まん)。たぶん真っ先に信じたのはジープだろう。何か起こりそうな気がずっとしていたのだもの。でもその彼も、これからチャーリーが産む子が人類の救世主になるって言われてもぴんとこなかっただろうな。映画を見ている我々もぴんとこないけど。赤ん坊の父親が誰なのかは不明。チャーリーは男に捨てられたことになっているようだが、こういう映画ならさあ・・実はチャーリーにも父親が誰だかわからないとかさあ・・。全く覚えがないのに妊娠して、自分でもわけがわからなくて当惑してるとか。でもまわりに言っても信じてくれるはずもなく・・仕方なく黙ってるとか。男に捨てられた、身持ちの悪い女・・いろいろ言われてもじっと耐えてるとか。気味が悪いから中絶しようと何度も病院へ行ったけど、その度に妙な気分になって、どたん場で逃げ出したとか。まるで誰かにあやつられているみたいだとか。そういう設定にすれば赤ん坊→救世主もすんなり受け入れられると思う。ジープの方もチャーリーのことが好きで子供も含め全部受け入れたいと思ってるけど、なぜこれほどまでに強く決意してるのかは実は自分でもよくわからないとか。そうすりゃキリストの養父ヨセフみたいに保護者っぽい存在となる。まあ妄想はこれくらいにして・・とにかくジープは今時珍しいくらい一途で生真面目。例え相手が愛してくれなくても自分は愛する、守り通す。そういうところがミカエルに、人間もまだまだ捨てたものじゃない・・と思わせたようで。救世主は実はジープかも・・って私には思えるんですけど。映画が終わっても彼の戦いは続くのだろう。母子を守り、育て・・。天使にあやつられた人間達(もう人間じゃないらしいがよくわからん)との戦いはしょぼい。どういうふうに描きたかったにしろ、いろいろ制約があったようで。お金が・・時間が・・人手が・・弁解聞こえてきそう。ここ以外の描写ゼロ。カーラジオのニュースだけですませる。他でも戦ってるみたいよ。天使が場合によっては血みどろの戦いするってのは「ゴッド・アーミー」や「ナインスゲート(の原作)」で知ってる。

レギオン4

レギオンは「軍団」という意味らしい。軍団と言いつつ、こっちに現われたのはガブリエルだけ。でもしょぼいなんて言っちゃいけない。軍団は他のいろいろなところで戦っているのだ見せないけど。そういうことにしとこ。場所は基本的にダイナーの中とその周辺だけだし、出演者もクエイド、ブラックなどいちおう揃えてるけど地味め。昼間だといろいろアラが見えるので、戦うのは夜。多くのものが見えなくなり、都合がいいで~す。CGもチョコチョコ。あんまり大がかりなのや精巧なのは予算の都合でできませ~ん・・みたいな。敵は銃で撃てば死ぬようです。「スペースハザード」みたいにしつこく甦ってきたりしません。て言うか、暗いから同じ人何度使ってもばれません(人件費節約・・「ターミネーターズ」思い出した私)。ゾンビメイクもしません金かかる。味方はだんだん減っていくけど、死ぬ前にやることがある。自分の身の上話。撃ち合うだけじゃ間が持たないからしゃべって時間稼ぎ。まあホント、ほぼ全員身の上話、思い出話。逆に言うと真面目な作りだからこうなる。オードリーがジープに色目使うとかそっちの安易な方向にはいかない。でも見てる方は「また始まったよ~」とうんざり。だから・・ここでチャーリーが「実は・・」とかさ、アンビリーバボーな真相打ちあけて欲しかったんだけど。夜だから暗いけど、みんなタバコ吸ったり懐中電灯振り回したり・・暗闇で目印となる光ばらまき・・そりゃ相手も光見えたからってそれを目印に襲ってくるわけじゃないでしょうけど・・それにしたって不用心、ノーテンキ。べちゃべちゃしゃべるし(聞いて欲しいのよ自分のこと)、果ては見張りなのに眠っちゃったり。敵はだんだん手ごわいのが現われるのだそうな。こっちの弱点突いてくるらしい。で、もちろんみんなそれに引っかかる。夫が!子供が!・・それらは罠。サンドラのせいでパーシーが死ぬけど、彼女全く気にしてない。こういうのもすごいね。パーシー無駄死にだな気の毒に。そのうちチャーリーが産気づく。わりと簡単に出産。お湯くらいわかしておこうね。でもってガブリエルも現われてミカエルと戦って、ここはけっこう迫力あるけど、画面暗いしうつし方はアレ(パッパッチカチカ・・その上ゆれる)だからうつってる半分も認識できん(動体視力検査失格)。ガブリエル役ケヴィン・デュランドは知らない人。

レギオン5

もうちょっと・・ものすごい豊かな金髪どどーんとかさ、ベルサイユチックな美形とかさ、あんな中年の渋いオッサンじゃなくて。濃いメイクすりゃべラ・ルゴシじゃん。何やらくるくる回ってバッサバッサでチュイーンて・・チェーンソーかよ。何やら振り回してたし。で、ミカエルはやられちゃうけど、すぐ戻ってくる。あら生き返ったの?喜んだ方がいいのかしら。神がミカエルやガブリエル試したってこと?そりゃガブちゃんがすねて人間に嫉妬してクリストファー・ウォーケンになって「ゴッド・アーミー」三つも作って、それでやっと機嫌直してまた戻る気になるのもわかるわ~って何のこっちゃ!ボブの死もオードリーの死も軽く通り過ぎ、ジープとチャーリーと赤ん坊は・・えーっとどこに?まだ人間が優勢な地区へ?でも戦い終わったんだよね?いや、これからは子育てという戦いが・・。いや~何がびっくりしたかってチャーリーですよ。分娩直後だってのにぴっちりしたジーパンはいて山登り・・すごいなあ。たぶん映画館で見た人は何じゃこりゃとがっかりしたでしょうね。何やらおもしろそうな設定なのにほとんど何もないまま次へ続くみたいな感じで終わっちゃう。軍団?どこよ。預言者?誰よ。指示・・刺青がそう?そして赤ん坊の父親は・・(しつこい)。あ~バカバカ、こんな映画見てしまったあたいのボクのバカバカバカーン。金返せ時間返せ。でも私の場合そこまで行きません。ベタニー目当てですから。見てるだけでシ・ア・ワ・セ!!だって~天使だって~ジュルルッ!人間の女性に恋しちゃうとかそんなのじゃなくて武器を取って戦う天使(これがホントの「戦う翼」!←アホ)。戦う天使をこれくらい強く印象づけた映画ってあまりないのでは?しかも「ゴッド・アーミー」のガブリエルみたいに人間憎むのじゃなくて味方。愛する父(神)の命にそむいてまで・・ホヨヨ。生まれないはずだった赤ん坊をこの世に送り出す手助けをしてしまった(さあ!いきんで!・・お産婆さんミカエル)。悩みに悩み、でも信念を貫く・・初志貫徹の彼にホヨヨ。と言って彼は神に失望したわけでも見限ったわけでもなく・・よくわからんけど。真面目に・・でもそのせいでユニークさがうすれ、結果的にあまり出来のいい作品にはならなかったけど私は大満足。これ以上ないというはまり役にベタニーを起用してくれてありがとう!!