レッド プラネット

レッド プラネット

「ミッション・トゥ・マーズ」を書いたら次はこれでしょう!同じ火星物、同じ頃公開、同じようにコケて・・。でもこっちの方が大コケ?話題は主演のヴァル・キルマーではなくて、あの「マトリックス」のキャリー=アン・モスが出ていること。確かに彼女はカッコいい!火星に向かうマーズ1号の船長というのも、彼女なら納得。設定は2057年頃。人類は問題を先送りしてきたが、それももう限界。汚染は進み、たぶん100年もすれば人類は滅びる。いや別に滅んだっていいんじゃないですか?地球にいるの人類だけじゃない。人類が人類がって、そりゃ思い上がりですぜ。まあとにかくここまで来てしまって、でも目を向けるのは火星の方。ある種の藻を送って酸素を作らせ、火星を地球化。最初はうまくいってたけどそのうち酸素レベルが低下。原因はわからない。そこで人類最初の有人火星探査船マーズ1号が出発。人類の存亡がかかってる。沈着冷静な船長ボーマン(モス)。たぶん彼女はディスカバリー号のボーマン船長の子孫だろう(なんちゃって)。副操縦士サンテン(ベンジャミン・ブラット)は女性に大モテのうぬぼれや。サイトは50万件のヒットが自慢。まあ確かに嫌なやつだが、有能で勇気もある。扱い方、付き合い方によっては頼れる相手。彼にいつもバカにされ、おもしろくなく思ってるのがぺテンギル(サイモン・ベイカー)。彼は元々予備隊員で、ここにいるはずじゃなかった。大人しくて内にこもるタイプでサンテンとは正反対。サンテンには常に誰かが必要。そいつと比較し、自分の方がすぐれていると思いたい。ぺテンギルはサンテンのそばにいる必要はないし、気にする必要もない。でもサンテンにはぺテンギルがそばにいることが必要だし、ぺテンギルもそばへ行ってしまう。火星に着陸したものの、空気はなし、死は目前となった時にもぺテンギルはわざわざサンテンのそばに。着陸のことでごちゃごちゃ言われたサンテンはカッとなる。おまえを許すと言われたのもかちんときた。ぺテンギルの気持ちもわかる。どうせ死ぬなら和解してからの方がいい。でもサンテンには死よりも自分が下に見られることの方ががまんできない。結局サンテンは崖から突き落とされ、ぺテンギルは彼が自殺したことにする。どうせ数分後には酸素がなくなって全員死ぬんだし。

レッド プラネット2

「メンタリスト」が大ヒットした今、この映画はベイカーが出ているというので再注目されたのでは?大スターの仲間入りするなんて、当時誰が予測しただろう。私がこれを最初に見たのはWOWOWだったと思う。その後DVDを買い、ノベライズを読んだ。でも数年後「プラダを着た悪魔」でベイカーに注目し、「レッド」に出ていたと知っても全く思い出せなくて。大急ぎで見て、あらホント出てる・・となったけど、その存在感のなさときたら・・。一番若くて一番ハンサムなのに。こういうののお約束として直前までは順調に来る。着陸が近づいた頃大トラブルに見舞われる。今回はソーラーフレア。ヤローどもはあわてて船を離れ、着陸。ボーマンは一人残って修復に努める。シャンティラスは脾臓破裂で動けない。シャンティラス役はテレンス・スタンプで、たぶん古本屋めぐりをしていてスカウトされたのだ(「私家版」かよッ!)。まあそれは冗談だが、彼は科学者でありながら哲学の世界へ入り込んでいる。神の存在とかそういうことを持ち出すキャラは、たいてい早めに命落とすと相場が決まってる。「スーパーノヴァ」の船長とか。生き残るのはたいてい単純で現実的な・・キルマー扮するギャラガーのようなタイプだ。難しい哲学なんか他の人にお任せ。自分はただの修理屋、エンジニア。だから嫌なことばかり起こる火星なんか大嫌いだ。DVDには削除シーンもおさめられていて、スタンプの出番はかなり削られたのがわかる。そのせいで何のためにスタンプ出してきたのかよ・・となる。さて、意外なことに火星には薄いながらも酸素があった。しかし当てにしていたハブは壊され、水も食料もないからこのままでは死んでしまう。やっとボーマンと連絡が取れ、30年ほど前のロシア製無人探査船が近くにあることがわかる。火星の地形探査用ロボット、エイミーが現われるが、心強い味方となるどころか、着陸時の衝撃で故障し、戦闘モードになってしまっている。攻撃されてバーチナル(トム・サイズモア)は重傷。彼は生物工学担当だが、船内で酒の密造やるようなタイプ。ペラペラとよくしゃべる。藻がないのに酸素がある理由がそのうちわかる。ある種の昆虫が藻を食べ、酸素を出しているのだ。ただしこいつらは藻だけでなく何でも食う。ハブが壊されていたのもそのせいだし、人間も食う。

レッド プラネット3

ロシア船には二人しか乗れないとわかると、ぺテンギルは二人を出し抜いて一人で向かう。その途中エイミーに殺され、死体は昆虫のエサに。今は増えたであろうベイカーのファンにとっては、顔の皮膚を食い破って虫がわさわさ出てくるシーンなんか見たくなかっただろう。昆虫はモロCGで、「ハムナプトラ」風味。エイミーの目(←?)から見た映像は「プレデター」風味。エイミーがギャラガーを覗き込むシーンはモロ「エイリアン」。「レッド」は「ミッション」同様ネットでは酷評されているが、まあそれも無理はないだろう。火星人を出してこない分別はあったけど、エイミーがねえ。戦闘モードにするとためらいもなく人間殺すような、そんなロボット連れていきます?しかも拳法のポーズ取るし。クライマックスではギャラガーがエイミーの電源奪って火星脱出に利用するけど、それ以外には何の役にも立ってないし。酸素の件も変だ。宇宙服には大気の分析機能ついているはずでしょ。「ミッション」みたいに。ついていればサンテンは死なずにすんだし、ぺテンギルは殺人犯にならずにすんだ。一方船に残ったボーマンは楽チンかというとそんなことはない。あちこちで火災が起きるし、あちこち故障する。着陸組との連絡が取れず、孤独や絶望と戦う。ヒューストンの指示あおぐのにいちいち40分かかる。とにかく全部一人でやらなければならない。でも彼女なら一人で地球へ無事帰還しただろうけど。映画だからギャラガー(だけ)が助かり、地球までの六ヶ月二人きりよウフ・・となるけど。こういうノーテンキなラストは抵抗があるな。四人犠牲者が出たことを思えばね。さて、気になることいくつか。三人が嵐を避けて穴に避難した時、そこでギャラガーが二人しか乗れないと告白するのはいいとして、ぺテンギルの心理が今いちはっきりしない。他の二人はサンテンの死が自殺でないことを疑っているのかどうか。あそこで三人で告白ごっこしてすっきりするとかさ。それと、昆虫は地球に持ち帰っただろうけど、酸素を出して地球を救ってくれるのか。どちらかと言うと爆発的に増えてあらゆるものを食い尽くし、地球滅ぼす危険の方が・・。まあこのように突っ込みどころはたくさんあるけど、私はこの映画けっこう好きですよ。「ミッション」よりもね。