レイン・フォール/雨の牙

レイン・フォール/雨の牙

これは原作を読んだばかりなので、話の流れはわかる。でなければ何をやっているのか理解できなかったかも。ちょっとびっくりしたのは、原作者バリー・アイスラーが元CIA工作員とあること。私の持っている文庫のあとがきでは日本企業の弁護士になっているから。もちろん映画化される前の版だ。どの批評を見てもけちょんけちょんにけなしているので、そんなにひどい映画なのかと心配した。だって主人公レインが椎名桔平氏・・どう見たってハーフには見えない。だから最初はハリー役かと思ったりした。ゲイリー・オールドマンが出ているらしいから、彼がレインかな?と思ってた。年齢的にはちょうどいい。原作のレインにはベトナム戦争での過酷な経験をくっつけてある。つまり彼は経験豊かな中年のオッサンなのである。でもオールドマンではなさそうだ。てことは彼の役はホルツァー?実は原作読みながら私がレイン役に思い浮かべていたのはジョシュ・ハートネット。映画化するのにオッサン出してくるのは考えにくい。ベトナム関係はカットして、もっと若い殺し屋出してくるはず。ジョシュなら日米のハーフもすんなりクリアーできる顔立ちしている。でもジョシュじゃなかった。彼が出ているのは「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」。あらレイン違いですか。こっちもトンデモ映画らしいが。で、「レイン・フォール」だが、見終わって・・そうひどくもないじゃん・・と。もっとひどい映画はごまんとあるじゃん・・と。混雑したラッシュ時の地下鉄。国土交通省の官僚川村の暗殺とメモリースティックの奪取がレインの仕事。心臓発作に見せかけて殺すのには成功。しかしメモリーがない。川村が持っていないのなら、娘が持ってるはず。レインの行動はCIAに見張られていた。たくさんの人、たくさんの監視カメラ、エージェントに指示を出すホルツァー。残念なことにこういうのってジェイソン・ボーンシリーズでいやになるほど見せられているから、全然ドキドキしないんだよな。ハイ、私達はこんなに手際の悪いことやってます、失敗してあたりまえですね~って感じ。と言って別に鮮やかなシーン見たいとも思わない。気になるのは捜査一課の刑事タツ(柄本明氏)が川村邸に不法侵入すること。あれって何のため?第一刑事がそんな泥棒みたいなことするわけないでしょ。

レイン・フォール/雨の牙2

この14ヶ月で、川村を含め三人の官僚が死んでいる。いずれも自然死とされているが、殺し屋の仕業なのでは?警察の他にメモリーを手に入れようとCIA、ヤクザの組長山本達も動き回っている。ただ、見ていても描写はいずれも中途半端だ。CIAだけは後になって何を考えているのかホルツァーや記者のぺリマンによって明らかにされる。国土交通省と来れば際限なく行なわれる・・必要かどうかもわからない工事・建築。それにつきものの汚職・賄賂。その情報が詰まったメモリー。CIAが手に入れれば・・アメリカは日本政府の弱味を握り、都合のいいように操ることができる。不治の病に侵された川村はメモリーを警察ではなく記者ぺリマンに渡すことに。ぺリマンはレインに事情を説明するが、聞き終わったレインは立ち去る。その時のぺリマンの表情が印象的だ。重要なこと全部話したのに一言も言わずに行っちゃうの?って、とまどったような感じで。その彼は即始末される。若く美しい女性ならどんなことしてでも守ってもらえるけど、オッサンはほとんど見殺しにされるのだ!気の毒に。さて、原作ではレインは川村の娘みどり(長谷川京子さん)と恋に落ちる。父親を殺したのに何考えてるんだ?と呆れるが、映画の方は何もない。そこがよかった。思い出話もいらんけど、後でかわいい子猫が出てくるからまあいいか。カーチェイスもなし、アクションシーンも細切れでちゃんとうつさない。盛り上がりのないままに終わったと書いてる人がいるけどもっともな話。普通ならイチャイチャシーンが入り、カーチェイスをやって車が一回転する。そういうのがなくても私は不満には思わなかったけど、ラストのアレは・・どうにかならんかったのかい。みどりがレインの手紙を見て急いで戸口から外を見て・・いた!と思ったら錯覚で・・それでいいじゃんよ。何長引かせているんだ?何でみどりは飛び出さないんだ?その後のバーのシーンはあってもいい。仕事やめたと言ってたけど、まだ続けるの?と思ったけど。椎名氏をちゃんと見るのはたぶん初めて。生年月日を見てびっくり。この映画の時点で40過ぎてたなんてとても信じられない。旅館の朝、さわやかで清らかな姿は少年のよう。この時の椎名氏にはノックアウトされました。残念なのは柄本氏。どの映画でもおんなじキャラ。原作のようなキャラでもよかったのに。あと、エンドクレジットの歌がよかった。