リーサル・トリガー
DVDカバーのあらすじ読んでも今いちぴんとこない。中古DVDを買ったのはマーク・ダカスコス目当てだが、すぐ見る気になれなかったのはそのせい。銃を構えている黒人男性がうつっているので、ダカスコスは悪役?なんて思ってみたり。テス(メリッサ・クライダー)は刑事のベケット(ティム・アベル)と結婚する。出会ってから二ヶ月後のことだ。ハンサムだしやさしいし、警官としても有能。完璧な伴侶に思えたのだ。しかし六ヶ月もたつと、彼が独占欲の強いDV夫なのがわかってくる。それだけではない。彼は殺人鬼だった!テスも殺されるところだったが、ベケットの相棒ディフォードのおかげで助かる。一年後・・ベケットはやすやすと刑務所から脱走。彼は私のところへ戻ってくる・・そう確信したテスは、ディフォードが紹介してくれた護身術の専門家ディロン(ダカスコス)を訪ねる。今度こそ夫に立ち向かうのだ!この映画は出来がいいわけではないが、ベケットとディロンという見かけもなかみも全く違う二人を出すことで、新味を出している。内容は、がまんばかりしていた自分というものがない女性が、心や体を鍛えることで成長し、最後には元夫・・殺人鬼を撃ち殺すというありきたりなもの。ところがこの元夫の強くて悪賢いこと!ベケットの名前や経歴は偽りだった。ディフォードさえ、彼のことは何にも気づいていなかった。テスはある日写真を見つけた。自分や家族などがうつっていて、しかも自分が15歳の時のものまであった。ベケットはストーカーだったのだ。結局彼は10人もの女性を強姦・殺害していた。脱走からテスに撃ち殺されるまでの間にも、彼は人を殺しまくる。実家へ戻り、父親を殺した後はそこをアジトにする。ここのことは誰も知らない。母親が亡くなった後は父親が一人で暮らしていたが、彼がこんなねじれた性格になってしまったのは母親のせいのようだ。死んだ後も影響され続ける。どんなにがんばっても認めてもらえず、それが女性達への暴力となっているのか。刑事として有能だったことは、彼をつかまえにくくしている。捜査の手順に明るく、ナイフや銃、格闘が得意。変装も。捜査会議でディフォードが「変装にだまされるな」と警告するが、何とその場には変装したベケットがまぎれ込んでいて。これにはびっくりした。
リーサル・トリガー2
彼はテスに執着しているから、彼女を囮にすればベケットをおびき出すことは可能だ。しかしディフォードはテスには身を隠していてもらいたい。ディロンを紹介したのもそのせいかもしれない。彼のところならベケットに嗅ぎつけられる心配はないから。しかしテスは母親がベケットに襲われ、入院したと知ると、いてもたってもいられず病院に駆けつける。テスをおびき出すベケットの策略にまんまとはまってしまう。勝手な行動を取り、犠牲者を増やしていく。ディフォードは彼女のせいで捜査に集中できない。結局テスの母親は殺され、ディフォードもケガをする。それにしても捜査会議で何の手がかりも与えられず、ただはっぱをかけられた連中も困ったことだろう。もっともベケットがまぎれ込んでいたから、この場合はそれでよかったんだけど。このようにどちらかと言うとベケットの方がうわてで、見ていて印象に残る。ディロンとテスが主人公のはずだが、こちらは呆れるほど新味がないのだ。テスが会いにきた時、ディロンは酒場で一人酒を飲んでいる。見るからに過去に何かありそう。後で、彼の妻が一年前に亡くなったことがわかる。陣痛の始まった妻を病院へ連れていく途中、スピードを出し過ぎて事故を起こし、妻も赤ん坊も失ってしまった。自分が殺したのだ。ちなみに私はてっきりディロンの妻がベケットの何番目かの犠牲者なのだと・・。協力する気になったのはそのせいだと・・。でも違いましたわ。酒場にいたガラの悪いのがテスに絡み、ディロンが倒すのもお約束だ。気の進まないようだった彼だが、それだと話が進まないので、(初対面なのに)自分の家に連れていく。飲酒運転だと思うが・・。彼は元警官らしい。今は護身術教えているが、誰も生徒いる気配なし。そのわりには生活楽そう。あんな優雅な家ではなく、もうちょっと質素なこぢんまりとした家の方が自然だと思うが。この映画は説明が不十分なところがいっぱいあるが、テスの生活も謎だ。結婚していた頃の彼女はずっと家にいて、夫のDVにひたすら耐えていたのだろうか。夫の留守中は何をしていたんだろう。夫が逮捕された後は何をしていたのだろう。食べていくためには仕事していたはずだが。さてやっとダカスコスについて書くが、こういう・・誰かの師的キャラは珍しいのでは?見ていてもブルース・リーを意識しているんじゃないかと思えるような。
リーサル・トリガー3
まあこれがリーならどんな手ごわい相手でも即座に打ち負かしてしまうだろうが。最後にとどめを刺すのも彼で、ヒロインは横に押しやられると思うが。でもこの映画はダカスコスだから、とどめを刺すのはヒロイン(に譲る)。で、ディロンはテスを特訓するが、自分を変えるにはまずものの考え方を改めなければならない。何でもいいとか、あなたのお好きになんてのはダメなのだ。私はこう思う、私はこうしたい・・自分の考えをしっかり持たなければ。相手と戦う時には手に入るものは何でも武器に。そうそう、こういう修行の過程を見せて欲しかったのよ。でもまもなくそんなことはどこかへ。指が触れ、体が触れるうちに二人の間には特殊な感情がロマンスが・・。どっちかと言うとディロンの方が一目ぼれみたいで。そのうちお約束通りもうやめるとか言い出して飛び出したテスを、つまんない理由あげて追いかけてくるディロン。戦ってもベケットとは互角か、時には劣勢なことも。そりゃ直前に見た「ソーラー・ストライク」ではアクションなしで、それに比べりゃマシだけど。もう40近いってのに、少年のようなういういしさ。いつもタンクトップで、上腕の筋肉が目立つ。力強さと繊細さが同居していて、他の誰とも違う雰囲気を持っている。それにしてもここまで敵が強い映画も珍しいわな。ベケットはテスの居どころを知るため、親友のジーナに近づく。この時の変装はあんまりな感じ。それといやらしいシーンが延々と続くのにもうんざりだ。ただし、ジーナ役の女優さんは脱ぎっぷりがいい。後でテスとディロンが結ばれるシーンも出てくるが、この時のテスは脱ぎっぷりが悪い(←?)。ジーナは殺され、ディフォード夫妻も殺される。途中ベケットが撃たれ、やっと仕留めたと思ったら・・むっくり起き上がって。防弾ベストを着ていたのだ。敵ながらあっぱれではないか!まあ敵はベケット一人なので、アクションはどうしても単調。特訓を受けたからってテスががらりと変わるわけでもない。ベケットを前にして何もできない。でもそれが普通の人間だと思う。そんなにやすやすと人を殺せるものではないのだ。クライダーはナターシャ・ヘンストリッジとダイアン・レインをミックスしたような顔立ち。「フレイルティー/妄執」に出ていたらしい。