ロルナの祈り

ロルナの祈り

これを見たのはモチ、モルガン・マリンヌ君目当て。彼以外はどうでもいい!ブスッとした顔つきの女性が出てきて、どうでもいいような、よくわからないことが延々と続き、はっきりしないまま終わる。見ていてもここはカットできるよな~というところがいっぱいある。くり返し出てくるカギの開け閉め、ロルナが歩くシーン。私の頭の中はその度にハサミが浮かぶ。ロルナはクローディと結婚しているが、離婚したい。彼女はアルバニアからの移民で、ベルギー国籍を取るため偽装結婚したらしい。クローディはヤク中なので、ブローカーのファビオは、クスリの過剰摂取で死んだことにすればいい・・と言うが、ロルナは彼を死なせたくない。暴力をふるうから離婚したという形を取りたいが、なかなか手続きが進まない。ロルナにはソコルという恋人がいて、二人で店を持つのが夢だ。クローディの次はロシア人と結婚することになっている。その男もやはり国籍を欲しがっている。お客を待たせるわけにはいかない・・と、ファビオはクローディを殺してしまう。ヤクをやめられず病院に入るなど、クローディには面倒をかけさせられ、うとましく思っていたロルナだが、いつか彼に愛情をいだくようになっていた。彼の死はショックだったが、今の彼女はお金のため、夢の実現のため、前に進むしかない。店に最適の物件を見つけ、喜ぶ彼女だったが・・。最初ロルナとクローディの関係がよくわからなかった。彼女自身がまず国籍を欲しかったということなのか。しきりにお金がやり取りされるが、何がどうなっているのかさっぱりわからない。途中でいきなりクローディが死んだことになるのでびっくりする。そのシーンは出てこないし。ロルナは妊娠し、中絶しようとするが、思い直す。ファビオはロシア人との件に支障をきたすから堕胎するよう迫る。そのうちソコルとの仲もぎくしゃくし始める。病院でみてもらうと妊娠してないとのこと。しかしロルナはしていると言い張る。彼女の存在が危険なものになりつつあると感じたファビオは、手下のスピルーに彼女を消させようとする。スキを突いて逃げ出したロルナは、森の中をさまよい、小屋を見つけ、入り込む。火を起こし、おなかをさすり、話しかけながら眠りにつく。終わり。ドロドロしたリアルな描写だったのがラストはおとぎばなし風。こんなのあり?

ロルナの祈り2

クローディは納得ずくで結婚したのか。結婚してもらうためにロルナは彼にお金払ったのか。ヤク中ならお金のために承知というのは大いにありうる。そもそもの部分が描かれず、離婚しようとあせる末期状態から始まるので、見ていてもよくわからない。彼らが何を考えているのか・・。今のクローディは中毒から抜け出そうとロルナに助けを求めている。泣きついたりとかそんなのばかりなので、見ていて楽しくない。ロルナはこんなことにかかわりたくない。彼女には彼女の計画がある。愛情で結ばれたわけじゃなし、早く離婚が成立して欲しい。ロルナ役アルタ・ドブロシは、エレン・ペイジに似ている。映画ではショートカットだが、特典でついているインタビューではロングヘアーで、なかなかの美女。映画では肌の白さとぶっとい眉毛が目立つ。フランス語はしゃべれなかったが、ロルナ役のために特訓受けたそうな。チャンスをものにするためにはどんな努力もいとわないのだ。ベルギー映画なんて日本映画以上に小さい世界だから、仕事にありつくのは大変だと思うよ。クローディ役ジェレミー・レニエはダルデンヌ兄弟の映画の常連だが、私は見ていない。最近彼の出た「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」という、「パフューム ある人殺しの物語」みたいな題名(←?)の映画が公開されたようだ。まあこっちではやらないだろうけど。ギャスパー・ウリエルのこの世のものとは思われないほど美しい天使をスクリーンで見たいのだが・・。話を戻して、レニエはまだ若いのに老けて骨ばった感じで、本当にヤク中に見える。最初意思が弱く、鬱陶しい感じだが、そのうち気の毒に思えてくる。頼られ、すがりつかれているうちに、ロルナが情が移ってしまうのもうなずける。ロルナは健康そうに見えるが、めまいや腹痛におそわれる。「ロゼッタ」にも腹痛のシーンはあったな。で、ロルナは妊娠したのだと思い込む。生理も止まっている。クローディの子だ。でも前にも書いたように病院の診断では「妊娠してない」だ。これはつまり彼女の思い込みってことか。偽装結婚だの何だのをやっていく場合、割をくうのはやっぱり女性だ。商品みたいな扱い受ける。妊娠すれば堕胎させられるし、愛情・同情と言った人間的な感情は御法度だ。彼女が妊娠したと言い張るのは、ファビオらと手を切りたいと思い始めたからだ。

ロルナの祈り3

ソコルも店も前ほど重要なものには思えない。クローディは殺されてしまったけれど、ロルナの中で生きているのだ。ただこれは現実ではないから、今はいいとして将来は?いつまでたっても生まれない赤ん坊・・(ホラーだ!)。いやいやクローディの子供うんぬんはただの言い訳。ロルナはおなかの赤ん坊と言うより自分の体、自分自身を大切にしなくちゃいけないと気づき始めたのさッ!男どもの言いなりになってたまるか!ラスト近く、スピルーから逃げる時手ぶらなのはなぜなんだろう。どうして自分の荷物持っていかないのか。その余裕は十分あったのに。裸一貫で出直し?明日になれば何とかなる?子供のために口座作ろうとするシーンあったし、そのお金で当座はしのげるか。でもIDとか財布持ってなさそうだし。ま、いいか、おとぎばなしっぽくなってるし、心配するだけムダ。かってに終わってくれ!途中刑事の役でオリヴィエ・グルメがちょこっと出る。ほんの・・友情出演程度。「息子のまなざし」の時よりやせているように見えた。さてお目当てのマリンヌ君だが、ほ~んと出番少なくてがっかり。全編ロルナのぶっとい眉毛見せられ、もううんざり。そりゃダルデンヌ兄弟の作品だから名作・傑作扱い。例によって勲章つき(カンヌで脚本賞受賞!)。でもなあ・・「息子」のような感動も共感もないのよ。移民の辛さとか生活の苦しさとかそういうのあるだろうけど、他人を踏み台にしていると言うか・・。電話でソコルに間取りを知らせる浮かれたロルナを見て、踏みつけにされたまま死んだクローディのことを思い、腹立たしくなったのは私だけではあるまい。おまえよくそんなにうれしそうにしていられるな(もちろんその後腹痛で・・)。彼女はアイロンがけか何かの仕事してるけど、そっちで地道に働いて・・とはならない。少々危ない橋渡ってもいいから早くソコルと一緒になりたい、店を持ちたい。いやこんなのはどうでもよくてマリンヌ君のこと書かなくちゃ。でもほ~んと出番少なくて見せられるのはぶっとい・・ってエンドレスかよッ!「息子」から五年たって、首のあたりが太くなってがっちりした感じ。大きくなったわねえ大人っぽくなったわねえ・・とおばさんはうれしく思うわけで。まあはっきり言ってハンサムでも甘くもない。無表情で無愛想。ファビオの元で働いてるけど、ファビオの本職はタクシーの運転手。偽装結婚斡旋は裏稼業。

ロルナの祈り4

だからスピルーはそんなにしょっちゅう仕事あるわけでもなさそう。運転手役、伝言係・・要するに使い走り。他の時間は何してるのかしら(木工所で働いてたりしてウヒ)。ファビオは抜け目がなくて、わりと感情表に出す方。油断のならない男だが、わかりやすい性格でもある。一方スピルーは無口で無表情。必要なことしかしゃべらず、何考えてるかわからない。ロルナを車に乗せ、運転しながら彼女をうかがうところ、のらりくらりとした受け答え・・彼が彼女を殺すつもりなのがわかる。おそらくクローディの死にも彼はかかわっているのでは?彼には感情がなく、人を殺すのも何とも思っちゃいない。私はファビオよりスピルーの方がずっと危険に思える。そうよ、感情を剥き出しにしたり、べちゃべちゃしゃべったのでは怖くないのよ。黙って何考えてるかわからないってのが怖いんですってば。でもって出番少ないにもかかわらずそういう危険な不気味なムード出せる俳優に成長してくれて・・おばさんはとってもうれしいのであります。彼の意図に気づいたロルナは、スキを見て石で後頭部殴りつけ、逃げる。こら~ッ、私のマリンヌ君に何をする!大人しく彼の手にかかるがよいッ!あの~スピルー死んでないよね。あの程度なら・・血も出てなかったし。大丈夫だったと考えることにしよう!映画そのまま終わっちゃうから、あの後どうなったのかわからん。たぶんスピルーはロルナ見つけ(小屋で火をたいてたから見つかる可能性大)、ちゃんと始末したことでしょう(おいおい)。今回はカメラあんまりゆれてなかったな。インタビューで、35ミリのカメラ使って、これは重いのであんまり動かせないとか言ってたけど、今まではゆらす必要もないのにゆらしてたんだってば!重さの問題じゃない、動かさないのが本来あるべき姿なのッ!ストーリーとは関係ないけど、ロルナ達のアパートにあった飾り・・三段重ねのおそなえみたいで気になった。ラストの森は「息子」でフランシスが襲われる(?)シーン思い出した。今回はスピルーが襲うんだウヒ・・でも終わっちゃった(うえ~ん)。これからもマリンヌ君にはほとんど会えないんだろうなあ・・。「9MM」という犯罪物っぽいのに出ていて、少しは出番ありそうだけどDVD出してくれないかなあ・・。やっぱ彼って犯罪物っぽいのが多くなるのかしら。今回のクローディみたいな役はやって欲しくないしなあ。