ローグ アサシン

ローグ アサシン

平日昼間、近くのシネコン。お客は12人くらい。あるいはもうちょっと多かったかも。ジェイソン・ステイサムとジェット・リーの顔合わせとくりゃ見ないわけにはいかない。でも日本のヤクザが絡んでいるというのが不安材料。「ワイルド・スピードX3」や「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」同様脱力ものの描写だろう。で、見た後の感想としては・・やっぱりあっちこっちで脱力。日本が絡んでいなけりゃもっと楽しめたと思う。話される日本語はまあまあ。でもステイサムのはだめ。一生懸命練習したらしいが、それでもだめ。別に彼に日本語しゃべらせる必要ないと思うが。もっとだめなのが料理店などに垂れ下がっている掛け軸みたいなやつ。「下手の横好き」とか「掃き溜めに鶴」とか、気持ちはわかるけど何か勘違いしている。そんなのかけるわけないだろうが!「千客万来」とかだったらわかるけど。なまじ読めちゃうから脱力するんだよな。組長の娘キラ(「DEATH NOTE」かよッ!)の部屋には招き猫。畳の上にぽつんと・・置くかよッ!インテリアだってことはわかってもどこに置くかはわかんないらしい。蹴飛ばされそうなところにわざわざ置くわけないだろッ!暗闇でこんな突っ込みばかり入れてましたよ。時々コメディー映画に思えてきたりして・・。キラ役デヴォン青木嬢もねえ・・何とかならなかったんでしょうか。そりゃ今の日本にアネゴ演じられる女優いないのも確か。スタイルよくて美人で度胸あって英語しゃべれる20ちょっとの若いコ・・いないよなあ。キャピキャピとか舌足らずとかオムツ取れてないのとかそんなのばっか。まともに日本語しゃべれないしぃ。青木嬢は日本語しゃべるシーンではセリフと口の動きが合っていないように見えたので、吹き替えかな・・と思ったが、パンフによれば自分で日本語しゃべったらしい(ホントかな?)。「サラダ食べたい!」ってごねるところは見苦しかったな。アンタアネゴ失格。ただの勘違いワガママ娘。それじゃ組員誰もついてこない。日本人キャストでは組長シロー役石橋凌氏がよかった。ちゃんと英語話すし風格もある。シローもチャイニーズ・マフィアのボス、チャン(ジョン・ローン)もあんまり悪人に見えないのがこの映画の特徴。両方とも自分がビジネスマンだと思っている。仕事の内容が他とちょっと違っているだけ。

ローグ アサシン2

犯罪だなんて思ってない。そして自分の家族大切にする。チャンは過去シローに家族全員殺され、財産奪われ・・で、すごく恨んでいる。奪われた財産のうちまだ処分できてないのが金でできた馬の像。シローはアメリカで売ろうと思ってるらしい。自分の手に取り戻すチャンスだ。そのために雇ったのが暗殺者ローグ。さて、先にチャンとシローのこと書いちゃったけど、この映画の主役はもちろんステイサムとリー。FBI捜査官のクロフォード(ステイサム)は相棒のトム(テリー・チェン)とともにローグを追っていた。追いつめてもいつも逃げられてしまう。常に顔を整形し、まるで幽霊のように正体がつかめない。今回もトムが撃って、手ごたえはあったものの、水に落ち、それっきり。死体は上がらず・・。しばらくたってやっぱり生きていたローグは、トム一家を皆殺しにし、家を焼く。復讐を誓うクロフォード。3年たって、サンフランシスコではヤクザとチャイニーズ・マフィアとの抗争が激化していた。抗争に火をつけたのはローグ。3年ぶりにローグが現われたと知ってクロフォードはふるい立つ。仕事にのめり込みすぎて妻とはうまくいかなくなってる。でもトム一家の悲惨な最後を一日も忘れたことはない。クロフォードがホットなのに対し、ローグはあくまでクール。ほとんどしゃべらず無表情。彼はヤクザを殺すが、それはチャンの指示。ところが映画が進むにつれ、ローグの行動がおかしいことに気づく。彼はわざとチャンとシローを戦わせているようなのだ。両方に雇われているのだ。彼が何を考えているのかわからない。この映画のいいところはリーに寡黙なキャラ通させたところ。ペラペラしゃべったのではスリルもサスペンスもなくなる。彼は自分を厳しく律している。彼には何か目的がある。雇われてはいても自分のやり方を通す。ストーリーは要するに殺し合いで、勝ちも負けもない。どっちが正しくてどっちが悪いということもない。もう少し頭がよければ殺し合いではなく営業成績などで競うだろう。でもバカだから銃やら刀やらになるのだ。いくらチャンやシローがまともでも下で働く連中は頭からっぽ。さて・・映画はなぜか途中からクロフォードの髪が・・じゃない、カゲがうすくなってくる。ローグへの復讐に燃え、一度は対決しそうになるけど、その後は尻すぼみ。

ローグ アサシン3

彼がメインのはずなのにおかしいな。ローグの存在がどんどん大きくなってくる。チャンを殺したローグだが、彼の妻子は(キラに殺すよう命じられていたにもかかわらず)逃がす。シローの手下も殺す。それがばれてピンチに陥るが、何せ彼は不死身なのでシロー達もみんなやっつけちゃう。この時殺される中にケイン・コスギがいる。もう少し出番があるかと期待したけど何ということもなく終わっちゃう。もったいないなあ・・。パンフ見てびっくりしたけど彼は1974年生まれ・・もうとっくに30過ぎているのね。20くらいにしか見えないけど。もっとびっくりしたのはステイサムと二つしか違わないこと。ステイサム1972年ですよ。あたしゃてっきり40近くかと・・。パンフには例によって「驚愕の事実」とか書いてあって、いつもなら「フン、どこが驚愕だよ」とせせら笑うところだが、今回は宣伝通りでした。思いがけない事実に本当にびっくり。謎めいたローグの正体は実は・・!クロフォードの秘密も明かされるけどこっちはあんまり・・。先に書いたようになぜかカゲがうすくなってるからね。そりゃFBIにしてみれば双方が戦ってどちらも勢力弱まってくれれば願ったりかなったりなのよ。一般の人に迷惑がかからない限り、おまえらかってにやってろ・・ってなもんよ。頃合を見て残った方ぶっつぶせばいい。だからクロフォードの出番も自然と少なく・・とまあ、このように推測できるわけだが、印象うすまっているせいでクロフォードの衝撃の秘密の方はあんまりぴんとこないわけ。と言うか、彼にそんな秘密くっつける必要あったのかな。しかもラスト近くはばたばたしていて、事情よく飲み込めないうちに映画終わっちゃうの。二回見ればもう少しよくわかったかも。でもまあ、「パーフェクト・ストレンジャー」以上にびっくりすることができたからいいや。見てよかったよーん。出演者のうち、テリー・チェンは前から私が注目している人。「スネーク・フライト」とか「カオス」とかいろいろ出ているけどいつも端役なの。すっきりと甘い顔立ちで、まわりの白人、あるいは黒人俳優には全くない清らかさを感じさせるのでついつい目が行ってしまう。ルイス・ガスマンは出番少なくても印象に残る人だ。ジョン・ローンは「ラッシュアワー2」では印象うすかったけど、今回はよかった。不思議な若さ保ってる。

ローグ アサシン4

他には・・そうそう音楽がブライアン・タイラー。同じアクション映画のせいか「ワイルド・スピードX3」と似たメロディーが流れていた。ひどかったのはエンドロールの時に流れた二曲。ふにゃふにゃとわけのわからんよろよろしたような曲がまずかかって、何だこりゃと脱力。次に日本語のラップが流れる。何だこりゃ~お客を拷問しようっての?この曲は日本用なんでしょ?オリジナルではタイラーのちゃんとした曲流れているんでしょ?ねえそうなんでしょ?うぅいったいどういうつもりなんだこんな駄曲くっつけやがって。明かりがついた時にはお客誰もいなくて私一人。そりゃあねえ出ていきますってば!さて、パンフにはステイサムやリーのインタビューが載っているが、特にリーのは印象深い。アホ曲聞かされた後はこれを読んで口直しするといい。彼は非常に真面目でしっかりしたものの見方、考え方のできる人だ。よくある浮わついたコメントとは一味も二味も違い、内容が濃い。武術とカンフーは違うこと。中国人の俳優は映画の仕事がなかなか獲得できないこと。できたとしても役柄が限られてしまうこと。映画だけでなく慈善にも力を入れてること。自分にできることは進んでする。一人一人の力はささやかでもたくさん集まれば大きな力になるという信念。ただ武術ができて強いってだけじゃだめなんですよ。しっかりとした人格も伴っていなければね。この映画私が予想していたような二大スターによるガチンコアクションとはちょっと違っていた。でも別に失望はしなかった。とにかくリーの存在感がすごくて。しゃべらないし表情も変えないけど幾重にも重なった内面と言うか・・要するにうすっぺらくないの。たいていの映画はペラペラしゃべって全部露出している。なかみがないのをおしゃべりでごまかしている。そういうキャラにはうんざり。ローグのようなキャラは貴重ですよ。それにしてもローグはシローに雇われているのに最初ヤクザを殺していて、これで抗争が激化したんだけど、シローはローグの仕業だって気づいてないのかしら。それとローグはクロフォードに対し、なぜ正体隠していたのかしら。クロフォードの秘密を知ってたのなら隠して当然だけど知らないわけだし・・。ここらへんもうちょっとストーリーがちゃんとしていればねえ。まあいいけどさ。ぜひリーで「2」作ってください!