ナイト・オブ・ザ・スカイ

ナイト・オブ・ザ・スカイ

前にも書いたが、私の父は戦時中エンジンの四つついたでっかいのに乗っていた。哨戒・索敵が主な仕事で、爆撃もできる。帰省すると自衛隊の観閲式だの観艦式だのリノのエアレースだののDVDを一緒に鑑賞する。この前帰った時は「真実のイージス」・・だったかな。イージス艦にはステルス機能がついているんだぜい。「ナイト・オブ・ザ・スカイ」はあんまり宣伝もされず、三週間くらいで終わってしまったが、いちおうマジメル君達来日してたのね。女性ファンは見に来るでしょうねえ・・私もそうなんだけどさ。彼のアクション映画ははずせませんのー。あとは航空機ファンが見に来る。監督のファンはいます?「TAXi」のジェラール・ピレスですよ。それがどうした。私はいちおう飛行機の出てくる映画好きですよ。最近だと「フライトプラン」や「ステルス」、ちょっと前だと「メンフィス・ベル」、もっと前だと「モスキート爆撃隊」「追撃機」、テレビの「爆撃命令」、テレビムービーの「戦闘機対戦車」、「夜空の大空港」なんてのもあったな。もっと前だと「東京上空三十秒」。父は「パール・ハーバー」を見てだいぶ失望したらしい。史実と違うからね。「東京上空」には大喜びしていたわ。さて「ナイト」はフランス版「トップガン」みたいなものらしいけど、私は見たことがないので比較はできない。「ナイト」は映像がすばらしいというのは、ネットでの批評を事前に読んで知っていた。それで期待して見に行ったんだけど、ホントにホントにホントーにすばらしかったです。あんまりすばらしいので後日また見に行きました。今からDVDの発売心待ちにしているの。でもあの迫力はスクリーンでしか味わえないもの。テレビで見ると半減するんだろうなあ。一回目は一週目に見に行った。どうせ三週間しかやらないだろうから早めに行ったのよ。某駅から歩いて30分のシネコン。ここへ来るのは四回目だけど、いつ来てもがらんとしていて、大丈夫なのかしら・・って心配になっちゃうけど、休日はにぎわうのかも。今回は近道したけど、それでも25分くらいは歩いたかしら。お客は九人くらいかな。次に行ったのは三週目で有楽座。改装以来初めて行ったのよ。映画館と言うより劇場みたい。前の面影全然なくてゴージャスになってた。「ナイト」の前は「プライドと偏見」やってたんだけど、さぞ雰囲気ばっちりだったでしょうよ!

ナイト・オブ・ザ・スカイ2

私はニュー東宝シネマ時代の、あのちょっとさびれた雰囲気が好きなんだけど・・。気安い感じがね。席がいっぱいあって、前の人の頭気にする必要全然なくて、二回見ることができて・・。お客は40~50人くらい。午後になればもっと入るんでしょう。さてストーリー・・いちおう最初に見た時は流れつかもうと努力したんですよ。でも・・ムダでーす。ナイナイ・オブ・ザ・スカスカです。とにかくさっぱり意味をなさないんですぅ。努力するだけムダなので途中から流れに身をまかせます。空の騎士(ナイト)達が展開する美しくも迫力のある映像だけ見てりゃいいんです。マジメル君だけ見てりゃ幸せ!この映画のストーリーは、例えて言えば「タクシードライバーの一日」みたいなものです。「TAXi」でもいいですが。お客を拾います。「Aにやってくれ」着いたら降ろして次の客拾います。「Bまでお願いします」着いたら降ろしてまた別の客「Cまで急いで」。Bへ向かっている時にはもうAのことは過去のこと。Cへ向かっている時にはAもBも過去のこと、無関係・・そんな感じです。イギリスのファーンバラでの航空ショー。ミラージュ戦闘機が一機行方をくらます。捜索を命じられたのがマルシェリ(マジメル)とヴァロワ。見つけたもののヴァロワが撃墜されそうになったため、マルシェリはやむなく撃墜する。戻ってみれば防空体制チェックのための訓練だったと言う。マルシェリは味方を撃墜したのだ。だがあのパイロットは確かにヴァロワを落とす気だった。納得のいかない二人だが、通常の任務をはずされ新兵の訓練をやらされる。見ている者にはミラージュが何者かに乗っ取られたことはわかっているので(乗るはずだったパイロットが殺されるシーンが出てくる)、この謎の解明に大いに興味をそそられる。ところが特殊任務部隊(SMS)の隊長ベルトランは、謎の解明どころか証拠となるフライトレコーダーを細工し、マルシェリの誤射ということにしてしまう。マルシェリはクビ、怒ったヴァロワもあとに続く。ちゃんと事故の捜査をするどころか証拠を捏造するSMSに、我々はまず疑惑をいだく。フランス空軍自体がしっかりしたものには見えない。女性パイロットが戦闘機の上でストリップをし(さすがに途中までだが)、隊員達はやんやの喝采。何やってんのかねーと呆れてしまう。ここらへんまでが言わばAですな。

ナイト・オブ・ザ・スカイ3

除隊して三ヶ月。腕のいいパイロットのはずなのにどこも雇ってくれず、プロペラ機での広告飛行や観光飛行で鬱々とした日々を過ごす二人。ところで一回目に見た時は何の宣伝しているのかわからなかったけど、二回目にわかりましたよ。あの巨大な筒・・○○ドームの宣伝なんです。いかにもフランスらしい。さてそんな二人の前に現われたのが政府の役人でSMS担当のコスト。彼女は前々からマルシェリにあることをやってくれるよう頼んでいた。アメリカのF16とフランスのミラージュ2000、どっちが速いかの競争。勝った方を購入するという中東の某国。この競争には腕のいいパイロットが必要だが、領空侵犯して飛ぶわけだから現役軍人使うわけにはいかない。除隊した者でなければ。つまりこの競争のためにマルシェリ達はわざとクビにさせられ、しかもどこへも就職できないよう手を回されたのだ。この競争に勝てば名誉回復、また空軍に戻れる。でもってキャノンボールとなる。アフリカ横断、領空侵犯・・「ステルス」なみのムチャ設定。でもねえ・・ちょうど新聞にも「サウジへの兵器売り込み合戦商談失敗いまだ一機も売れず」なんていう記事が載っていたんですよ。フランスは実際にアメリカやイギリスに苦戦しているんです。さて、競争と言ってもアメリカ側は全く出てこない。片手落ちだけど、レースなんかホントはどーでもいいんです。途中で燃料なくなってジブチへ不時着。それというのも給油機の乗員皆殺しにされちゃうから。不時着してつかまって脱出するけど、結局競争がどうなったのかじぇんじぇんわかりません。競争なんか最初からなかったみたいにどんどんストーリーが進んじゃう。ここまでが言わばBです。次Cへ行かなくちゃならないから細かいことかまってるヒマないんです。結局ベルトランが黒幕だったらしく、行方をくらます。マルシェリ、ヴァロワは名誉回復、空軍復帰。不時着した時に奪われたミラージュ一機とパイロットのキャスは行方不明のまま。パリではサミットが開催され、空軍が護衛にあたる。田舎でのんびりテレビ中継を見ていた二人は、不明のミラージュが護衛機にまぎれ込んで何か起こすに違いないと確信。次の瞬間には空を飛んでパリ上空へ。テレポートしたんですか?案の定給油機の護衛編隊に一機まぎれ込んでいる。パイロットは・・キャス。彼女は裏切り者だったのだ!・・って驚く人誰もいないと思うが。

ナイト・オブ・ザ・スカイ4

登場した時からキャスもベルトランもうさんくさい。私が犯人です・・って顔に書いてある。バレバレ。・・で、中途はんぱな空中戦の末、ハッピーエンドとなります。ここまでがCですな。パリ上空での空中戦なんてクライマックスに最適だが・・何てこともないです。まあCGならどうにでも作れるけど、この映画実写にこだわってますから。キャスは逃げちゃうし、ベルトランや武器商人は何だか理由もよくわからないまま殺されちゃうし、映画が終わってもなーんも解決しとらんのよ。フランスは武器輸出競争に負けた上(スピード競争途中脱落ですから)、軍の内部にはスパイだの裏切り者だのがいて面目丸つぶれですな。こんなアホストーリーなのに、よく軍は全面協力してくれたよなあ。さて、出演者で変わっているなあと思うのはコスト。バリバリのキャリアウーマンだけど、ハリウッド映画ならもっと美人の女優使うと思う。マルシェリと恋に落ちるわけだが、何もこんなオバハンと仲良うならんでも・・と思っちゃう。顔色悪くて(と言うか色黒なんでしょう)やつれていて・・要するに老けてる。でもそういう女性持ってくるところがいかにもフランス。見かけじゃない、なかみで勝負!という感じ。キャス役の人は監督やマジメル君と一緒に来日している。金髪で長身で(マジメル君より背が高い)さっそうとしていて、「戦火の勇気」のメグ・ライアンみたい。でもこの人美人だけど何かあいまいな感じがする。演技がうまいようにも思えない。さてミラージュ一機盗むために「フライトプラン」なみの回りくどいことやってる犯人だけど、あんなことするよりベルトランの権限で護衛機に手下まぎれ込ませればすむことじゃん。余計なロマンス二~三ヶくっついてるけど、あまり深入りしないので助かった。マルシェリとキャスは過去にワケありのようだし、ヴァロワはキャスのせいでひどい目に会ったらしい。原作はコミックなのでそっちの方には描かれているのかも。飛行シーンに関してはもう文句のつけようがない。冒頭の航空ショーからミラージュあれこれ、プロペラ機に至るまでサービス満点てんこもりお代わり自由食べ放題ランチサービスもうどうにでもして・・ってくらい。あまりのうれしさに私暗闇でジタバタしてました。衝撃波作って建物とか壊すところなんか悶絶状態。いやーもうおなかいっぱいごちそうさま。実写で作ってくれてありがとう!!!