抜き射ち二挺拳銃

抜き射ち二挺拳銃

DVDには「抜き打ち」となっている。実は私はオーディ・マーフィがけっこう好きである。今はテレビでもあまりやってくれないが、昔はたまに彼の西部劇をやってくれた。彼が有名になったのは自伝的作品「地獄の戦線」によってらしいが、私は見てない。西部劇にしても、どの作品を見たのかあまりにも昔のことなのでよく覚えていない。この「抜き射ち」も、見たかどうかは不明。マーフィの魅力は小柄で動作がキビキビしていること。西部劇のスターは大柄で力は強いけど、その分動きは大ざっぱになる・・と言うか、そう見える。だからすばやくてしなやかな動きは魅力的に見える。童顔で、ハンサムではないし、スターっぽくない。地味。演じるキャラもあまりパッとしない。何となく出てきて何となく活躍する。演技もそれほどうまくない。でも、その何となくな部分がいいのだ。ラブシーンが少ないのもいい。ところで、このDVD・・ある量販店で買ったのだが、中古でもないのにケースの中がホコリだらけだ。何で?さて、時はゴールドラッシュのさなか。金鉱採掘権強奪団というのがいて、一人二人で細々やってる砂金堀りから採掘権を買い取る。と言ってもその後殺してしまうので買うんじゃなくて奪ってるんだけど。死人に口なしで、手がかりが残らない。今日も砂金堀りの老人が殺された。息子のルーク(マーフィ)も殺されるはずが、彼は逆に一味の一人を撃ち殺す。そいつはバッジのようなものを持っていた。これが一味のしるしか。舞台変わってある町の保安官タイロン(スティーブ・マクナリー)は”稲妻”と呼ばれる早撃ち名人。捜索隊を率いて強奪団捜しに行くが、右肩を撃たれてしまう。そのため、早抜きはできるが、引き金は引けないという状態に。それで左手で撃つ練習をしたりする。この映画にはタイロンのナレーションが入る。ってことは彼は死なないということだ。また、マーフィの主演映画だと思って見ているのに、タイロンばっかうつされるので、あれ?おかしいぞ・・と、思い始める。それと言うのも、このタイロンには全然魅力がないからである。マクナリーもどちらかと言うと悪党ヅラ。町にはジョニーという生意気なチンピラがいる。また、若くて気の強いダスティはタイロンを恋しているが、タイロンは彼女を妹のように思っているだけ。ある時ケガ人が運び込まれる。強奪団に関する初めての生き証人だ。

抜き射ち二挺拳銃2

ところが看護婦と自称する美女オパルが登場し、看護するフリをして絞め殺してしまう。ケガのせいで死んだのだ・・と誰も疑わない。タイロンは彼女が強奪団の一味とは夢にも思わず、その美しさにまいってしまう。ある晩、保安官の代理をしていた老人ダンが背後から撃たれて死ぬ。持っていた金塊も奪われていた。タイロンは別の町で傷を癒していたのだが、治ったので帰ってくる。ダンの死を聞いてショックを受ける。絶対犯人を捜し出してやる。疑わしいのはジョニーだが、彼と一緒にいるブレイクという男もうさんくさいやつだ。タイロンはオパルと再会して喜ぶ。彼女はシルバー・キッドというよそ者が怪しいと吹き込む。ジョニーはオパルの兄ロッドに雇われており、アリバイがあるようだ。ロッドは実は強奪団のボスなので、これはもちろんウソ。シルバー・キッドはルークのこと。彼は凄腕のばくち打ちで、今も酒場でポーカーをし、勝ったところ。タイロンは彼を調べるが、金塊は持っていない。タイロンは彼を用心棒として雇うことにする。ルークは気が進まないが、ダスティを一目見て気が変わる。ダスティはルークには興味なし。タイロンは彼女の気持ちに気づいてくれないし、オパルというライバルまで現われたのでショックだ。さて、オパルとロッドはタイロンをおびき出し、殺そうとするが、ルークが待ち構えていたブレイクを殴ってことなきを得る。ブレイクが首にかけていたのは、強奪団の一人が持っていたのと同じもの。つまり彼は強奪団のメンバー。彼が口を割るのを恐れ、強奪団は留置場を襲うだろう。タイロンはその裏をかいて、ブレイクを別なところに隠す。ジョニーは町の者をけしかけ、騒ぎになっているスキに留置場が爆破される。みんなはブレイクが逃げたと思い込んだが、元からカラだったのだ。手下にカラだったと聞かされたオパルとロッドは別の計画を立てる。オパルはロッドが誘拐されたとタイロンに訴える。ブレイクとロッドを交換するという強奪団からのニセの手紙も用意する。この時もルークはオパルとタイロンを追ったのか、姿を現わし、手紙も見つける。彼はタイロンの右手のことは見抜いており、怒ったタイロンは彼をクビにする。この後タイロンはジョニーと決闘することになるのだが、ルークが代わってジョニーを倒す。このようにルークは少なくとも三度タイロンのあとをつけ、ブレイクの時とジョニーの時の二度命を救っている。

抜き射ち二挺拳銃3

いつの間にか・・というのがカッコいい。逆に言うとタイロンはカッコ悪い。これでよく保安官が勤まったものだ。たぶん彼は美しい女性は心の中も美しいと思い込むタイプ。オパルの言動に不自然さがあっても全然疑わない。死ぬ間際、ジョニーはダンを撃ち殺したのは自分で、オパルが金塊を欲しがったから・・と言い残す。また、オパルは自分の女と。これでやっとタイロンも目が覚める。その頃ダスティは無謀にも勝手にブレイクを連れ出し、強奪団のもとへ。ロッドを助け出すつもりなのだ。ウヒョ~何てバカなんだ。タイロンに自分を見直して欲しいからかね。大急ぎであとを追うタイロンやルーク、町の連中。居場所はオパルが案内する。彼女は改心したのか。しかし近くまで来ると彼女はもういいでしょとか言って一団から離れる。もちろんこっそり裏へ回ってロッドに知らせるためだ。しかしロッドは彼女が裏切ったと思っていて、警告しに来たと言う彼女を撃ち殺す。すると彼女の本命はやはりロッドだったのかな。彼のことを兄じゃないというシーンがあるが、それでいて二人きりの時も兄さんと呼んでいて、ここらへんはよくわからない。で、ドンパチあってルークはとらわれていたダスティを助け出し、タイロンはロッドと一騎打ちの末倒す。左手で撃っていましたな。ダスティは今ではルークのこと好きになっていて、こっちの二人はめでたしめでたし。ところでタイロンはオパルが撃たれたことは知らないのでは?一団から離れてそのまま姿くらましたと思っているのでは?普通の映画ならオパルの死体見つけるとか、まだ息のあったオパルが何か言うとか、そういうシーンがあるんじゃないかな。そのせいで、あらもう終わっちゃうの?という感じ。オパル役フェイス・ドマーグは「水爆と深海の怪物」に出ていた人。こってりとお化粧し、ドレスもハデ。ダスティ役はスーザン・キャボット。この二人はよく似ている。あとリー・マーヴィンが出ているのでびっくりする。まだ髪は白くなく、町の一人として何回となく出てくる。マーフィは思ったより比重軽かったけど、タイロンが女にデレデレしている情けないやつなので、若いけど頼れるやつという気がした。黒い帽子、黒い皮のジャケット姿もカッコいい。欲を言えばシルバー・キッドというあだ名がなぜついたのか、そこらへんもっと描写して欲しかった。あれじゃもったいない。