二流小説家 シリアリスト
何でハリウッドじゃなく、日本で映画化されたのかな。原作は古本で読んだけど、かなりの量。しばらくすると内容忘れたので、もう一度読んだ。一度目は全部正直に読んだけど、二度目は劇中小説は全部飛ばした。処女作にはよくあるけど詰め込みすぎって感じ。もちろん映画の方はばっさりあっさりきっぱりカットされているけど。始まって早々いつもの通りイライラさせられる。出版社のおっさん、何しゃべってるのか全然わからん。他の人もそう。字幕が欲しい。ちゃんと聞こえるのは礼子役高橋惠子さんくらいか。主人公赤羽(上川隆也氏)は売れない作家。原作だともう少しすさんだ感じだけど、こちらは真面目で大人しい。言葉遣いもていねいだし、途中で千夏(片瀬那奈さん)と関係を持つこともない。死刑囚呉井(武田真治氏)から告白本を書いて欲しいと依頼された赤羽。呉井の熱烈なファンを訪問するが、三人とも殺されてしまう。手口が呉井と同じ。彼は無実で、真犯人は他にいるのか。彼の弁護士が礼子で、被害者の一人の妹が千夏。ほぼ原作通りだが、決め手となる写真をうつしすぎなのが気になった。赤羽と高校生亜衣の関係も説明不足。また、お金に困っているのにろくに仕事してないのが気になる。家の中は単行本が積み上げられていて私好みだが、お金のために何でも書くという生活なのだから、資料も積み重なっているはずだ。原作は何度もどんでん返しがあり、いやに思わせぶりな文章もあちこちに。主人公が死刑囚に感化されて、殺人に手を染めたとでも思わせたいのかって感じも。でも映画はそういうのはなし。今回の経験で赤羽の中にある何かが目覚め、一流作家への道を歩み始めた・・みたいな、まともなラスト。哀愁漂う上川氏はよかったが、しゃべる時はもうちょっと口を開けて欲しい。謎解きのシーンでモゴモゴじゃ困る。ちょっとびっくりしたのは死刑を執行される前、体を拭く呉井のシーン。武田氏のたくましくも美しい上半身が見られる。出来は悪くないと思うが、邦画の常でセリフが聞き取れない。何で改善しないのだろう。お客に失礼だろッ!