ナイト・オブ・テラー
WOWOWで見た。ホラーかと思ったらストーカー物。時々画面が暗くなるのでテレビムービーだとわかる。出演者・ストーリー・見せ方・・どれを取っても安っぽいのが残念。冒頭からしてそう。家の中で若い男女がいちゃいちゃの真っ最中。どこかから戻った女性が車から降りて家に近づく。見つかるぞ!ここでまず視聴者を引きつけようという安易な手法。ダン一家はうまくいっていない。経済的には豊かだが、それは妻のジルの稼ぎのおかげ。夫ショーンの職業ははっきりしないが、さえないものであるのは確か。出張と称し、家をあけることも多い。ジルは仕事にのめり込み、夫を無視するようになる。ショーンは空しさを埋めるために浮気を始める。ホテルの支払いの件で自宅に電話がかかってきたことから、ジルはそのことを知りショックを受ける。娘オリヴィアがザックとかいうろくでなしといちゃついているのも気になる。あんな男とつき合って欲しくないが、反対すればするほどオリヴィアは意固地になる。ジルは夫が浮気用に使っていたホテルの支配人グラント(ニック・マンキューゾ)と親しくなる。彼も妻とうまくいかなくなったらしい。境遇が似てるし親切にしてくれるし夫への面当てもある。私も・・とよろめきそうになるが、ルームサービスが来たことで我に返り、その場を逃げ出す。夫婦は話し合いをしてもう一度やってみようということになり、渋るオリヴィアも連れてキャンプに出かける。夫婦の思い出の場所。文句ばっかり言ってたオリヴィアも、ボートでの川下りは楽しんだし、両親が仲良くしているのはまんざらでもない。しかしジルには気がかりなことがあった。グラントがしつこくつきまとってくること。偶然を装っていたけどガソリンスタンドに現われたし、私をつけてきたんだわ!翌朝起きてみるとボートがない。ちょっと何かが起きると家族三人の心は離れてしまう。言い争い、険悪な空気。そこへのこのこ現われたのがオリヴィア恋しいのザック。ショーンは(グラントのことは知らないので)彼がボートを盗んだと思い込む。ともあれ、町へ戻るにはザックが乗ってきたバイクが必要だ。ザックはバイクを置いたところまで戻るが、そこにはグラントがいて・・。ジル役ミッチ・キャプチャーはミシェル・ファイファーとダイアン・キートンをミックスしたような顔立ち。不動産を売っている、いらついている・・など「アメリカン・ビューティー」風。
ナイト・オブ・テラー2
父親くらいの年齢差があるグラントによろめくなんてありそうにないが、亡くなった父親を恋しがるシーンをわざわざ見せ、ファザコンぎみだから無理もないのだ・・と言わんばかり。自然と接して家族のきずなを・・というのは「激流」っぽい。グラントは商談中に現われたスティーヴという男に「もうつきまとわないでくれ」と言われ、商談相手に変な顔をされ、恥をかく。スティーヴとの関係はよくわからないが、別れた妻の再婚相手か何かだろう。彼の年齢から見て、別れた妻はグラントよりかなり年下なのではないか。おそらくジルと同じくらいの・・。別れた後もしつこくつきまとうので、スティーヴが直談判に来たのだろう。それが今度はジルを知る。夫の浮気にショック受けてるのにつけ込んで接近するが、あと一歩というところで失敗。でもあきらめきれずつきまとう。このグラントもなあ・・。こんなじいさんでなく、もっと若い方がよかったと思うが。ルームサービスの件もおかしい。彼が頼んだから来たのであって、邪魔されたくないなら頼まなきゃいいじゃん。それと、怒ったのなら係の男殺すとかクビにするとか、それくらいのことしなくちゃ。しかりつけて終わり・・じゃ怖さゼロ。激しさが足りない。クライマックスもラストもなまぬるい。ふにゃふにゃ。結局ザックは殺されちゃう。頭からっぽだけど気のいい若者。だから死んじゃうのは気の毒。当然オリヴィアは悲しむけど、彼女はちっともかわいそうじゃない。かわいそうなのはザック。オリヴィアは不便とは無縁に育ってるから文句ばっかり垂れる。わがままで生意気。ザックに夢中だけど、いざ「結婚しよう」と言われるとひるむ。まだ17歳だからとか、親が許さないとかはぐらかす。そういうところには頭が回る。親元にいて楽な暮らしをし、しかも親に干渉されず男といちゃつきたい。だって愛し合ってるんだもーん。「ロミオとジュリエット」気分。今はザックの死を悲しんでいるけど、悲劇のヒロイン役を十分堪能したらすぐまた別の男引っかけると思うな。いやな女。ジルとショーンの方はこの先どうなるんでしょうか。今度のことでショーンはともかく、ジルは火遊びにはこりたはず。そもそも問題があったのはジルの方。普通こういう映画だと浮気した夫の方が悪い・・となるけど、今回はそうでもない。
ナイト・オブ・テラー3
懸命にわかり合おうと努力したけど、心を閉ざしたままのジルに疲れはて、他の女性に安らぎを求めたショーンの気持ちはわかる。モーテルではなく一流のホテルで・・というのがかえってわびしい。見栄か、相手への気配りか。宿泊代の件でジルが電話を受けているのに、またそのホテルを利用するという無神経さ。こんなに頭悪いんじゃすぐばれる。それともばれて欲しくてこんな手抜かりだらけのことやったのか。ショーン役リック・ロバーツはいかにもアメリカン(実際はカナダ出身のようだが)。そばかすだらけで頭と首が同じ太さで棒みたいな感じ。単純であんまり利口そうには見えないが、根は善良で家族思い。ショーンがジルに真情を吐露するシーン(だけ)はよかった。他にはほめたくなるようなシーンなくて・・。結局知ってる人は誰も出ていなかった。画面をきゅっと引き締めてくれるようなものがない。ラストだって新聞配達の子がうつったから、「一流ホテルの支配人、ストーカーの果てに殺人!」なんていう見出しの一面見せられるかと思ったら全然。グラントは結局どうなったの?照明弾くらって死んだの?あの後一家三人はどうせグラントほったらかして町へ戻っただろうから、その間に姿消して今も物かげからそっとジル(あるいは他の女性)を見てるとかさ、少しは頭ひねれっての!嘆き悲しむオリヴィアを中心に、これから三人してザックの葬式へ・・というだけのラスト。何のひねりも工夫もない。ザックの死やグラントとかかわったことで夫婦の仲が好転するとはとても思えない。特にジルは自分を変えない限りこれからもうまくいかない。夫や娘とうまくいかなくなった原因(例えば父親が偉大だったため、何かにつけてショーンと比較してしまい、その平凡さにうんざりしてしまった・・とか)をはっきりさせなきゃ。それとショーンは浮気相手にどう対処したのかな。ちゃんとあやまったのかな。映画はそういう後始末全然なしのまま、始まった時と同じく安易に(つまりいちゃいちゃで始まりお涙ちょうだいで)終わる。例え安っぽい映画でもそういうところちゃんとしてくれていれば、映画の質ちょっぴり上がって、ああ見てよかった・・となるのに・・残念。あらまあ、どうでもいい映画なのにけっこう長くなってしまったわ。こういうのって不思議に感想すらすら書けちゃうのよね。