ネスト
たいていの人はあの、ケヴィン・コスナーがこんなのに出るなんて・・と思うだろう。低予算、しかもホラー。作家ジョン(コスナー)は離婚し、娘ルイーサ、息子サムと田舎に移り住む。もちろん家には何やらいわくがありそうだ。変な音、よく見えないが何かうつってる。思春期のルイーサはジョンをてこずらせる。二人ともママが恋しい。ジョンは慣れない子育てに・・食事の世話、学校の送り迎え・・奮闘するが、不器用で行き届かない。新作に取りかかろうにも、一行も書けない。家の近くには妙な塚。ルイーサの様子がおかしい。教師カサンドラ(サマンサ・マシス)は親切だし、ジョンに好意持ってる。たいていの映画なら二人は恋仲になる。でもここではジョンの父性を強調。印象としては「ハイド・アンド・シーク」「サイン」「ゴースト・ハウス」その他モロモロの寄せ集めという感じ。ネスト・・巣・・女王アリ・・マウントウォーカー・・先住民などなど、何やら描写されるが、説得力ゼロ。作り手からは、「これは一見ありきたりのホラーに見えるけど、父親の子供への深い愛情がテーマなんだ」とか何とか偉そうな主張が聞こえてきそう。コスナーだって「これはホラーじゃない、家族の絆を描いたヒューマンドラマなんだ」とか言いそう。間違っても「仕事ないから仕方なく引き受けた」なんて言わない。いやもちろん私の勝手な妄想だが、この映画では二つのものがせめぎ合っている。家族愛、家族の再生・・その一方で見ただけで萎える出来損ないモンスター。母親に捨てられたと思い込んでる子供達。でもジョンはどんなことがあっても二人を守る。ルイーサはもう別の存在になってるけど、運命を共にする。さすがにこういうのはコスナーがやるからこそ説得力があるわけで。感動的になるわけで。でもラストがだめ。ルイーサはともかく、ジョンは助からなくちゃ。だってまだ幼いサムがいる。ちょっと希望持たせて、でもやっぱりだめで。しかもサムの後ろにはモンスターという、あまりな幕切れ。ルイーサ役は「パンズ・ラビリンス」のイバナ・バケロ、サム役は「チェンジリング」のガトリン・グリフィス。二人ともよかったし、コスナーもいいし、風景・室内とってもきれい。でもホラーとしてはぐじゅぐじゅで、後味の悪さに閉口。あんな出来損ないモンスターなんか出さず、もっと霊的なものにした方がよかった。