ナイトフライヤー

ナイトフライヤー

スティーヴン・キングの小説の映画化だが邦訳はされているのかな。だいぶ前WOWOWでやったらしいが見ていない。「ミディアム」でミゲル・ファーラーを見て、この映画も・・という気になった。真っ黒なセスナから下り立ち、犠牲者の血を一滴残らず吸い取り、また飛び立つ怪人ドワイト・レンフィールド。この名前がまずムフフである。「魔人ドラキュラ」でドワイト・フライが演じたレンフィールドは、主演ベラ・ルゴシ以上に強烈だった。・・世間ではまだ連続殺人とは見ていない。インサイド・ビュー紙の花形記者ディーズ(ファーラー)は、編集長に記事を書くよう依頼されたが断る。新入り記者キャサリン(ジュリー・エントウィッスル)が近づいてきた時も冷たくあしらう。その後調査を引き受けるが、だんだんのめり込んでいく。ある時は本職の記者を名乗るが、警察のふりをしたりFBIをかたったり手段を選ばない。写真をとるにしても見ばえがいいように細工する。お墓をけとばして傾けたりするのだ。死者を冒涜するなとか、場所を考えろとか何度となく注意されるが気にとめない。こんなキャラでは途中で真人間になろうと改心でもしない限りハッピーエンドはムリ。彼は死に、事件は彼の仕業にされるだろう。そしてその記事を書くのは、彼がだまし、利用したキャサリンだ・・そう思っていたらホントにそうなっちゃった!エントウィッスルは知らない人。「天使とデート」の頃のフィービ・ケイツに似ている。キャサリンのことをディーズはジミーと呼ぶ。彼女の前にもジミーはいっぱいいた。花形記者を夢見てはりきってやってくるが、異常で陰惨な事件にかかわり続けているうちに心を病んでしまう。自殺した者もいる。それがわかっているから本名を言わずジミーと呼ぶのだ。相手と親しくなりたくない。レンフィールドのやってることは残忍だけど、人間達のやってることもそれに劣らず残忍だし異常だ。そういうところ・・ディーズの邪悪さ、それと隣り合わせの苦悩・・はよく出ていたと思う。クライマックスでの空港の惨劇とディーズの運命が結びつくくだりもよかった。でもレンフィールドが・・特殊メイクの顔見せたとたん、この映画はそこらへんにあるただのホラー映画になっちゃうんだよな。素顔のままでいいじゃん。人間と同じだから怖いのであって・・あれじゃ狼男じゃん。それにしてもファーラーはうまいし雰囲気のある人だ。要注目。