ノー・エスケープ 自由への国境
砂漠の中でトラックが故障してしまう。乗っていたのはメキシコからの不法移民らしい。移民の中には整備士のモイセスがいたが、彼の手にも負えず、運転手ともども歩いて国境を越えるはめに。みんなろくな荷物持っていない。かさばるのは水の入った容器だ。ここらでは12人も死者が出たことがあるが、ロポは麻薬カルテルに殺されたのだと思っている。実際は国境付近でウサギをとっているサムの仕業だった。私はロポ達は人間狩り用の人間を調達して儲けているのだと思っていたが、違った。彼らは不法移民を金で請け負う業者。移民の中には遅れ出す者もいて、自然に二つのグループに。ロポ達のグループと、モイセスのいるグループだ。突然ロポ達のグループがライフルで狙撃され始める。逃げ惑うが次々に撃ち殺される。モイセス達はなすすべもなく見ている他ない。サムには狩猟用の犬トラッカーがいるので、まだモイセス達が残っていることを気づかれてしまう。最初狩る側がサム一人なのが意外だった。「ハード・ターゲット」とか「ヒドラ」とか、皆複数だったから。でもこのトラッカーが優秀なので、人間何人分もの働きをするのだ。嗅覚はもとより聴覚にも優れている。走るのが速い。人間達がヒーヒー言いながら登る難所もスイスイ。ウサギを仕留めるのと同様、人間の首根っこに食らいついて殺してしまう。ついにはアデラと二人きりになってしまったモイセス。アデラはアメリカになんか行きたくなかった。両親の命令で仕方なく。モイセスは息子との約束を果たしたい。一方サムの方は酒びたり。ここは地獄だと思っている。モイセス達はサムのトラックを盗むことに成功するが、すぐに狙撃されて横転。モイセスはケガをしたアデラを残して一人で行く。サムの目を自分に引きつけるためだ。トラックにあった信号銃でトラッカーをやっつけ、サムを悲しませる。私はその間にアデラが国境警備員に救い出され、モイセスも結局は助かるのでは・・と期待したけど、何だかあまり希望の持てないラストでしたな。モイセス役はガエル・ガルシア・ベルナル。たぶん彼を見るのは初めて。名前だけは昔から知っているけど。シンプルだけど緊張感の途切れない良作だと思う。