ミス・シェパードをお手本に

ミス・シェパードをお手本に

私はマギー・スミスを見ると、マイケル・ケインを思い出す。顔の感じが似ていると思う。80過ぎてもせっせと映画に出ているところも似ている。劇作家のアラン・ベネット・・この人は実在の人か。ラストで本人がちょこっと出てくる。ベネットは家を買い、引っ越しして来る。向かいの家の住人は・・オヨヨ、ロジャー・アラムだ。「刑事モース」の時よりやせてるような。それと吹き替えの声を聞き慣れているせいか、本人の声聞いてもぴんとこない。さて、そこらにバンをとめて居座る老女マーガレット(スミス)。まわりはゴミ袋だらけだし、本人も悪臭ぷんぷん。態度がでかくて、何か親切にされても絶対お礼言わない。住人達はわりと大目に見ている。彼女がベネットの家の前に、その後前庭にバンをとめるようになってからは特に。彼らは自分達の暮らしが裕福なことに対し、良心のとがめみたいなものを感じている。だからマーガレットにやさしくする。プレゼントとか食べる物とか。お礼を言われなくても、つっけんどんな態度にも怒らない。特に彼女に梨をあげようとした女性が「ぼくの美しい人だから」のレイチェルみたいで、印象に残った。親切だけど、その一方で現実がよく見えてないような、言い換えれば幸せな人。「いつアランに女のコ紹介する?」なんて言ったり。ベネットは・・二人出てくるのでとまどうが、片方は自分の頭の中の存在らしい。彼の家には男性が出入りするが、マーガレットには意味がわからない。そのうちの一人はくっきりした顔立ちでどこかで見たような・・。後でドミニク・クーパーだとわかった。彼女がいると知ってベネットがガックリしていて。ベネットにはマーガレットに庭を提供する義理なんかないんだけど、創作のネタにはなる。また、自分の母親を施設に入れた良心のとがめもある。スミスの演技はすばらしいが、人の善意につけ込み、ゴミや悪臭、汚物で汚す彼女のどこがお手本なんだ?と思ってしまう。この邦題はおかしいと感じているのは私だけではないようだ。彼女の死で奇妙な交流は終わりを告げる。それはいいとして、その後のシーンは余計だ。深い余韻もどこかへ飛んでしまう。ベネット役アレックス・ジェニングスは「魔術の殺人」や「ひらいたトランプ」に出ているらしい。あとアンドリュー・ノットも出ていたらしい。