マーキュリー・ライジング

マーキュリー・ライジング

ブルース・ウィリスプラス天才子役というと「シックス・センス」があるけど、こっちの方が先?マクレーンに似たキャラと書いてる人が多いが、私は「ホステージ」連想した。子供を救えず、後々まで引きずってるというのはまんまでしょ。ヒットもしなかったようだし、評価も低い。事件の基本的な部分がしっかりしてないし、キャラも類型的。私も今まで興味なくて見てなかったけど、「ペット・セメタリー」のミコ・ヒューズ君が出てると知って・・。「ペット」でのまだ赤ん坊のミコ君の演技には心底びっくり。現在20代半ばだが、身長が160センチというのはちょっとイタイかな。マーキュリーは、大金かけた暗号システムで、スパコンでも解読できないけど、9歳の自閉症児サイモン(ミコ君)は見ただけでわかっちゃった。そもそも重要な暗号をパズル雑誌に載せるというのがアレなんだけど。それを知ったクドロー中佐(アレック・ボールドウィン)が、将来サイモンが誰かに利用されたらまずい、今のうちに・・と、無理心中に見せかけて一家皆殺しをはかるが、殺し屋はサイモン取り逃がす。途中で別の殺し屋(ピーター・ストーメア)も出てくるけど、すぐ退場。何だよ、友情出演かよ。クドローがありもしない危機にパニクり、余計なことするというのが一番のアレ。この暗号によって数千人の命が守られてるだの愛国者ぶるけど、誰もそうは思わない。ただのバカ。障害児なんだからいくらでも不慮の事故演出できるのに。囮捜査の仕事はずされたFBI捜査官アート(ウィリス)がなぜ少年失踪の現場に呼び出されるのかもアレ。来てみりゃ心中にしてはちょいと変。クローゼットの秘密の隠れ場所も意味不明だが、まあそれはいい。とにかくアートはサイモン連れてさまようこととなる。なぜこの子が狙われるのかわからない。見てる方はなぜアートがサイモンに入れ込むのかわからないが、その釈明として冒頭のエピソードくっつけたのだろう。前は助けられなかったけど、今度は守るぞ!アートの私生活は不明。家族も恋人もいなくて、それは仕事の性質上ありうるけど、それにしてはサイモンの家に現われた時、野次馬の前に素顔さらしすぎ。機会があればまた囮捜査の仕事に戻る気満々のはずだが。

マーキュリー・ライジング2

NSA(アメリカ国家安全保障局)の暗号係ディーンとレオは殺される。クドローが黒幕と知ったアートは、堂々と会いに行く。レオが書いた告発状(たぶん)持ってる。ここらへん・・クドローとの会話や、その後アートがヘリで現われるあたりはよくわからない。ビルの屋上で何やらクライマックスらしきものがあり、クドローは転落して死に、アートの上司はいつの間にか味方になり・・。で、結局暗号システムはどうなった?たぶんアートはトラウマから脱し、サイモンは新しい里親の元で暮らすという平和なラスト。でも見ている者はどうしても思ってしまう。あんな死者まで出す大騒ぎして・・そんな必要あったのか。そういうののせいで、この映画の評価は下がる。途中でアートはステイシー(キム・ディケンズ)という女性に強引に手助けさせる。殺し屋がウロウロしてるってのに、見ず知らずの女性巻き込む?彼女は仕事中だし、もしかしたらアートは誘拐犯かも知れず、あるいは子供押しつけておいて姿くらます無責任な親かも。でも彼女の母性本能につけ込む。そりゃ我々にはウィリスだから正義の味方ってわかってるけど・・ステイシーの登場はどう見ても都合よすぎ。悪口はこれくらいにして今度は長所。自閉症児の描写はよくできてると思う。相手の目を見ない、自分以外の者に興味示さない、自分の安全については慎重、お決まりの順序を乱されると不安になる(逆に言うといつも通り暮らせるなら両親が死んでも悲しまない)、敷居をまたぐ時の動作など。両親の描写もいい。静かに接する今の状態になるまでにはさまざまな苦悩や衝突があったはず。それらを乗り越えて今がある。あるがままを受け入れるまでの、その過程が感じ取れる。父親役ジョン・キャロル・リンチがまたすばらしい。武骨な働き者。息子に話しかけても返事は戻ってこないが、やさしく抱いて眠りにつかせる。このシーンは本当によかった。だから殺し屋によって両親があっという間に殺されてしまうのはとてもショックだった。ミコ君は難しい役を見事に演じている。さすがのウィリスもかすみがち。例によってウルウルしたり変に熱くなったりと、湿っぽいキャラにはうんざり。乾いている時の方がウィリスはステキだ(何のこっちゃ)。