名探偵ポアロ5

黄色いアイリス、消えた廃坑、なぞの遺言書、あなたの庭はどんな庭?、コーンワルの毒殺事件、チョコレートの箱、100万ドル債券盗難事件、イタリア貴族殺害事件、ダベンハイム失そう事件、誘拐された総理大臣

黄色いアイリス

ウーム、こりゃいったい何だ?ポアロの思い出したくない過去。ヘイスティングスにも秘密にしていた事件。ブエノスアイレス、「白鳥の園」という店、彼の目の前でアイリスという女性が毒殺されたが、犯人はわからずじまい。解決できなかったなんて人生の汚点だが、自分のせいではないとつけ加えるのはいかにもポアロらしい。何しろクーデターが起き、理不尽にもスパイ扱いされ、強制的に国外へ出されたのだ。いくら名探偵の私でも解決できるわけないじゃ~ん。

それから二年・・今度はロンドンに同じ名前の店ができ、同じメンバーが集まる。自分も行かなくちゃ・・だって当事者だも~ん。同じ曲が歌われ、シャンペンがつがれ、今回倒れたのはアイリスの妹ポーリーン。でもこれはポアロの差し金。ただ、お店にとってはこんなことに使われるのは迷惑よねえ。ストーリーは「忘られぬ死」とほぼ同じ。全く同じにするわけにはいかないので、アルゼンチンでのクーデターなどわけわからんものをくっつけている。やっと一つにまとめ上げたという感じ。

消えた廃抗

最近ホワイトヘブンアパートで流行しているのはモノポリー。それと株。いつも思うのだが、ヘイスティングスは働いていないのか。どこに住んでいるのか。朝になるとポアロのところへ来て、新聞読むだけ。働かないでも暮らしていけるのか。株などに投資しても損ばかりしているようだが。モノポリーも株熱もポアロの口座が残高不足になるのも、原作にはない。ジャップが披露する最新の追跡システムもなし。

セント・ジェームズ・ホテルにウー・リンという中国の実業家が泊まる。宿帳の記入で1935年とわかる。翌朝ピアソン頭取は会議に出席するはずのウー・リンが現われないので困っていた。その様子をたまたま銀行の窓口にいたポアロが見ていた。彼がいつも口座残高を444ポンド4ペンス4シリングに決めているのもわかる。何で4ばかり並べるのだろう(漢字の「四」なら四角くてポアロ好みだが)。ウー・リンはそのまま行方不明に。ピアソンがポアロに調査を依頼する。そのうちチャイナタウンで死体が発見される。ウー・リンだが、ホテルに現われたのとは別人である。画面を見ている我々にはそれがわかるが、ポアロ達にはわからない。泊まった部屋には手帳が落ちていて、レスターという名前が書いてある。株の仲買人である。他にダイアーという前科者も大金を持っており、怪しい。

・・一回目は見ていても何が何だかさっぱりわからない。二回目見てなぜ混乱するのかわかった。ホテルに現われたニセのウー・リンが誰で、その後どうなったのか見せないからだ。私はピアソンが変装しているのだと思ったが、よく見りゃ彼は(ニセの)ウー・リンがホテルにいる頃、銀行での会議に出ている。ジャップはホーという男からクラブ、レッド・ドラゴンの奥がダラハイドのアジト・・もとい、阿片窟になっていることを聞き出す。踏み込む時ホーの名前を出す。あの~それってまずいんじゃないの?これじゃ後で組織の連中にホーが消されてしまうぞ。情報提供者の安全が保障されなきゃこの先誰も協力してくれなくなるぞ。え?結局何が原因だったのかって?銀山の地図ですよ。持ち主のウー・リンが死んじゃって・・どうするのかな。見た後で原作も読んだけど、やっぱり何が何やらの内容だった。

なぞの遺言書

原作はヴァイオレットが伯父マーシュの遺産を受けつぐため、遺言書のありかを捜して欲しいとポアロに頼み、見つけ出すというそれだけの内容。殺人事件など起こらない。でもそれだと15分くらいで終わっちゃう。

実業家マーシュは、遺言書を書き換え、全部ヴァイオレットに残すことにするから、ポアロに執行人になって欲しいと頼む。ヴァイオレットは共同経営者の遺児で、彼が後見人をしていた。彼は心臓が悪く、あといくらも生きられないらしい。その晩マーシュは急死。主治医プリチャードは疑いもせず自然死とする。しかしポアロは納得しない。ポアロの要請で弁護士のジョンが遺言書を披露しようとしたが、なくなっている。新しいのはまだ作られていないし、古い方はなくなっている・・と言うことは、もしマーシュに子供がいれば全部そちらへ行くということ。マーシュは独身だったが、プリチャードの話では息子がいたらしい。ジョンの息子ロバートか、家政婦マーガレットの息子ピーターか。まわりの者が動こうとしないのでポアロが調べて回るが、やや強引すぎる。息子がいるとすれば不義の子で、デリケートな問題だからまわりが消極的になるのは当然だが、ポアロは意に介さない。そのうち女学長フィリダがポアロに会いに行く途中、エスカレーターから突き落とされる。命に別状はなかったが、診察した医師によれば(独身のはずなのに)帝王切開のあとがあるという。これでマーシュがヴァイオレットに遺産を残そうとした理由がわかる。彼女はマーシュとフィリダとの間にできた子供だった。

何と言うか・・先の読める展開だ。明日何かをする→その晩殺される。ポアロに会いに行く(としゃべる)→殺されそうになる。・・まあとにかく何かしようと思ったらその晩のうちにやることだ。自分のしようと思ってることはまわりには黙っていることだ。さすがに犯人が誰かまではわからなかったが、見ていてもおもしろくない。何でフィリダを殺そうとするのか。ヴァイオレット狙うはずでしょ。プリチャードはなぜ自分のカバンから注射器とインシュリンがなくなっていることに気づかないのか。なぜ犯人はマーシュが遺言書を書き換えると知っていたのか。そもそも何でマーシュはまわりの者に期待させるような遺言書を作ったのか(後で書き換えるのに)。何だか穴だらけのストーリーだな。ヴァイオレット役の人はフィギュアの中野友加里さん似。

あなたの庭はどんな庭?

ポアロは園芸博覧会でアメリアという老女から花の種の袋を押しつけられる。袋はからで、ポアロにはわけがわからない。アパートへ帰ると彼女からの手紙が届いていたが、不安を訴えるわりにははっきりしたことは何も書いてない。翌日家を訪ねると、昨晩急死したとのこと。例によって一歩遅かったわけだが、手紙にはっきり書かないというのもいつも通り。

アメリアは姪のメアリー、その夫ヘンリーの夫婦と暮らし、カトリーナというつき添いがいた。医師シムズが疑問を持ったことから、ジャップが調べてみるとストリキニーネが検出され、毒殺されたのだとわかる。疑いはカトリーナにかかる。アメリアは彼女を相続人にしていたし、彼女の部屋にはストリキニーネの小ビンがあった。それに彼女はロシア人だ。設定は1935年で、彼女はスターリンのせいで財産をなくした貴族階級の出身。メアリーやヘンリーは、共産主義者だ、何をするかわからんと警戒の目で見ているが、実際は逆の立場。ロシア人イコール共産主義者ではないのだが、イギリス人から見れば・・そこらへん興味深かった。犯人はもちろん姪夫婦。アメリアの金を無断で株に使い、しかも大損したのが動機。映画はカトリーナがロシア大使館員と会うなどいかにも怪しげに描くが、効果なし。ラストは疑いも晴れ、恋人も手に入れ、アメリアの遺産も入るしで、これまでの苦労(人を使う立場にいたのに、人にこき使われる生活)もむくわれ、よかったね・・となる。でも早速恋人とリッツ・ホテルへ向かうなどちょっとがっかり。苦しかった時代を忘れちゃだめよ!!

今回はヘイスティングスが花粉症らしく、ミス・レモンが助手を務める。ラスト、ヘイスティングスのくしゃみの原因がポアロの高級コロンのせいだとわかる。他の者は全然いいとは思わず、ポアロだけが香を嗅いでにんまり満足しているのが笑えた。謎解き部分はやや物足りないが、犯行がばれて逆上したメアリーが除草剤を飲んだら、なかみがウィスキーだったというのは笑える。妻が目を光らせているため、飲んべえのヘンリーが苦肉の策でなかみを入れ替えていたのだ。原作は園芸博覧会もバラの新種”ポアロ”も高級コロンも花粉症もアル中も除草剤もロシア亡命貴族も大使館もなし。原作のカトリーナはいじけた欲深な小娘だから、そのままじゃ映画にならないとは言え、よくもまあこれだけくっつけたものだ。

コーンワルの毒殺事件

ポアロのところへペンゲリー夫人が訪ねてくる。彼女アリスは夫に毒殺されるのでは・・という疑いを持っていた。夫は歯科医で、助手のミス・マークスと浮気しているらしい。次の日夫人を訪ねると、つい1時間ほど前に亡くなったとのこと。自分に助けを求めてきたのに救ってあげられなかった・・と、ポアロは激しく悔やむ。かかりつけの医師アダムスは持病の胃炎のせいだと主張し、ペンゲリーによる毒殺なんてありえないと断言する。姪のフリーダはラドナーという青年と婚約している。以前夫妻と同居していたが、アリスが親子ほども年下のラドナーに夢中になったせいで仲違いし、家を出てしまっていた。ラドナーもアリスの熱情には困惑していたようだ。アリスには財産があり、遺言により夫へ行く。ポアロはある程度調べると町をあとにする。今はアダムスが言うように病死でかたづけられ、彼には何もできない。しかしそのうちきっとうわさが立ち、警察も動かざるをえなくなるだろう。

予想通りうわさが立ち、アリスの墓があばかれ、ペンゲリーが毒殺容疑で逮捕される。きっかけは彼がミス・マークスと婚約したため。ポアロは彼を救うため動き出す。次々に不利な証拠が出てくるが、ポアロはペンゲリーが犯人とは思っていない。もし犯人なら金髪美女と婚約・・なんていう目立つことはせず、遺産を手に二人でこっそり姿を消すだろう。

見ていて残念だったのは、フリーダもラドナーも年くって地味なこと。フリーダは原作ではすごい美人だが、ここでは平凡。シワが目立つ。もっとひどいのがラドナーで、30前のはずだが老けてる。長身のはずがチビ。目が小さくてさえない顔立ち。これじゃ目の保養ができないだろッ!アリスが夢中になるわけないだろッ!謎解きの方も大まかで、何も証拠ないのに自白書にサインさせちゃう強引さ。サインと引き換えに犯人に与えた24時間の猶予もポアロは破ろうとするし、もうぐっちゃぐちゃ。見ていて楽しかったのはサンドイッチとかパイとかすっごくおいしそうで・・食べたいよ~。それと金髪のアバズレ・・なんて意気込んでいたヘイスティングスが、ミス・マークスを見て口もきけなくなること。なるほど彼にとってはこういうのが絶世の美女なのね・・。

チョコレートの箱

今回はブリュッセルが舞台なのが珍しい。海外ロケってこと?ジャップがベルギーから勲章をもらうことになり、ポアロが同行する。旧友シャンタリエ(エド・ハリス似)など懐かしい人に会ったポアロは、20年前の未解決事件の話をする。彼が探偵業に転向するきっかけにもなったようだ。

ポールという大臣(反カトリックで出世欲が強く、チョコレート大好き)が心不全で死ぬが、ポアロ(当時は一介の警官)はヴィルジニーという女性(ポールの亡妻のいとこ)に頼まれて独自に調査を始める。そのうちチョコに毒が仕込まれていたことがわかる。チョコはサンタラール伯爵の工場で作られているものだが、箱とふたの色が違っているのがポアロの注意を引く。普通箱とふたは同じ色のはず。チョコは二箱あったのだ。手つかずの箱と食べかけの箱。犯人はなぜ間違ったのか?チョコのカスからはトリニトリンが検出される。ガストン夫人(ポールの母で熱心なカトリック)の友人ボージュが常用している心臓の薬だ。

で、いろいろ(チョコチョコ)あるのだが、一番の見ものは20年前のポアロ。髪が少し多くてヒゲの形は違っていて今よりやせている。身が軽い。ポアロを演じるにあたって、スーシェは腹とか肩に詰め物をし、太っているように見せていると私は思う。素のスーシェはもっとやせていると思う。今回のエピソードで証明されたと思う。ポアロはヴィルジニーのために調べて回っているうちに、彼女に恋をする。しかし一線は越えない。そうやって紳士的にふるまっているうちに薬剤師のジャン=ルイ(ジョージ・ハミルトン似)が彼女と一緒になってしまう。原作では彼女は(女たらしの)ポールに恋していて、それでポアロに泣きついたことになっている。途中でポアロに依頼したことを後悔し始め、最後は修道院に入ってしまう。つまり原作ではポアロとの恋愛はなし。映画では二人は20年ぶりに再会。息子二人は警官になっている。彼女を見るポアロの目がうるんでいるのが印象的。彼がもうちょっと積極的だったら人生は変わっていただろうに。

事件の方はポールの妻の死は事故ではなく殺人。犯人であるポールの死も心不全ではなく毒殺。ポアロはシャンタリエらまわりには未解決と思わせていたが、実際は解決ずみ。ある人との約束を守り、今まで公表を控えていたのであ~る。彼は意外と義理堅いのであ~る。あ~チョコおいしそうだったな~。

100万ドル債券盗難事件

ロンドン・スコティッシュ銀行は、アメリカへ100万ドル相当の自由公債を運ぶことになる。担当は支配人のショーだが、車にはねられそうになったり、コーヒーに毒を入れられたり。そのため行員のリッジウェイが代わりに行くことに。重要な任務なのでポアロも同行する。その一方でポアロはリッジウェイの婚約者エズミーからも、彼を守るよう頼まれる。彼は金銭トラブルをかかえ、借金取りに追われているようだ。クイーン・メリー号での大西洋横断は快適だったが、途中債券の入ったケースが開けられ、からっぽになっているのが見つかる。なかみはどこへ消えた?誰の仕業?

クイーン・メリー号やら金銭トラブルやらショーのつき添い看護婦やらなかみはだいぶ増やしてある。原作はシンプルだが、シンプルすぎて映画にならないのも確か。ポアロが以前頭取を刑務所に送った・・と言っているところをみると、スコティッシュ銀行は「消えた廃抗」の時の銀行か。リッジウェイは大役をまかせるにはちょっと・・という性格。出航すると毎晩カードをやり、負け続ける。カギは自分が持ってるから大丈夫・・と、ケースを船室に置きっぱなし。ケースごと持ち去られたらどうするの?無責任だし不用心すぎる。ケースがからになっても大ショックというわけでもない。事件解決後は昇進し、しっかり者のエズミーと結婚するからもう大丈夫・・となるが、見ている人誰も信用しない。だって彼こりてない。さほど痛い目に会ったわけでもない。ポアロが彼を数日ブタ箱へ入れさせるが、それだって借金取りが手出しできないようにするため。犯人はショーと看護婦だが、動機がはっきりしない。犯行がばれてもたんたんとしていて、二人とも悪人には見えない。逆にリッジウェイは、機会があればすぐ悪に染まりそう。そんなこんなで説得力がなく、中途はんぱな印象だけが残った。

イタリア貴族殺害事件

ある晩ポアロとヘイスティングスが医師のホーカーと食事をしていると、フォスカティーニ伯爵から助けを求める電話が・・。ホーカーは伯爵の主治医だった。三人がかけつけると伯爵は殺されていた。外出していた召使グレイヴスの話では、アスカニスというイタリア人が訪ねてきたらしい。食事は二人前注文され、食べた形跡がある。アスカニスはイタリアの犯罪組織の一員で、伯爵をゆすっていたらしい。犯人はアスカニスだろうか。

グレイヴスはミス・レモンと交際していたが、伯爵の公設秘書だとウソをついていたことがわかる。そもそもミス・レモンに近づいたのはポアロを事件に引き込むためだった。でも・・ありえないでしょ・・わざわざポアロを事件に引き込むなんて。まず自分が召使だってことがばれてしまう。ばれてもいいってことはミス・レモンのことは何とも思ってないってことで。こんな不誠実な男の言うことなんか信用できない。証言は皆ウソ・・犯人は彼・・ってすぐわかっちゃう。ひん死のはずの伯爵が電話かけたように装ったり、受話器をちゃんと戻したり、時計を壊して針を止めたりとにかく余計なことしすぎ。私は何も知りません、見てません、聞いてませんで通した方がよかったのでは?もちろんミス・レモンとつき合ったりしない。ポアロからはできるだけ遠ざかる。

結局ゆすっていたのは伯爵の方。伯爵に金が入ったと知ったグレイヴスが横取りするため殺した・・そういうことらしい。らしい・・と言うのは余計なものがいっぱいくっつけられて何が何だかわからなくなっているからである。え?原作?お客が来たと偽装するため、食事を三人前(映画では二人前だが、原作は三人前なのだ)注文し、ムリして食べたが、おなかがいっぱいになってしまい、デザートまでは入りませんでした・・って、そういう話(ホントかよ!)。

ダベンハイム失そう事件

ダベンハイム卿が失踪する。ロウエンという男が訪ねてくるとわかってて外へ出ていき、それっきり。ロウエンは仕事でダベンハイムにしてやられたことがあり、恨んでいたが、失踪に関しては何も知らないと主張する。そのうち金庫が破られ、宝石がなくなっていることもわかる。ポアロはこの件でジャップと賭けをする。アパートから一歩も出ず、ヘイスティングスやジャップのもたらす情報・報告だけで解決してみせるというのだ。原作と違い、今回のポアロはマジックに凝っていろいろ練習する。それが見ていてなかなか楽しい。「消えた廃抗」のモノポリーもそうだが、彼の特徴はルールブックや入門書をきちんと読むこと。面倒だが、これが一番の上達の近道なのだ。友人のオウムを一時預かるはめにもなるが、こちらはあまり意味がない。ロウエンが自動車レース気違いというのも原作にはなし。

「途中でケレットという前科者が出てくる。彼はわざわざジャップにつかまるようなことをする。つかまってブタ箱へ入らなきゃならない理由があるんだけど、どう考えてもそんな必要ないじゃん・・と思えてしまうのがイタイ。じっと隠れてりゃいいのに何で人前にノコノコ出てくるのさ。ケレットがダベンハイムだというのもすぐわかる。文章と違って映像はばればれになってしまうのが辛いところ。彼がカツラかぶってるのもありえない。つかまって身体検査されるはず。カツラなんてすぐばれる。・・てなわけで今回の見どころはポアロが見せるマジック「だけ」です!

誘拐された総理大臣

これはNHKのアニメでもやったけど、内容はさほどおもしろくない。イギリスの首相の誘拐未遂事件が起きる。その際首相は顔に負傷したので、包帯を巻いてフランスへ向かう。パリで軍縮会議があるのだ。ところがフランスへ渡った後、首相は行方不明に。もし首相が会議に出られなかったら大変なことになる。外務省のサー・バーナードがポアロに頼みに来る。ジャップが推薦したのだが、ポアロはフランスへは行かず、捜査とは無関係なことばかりしてバーナード達をやきもきさせる。ジャップが年金がパーになる・・と心配するのがおかしい。原作でもアニメでもポアロは一度フランスへ渡り、その後イギリスへ引き返すが、ここでは行かずにすませる。彼の捜査の仕方はユニークでわりとおもしろく、よかったと思う。

残念なのはアイルランドがどうのこうのというのをくっつけたせいで、焦点がぼけてしまったこと。首相に同行していたダニエルズ中佐の元妻が、首相の車の運転手と組んで誘拐したようだが、結局首相をどうするつもりだったのか。殺すのか(会議が終わった頃見計らって)解放するのか。動機は何か(アイルランドをどうしたいのか)。どうもはっきりしない。いやきっと描写されているんだろうけど、よくわからないし、それにそんなのどっちだっていい。もっとストレートにドイツのスパイが暗躍・・の方がよかったのでは?ダニエルズ中佐のこともよくわからない。演じているのが「ミス・マープル」の旧シリーズでスラック警部やってたデヴィッド・ボロヴィッチなので、そこは懐かしかった。