マイレージ、マイライフ

マイレージ、マイライフ

この映画は数年前アカデミー賞にいくつかノミネートされた時に知った。結局何もとれなかったようだが、主演三人はいいものの、内容は今いち。ライアン(ジョージ・クルーニー)は一年のほとんどを出張で過ごす。飛行機の利用で1000万マイルためるのが目標。仕事は解雇宣告。嫌な仕事だが、割り切ってこなす。その合間には講演活動。今回はすばらしく気の合う女性アレックス(ヴェラ・ファーミガ)とも知り合った。忙しいがそれなりに充実した毎日。上司クレイグ(ジェイソン・ベイトマン)によれば、史上最悪の不況の今は社にとってはチャンスなんだそうで。若いナタリー(アナ・ケンドリック)を採用し、彼女の提案するPC越しの解雇を試すつもり。実現できれば出張する必要がなくなり、経費の大幅削減がかなう。ライアンは猛反対するが、ナタリーの教育をするはめに。それにしてもこんなビジネスがあるなんて。正直言って、ライアンの妹ジュリーの結婚式あたりがピークで、その後ライアンとアレックスが真剣に二人の将来考え始めて・・それで終わるんだと思ってた。でもその後もあれこれあって。今までそこらに置いてきた事柄が意味を持ち始めて。クビになった女性が自殺したとか、講演で何度もくり返し説いてきた持説が急に空しく思えたり。思いきってアレックスを訪ねると、夫も子供もいたとか。・・と言うか、彼がそんなことに気づかないなんてありえないと思うんだけど。妹ジュリー役メラニー・リンスキーは「ニュースの天才」に出ていた。ぽっちゃりしてるからすぐわかる。姉カーラ役エイミー・モートンはどこかで見たような。「8MM」の被害者の母親役の人だ。クビになるボブは「ジャッカル」のウィザースプーンやってたJ.K.シモンズ。1000万マイル達成のお祝いに来てくれた機長は顔中ヒゲだらけだがサム・エリオットだ。声でわかる。見終わって心に残るのは、家族がどうのとかそういうことじゃなくて。軽快に描写されるライアンの日常。コンパクトにまとめられた荷物、効率的な動き。そこに至るまでには失敗やら工夫やらがあって・・。たまに家に帰ればホテル以上にがらんとしていて。クビを言い渡すにしても相手と向かい合って・・それなりに相手を尊重して。そういう暮らしぶり、仕事ぶりが心に残った。その時々の心象を表わすためかいろいろ歌が流れるが、これが効果的と言うよりうるさいのが残念だった。