マザー・テレサ

マザー・テレサ

100円ショップに行くと210円でCDを売ってたりする。ブリティッシュポップなんてついつい懐かしくて買っちゃったりする。・・で、バリー・ライアンの「エロイーズ」を30数年ぶりに聞けちゃったりする。テレビで見たことあるのよ、プロモーションビデオみたいなやつ。若い女性が馬に乗って・・きっと恋人に会いに行くんだわ。歌うバリーがうつって・・。今CDで聞くとこんな声だったっけ?って思ってしまう。もっと力強く歌っていたんじゃなかったっけ?息切れしてるじゃんよ、情けない。・・で、彼には双子の兄弟ポールがいて、デュオを組んでいたわけよ。双子でもポールの方は甘ったるい顔をしていてプレイボーイといううわさ。・・で、当時ポールがつき合っていたのがオリビア・ハッセーなわけよ。当時ハッセーは「ロミオとジュリエット」で有名になったところ。でも私は映画見たことないし、ハッセーイコール「雑誌に某プレイボーイ歌手のガールフレンドとしてうつっている女のコ」でしかなかった。まあ確かに整った美貌は群を抜いていましたな。当時は厚化粧のコが多く(ルルとか・・風邪薬じゃないよ)、素顔もきれい・・というコは少なかったと思う。「ロミオ」以後の作品も見たことなくて、でも布施氏と結婚した時には驚きましたぜ。テレビで「私はオリビア・ハッセーではありません。オリビア・フッセーです」なんてかわいいこと言っちゃってさ。占いか何かでこの結婚はうまくいかないと言われたとかで、プリプリ怒っているのがこれまたかわいかった。そりゃ誰でも「この人こそ私の運命の人!」と思うから結婚するのよね。そんな幸せいっぱいの時に水を差すようなこと言われりゃ腹が立ちますってば。でもやっぱり離婚しちゃったけどさ。・・とまあ前置きが長くなったけど、要するにハッセーの映画を見るのはこれが初めて・・とそういうことを言いたかったんですの、オホホ。マザー・テレサがどんな人だったのかはうすぼんやりとはわかってる。題名が「マザー・テレサ」なんだから彼女の一生を描いているのだろうが、全くの真実とかこれが彼女のすべてとか、そういうことは期待していない。映画なんだからフィクションも誇張もあると思う。ヒトラーの場合と同様今回も、「近くで公開されているのはいい機会だから見に行こう」と思って出かけた。

マザー・テレサ2

レディス・デーだけど、朝早くだと言うのにお客さんがいっぱい。この館では公開されて2週間たつが、「チャーリー」よりもいっぱい入っているぞ。毎日新聞の批評には「偉人の伝記としては分かりやすいが、人間ドラマの奥行きには欠けた」とある。確かに見ていてプツンプツンと切れたようなところがいくつかある。話が深刻になりそうになると次の話に移っちゃう。全体的に「何か都合よく話が運びすぎない?」と思ってしまう。最後もストンという感じであっさり終わっちゃう。ただホンネを言うとこういう描き方なので、私は大いに助かった。これがもし貧困とか業病とかをとことん追究する映画だったら・・あたしゃ困るんです。だってファーストシーン(意味わかんないけど。あの母と子は何?マリアとイエス?)からして「あッヤバイ」状態だったんだもん。その後もあっちでヤバイ、こっちでヤバイ、やだ何でこう涙腺がゆるいのかしら状態だったんだもん。つきつめないで次に行ってくれるのであーやれやれ助かった・・となるわけ。でもまたすぐウルウルしてくるのよ。別にみんなしていっせいにハンカチを取り出すとか(「コーラス」みたいに)、そういうことはなかったけど(一番後ろの席で見ているからわかるのよ)、映画が終わって明るくなると・・何か皆さん目がショボショボしてるし、鼻はグスグス言ってるし・・ああ私だけじゃなかったのね。かけ足の偉人伝というのはまあその通りで、うわべだけで掘り下げ不足なのは確か。後でネットで調べてわかったんだけどこの映画、元々は3時間あるらしい。どうりでホップ・ステップ・ジャ~ンプになるわけよね。でもよかったわ、短縮版で・・。3時間もあったら目がショボショボじゃすまないわ。さて・・ウルウルさせる一方でマザー・テレサはけっこうずうずうしい。お願いしますお願いします攻撃で、相手が根負けすると、じゃあこれもお願いします・・となる。言葉は悪いけど相手の善意に(すがるのではなくて)つけ込んでいる。そんなシーンが何度も出てくる。・・で、思ったんだけど人間一人ができることってあんまりないのよ。何かやる時には助けが必要なの。「仕方がないなあ」というしぶしぶの助けもあれば、「喜んで」という積極的な助けもある。年月がたってからの助けもある(昔助けた子が成長して今度は助けてくれる)。

マザー・テレサ3

マザー・テレサはみんなを助けたけど、テレサの方もみんなに支えられていたからあれだけのことができたのだ。この映画では善意が強調されている。現実の世界では悪意が渦巻いているけど、でも善意も存在している。マザー・テレサ達は人間の善意を信じている。生まれた時には何にも染まっていない赤ん坊が、成長して史上最悪のモンスター、ヒトラーになるかと思えば、聖女テレサにもなる。どっちにもなれる生き物、それが人間である。さてヒトラーと言えば・・マザー・テレサのよき協力者エクセム神父を演じたミハエル・メンドル、どこかで見たような・・と思ったら「ヒトラー」に出てた。あとの出演者は知らない人ばっか。途中マザー・テレサは狭心症で倒れるのだが、自分の健康のことはあんまり気にしない。「(倒れたのは)天使が押したせい」という言い方がおもしろい。少し休養を・・と勧められても「死ねば永遠に休める」とか何とか答える。なるほど、死は永遠の休息なのか、そういう考え方もできるのか・・。ハッセーは大熱演だが、かと言ってくどいわけでもなくさばさばした感じなのがよかった。歩き方とか座り方、本物のマザー・テレサがどんな感じなのかは知らないが、工夫しているんだろうな・・というのが伝わってくる。他の人が普通に立っているのにテレサだけ腰に両手を当てて立っていたりする。昔の農家のおばあちゃんの写真見ているみたい。スマートでも優雅でもなく、そうである必要もない。頑丈で質素で単純であればいい。たった一つ残念だったのは、実物に似せるため鼻の形を変えていること。ポスターやパンフの表紙を見るとわかるけど、鼻はほとんど見えない。ジュリエットの面影は大いにある。でも本編を見て・・くそーだまされた、あの青春の記念碑ジュリエットが~って、そういうことじゃないんですよ。あたしゃ「ロミオ」見てないんですから。私が言いたいのは鼻なんかいじくる必要なかったのでは?ってことなの。ハッセーがやってるんだって承知して見にくるんですから。ハッセーとマザー・テレサ全然似てないこたぁわかってるんですから。美人すぎるとか、そういうケチつける人にはつけさせておけばいいんです。ついでに言うとパンフにはマザー・テレサ本人の写真一枚も載ってません、何で?伝記映画でっせ・・。とまあいろいろ書きましたが、さほど説教くさくもなく、誠実に作られたいい映画でしたヨ。