ミミックシリーズ

ミミック

数ヶ月前本屋をぶらついていたら「地球の静止する日」の文字が目に飛び込んできて、キャッホーと(心の中で)叫んですぐにゲット。こういう古い映画の原作が読めるのはありがたい。また、文庫の題名を「地球~」にしてくれてよかった。他の題名、例えば「月世界征服」とかだったら、こんなにすぐには手に取らなかっただろうから。この文庫には「地球~」の原作「主人への告別」の他にもいくつかおさめられていて、中でも気に入ったのが「ミミック」の原作「擬態」。文庫本サイズで10ページちょっとだからほんの短編。読んでも意味よくわかったとは言えない。謎の男(に見えるもの、実は雌)は産卵したから死んだのだとして、じゃあすぐそばの箱から幼生が飛び出したのは?卵がかえるまでの時間が腑に落ちない。それともすぐ近くに潜んでいた何物かにやられたのかな。何年もアパートの家賃払って、買い物の代金払ってそのお金はどこから?盗んでたのかな。読んでいても疑問だらけの小説なんだけど、でも不思議と怖い。自然界に擬態はつきもの。NHKなんかでよく見る。昆虫、魚、植物・・アッと驚く巧妙さ。見分けがつかない。強いものに似せて自分を守る。自然界最強の地位に君臨するのは人間。でも人間は自分が何かに擬態されているなんて考えてる?もうすでに人間でないものがまぎれ込んでいるかもしれない。あるいは気づかないまま何かに乗っ取られているかも。と言うわけで宇宙人やらロボットやらに乗っ取られる恐怖がSFではせっせと描かれるわけだ。原作は1942年発表で古いから、映画はもちろん大幅に内容が変更されている。どうもできるまでに紆余曲折があったようで、ラストもハリウッド好みのハッピーエンドに変更させられたらしい。今回私が見たのは日本語版ビデオ。レンタル店には字幕版もDVDも置いてない。画質は悪く、声はよく聞こえない。でも・・おもしろかった。裏ではゴチャゴチャもめていたんだろうけど、映画見ていてそういう混乱感じない。出演はミラ・ソルヴィノ、ジェレミー・ノーザム、ジョシュ・ブローリン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、チャールズ・S・ダットンとけっこう豪華。他に「ナイトウォッチ」「ブラッドワーク」「ホーンティング」に出ていたアリックス・コロムゼイ。彼女は「ミミック2」では主役らしい。「8MM」のチョイ悪風イケメン、ノーマン・リーダスも出ていた。

ミミック2

舞台のほとんどは地下鉄構内。列車や人々が行きかう近代的な地下鉄の駅や線路など、目に見える部分の他に、使われなくなったり忘れ去られた部分がある。浮浪者達が生活していたりするが、誰も行かない部分があって・・。何しろ深いところは地下七階ですってよ!スペースあるから何物かが潜む余地はたっぷりんこ。普通擬態は弱いものが強いもののフリをするわけだから、自分の正体は見破られちゃいけない。でもそれだと映画にならないので、何物かはわざわざ姿をちらつかせて人間の注意を引く。自然界では擬態している生き物は、擬態させてもらっている生き物を攻撃しないと思うけど、映画はそうもいかないので、人間を攻撃する。あのままだったらきっと人類を滅亡させただろう。エイリアンのような卵を見せ、見ているお客を怖がらせる。人間はもちろんバカで鈍感であるから、特に卵を見つける子供二人は学校にも行かず、そこらへんうろつき回って金になるものはないかと捜し、見つけた卵をつつくのだ。怪物の餌食になってもちっともかわいそうじゃない。ジョシュ、ジャンカルロ、サットン・・と次々に命を落とすが、女性(ミラ扮するスーザン)と子供(チューイ)は生き残ることになっているからいいとして、ビミョーなのがスーザンの夫ピーター。見ている方としては生き残って欲しい(演じているのノーザムだし)。うるさくしゃべり、歌まで歌うレナード(サットン)は、怪物だけでなく悪運をも引き寄せる。ああいう常にやかましいタイプとは一緒にいたくないよな。犠牲になったってちっともかわいそうじゃない。クライマックスはもちろんCGだけど、ちょっとゾクッとしますよ。形、数の多さ、体のでかさ、持っている力。どれくらいの知能なのかは不明。そりゃ地上に出てきて存在知られたとしても、軍隊の攻撃受けてすぐやられちゃうかもしれない。昆虫だから寿命長いとも思えないし(短期間で世代交代重ねたからあそこまで変身したんでしょ?)。ただ彼らの強みは人間みたいにモタモタしたり尻込みしたりしないこと。人間だとすぐには怪物の存在信じなくて、軍隊が出動したり命令が伝わるのに時間かかったりする。あるいは恐怖心からパニックになったりする。でも彼らにはそういうのがない。世代交代が早く一気に数が増える。まだ進化の途中で、最終的にどうなるのかは想像もつかない。

ミミック3

ただ人間側にも望みはある。卵を生ませる雄をやっつければ何とかなりそうなこと。ここらへん「サラマンダー」風味のような気も・・。でも結局はピーターがスーザンとチューイを逃がし、自分の身を捨て、ガス爆発を起こさせて怪物を一掃するのだ。その影響で地上では交通事故とか起きるけど、まあこれくらいは仕方ないでしょ。怪物の総攻撃受けるよりマシ。ラスト・・怪物はやっつけたものの(・・もちろん全滅はしていないでしょう!「ミミック2」「ミミック3」作られたくらいですから)犠牲は大きく、見ていて後味悪いです。愛する夫をなくし、この若さ、この美貌で、哀れスーザンは未亡人かよ・・。子供もいないし、これから何を心の糧にして生きていけばいいの!?同じくひとりぼっちになったチューイと暮らすのか。いやいや元はと言えばこの子が隠れたりあばれたりして手間取ったために、ピーターが残って怪物くい止めるハメになったのよ。そりゃ障害児だから仕方ないんだけどさ。スーザンにすりゃ、今は自分が助かったことで頭いっぱいでまだあれこれ気が回らないけど、後になって落ち着けば絶対チューイのこと恨めしく思うはず。この子のせいで夫は・・ってね。元々はこういう暗い結末のまま終わらせるつもりだったんだろうけど、前にも書いたようにハッピーエンド。二度も捜索したけど見つからなかったなんていうセリフでお客どよーんとさせておいて、そこへピーター登場させる。いったいどこを捜索していたんでしょうねえ、しかも二度も!しっかりと抱き合う二人。どさくさにまぎれてチューイまで二人にしがみついてますよ。そりゃこれからはこの二人に面倒見てもらうつもりだしぃ・・。多少つじつまは合わなくても見ている方としてはやっぱり結末はハッピーな方がいい。爆発の瞬間ピーターがボチャンと水に落ちるシーンあったからもしかして・・という気持ちもあったけど、その通りになっていがったいがった。ノーザムは「カンパニー・マン」ではこれという印象なかったんだけど、今回はよかった。一見ぱっとしない地味なタイプ。筋肉ムキムキでもなく、メガネかけたフツーのおっさん。物静かで誠実そうでいざとなると芯が強いとこ見せる。こういう堅実な役者さんが出ているから映画も引き締まるんだと思う。ミラも文字通りの汚れ役がんばってました。そのうち「2」と「3」も見てみようかな。

ミミック2

「2」はうんと予算が増えてスケールが大きくなるか、題名だけいただいてしょぼくなるかどちらかだが、「ミミック2」は後者だろうな。「1」の脇役アリックス・コロムゼイが主役だが、彼女主役ってタイプじゃないのよね。他は知らない人ばかり。もう怪物の正体わかっているから、そっちで引っ張るわけにいかない。冒頭からもう登場する。「2」だとたいてい怪物の数増えるけど、予算がないのか・・結局何匹?1匹?(よくわからん)舞台はほとんどが小学校の校舎だし、前作のようなものすごい数の怪物が・・なんていうあっと驚くCGシーンもなし。こんなのよく作ったね・・と気の毒に思っちゃうようなしょぼい映画。根絶されたはずの「ユダの血統」が生き残っていて、どういうわけか小学校を巣にし、どういうわけかヒロイン、レミーに目をつける。昆虫学者(今は教師)レミーは「虫愛ずる姫君」というところか。多くの男に目をつけられるが、深い仲になるのは避けている。理由は不明。まわりの男が次々に死ぬので、刑事クラスキー(ブルーノ・カンポス)に怪しまれる。このクラスキーえらく濃いんです。いちおうハンサムだけど。卒業生でレミーに夢中な悪ガキニック(ウィル・エステス)もイケメン。ストーリーしょぼくてもこの二人見てれば退屈しない。もう一人サルという子供が出てきて、この四人でいろいろやるわけ。襲われたり逃げたり。「ユダの血統」はゴキブリにアリを足したような生き物らしい。レミーはいちおう怪物に関する知識があるので、何とか対処できると思っている。しかし怪物は突然変異をくり返し、進化している。擬態は巧妙になり、彼らにとって唯一の敵である人間に近づきつつある。元はゴキブリだからなかなか死なない。傷ついても9日は生きてる。死ぬのだって傷のせいではなく飢えて死ぬからだ。ここらへんよくわからないが、9日というのはオチにも関係している。レミーはなぜか怪物の交尾の相手に選ばれたらしい。男どもが殺されたのは競争相手とみなされたから。レミーが下着姿になるサービスシーンでは、ニックはクラクラ。かわいそうに・・年頃の少年には目の毒だぜ。クライマックスは「エイリアン」風味。あたしゃてっきりレミーがおなか借りられるのかと・・。体内に怪物の卵があって「3」で出てくるのかと・・。でも違った。ちょっと意外なオチ。まあしょぼいなりによく考えられていて、わりとおもしろかった。

ミミック3

見ましたよ、「2」に続いて「3」も。義理堅いなあ私。これってアメリカではビデオ用?確かにこんなの映画館でやってもお客ブーブー言うよ。途中で帰っちゃうかも。残っていても寝てたりしてね。何も見えない、何も起こらない、何もしない。主人公マーヴィンは24歳。ストリックラー病、ゴキブリ病・・「1」で問題になっていた病気。どちらかと言うと喘息系?雑菌が入らないよう部屋にはカーテンをし、薬を手放さず、空気清浄器や酸素のボンベみたいなのがある。クライマックスではこれが爆発するんだろう・・というのが見え見え。病身なので一日中部屋に閉じこもり、恋人も友人もいない。父親は病死。口うるさい母親、ヤク中の妹との三人暮らし。病気以来写真だけが彼の気晴らし。一日中カメラを覗き、そこらへんをうつす。特に向かいのアパートの住人。最近見かけるようになったゴミ男、電話ばかりかけてる老女ベル、小鳥を飼ってるトリ男、子供に怒ってばかりの雷オヤジ、名前がわからないのであだ名をつけ、うつした写真は壁に貼る。気にかかっているのは若く美しい女性。それに気づいた妹ロージーは気をきかせてその女性カーメンを連れてくる。盗み撮りされて怒るかと思ったら、マーヴィンのことが気に入ったようだ。全体的には「裏窓」風味。自由に動き回れない主人公、覗くのが趣味の主人公。我々も彼同様カメラのレンズ越しに見させられる。もどかしいし単調だしわかりにくいし、そのうちうんざりしてくる。音楽がなく、ドキュメンタリーみたい。少しうつしてはプツッと切れ、また同じような感じでうつしてはプツッと切れ・・。うつったものの意味がわからない。重要なものなのかどうかもはっきりしない。プツッと切れてそのまんま。フォローなし。心理的なサスペンスとか恋愛物ならこういう手法もいいかもしれない。でも・・たかがパニックホラーですよ。しかも前途洋々の「1」じゃなくて出がらしの「3」。「ユダの血統」がまたまた出現して人間殺すってだけの話。人類脅かすなんてとこまでいかない。ご近所止まり。彼ら(?)の目的は子孫残すこと。人間だろうが昆虫だろうがエイリアンだろうがやることは皆同じ。だったらぱーっとわかりやすく見せてくれりゃいいのよ。変にひねくって芸術的に・・なんて必要はないの。でもそれをやっちゃっているのよ。しかも信念を持って大真面目にね。

ミミック3 2

場所が限定され、動きは少なく、出演者も地味だから見ていてああ・・お金ないんだな・・ってわかる。CGはちょぼちょぼ。ほとんどは着ぐるみ。メイキングではその着ぐるみやってる人が雑用あれこれこなすところわざわざ見せる。お金だけでなく人手もないのだ。ちなみに撮影はルーマニアで、野犬が多く、しかも死骸があちこちにある・・とスタッフが指差して涙ぐんでいたりする。マーヴィン役はカール・ギアリー。髪が短くすっきりと端正な顔立ち。「バーディ」の時のマシュー・モディンみたい。ずっと病身で部屋にこもっているから世間ずれしていない。純真・無菌状態。もちろん女性とつき合ったこともなし。彼には・・いらいらさせられる。何かあってもカメラの前でうろたえているだけ。例えば怪しいゴミ男を尾行するカーメンとロージーに近づくカゲ。「ユダの血統」だ。尾行に夢中の二人は気がつかない。マーヴィン何をしている。恋人と妹の危機だぞ。かけつける勇気も体力もないにしても、窓を開けて叫ぶことくらいはできるだろ。なぜ何もしない?アワアワしてたって何も解決しない。元々は13歳の少年が主人公という設定だったらしい。13歳なら何もできなくて当然だけどマーヴィンは大人だぞ。でもまあマーヴィンはハンサムなので許す。映画つまんなくても彼を見ていりゃいい。「2」と同じでね。アパートに住み、何の仕事をしているのかわからない謎のゴミ男は、原作に出てくる黒マントの怪人連想させて、最初ちょっと期待させられる。ウヒョホ!「3」になってやっと原作に近づいてくれたのか・・ってね。でもそれも一瞬。演じているのはランス・ヘンリクセン。いいねえ・・ぴったりじゃん。最初はてっきり「ユダの血統」の進化した形だと・・。「2」のラストでだいぶ人間に近くなっていたから。でも違うみたい。・・てことは「ユダの血統」がまだ生き残っているのに気づき、密かに調査している科学者か役人か。そのうちマーヴィンは自分の持っている「ユダの血統」に関する本の著者がゴミ男なのに気づく。ほーらやっぱり!ゴミ男は世を忍ぶ仮の姿。正義の味方なんだわ、だってヘンリクセンがやっているんだし!とうれしくなる。もったらもったら停滞しているストーリーだけど、ここで一気に弾けて・・と思ったら・・あら?

ミミック3 3

カーメン役レベッカ・メイダーはダイアン・クルーガー風味。「プラダを着た悪魔」に出ていたらしいが覚えなし。カーメンは「裏窓」でのグレース・ケリーの役どころか。美人だし気取りがないし行動的。ゴミ男が怪しいとなると部屋に忍び込んで調べようなどと言い出し、即実行。マーヴィンがストリックラー病の後遺症で重度の過敏症だと知るとタバコも香水もやめる。夜、外で、タバコを吸いたくなるのをじっとがまんしているのが好ましい。盗み撮りには腹が立ったと思うが、顔には出さず、どれでも持っていっていいとマーヴィンに言われ、子供の写真を一枚選ぶ。後でそれを額に入れ、自分の部屋に飾り、それをカメラで見ていたマーヴィンが喜ぶといういいシーンもある。ロージー役アレクシス・ジーナはいきいきとしてかわいい。母親シモン役アマンダ・プラマーは名前からわかるがクリストファー・プラマーの娘。「死ぬまでにしたい10のこと」に出ていた。最近キーファー目当てで見た「連鎖犯罪 逃げられない女」にも出ていた。アパートの子供が行方不明になるが、父親(雷オヤジ)はなぜか警察には届け出ない。自分で張り紙して回るだけ。もう一人の子供は虐待されているようだ。でもマーヴィンは写真にとるだけで何もしない。雷オヤジが窓辺に立ち、その後窓ガラスに血がついていたりしてもフォローなし。ロージーが死体を見つけたと言うのでマーヴィンは写真をとるが(この時は珍しく外出。部屋にこもりっきりというわけでもないらしい)・・あのさ、自分の目ではっきり見るでしょ普通は。近づいて覗き込んで・・。何かやってることが全部○○越しなのよ。レンズ越し、フタ越し、ケータイ越し。見ている我々も○○越しだからいらいらはつのるばかり。この死体らしきものが行方不明になった子供のもので・・というのなら話がつながるが、違うらしい。現像した写真も何がうつっているのかはっきりしないぼやけたもの。だからぁ・・何で目の前にあるのに覗き込まなかったのさ。マーヴィンはもっともらしく本を調べ、「ユダの血統」の頭部の写真と見くらべ・・。何でこんなわけわからんぼやけた写真からこの結論を引き出すことができるんだ?いちおう通報して刑事が来るけど、3年前にも来て結局誤報だったのではなから信用していない。しかもこのデュマー刑事、シモンに気があるらしい。

ミミック3 4

ゴミ男に話を聞く、定期的に様子を見にくる、部下に巡回を強化させる・・などとマーヴィン達を安心させるけど、何もしていなかったことが後でわかる。シモンの気を引きたくて、いいとこ見せたくて口から出まかせを言ったのだ。ゴミ男には会わなかったし部下を巡回させることもしていない。と言うか、部下を持つほど偉くないのだ。シモンを訪ねてきては夫婦気取り。マーヴィン達には父親ヅラし始める。最初シモンは過保護で、マーヴィンが一人暮らししたいと言っても取り合わない。それがデュマーと懇ろになるととたんに態度が変わる。ゴミ男の部屋に忍び込んだロージー達に危機が迫り、あせったマーヴィンが助けを求めると、お楽しみの邪魔をされて不機嫌なデュマーとシモンは口々に言う。「いつまでも親を頼るな」「もう大人でしょ」・・特にシモンの変わりようときたら呆れるしかない。さてマーヴィンは、出没し始めた男達をてっきりデュマーの部下だと思い込んでいたのだが、実際はゴミ男の仲間らしい。・・あるいは怪物?ゴミ男は何か袋を持っていて、なかみは卵らしい。卵ったってニワトリやウズラの卵じゃなくてヨード卵光・・じゃなくてユダ卵血統。それをエサに怪物おびき出すんだわ。でも卵どっから盗んだの?冒頭のシーンがそれ?血まみれのハトは何?わけわからんけどまあいいわ。ゴミ男がマーヴィン達と力を合わせて怪物退治・・かと思ったらそれも違うみたい。正義の味方じゃないみたい。他にも卵がある、この町は侵略されておしまいだからトンズラだ、この卵を金づるに・・とか何とか不真面目なことを言うのよ。じゃ金儲けを企む悪人だったってわけ?でもはっきりしないまま怪物にやられちゃうの。でもって怪物退治には思った通り喘息治療用の酸素ボンベみたいなのが使われるの。火でこんがりあぶって(ついでに卵もね)爆発させる。最後もうひと波乱あるかと思わせといて・・何もありゃしませんでしたとさ。いちおうハッピーエンドだけど、もうお金ないのでこれ以上作れませんかんべんしてねウフ・・って感じ?危ないところを助かったマーヴィンが、見舞いにきたカーメンとそっと手を握り合う・・ただそれだけのシンプルなラスト。普通ならカーメンここで変身する。とうとう擬態はここまで・・本物そっくりにまで進んだのか・・とかさ。

ミミック3 5

DVDにはメイキングの他に予告編も入ってる。よくあるでしょ、予告でおいしいところ全部見せちゃって、本編見たらそれ以上のものは何もなかった・・っていう映画が。「3」もそう。怪物がどうのこうのというシーンは・・見どころシーンは・・オススメシーンは・・予告でどうぞ。残りのシーンはだから何も起こらず何もはっきりせず・・。50分くらいたってやっと動き出したと思ったらもうクライマックス。こんなに早くていいの?それも大したことなくて・・まだ1時間10分しかたってないぞ、まさか・・これで終わり?でもエンドクレジットなのよ。全体でも76分。まあ後でオリジナルビデオだと知って納得したけどさ。・・さてと・・このように悪口ばっか書いてきたわけだけど、不満だらけなんだけど・・妙な話だけど私この映画なぜか気に入ってるんですの。ネットで感想調べてみると、どんなにけなしているだろうかと思ったらそうでもないんですの。皆さん案外好意的に書いているんですよ。私と同じで独特なムードが気に入っているようなの。「3」ならそうなって当然という、これでもかという押しつけがましい残酷さがさほどない。CGはしょぼいしわずかだけど(怪物は結局2匹?卵の親という設定?)、そのせいでかえって印象強烈。多けりゃいいってもんでもないのだ。着ぐるみでも鋭い前肢(前足?)が武器になっているのだとわかる。車のトランク(ロージーが入ってる)や冷蔵庫(マーヴィンが入ってる)の扉さえ突き破る。もちろん人間なんか一刺しクシ刺しシシカバブ。デュマーもシモンも殺されちゃう。でもちっともかわいそうじゃない。あの世で好きなだけいちゃついてろ!とにかくこういう感じで作りたいという作り手の意図がはっきりしている映画。受け手にとって見やすいかどうかは別としてね。正直に言えば見づらい映画。でもお金も人手もないけど、その中で最善を尽くし、自分達のとりたいものをとった・・そんな映画。ただのパニックホラーにすぎないけど、よく見ると怪物やっつけてそれで終わり・・というわけでもない。部屋に閉じこもっていたマーヴィンだけどラストではそばにカーメンがいる。彼はこれから彼女の手引きで外の世界へ足を踏み出すだろう。ヤク中だったロージーも売人で恋人だったデズモンドの死で薬と縁が切れそうだ。兄妹はそれぞれ新しく一歩を踏み出したのだ!