めまい

めまい

NHKBSでやったので、初めて見た。ジョン(ジェームズ・スチュワート)は、同僚の墜落死がきっかけで刑事をやめる。あれ以来高所恐怖症だ。ちょっとでも高いところへ上るとめまいがするし、悪夢も見る。ある日大学時代の友人ギャヴィンが会いたいと言ってくる。彼の妻マデリン(キム・ノヴァク)の様子がおかしい。時々別人のようになるし、何かに取りつかれているようだ。尾行して調べて欲しい。医者に見せるにしても、少しは事前に調べておきたい。最初は断ったジョンだが、結局引き受ける。マデリンはものすごい美女で、行動は謎めいている。ジョンは次第に彼女に引かれていく。この頃のノヴァクは、宝石のように光り輝いている。やや太めで胸が大きい。足は短いが、髪をきちんと結い、カッチリしたスーツ姿は堂々として美しい。アレクサンドラ・バステードに似ているな。マデリンはカルロッタという過去の女性に取りつかれ、自殺のおそれがあるという設定なので、いったいどうなるのかと思わされるが、ギャヴィンの話しぶりから、彼女が資産家とわかるので、妻の財産狙いだな・・と予想がつく。ノイローゼにして自殺に追い込もうというのだろう。その通りマデリンは教会の屋上から飛び降り自殺をするが、ジョンは高所恐怖症のため屋上へ行けず、また死体を確かめる勇気もない。もちろんそこが向こうの狙い目なのだが。失意のジョンは、ある日町中でマデリンそっくりの女性ジュディ(ノヴァク二役)を見かけ、住居に押しかける。食事に誘い、服を買い、髪形や化粧を変えさせ、マデリンと同じにして喜ぶ。種明かしは意外とあっけなくなされる。ジュディがマデリンになりすまし、ギャヴィンが本物のマデリン(の死体)を屋上から投げ落とし、ジョンに目撃させる。普通ならジュディがマデリンかどうかはラスト近くまで伏せておく。でもヒッチコックは、そういう謎解きよりも、追いつめられ苦悩するジュディを描きたい。逃げればいいのに、ジョンが忘れられなくてとどまる。でも、いつばれるかわからないという不安。素の自分を愛して欲しいのに、ジョンはマデリンの面影を追い求めている。サンフランシスコの風景を始め、映像は美しく見事だ。でも、内容は物足りない。スチュワートにはこういう偏執狂的キャラは合わないし、元刑事にしては無能すぎる。