マニアック(2012)
いやはやすごい映画ですな。1980年製作のオリジナルは見たことなし。別に好きで見ているわけじゃないです。イライジャ・ウッド君が出ているから仕方なくですってば。彼もうちょっと背が高ければ違った方向へ行けたと思うんです。美男で童顔だけどチビとなると、こういうホラー路線で行くしかない。暗くて顔とか手のアップのシーンが多いからチビなのも目立たない。こんな美しいコがなぜという驚きもある。フランク(ウッド)はマネキンの修復をやっている。母親への愛と憎しみのせいで精神がゆがんでいる。はっきりとはしないが彼は母親を殺したのか。うつし方は凝りに凝っている。フランクを直接うつすことは少なく、カメラが彼の目となる。顔がうつるのは鏡とか車のガラスとか。たぶんただの残虐趣味の映画じゃない、芸術的な方向狙っているつもりなのだろう。出演者だってただの皮はぎ映画じゃない、苦悩する精神、抑えきれない怒りの発露とか、要するに高尚なセン強調するんでしょう。でも見せられるのは女性が襲われ頭の皮をはがれる・・そればっか。ある日フランクは写真家のアンナと出会う。彼女は他の女と違う。心が通じ合うような気がする。警察はほとんど出てこない。彼は手袋してないから指紋残るし、地下鉄やホテルの監視カメラにうつっているはず。でもそういう普通の・・犯罪者と捜査する側というセンはこの映画は無視する。フランクの異常な世界ばっか。でもどっぷり浸かるにはちょいとヘビーすぎて。アンナがうつしたフランクの写真はいい感じだ。短い髪、大きな悲しげな瞳。アンナ役ノラ・アルネセデールも健康的で明るく美しい。彼女は確かに他の女とは違う。彼女だけは助かって欲しい。彼女だって人並みに恋人とケンカ別れしたり、有名になりたいと野心持ってたりする。彼女はフランクの思い通りにはなってくれず、悲劇的な結末が訪れる。全体的には「サイコ」とか「わが目の悪魔」に似たムード。残酷だし後味もよくないが、瀕死のフランクがウェディングドレス姿のアンナのマネキンに指輪をはめるところは気の毒だった。