魔人ドラキュラ
DVDをレンタルして見たが、メイキングやコメンタリーがついているのがうれしい。「ドラキュラ」は三度映画化されたと言っている。この「魔人」と、同時製作のスペイン語版(同じセットを使うがキャストは別)と、フランク・ランジェラ主演のリメイク版。聞いていてあれッ?と思った。クリストファー・リーによる一連のドラキュラ物は?コッポラ版は?まあそれはともかくランジェラのドラキュラがちょこっとうつったのがうれしかった。ほんのちら・・でもセクシーさが匂い立つ。こんな魅力的なドラキュラは他にいない。早くDVD出して~。特典いっぱいつけて出して~。ベラ・ルゴシのドラキュラも確かに一種独特な魅力がある。今の若い人が見ると何だこのおっさんは・・と思うかもしれないが、昔の日本人には受けたんじゃないの?市川右太衛門や片岡千恵蔵とあんまり変わらない顔立ち。本当はもっと大作にするはずだったが、当時は世界恐慌真っ只中。規模を縮小せざるをえなかったらしい。製作は1931年で、冒頭の馬車の中の女性はまだ生きているようだ(100歳くらいか)。最初のトランシルバニアの部分はよくできていると思う。村人、ドラキュラ城・・。階段とクモの巣が効果的。イギリスへ移ってミナやルーシーが出てくるとつまらなくなる。ルーシーの死はかなり省略されている。吸血鬼として甦るが、結局どうなったのか。クライマックスははっきりせず、大した盛り上がりもないまま映画は終わる。ミナは何度も血を吸われたのになぜ吸血鬼にならないのか。ミナやヘルシングに魅力がなく、最初はインパクトのあったドラキュラもだんだん平凡に見えてくる。かえってレンフィールド役ドワイト・フライの熱演に目が行く。どこかで見たような人だが「フランケンシュタイン」に出ていた。レンフィールド役が強烈だったため、その後は似たような役ばかり来たらしい。それを言うならルゴシやカーロフもそうだろうけど。ハーカー役の人はハンサムだが、これと言って見せ場がない。原作ではハーカーがトランシルバニアに来るけど、この映画ではレンフィールドだ。おいしいところはみんな彼が持って行く。全体的に低調な流れ。原作同様クライマックスでドラキュラ城まで追跡すれば盛り上がったろう。それをしなかったのは資金不足のせいだろうな。