マハウット!

マハウット!

前WOWOWでやったけど、その時は気がつかなくて、放映が終わってしまってから興味を持つという、いつものパターン。それでDVDをレンタルして見てみたのだが・・。マハウットとは護符として体に入れる刺青のことらしい。それを彫ると不死身になるらしい。タイでは実際に入れてる人もいるらしい。でも銃で撃たれてもバリア張って止めるとかいうのは映画ならではの描写であって、実際にこんなことができるわけではない。キリスト教とか、我々のなじんでいる仏教とはまた少し違う風俗、世界観が珍しい。文字、図柄、金ぴかの仏像、何やらいっぱい浮いたオフロ(違うって!)。刺青の入れ方も独特。ストーリーはちょっと「バレット モンク」風。刺青、不死身、超能力の部分が。でも全体的にはわけのわからんストーリー。出てくる人は皆誰かに似ている。ずーっと○○に似てる・・ってそればっかり思いながら見ていた。そういうことでも考えていなきゃとてもじゃないけど見てらんない。退屈だしつながらないしばかばかしいし・・。どこかの国で二つの部隊が戦う。ほとんど全滅するが、なぜか生き返ったのがいて、フラフラ歩いているうちに焼かれた村にたどり着く。村民は虐殺されたらしいが、赤ん坊が一人だけ生き残って泣いている。男は赤ん坊を抱き上げる。何年かたってその二人は僧侶と15歳の少年ジェートになってる。もう一人チャイという少年がいるが、助けられた赤ん坊はジェートの方だろう(全然説明されないのでかってに推測するしかない)。僧侶はジェートを後継者にすると決めたらしく、刺青を入れ、いろんなことを学ばせる(あのー学校は?)。それからまた年月がたって、チャイの方は浅野忠信氏みたいな顔をしたタクシーの運転手になってる。ジェートの方は射撃センターのインストラクター。ジェートは誰かに似ているなあとずっと思っていたのだが、途中でやっとわかった。若い頃のチェン・カンタイ・・うん、そうそう。ヘアスタイル、鋭い目つき、分厚い唇。まあトニー・ジャー君にも似ているけどね。タイのアクションスターってみんなこんな感じなのかな。背も高くてがっちりしていてなかなかいいんだけど、私は実は主人公は別の人だと思っていたのよ。

マハウット!2

WOWOWのガイドブックに載ってる写真とかのせいで、銃をかまえているショウユ顔の警官が主人公だとばかり・・。そしたらこのあぶらっこいソース顔のアンチャンばっかり出てくるから「あれ?」と思ったのよ。いつものことながら勘違いばっかりしている私なのでありました。私が主人公だと思った人は結局脇役で、警部なんだけど清水章吾氏にそっくり。この人は不死身じゃないから死ぬおそれもある。だから心配しながら見ていた。僧侶役の人は井川比呂志氏に似ている。同じ不死身でもこの僧侶のように規律を守って生きてる者もいれば、欲望のままに生きてる者もいる。このボス、金儲けのためなら町を爆破しちゃうというわけのわからん悪党。僧侶とボスは同じ部隊で戦った戦友どうしだが、ボスは僧侶に置き去りにされたことを深く恨んでいる。でもその置き去りにされる回想シーンと、冒頭のシーンとがうまくつながらないのよ。一緒に戦って一緒にやられて、その後それぞれ生き返ったんだろうけど、僧侶の方は赤ん坊拾ってるし、ボスはヘリに向かって叫んでるし・・。ってことはヘリには赤ん坊抱いた僧侶が乗ってるわけ?そういうのちゃんと見せれば話はつながって、アンタが恨むのもあ~もっともだ~もっともだ~となるけど。そういうのがないので、いくらボスが顔を真っ赤にして恨み言言ったってちっとも見ている側に怒り伝わってきませんの。このボス役の人は「地獄から来た女ドラゴン」のヤン・クワンにそっくりだな。本人かと思っちゃった。もちろん別人だけどさ。さて、不死身のはずの僧侶だがボスに撃たれて死んじゃう。こういう映画で難しいのは生死の線引き。死んだのに生き返るとか、不死身なのに死んじゃうとか、そういうのばかり見せられる。ルールがあいまい。境界がはっきりしないと、いかにも雑でご都合主義的なストーリー・・とがっかりさせられる。何回までなら甦り可能とかさ、そういうのあってもいいと思うが。もっとも右胸撃たれたのに左胸押さえてるとか、そういう映画だしなあ。それとこの映画、ジェートにあんまり魅力ないのもバツ。「マッハ!」や「トム・ヤム・クン!」がおもしろかったのは、ジャー君に魅力があるからだ。容姿、キャラ、そして何よりもあのすばらしいアクション!

マハウット!3

ジェートだって痛いのガマンしたり(刺青を彫るシーンがこれでもかとばかりに出てくる)、お経唱えたり、オフロ浸かったり(違うって!)する他に武術の練習もすべき。もちろん自分の身を守るための武術だけど。でも・・全然やらない。射撃は職業柄うまいんだろうけど、特に見せ場もないし。アクションは見せたとしてもちょこっとで物足りない。ボスと戦っても弱い。それでいてなぜか髪の色途中から変わるし・・。変化したのは髪の色だけかよッ!塔や線路が爆破されるシーンはしょぼい。1950年代のSF映画みたい。ハリボテ風、アニメーション風。超能力シーン(?)もいいのと悪いのとがある。特殊効果担当はオキサイト・パン・・ってことは「ゴースト・ハウス」の監督の片割れ?ジェートは僧侶の教え守って清い生活送るのかしら。能力を維持するためには身を清く保ち、人に親切にし、いつも危険がないか周囲に目を配り・・。だから見ている方もジェートにそういう高潔な人柄期待するんだけどそこまでいかない。そりゃ真面目だし正義感も強いけど、これと言って特別なものを感じさせない。ジャー君ならあるんだけどなあ・・信じられないほど純粋で無垢なところが。途中でものすごく感じの悪い女が出てくる。射撃センターの会員だけど人に銃口向けるわ(しかも弾入ってるのに)、ジェートの注意聞かないわ、そこらに銃を出しっぱなしでパソコン打つわで、もう最低。こんな女、誰かを撃ち殺す前に許可証取り上げ、銃を取り上げ、センターからおっぽり出さないと。でも映画だから反発しつつも二人はお互いに気になるわけ(ありえん)。彼女は実はチャイの彼女の親友。しかも警部とは恋人どうしみたい。どっちかと言うと警部の方がほれていて、彼女の方は何とも思ってなくて・・だからジェートが気になるんだけどさ。ここらへんの恋愛模様と言うか、心の動きの描写も今いち。と言うか、あんなつんけんした女なんかほっとけジェート。警部もやめとけもっといい人が必ず見つかる。てなわけで、ところどころ目を引くいいシーンはあるし、普段なじみのない風俗に触れることができて新鮮味はある。長所もあるのだ。ただ・・全部見るにはかなり忍耐力必要。今更ながら「マッハ!」や「トム・ヤム・クン!」がタイでは最高水準の映画なんだってわかります。