ミッドナイトマン

ミッドナイトマン

ウィル・ケンプは大変な美貌の持ち主だが、ダンサーが本業なのか映画の出演作は少ない。しかし「マインドハンター」や「ヴァン・ヘルシング」と違ってこちらでは主役なので、出ずっぱり。ファンにとってはありがたいことだ。これで作品の出来がよければ言うことなしだが、世の中そううまくはいかないようで。グレイディ(ケンプ)は殺し屋。雇い主はエゼキエルで、今回の標的は商売敵のパール。手下に拷問受けるが、たぶんわざとつかまったのでは?彼は先天性無痛症なので、拷問も平気。しびれを切らして出てきたパールを片づけて仕事完了。このパールやってるのはヴィニー・ジョーンズらしい。出番少な!次にエゼキエルに依頼されたのは、組織内の仲間四人の始末。どうもFBIに情報漏らしているようだから、FBIに保護される前に急いでやれと。一人目のマーキーを片づけた時、誰かに麻酔かがされたグレイディ。気がつくと目の前にいたのは救命士のザン(ブリンナ・ケリー)。しかも無痛症のはずが、いろんな感覚あってとまどう。昏倒していた彼は麻薬中毒と思われ、打たれた薬の副作用でこうなったらしいが、そうなると今までのように自信たっぷりとはいかず、自分の体に何かあった時のためにザンを同行させることに。彼にとっては医者も救命士も同じようなもの。二人目のノーマックを何とか片づけ、三人目はフェアバンクスだが、演じているのがウィリアム・フォーサイスなので、しゃべり方と言い面構えと言い貫禄があって一味違う。なぜ彼と協力し合わないのかと見ている誰もが思ったはず。片づけられて終わりじゃもったいないキャラ。四人は本当に裏切り者なのか、なぜマーキーの部屋で待ち伏せされたのか、誰が通報したのか、普通なら疑問に思う。しかしグレイディは疑問は後回しにして、まず標的を始末しようとするのだ。後で実は殺す必要なかったとわかったらどうするのかね。いや、間違いだったとしても何とも思わないんだろうなあ。てなわけでフェアバンクスも殺される。その後金を持って姿を消そうとするが、送られてきたメールを見ると、とらわれの身となったザンがうつっていて。で、四人目のヴィックの屋敷へ。彼は拷問大好きの異常者だが、FBIのこともザンのことも知らないようで。ヴィックから逃れ、ザンを助けに行くとエゼキエルが目の前で殺され、現われたのは・・。

ミッドナイトマン2

グレイディのニックネームは”ミッドナイトモンスター”。IMDbで調べると「ザ・ミッドナイト・モンスター」という短編映画があって。グレイディは別の人が演じているけど、ザンは同じくブリンナ・ケリー。彼女は製作や脚本にも関わっているようで。ピーター氏に似ていて、横からうつすと顔がぺちゃっとつぶれている。演技は固くて、あまり上手にも思えない。と言ってへたくそというわけでもなく、それなりのスタイルはあるのだが。1時間10分くらいたつとお約束のイチャイチャが始まる。しかも長い。どう見たって脚本家の役得としか思えない。初めて知った人の肌の温かさを強調したいのだろうが。思いがけない事件に巻き込まれたにしては、ザンの行動は素直すぎる。普通ならもっと逃げるスキうかがう。まして殺人だ。どんな悪人でも救うのが救命士。抵抗あるはず。だから見ている者は、彼女は娘のヘイリーを人質に取られているのだ、それで仕方なく同行しているのだと思ったりする。ラストではヘイリーは娘ではなく姪とわかるが。さて、正体をあらわした敵はパール。あの時倒したのは替え玉だった。そりゃ替え玉の方が貫禄あるからだまされるんだけど(ヴィニーだし)。で、グレイディはさっき愛をかわしたザンがパールの女と知って打ちのめされるわけ。この映画はいろんなことがいいかげんなまま推移する。無痛症になったり、そうでなくなったり。無痛症イコールスーパーマンみたいな描写もおかしい。縛られているグレイディが簡単にいましめ解いちゃうのもおかしい。コメディータッチの犯罪アクションのつもりだろうが、軽快な感じはなく重い。だらだらとおしゃべりが続いて、長い。作り手としてはそこに力入れてるんだろう。気がきいていて、言葉の裏には深い意味があって・・みたいな。ところどころあったザンの救命士としての行動、知識を、もっとたくさん入れて笑い取ればよかったのに(って不謹慎かな?)。でも一番印象に残るのは、ヤクでつぶれている女性を、ザンがうつぶせにするところなのだ。それでいてパールは彼女は救命士ではないと言ったりする。何だか一貫性のない設定。それにしても思う。ケンプは何て美しいんだろう。それでいて鼻の形を変えればエイドリアン・ブロディそっくりだ!ラストは笑える。ヴィックのキャラは最高だ。バレリーナのように優雅な体つき。長い首、長い手足。ただし絶対一緒にはいたくないタイプ!