マイ・インターン
ベン(ロバート・デ・ニーロ)は70歳。妻をなくしたが、生活には困ってないし、血圧の薬飲んでるくらいで、あとは健康。旅行したり趣味を持とうといろいろ手を出したけど、本音を言えば仕事がしたい。社会と関わっていたい。で、応募したのがネットで服を販売する会社。ジュールス(アン・ハサウェイ)はシニアインターン採用を自分で提案しておきながら、もうそのことを忘れている。会社の急成長に追いつけず、日々仕事に追われている。人生経験豊富なベンが補佐することで、彼女は成長し、ベンは生きがいを見つけるのだろう。一度もキレない、演説ぶたないデ・ニーロも珍しい。やたらニコニコしてたけど、印象に残るのは笑顔ではなく、ジュールスの夫マットの浮気を知った時の、とがめるような厳しい顔つき。やましいところがあるマットは落ち着かない。ジュールスで印象的なのは、最後の方の女学生みたいな服装か。紺色がういういしい。彼女が成長したかどうかはよくわからない。コメディー映画はたいていそうだが、途中で必ずだれる。この映画でも、ジュールスが母親に打ったメールを消すためのドタバタや、その後の酒場での長たらしい演説にうんざりさせられる。メールの件は「公私混同しすぎ」とネットで書かれているが、全く同感。母親の家の警報装置作動で駆けつけた警察はどうなったのか。監視カメラはついていなかったのか。これに限らず、映画は何かあってもフォローなしで進む。ベンの血圧が上がってこりゃサンフランシスコ行きは無理だなと思っていると、次のシーンでは飛行機の中。職場で何でもかんでも積み上げてあるデスクは、ある日突然きれいになっている。ベンが片づけたのだが、どうやったかは不明。ベッキーのデスクもある日突然きれいに。ベンがやったというセリフだけで終わり。ベンの自宅の整然としたクローゼットを見せてあるから、オフィスでわざわざ再現することもないってか?応募する時にはパソコンのことなど全く知らなかったのに、隣りのルイスにちょこっと聞くくらいで、いつの間にかマスター。ジュールスからのメールを待つ時間を利用して入門書を読むとかするはずだが。何と言うか、結果ばかり見せられて現実味がない。じゃあ過程をしっかり見せれば現実味があるかと言うと・・そうでもない。後半になるとジュールスとマットの仲は危機にひんする。
マイ・インターン2
ハサウェイは泣いたり笑ったりおびえたり大熱演だ。ジュールスがバスタブで泣いてるシーンは絶望的だ。で・・例によって次の日だ。てことは、前夜のうちに解決しなかったのか。マットが会社にやってくる。おまえら一緒の家に住んでるんじゃないのかよ!その後も・・私には何が何だかわからないんだけど、結局はハッピーエンド?妻がバリバリ仕事できるよう、夫は主夫をちゃんとやると?私から見ると今のジュールスは明らかに無理をしている。業務を縮小するか、セバスチャンとやらをCEOに迎え入れて自分の負担を減らすしかない。でもベンもマットもこのままでいいと思ってるらしいんだな。セバスチャンに会って即決したのに、翌朝にはもう断るという非常識な行動。セバスチャン本人を出してこないのも道理、見せる必要なんかないんだもの。若くてきれいでがんばってる女性出してきて、君は悪くない、君はすばらしい、君の思った通りにやるべきだと持ち上げる。ジュールスが何かをあきらめる必要はない。マットが代わりにあきらめればいいのだから。これじゃ問題何も解決してないと思うが。それにしても通り過ぎるものの多い映画だ。シニアインターンの一人は全く描写されない。後で一度出てくるドリス役の人は見覚えがある。デイヴィスとマットは身長が違うだけで、顔は似ている。キャメロンとジェイソンはそっくりで見分けがつかない。何でこんなキャスティング?おかげで似ている人のいないルイスが印象に残る。ジュールス付きの運転手マイクもすぐ行方不明になるが、理由は詮索されない。代わりにベンが運転し、ジュールスの家庭に入り込む。マッサージ師のフィオナ(レネ・ルッソ)はベンが気に入ったようで。こんなのありえないってくらい二人の仲は急接近。ある程度の年齢になると、約束が流れたり、最初のデートで葬式に連れて行かれても怒らない。ベンにはパティという老女がつきまとっているが、フィオナが相手じゃかなわない。このパティというキャラはなかなか現実味がある。変に自信があって、そのくせ物欲しげ。こういう老人にはなりたくないけど、でもこういう部分は誰にでもある。さて・・この映画では最初と最後に太極拳が出てくる。最初は何をやってるのかわからなかった。気功にしては動き回ってるし・・。太極拳には血圧を下げる効果があるから、ベンがやるのは道理にかなってる。