湖のほとりで
こっちでは公開されずWOWOWで見た。冒頭女の子が一人でトコトコ歩いていて、途中で誰かのトラックに乗って・・あら?少女誘拐の話だっけ?でも相手の男マルコの名前出てるし・・これがメインの事件ならこんなに簡単に名前出さないよな。連れ去ったの誰だろうって気を持たせるよな。で、やっぱりこのことはただのいとぐち。湖のほとりで発見された若い女性の死体。サンツィオ警部は調べて回るうちに関係者がそれぞれ苦悩をかかえているのを知る。彼自身妻が痴呆症で、今では彼のこともわからなくなっている。娘フランチェスカにはショック与えまいと言いつくろっているが、そのせいで二人の間はぎくしゃく。サンツィオ役トニ・セルヴィッロは名優なんだろう。味のある表情、いでたち、しぐさ。でも・・何かいちいち作っているようなところがあって鼻につく。水を飲むシーン・・こっち向いて水汲んで、横を向いてから飲む。前向いたまま飲めよ!立っている時の爪先の向きのわざとらしさ・・バレリーナかよ!しょぼくれた初老のさえないおっさんで、疲れきった様子に同情・共感覚えながらもなぜか反発してしまう。被害者アンナの恋人ロベルトを逮捕し、しめ上げるなど、このタイプのベテランがこんな見当違いのことするか?と思ってしまう。若い同僚が暴走するのならわかるが。描写はたんたんとしていて、美しい風景がどっさり出てくるのはうれしいが、登場人物もどっさり。しかも似たような顔立ちで誰が誰やら。特にアンナは冒頭寝てるし、次は死体だし、顔がはっきりしない。次はビデオテープ、次に回想。ここまで来てやっと「生きていたアンナ」実感できる。普通は起きているアンナうつして、これが犠牲者だよと印象づけると思うが。今回の事件の遠因となったのがカナーリ夫妻の息子アンジェロの死亡事故。生まれつき障害があり、両親は世話に疲れ果てる。いっそ死んでくれたら・・と思ったりもするが、死んでしまうとまた別の思いに悩まされ、とうとう離婚。こういうのってホント「神様どうして私達だけこんな目に?他の子供は正常なのに・・」となるよね。ラスト、サンツィオは娘に母親を見せる。いつもは暗い顔つきのフランチェスカがぴょこっと立ち上がって母親にニコッとするのが、花が咲いたようでかわいらしい。母親には娘だとはわからないが、それでも微笑んではくれた。父娘はそれだけで満足しなければならない。いいラストである。